まず、前提として、いわゆる選挙困難事態と呼ばれることについては、立法事実が確認できないということをこれまで逢坂委員の方から申し上げてきたと思います。
つまり、釈迦に説法ですけれども、憲法の方が上位規範で、公職選挙法というのは下位の規範です。ところが、大規模災害などで選挙ができないという点については、現行の公職選挙法を前提に皆さん議論されているのではないでしょうか。すなわち、投票日を定めて、入場券を郵送して、その場所に足を運び、自書で候補者の氏名を記入するというやり方を前提に選挙が実施できないという議論をされているように見受けられます。
このやり方だから、例えば、感染症が爆発的に流行しているときには密になってしまうであるとか、大規模な災害のときに避難所の投票ができないではないか、こういう議論だと思いますけれども、避難所、避難場所などでも投票できるような方法を模索することであるとかインターネット投票など、大規模災害のときでも公正な選挙が確保できるような仕組みを追求することがむしろ憲法上要求されていることと考えられます。
これらを検討することが論理的に先行されるべきでありまして、この検討をした結果、どうしても無理だという話になったところで初めて立法事実があるという話になるのだと思います。その意味で、現時点で、私どもとしては、立法事実が確認できないということを申し上げているわけであります。
緊急集会の話が出ておりますけれども、日本の場合、二院制が取られておりますので、参議院で、緊急集会で国会機能が維持できないという結論がもし出されるのであれば、その後に衆議院の憲法審査会で議論を行うというのが、日本国憲法の下での二院制の在り方、エチケットではないかと考えられます。したがって、衆議院で先行して議論すべき課題とは考えていないというのが立憲民主党としての見解であります。