拍手をしてくれた方もそうでない方も、ありがとうございます。
委員長、そして理事、委員の先生方を始め、質問する機会を与えていただきましたことに心から感謝を申し上げたいと思います。そして、それ以上に、今まで北朝鮮による拉致問題に関わってきた、そして今も関わっている全ての人に感謝を申し上げたいと思います。
と申しますのも、私にとりまして、北朝鮮拉致問題の本質というのは、一つは、私たち国民と国家との間のきずなと信頼をきちんと示していくという重要な問題であると同時に、極東アジアにおける日本の役割あるいは使命というものを私たち国民に気づかせて、そして共有をさせる重要な問題であるとも捉えているからであります。
ですので、林拉致問題担当大臣におかれましては、来月、石破総理とトランプ大統領が会うから、そこで拉致問題のことをまず言うべきだとか、そういう質問は一切いたしません。それよりもむしろ、この問題に主体的に真正面から取り組む担当の国務大臣としての、北朝鮮と日本の歴史的な関わり、あるいは極東アジアが今持っている地政学的なリスク、こういうものをどのように捉えているのか、大臣の捉え方が私たち国民を前に突き動かす新しい物語を作っていくという意味においても、大臣の考え方をお聞きをしたいと考えております。
そして、この思いに至った出来事が、週末、立て続けに二つ、三つありまして、そのお話をさせていただいてから質問に入らせていただきたいと思います。
まず一つは、土曜日なんですけれども、地元で、豊かな村づくりの農林水産大臣を受けた集落の祝賀会に行ってまいりました。八十代、七十代、六十代、五十代、何と二十代の若者も農事組合法人に入って頑張っているということで表彰を受けました。私は、金曜日、星野理事から、福原君、頼むよということで、質問をしますと話したら、みんな拍手喝采で、それはよかったんです。
というのは、実は私は、横田めぐみさんの三つ下になります。リアルタイムではないんですが、当時、中曽根康弘総理の不沈空母発言の頃と記憶していますので、高校時代、郷里秋田は、夜は一人で秋田の浜辺に行くなというのが、学校の先生だったのか警察からだったのか分からないんですが、そういうのを共有をしていました。ですので、私たちの上のお父さん、お母さん世代、八十代中頃、前半、七十代は知っています。ところが、ヒーローであるはずの二十代になってくると全然その興味もなく、関心もなく、知っていない、こういう現状を見たときに、このままではいけないなという思いに至りました。
と申しますのも、福原君、現存する国家の中で一番最古の歴史を持つ国はこの国日本だよ、古来、日本という国は、国生みの言葉、国生みの物語というのを大切にしてきた民族なんだよということを教えてくれたのが、私が秘書としてお仕えをいたしました野呂田芳成元国務大臣、防衛庁長官であります。
まさしく野呂田大臣は、平成十一年、一九九九年の三月二十三日、北朝鮮の不審船に対して戦後初の海上警備行動を発令をし、その後、不審船は現れなくなった。まさしく国家としての意思を明確に示したことを通じて、対等な関係になれたというふうに私は理解をしておりました。
そういう観点から見ると、実は、今回の三人の大臣の所信表明の中に明確に共通した文字があります。それは、この問題の本質は国家主権の侵害だという文言であります。これは、私は非常に重要なことだと考えておりまして、まさに林大臣がおっしゃるとおり、日本という国は国民の生命そして安全を守る、そういう国なんだという意思表示、ここから私は、拉致問題を解決することを通じて極東アジアにおける地政学的なリスクを減らすという、日本が本来していかなければならない役割あるいは使命というものを私たち国民と共有する契機になるのではないのかなと思っております。
そして、この地政学的なリスクという意味で申し上げるならば、誰よりもその言葉を日本人以外で体現したのはダグラス・マッカーサーであろうというふうに思います。戦後の日本の政治、経済、社会だけではなく、今の日本国憲法の起草にも大きく影響を受けたダグラス・マッカーサーは、朝鮮半島をめぐってトルーマン大統領と意見が合わず、離れた後、後日談として日本の立場に理解を示している発言をしておられます。つまり、極東アジアには持って生まれた地政学的なリスクがあって、そのために日本は立ち上がったのだということをダグラス・マッカーサー本人が言っている。
となれば、極東アジアにおいて、日本がこれから果たしていかなければならない、極東アジアが本来持っている地政学的なリスクを減らしていく上でも、この北朝鮮拉致問題に国を挙げて取り組んでいくということは非常に重要だという認識を私たち国民は持たなければならないんだろうというふうに私は考えております。
そういう意味において、是非にとも林大臣の見解をお聞きをするとともに、実はもう一つ、若い世代の無関心に関しては、大臣の所信表明の中に、これまで拉致問題に触れる機会の少なかった若い世代への啓発活動を特に積極的に推進していく考えということを表明しておられます。大いに私もお手伝いをさせていただきたいと思います。
と申しますのも、これはさきの二十日の金曜日でありますが、都道府県で初めて、埼玉県議会で北朝鮮による拉致問題解決の取組を促進するための施策を推進する条例というものが可決、成立をしております。実は昨日、自民党秋田県連の会合において県議会の先生方とこの話になったとき、これは横展開をしていくそうであります。そして、縦にも下ろしていくそうであります。まさに、そういう意味においては、国と県と市がこの国民的な機運を醸成する好機でもあるというふうに考えております。是非にとも進めていくべきだ、これは提案でございます。
改めまして、林担当国務大臣の、北朝鮮、日本の歴史的な関わり、あるいは極東アジアが持つ地政学的なリスクに関しての御所見をお伺いしたいと思います。