公明党の輿水恵一です。
私は、公明党を代表し、岸田内閣不信任決議案に対し、反対の立場から討論を行います。
政治は、国民の信頼があって初めて成り立つものであり、仮に国民の信頼を失えば、目下の最重要課題である能登半島地震の復旧復興や物価高対策を始め、我が国の政策を前に進めることはできません。
公明党は、本年を令和の政治改革元年と銘打ち、今回、政治と金の問題に対しては、終始一貫して、国民の信頼を取り戻す、また、清潔な政治を実現するという強い信念で、一月十八日に、各党に先駆けて、公明党政治改革ビジョンを発表いたしました。与党による十回にわたる実務者協議において議論を交わし、五月九日には、七項目の一致点と二項目の方向性を示した改革案を取りまとめました。
その後、政治改革特別委員会での審議を進める中で、最終盤での総理の決断もあり、公明党や一部の野党の主張も取り入れた改正法の成立を成し遂げたことは、政治の信頼回復に向けた重要な一歩であると考えます。
例えば、今回の修正案において、ブラックボックスと言われている政策活動費の支出の透明性や適正性の確保に向けて、第三者機関を設置しその中身を監視する方針が明記されたことは、大きな改革であります。
また、パーティー券の購入者の公開基準額が、現行の二十万円超から五万円超に引き下げられ、またパーティーに係る入金も口座振り込みとすることになることは、不記載や記載漏れを防ぐ上で非常に効果的であると考えます。
さらに、政治家の責任を明確にするために、政治団体の代表者の監督の在り方について、随時又は定期の確認や、代表者による確認書の交付などが義務づけられています。そして、これらの義務を怠り収支報告書の不記載や虚偽記載があった場合において、五十万円以下の罰金に処することとしています。この罰金刑は公民権停止を伴う大変に厳しい連座制に準ずるものであり、再発防止に十分な効果が期待できます。
今回の不信任決議案の提出の理由の中に、改革の名に値しない内容と記述がありますが、認識を改めるべきです。
一方、今回の法改正を踏まえ、岸田内閣として、再発防止の取組を加速させ、国民の信頼を取り戻すまで、引き続き真摯な姿勢で不断の改革に取り組むべきであると申し上げ、さらに、内閣不信任決議案に対する反対理由を申し添えます。
まず、能登半島地震の対応では、元日の発災直後から、総理の指揮の下、人命を最優先に、プッシュ型の物資支援、インフラの応急復旧などに政府を挙げて取り組んできたことです。
公明党は、二度の緊急提言や毎週開催している災害対策本部などで政府に対し要望、提案を続け、政府はこれを受け、計四回にわたる復旧復興のための予備費支出や、被災者支援パッケージの策定、さらに、石川県への復興基金創設など、多くの支援策を講じました。また、先日は、第五回目となる予備費の活用も決定をしているところでございます。この政府の取組を高く評価いたします。さらに、引き続き、被災者に寄り添いながら、きめ細かい支援に総力を挙げていただきたいと思います。
また、岸田内閣が先頭に立って進めている防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策については、全国でその効果が発揮されています。今後も、災害に強い国づくりを目指すため、政府・与党一体となって対策を加速させていくことが必要です。
次に、これまで岸田内閣は、日本が直面する先送りできない課題に一つ一つ取り組み、結果を出すという一貫した姿勢で政権運営に臨んでまいりました。
岸田政権は、三十年来続いてきた低温経済から脱却し、成長型経済へと転換すべく、あらゆる施策を総動員して、物価高に負けない賃上げ、家計の所得向上に全力を挙げてまいりました。賃上げ促進税制や省力化補助金など予算、税制による大胆な支援に加え、政府として初めて、労務費も含めた価格転嫁の指針を作成。企業間の適正な取引を促す画期的な取組となりました。さらに、地方版政労使会議を全県で開催し、賃上げの機運を高めてまいりました。
このほか、最低賃金の引上げや、医療、介護、保育など公定価格で運営されている分野の処遇改善、建設業やトラック業の賃上げのための法改正などの実行により、今年の春闘の賃上げ率は五%を超え、中小企業においても四・四五%と、三十三年ぶりとなる高水準の賃上げが実現いたしました。日経平均株価は一時四万円を超えて史上最高値を更新するなど好調を維持しております。実質賃金においても、マイナス幅は着実に縮小しており、こうした中、定額減税と給付措置によって家計の所得を直接的に下支えすることで、生活や消費に万全を期しています。
また、我が国の最重要課題の一つである急速な少子化の進行に対し、岸田内閣は、これまでにない支援策を盛り込んだ総額三・六兆円に上るこども未来戦略加速化プランを実行するため、今国会で、子ども・子育て支援法等の改正案を提案し、成立させました。これにより、今年の十月分からの児童手当の大幅拡充を始め、こども誰でも通園制度、育児休業給付の拡充、高等教育費の負担軽減、一人親家庭やヤングケアラーへの支援など、子供、子育ての安心につながる具体策が大きく前進をいたします。
最後に、外交における成果を挙げたいと思います。
国際情勢が緊迫する中、岸田内閣は、人間の尊厳を守り、国際社会における分断と対立の動きを調和と協調へ導くため、積極的な首脳外交で、世界の諸課題の解決に向けた議論を主導し、多くの成果を生み出しています。
特に、国賓待遇で米国を訪問した岸田総理がバイデン大統領との間で取り交わした、日米首脳共同声明「未来のためのグローバル・パートナー」は、安全保障環境の強化に加え、宇宙、最先端技術及び経済協力、さらに外交及び開発、並びに人と人とのつながりにおける協力を含む幅広い合意がなされた歴史的なものであると思います。
ここで大切なことは、日本が米国との連携により防衛力を強化する目的は、意見の異なる国家を封じ込めることではなく、権威主義的な政権を含む国や地域との対話の機会をつくることであるという点であります。
日中韓の首脳会談も開催され、これまで広範な分野で進められてきた未来志向の実務協力の推進が確認されました。今後は、アジアの平和と安定へ、日中、日韓の二国間の首脳会談も含め、様々な国と様々なレベルでの対話と交流の積極的な推進で、戦争を絶対に起こさせないシステムの構築を期待しています。
以上、申し上げましたとおり、先送りできない課題に真正面から取り組み、着実に成果を上げている岸田内閣を不信任とする主張は、到底理解できません。
一方で、政治改革には終わりはございません。今回の政治資金規正法を実効性の高いものにするために、ここからが本当の勝負であります。改めて、今回の法改正を踏まえ、岸田内閣として、再発防止の取組を加速させ、国民の信頼を取り戻すまで、引き続き真摯な姿勢で不断の改革に取り組むべきであると重ねて申し上げ、私の内閣不信任決議案に対する反対討論といたします。
御清聴ありがとうございました。