立憲民主党・無所属の伊藤俊輔です。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました令和六年度一般会計予算外二案について、反対の立場から討論いたします。
冒頭、言わなければならないのは、なぜこれほど予算審議を急ぐ必要があるのかということです。
例年、予算委員会は審議時間が約八十時間です。しかし、六十九時間しか積み上がっていない時点で、小野寺五典予算委員長は、職権により強引に採決を決めてしまいました。過去二番目の規模となる予算案の審議を軽んじる裏金隠しの強行採決に、改めて抗議をいたします。
我々野党は審議拒否をしているわけではありません。むしろ、しっかり審議をした上で、三月四日に円満に採決をしようと再三申し上げてきました。三月四日に予算案を参議院に送っても、審議をして年度内に成立させるための日数は十分に残っています。
そもそも、予算案の採決が予算委員会、本会議とも土曜日に行われるのは、実に三十一年ぶりのことであります。そんな異例なことまでして予算案の衆議院通過を急ぐ必要があるのか、甚だ疑問であります。土曜日の審議を行うことで、衆議院や霞が関の職員を始め、マスコミの関係者や政党関係者、議員秘書の方々も休日出勤を強いられております。今は三月で、今日まさにお子さんが卒業式を迎えた方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。
そもそも、政治倫理審査会の開催が一日遅れなければ、昨日、金曜日、この質疑は行われていたはずであります。更に言えば、国会の召集日についても、我々野党はもっと早い時期にすべきだと再三申し上げてまいりました。政府の段取りの悪さのツケを押しつけるのはやめていただきたいというふうに思います。
能登半島地震の発災から二か月が経過をいたしました。改めまして、今回の震災により亡くなられた方々に衷心より哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。
私たち立憲民主党は、今国会の召集日である一月二十六日に、被災者へ支援金を大幅に引き上げるために被災者生活再建支援法改正案を、日本維新の会、そして国民民主党と共同で衆院に提出いたしました。
これを受けて、政府も、新たに約一千億円の被災者支援金支出を決定いたしました。野党の提案を受けて政府・与党も動いたのは、民主政治のあるべき姿を象徴するものであります。とはいえ、子育て世帯の一部や石川県の六市町以外の自治体、富山県、新潟県は支給の対象にならないのは問題であり、改善を求めたいというふうに思います。
我々野党は、裏金のあった自民党の衆議院議員五十一人全員の政治倫理審査会への出席を求めてきましたけれども、出てきたのは岸田総理を含めてたった六名であります。岸田総理の答弁は予算委員会での答弁と変わらず、ほかの派閥幹部も、自分は知らない、関与していないという責任逃れ、押しつけ合いのオンパレード。塩谷議員、西村議員、高木議員の説明は矛盾が露呈をし、疑惑解明どころか、国民の疑念は更に高まったと言わざるを得ません。
今回出席しなかった安倍派の萩生田光一議員、下村博文議員、そして二階派の二階俊博議員ら幹部には、参考人や証人喚問で話していただかなければなりません。
また、幹部以外の裏金議員の皆様には、本日昼の与野党国対委員長会談で、政倫審に申し出たい議員の質疑を行うことが合意され、自民党国対は止めないそうでありますから、志ある裏金議員は政倫審に出ることを求めたいと思います。
また、政治改革特別委員会の設置が合意されましたので、徹底的な事実解明と実効性のある制度改正を与野党と進めていこうではありませんか。
話は少し戻りますけれども、やはり何よりも看過し難いのは、自民党の裏金問題であります。国民には増税、自民は脱税。確定申告真っただ中の今、この不条理に、納税者である国民は怒りを覚えております。
昨年十月から消費税のインボイス制度が開始されましたけれども、我々が度々懸念を示してきたとおり、これにより廃業に迫られている事業者も出てきております。また、結局、今回も実施時期の決定は見送られましたけれども、岸田総理がもちろんやりますと断言された防衛増税の実施も今後控えております。
そして、子ども・子育て支援金については、月額五百円という極めて粗い試算を御披露されましたけれども、加藤大臣も認められたとおり、人によっては月額千円、年額にして一万円を超えるような新たな負担が生じることになります。実質的な負担は生じないとの答弁は詭弁にすぎず、これは事実上の子育て増税として、子供を育てる現役世代を直撃いたします。
このように、国民には複合的な増税を押しつけておきながら、せっせと裏金づくりにいそしみ、脱税を繰り返しているのが今の自民党であります。
岸田総理は、裏金議員に対して、納税義務を果たすことも指示しない、政治倫理審査会への出席も指示しない。リーダーシップが欠如しているどころか、岸田総理自身が政治改革の障害となっていると言わざるを得ません。政権交代こそが最大の政治改革となります。本気の政治改革を実行する気がないなら、一刻も早くその座をお譲りいただきたいというふうに思います。
令和六年度予算の一般会計総額は百十二・六兆円に上り、二年連続で百十兆円を超過しました。依然として歳出の膨張は歯止めがかかっていないというのが実態であります。
財源確保の在り方にも問題があります。
例えば、防衛費は、過去最大を記録した昨年を大きく上回り、七・九兆円規模とされました。子供予算については、まさに子育て世代でもある現役世代の手取り額が減る上に、事業主負担も重くなるため、賃上げ意欲がそがれ、正規雇用の抑制につながりかねません。子供予算の財源確保策が子供支援に逆行するという、本末転倒の事態が生じているのです。
予備費の在り方にも問題があります。
特定目的予備費については、対前年比で減額はされたものの、依然として物価・賃上げ促進予備費一兆円を計上しております。経済が正常化しつつある中で、その必要性や合理性も十分に説明ができない予備費は、財政民主主義の観点から、一刻も早く正常化すべきです。
そもそも、予備費ではなく、補正予算を組むように我々は求めております。被災地石川県の馳知事も、能登半島の実情を踏まえ、数兆円規模の補正予算編成を政府に求められております。政府は、問題山積の予備費増額を今すぐ取りやめて、被災地の要望に十分応え得る補正予算を速やかに編成すべきです。
以上申し上げたとおり、我々は、令和六年度予算に断固として反対するものであります。
今こそ、人へ、未来へ、真っ当な政治へ、大転換を図るときです。今後も、政府の問題点をただすとともに、もっとよい未来を実現するために尽力することをお誓い申し上げ、私の反対討論を終わります。
ありがとうございました。