お答え申し上げます。
日米地位協定と米国が他国と締結している地位協定の比較でございますが、地位協定そのものの規定ぶりのみならず、各国における米軍駐留の在り方、実際の運用、安全保障環境等の背景等も含めた全体像の中で検討する必要があり、単純に比較することが適当とは考えておりません。
例えばでございますが、御指摘のドイツでございますが、NATOの加盟国でございまして、NATOの設立根拠条約たる北大西洋条約は加盟国の間での相互防衛義務を定めております。
これに対し、我が国の場合、日米安全保障条約の下、米国の対日防衛義務に対応する形で米国への施設・区域の提供義務を負っているところでございます。
異なる義務を負う防衛体制の下での接受国と派遣国との関係や米軍基地の在り方を一般化して一律に比較することは難しいものと考えているところでございます。
そして、日米地位協定でございますが、大きな法的枠組みでございまして、政府としては、これまで、手当てすべき事項の性格に応じて、効果的かつ機敏に対応できる最も適切な取組、これを通じまして一つ一つの具体的な問題に対応してきているところでございます。
例えばでございますが、起訴前の拘禁移転ですが、一九九五年の刑事裁判手続に関する日米合同委員会合意、これによりまして、凶悪犯罪を犯して拘禁された米軍人等の身柄を起訴前に日本側に移転する途が開かれております。実際に起訴前の拘禁移転が何度も行われております。このように起訴前の拘禁移転が何度も行われているのは、米軍が駐留している国の中では日本だけであると承知しております。
その上ででございますが、日米地位協定の改正につきましては、石破総理自身が、一朝一夕では実現するとは思っておらず、まずは喫緊の外交、安全保障上の課題に取り組む必要がある、党の中で検討するよう指示したと繰り返し述べておられます。総理の指示に基づき、十一月二十八日には、自民党で、アジアにおける安全保障のあり方特命委員会の初回会合が開催され、議論が開始されたものと承知しております。
今後、自民党の方におかれて議論を重ねていくものと承知しておりますが、党における議論も踏まえつつ、日米同盟の抑止力、対処力、これを強化するとともに、その強靱性、持続性を高めていくという観点から検討し、対応してまいる所存でございます。