お尋ねにお答えするには、まず、調査の対象は誰なのかということを分けて論ずる必要があると思っております。
国会又は国会の機関による政党等の活動に係る調査につきましては、国会において御議論をされるべき事柄でありまして、これに関する法的な側面からの議論につきまして、内閣法制局として検討したことはこれまでにもありませんし、また検討する立場にもないと思っています。
その上で、行政に対する調査との関係で、お尋ねの憲法六十二条の国政調査権についての一般的な解釈に関しては、法制局としてお答えしたことがございますので、その答弁を御紹介いたします。
平成八年十二月十日の参議院予算委員会においての答弁でございますが、国会の国政調査権と憲法六十五条等との関係や、三権分立の立場から行政をどの程度監督できるかといった旨の質問に対しまして、当時の大森内閣法制局長官が、国会は憲法によりまして、立法や予算の議決権、行政監督ともいうべき権能を有し、これらの権能を有効に行使するための補助的な権限、手段といたしまして憲法六十二条により国政調査権を有している、憲法は三権分立の原則を取っておりまして、また、国政調査はあくまでも行政監督等の権限行使に役立たせるために実施されるものであり、個々の行政を直接的に抑制する、あるいは自主的に自らその行政を執行する結果となるような行為を行うことはなし得るものではないと述べたことがあります。
また、その際、議員立法で当時提案されました、国会の附属機関としての行政監視院に行政に対する立入調査権等の調査権限を設けることの現行法上の問題についての質問がありまして、これに対して同長官が、現行法上、国政調査権を行使するための手段として議院に認められている具体的な権限とのバランスにおいてなお検討を要すべき問題がある、現行法上、国政調査権の行使の手段としてはこの立入調査権は憲法上認めていないというのが学説の通説でございまして、その点で問題があるというふうに思います、こう述べております。