二点御質問をいただきまして、まずスコープ1、2、3の関連でございますが、委員のおっしゃいましたこのGHG排出量の算定等の国際的な基準として知られておりますGHGプロトコルでは、まず、スコープ1につきましては、これはボイラー等で燃料を燃やすなどのときに発生する、企業自らが直接排出する温室効果ガスの排出量でございます。スコープ2は、他社から供給された電気、熱等の使用に伴う間接的な温室効果ガスの排出量を指します。また、スコープ3は、それ以外の間接的な温室効果ガスの排出量で、例えば企業が購入いたしました原材料の製造過程で発生するものなど十五のカテゴリーに区分されておりまして、上流、下流の間接的な温室効果ガスの排出量をそれぞれ示すものでございます。
そして、いわゆる国際サステナビリティー開示基準におきましては、このプロトコルに従っておりまして、スコープ1から3までの開示を行うことが求められております。
現在、我が国では日本版の開示基準の策定中でございまして、公開草案が公表されております。そこにおきましても、国際開示基準と同様に定めを置く予定とされております。
なお、この日本版の公開草案によりますと、スコープ3については、これ国際基準と同等でございますけれども、適用初年度については企業の判断で開示しないことができるというふうにされております。
次に、二点目でございますが、食品ロス情報についてお答えいたします。
現状、二〇二三年の三月期から新設いたしました有価証券報告書のサステナビリティー情報の記載欄におきまして、企業が食品ロス情報を任意で開示を行うことができるようになっております。この点、先ほど申し上げました日本基準の公開草案や国際開示基準におきましては、この食品ロス情報については温室効果ガス排出量とは異なりまして、一律の開示が義務付けられているというわけではございません。しかしながら、日本基準の公開草案、それから国際基準の双方いずれにおきましても、食品関連企業等におきまして、投資家の意思決定に関連性があり、それから当該企業のサステナビリティー関連のリスクや収益機会に関する重要性のある情報であれば、食品ロスに関する開示が必要となるということが想定されております。
金融庁といたしましては、委員おっしゃいましたように、企業負担と投資家ニーズのバランスを取りながら、我が国におけるサステナビリティー情報の開示基準等の円滑な導入に向けて検討を進めてまいりたいと思っております。