この際、一言御挨拶申し上げます。
委員の皆さんの御推挙により、憲法審査会の会長の重責を担うこととなりました。どうぞよろしくお願いをいたします。
本審査会は、国会法第百二条の六の規定に基づき、憲法とこれに密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行うとともに、憲法改正原案や改正の発議、国民投票に関する法律案等を審査する場として設置をされています。
憲法は、言うまでもなく、国の在り方、統治の基本原理を定める根本規範であり、あらゆる法令の根拠となり基本を成すものです。本審査会は、いわば国家の骨格に関して議論をする場であり、その重要性は論をまちません。
あわせて、現在、我が国が直面する数多くの課題には、憲法に関わる重要な問題を含むものが少なくありません。
本審査会に課せられた使命は大変重大であります。
これまで、憲法やその改正については、党派間での見解の違いが大きいと見られ、また、社会的にもその違いばかりが注目されてきました。
しかし、憲法改正の発議には三分の二以上の賛成を必要としています。また、改正には国民投票を要するともされています。
このため、憲法の議論においては、見解の違いを乗り越えて一致点を見出し、国会においてはもとより、国民的にも広範な合意形成を図ることが肝要であります。
憲法審査会の前身である憲法調査会では、平成十二年、西暦二〇〇〇年一月の設置以来、中山太郎調査会長が主導されたいわゆる中山方式に基づいて、円滑で建設的な議論が進められました。中山方式については、円卓式の委員会室や、質疑時間など少数会派にも配慮した運営、自由討議を多用することなど、特に形式面において、本審査会に引き継がれている点が多々あります。
加えて、その運営や議論などの実質においても、一致点を見出し、幅広い合意形成に向けて努力するという中山方式の本質に立ち返り、本審査会に課せられた重大な使命を、更に十分に果たしていかなければなりません。
私は、幹事、委員の皆さんに御指導をいただきながら、公平かつ円満な審査会運営に努め、幅広い合意形成を視野に入れて、一致点を見出すための努力を重ねる決意です。
幹事、委員の皆さんの御指導と御協力を心からお願い申し上げ、御挨拶といたします。