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2024-10-07
第214回国会(臨時会) 衆議院 本会議 第3号 発言No.36全文を見る公明党の石井啓一です。
私は、公明党を代表して、石破総理の所信表明演説に対し、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
冒頭、能登地域の豪雨災害でお亡くなりになった方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災された方々に衷心よりお見舞いを申し上げます。
苦境が重なる中、生活再建に奮闘されている被災地の皆様にお応えするためにも、新内閣は被災者支援、復旧復興に総力を挙げなければなりません。公明党も、政府の取組を全力で支えてまいります。
去る九月三十日、自民党と公明党は新たな政権合意を結び、不断の政治改革を始め、物価高対策や経済成長、子育て、教育、若者支援、女性活躍、防災、減災、国際社会の平和と安定など、重点的に取り組む政策を確認いたしました。これらの政策を着実に実行し、失われた政治の信頼を取り戻すとともに、持続可能で活力ある日本へ、未来を開く改革を前に進めることが、新内閣に課された責務であります。
公明党は、どこまでも一人の声を大切に、自民党と力を合わせて、国民生活を守り、豊かにする政策の実現に邁進をしてまいります。
以下、具体的に質問をいたします。
政治の信頼回復は、現下の最重要課題であります。
公明党は、さきの通常国会で成立をいたしました改正政治資金規正法の実効性を担保するため、政治資金を監督する第三者委員会について国会閉会後も議論を積み重ね、去る四日、中間取りまとめを発表いたしました。現行の政治資金適正化委員会を改組し、政治的中立性を保つ三条委員会として仮称政治資金監督委員会を設置し、収支報告書に不記載や虚偽記入の疑いがある場合の調査権限を持たせることなどが主な内容であります。今後、与野党協議を重ね、改正政治資金規正法が施行される令和八年一月一日を目指して同委員会を立ち上げたい。
さらに、政党から政治家個人へ渡される政策活動費については、自民党総裁選において複数の候補者が廃止を訴えておりました。この際、政策活動費について、廃止を含め、もう一段の改革を実行すべきであります。
あわせて、調査研究広報滞在費の使途の明確化、使途の公開、未使用分の国庫返納について、来年の通常国会までに法改正を行うべきと考えます。
自民党総裁でもある総理に、政治改革の取組を伺います。
食品価格の高騰が家計を圧迫しており、物価高対策として具体的な取組を求めます。
第一に、物価高の影響が大きい低所得世帯や低所得の子育て世帯、賃上げの恩恵が及ばない年金生活者に迅速な給付を行うこと。第二に、電気・ガス料金、燃料油価格の負担軽減策を続けること。第三に、重点支援地方交付金を追加で措置し、地域の実情に応じたきめ細かな支援を行うこと。特に、国や地方自治体との取引が多い福祉事業者など、価格転嫁が難しい事業者への支援を検討すべきであります。
物価高対策について、総理の答弁を求めます。
今年度、中小企業の賃上げ率は三・六二%という高水準を記録しました。物価高の克服へ、来年以降も賃上げを持続させなければなりません。
一方で、多くの中小企業からは、人手不足や原材料のコスト増などが重く、賃上げの原資確保は難しいとの悲痛な声が寄せられております。
政府は労務費を含めた適切な価格転嫁に取り組んでおりますが、六月の調査では、価格交渉が行われたのは五九・四%、コスト全体の価格転嫁率は四六・一%という状況であります。また、四社に一社が買いたたき行為を受けた経験があると答えております。
対等な価格交渉を進めるには、そもそも下請という呼称自体を変えるべきとの指摘もあります。買いたたきや、交渉もないままでの一方的な価格据置行為の禁止などと併せた下請法の改正を行うべきであります。
中小企業の持続的な賃上げに向けた取組について、総理に伺います。
公明党は、大学等の教育費の負担軽減を目指して、令和六年度は多子世帯や理工農系の中間層へ、令和七年度は多子世帯へ所得制限なく支援を拡充いたします。これにとどまることなく、給付型奨学金と授業料等の減免による修学支援新制度の更なる拡充を行うべきであります。
高等学校等については、授業料支援の所得制限を撤廃し、国公私立を問わず実質無償化するとともに、経済状況が厳しい家庭への授業料以外の教育費を支援する高校生等奨学給付金も拡充が必要です。
さらには、学校給食の無償化についても、六月に出た実態調査の結果を踏まえ、少子化対策の観点から、こども家庭庁の下、関係省庁が連携して検討に入るべきであります。
教育負担の軽減について、総理に伺います。
若者がより活躍できる社会へ、単身世帯の増加を含めた取組を強化すべきです。
若者の政治参画を促進するため、被選挙権年齢の十八歳までの引下げ、立候補時の年齢に応じた供託金の見直し、若者議会の設置などを推進すべきです。
また、公明党の青年委員会には、人生の選択肢を増やすためにも可処分所得の向上を進めてほしいとの声が数多く寄せられました。リスキリング支援や、非正規雇用から正社員への転換支援、企業が賃上げしやすい環境整備などを進めるべきです。
若者の政治参画、可処分所得の向上について、総理に伺います。
我が国のジェンダーギャップ指数は百四十六か国中百十八位、中でも政治、経済の分野の格差が大きい状況です。女性の活躍、キャリア継続のためには、性別役割分担意識の根絶や労働時間の短縮など社会構造の変革が必要であり、あらゆる意思決定の場に女性を増やすことは、全ての人が尊厳と誇りを持って活躍できる社会の構築につながります。公明党は、将来的には全議員の五〇%を女性とし、今後十年以内に女性国会議員三〇%を目指す目標を掲げました。
女性の健康支援に向けては、公明党が長年求めてきた女性の健康総合センターが今月開設いたしました。女性の健康問題による労働損失を防ぎ、生涯にわたる健康支援の中核拠点として大いに機能を発揮してもらいたい。
男女間賃金格差の解消や選択的夫婦別姓制度の早期導入も、喫緊の課題です。
女性活躍の課題と今後の取組について、総理に伺います。
大地震に記録的豪雨が重なった能登地方では、復旧復興に向けた一体的な支援が必要です。
私も、三月に続き、十月五日に豪雨の被災地を視察いたしました。
これまでは予備費を活用して機動的に対応してまいりましたが、本格的な復興に向け、中長期的な支援を行う補正予算の編成も今後検討すべきであります。
また、これまでの大規模災害の経験を踏まえ、被災自治体との連携強化を一層進めるため、各府省庁を横断的に統括する司令塔機能の強化が必要です。防災庁を創設し、最先端技術を活用した大規模災害のデータ解析、集積による予測精度の向上や、専門的な防災人材の確保、育成などを進めるべきです。
さらに、自然災害に加え、切迫する南海トラフ地震等の対応に万全を期すため、国土強靱化の更なる取組が急務です。
残り一年となる五か年加速化対策については、近年の資材価格の高騰の影響等を考慮しつつ、必要十分な予算を確保し、着実に推進をいただきたい。五か年対策後も、取組を最大限加速するため、国土強靱化改正法に基づく実施中期計画を今年度内に策定するとともに、次の五か年で二十兆円規模となる予算の確保を強く求めます。
能登半島地震の復興加速に向けた決意と、防災庁の創設を含めた防災・減災、国土強靱化の今後の取組について、総理の答弁を求めます。
これまでの大規模災害時に被災者は、厳しい避難所環境によって不自由な生活を余儀なくされてきました。特にトイレは、断水で使用できなくなるなど、大きな課題となりました。
そのような教訓を踏まえ、公明党はこれまで、TKB、トイレ、キッチン、ベッドの迅速配備や、被災者が尊厳ある生活を営める最低基準を示すスフィア基準の導入など、避難所環境の大幅改善を政府に提言してまいりました。また、トイレにつきましても、備蓄計画を強化し、トイレトレーラーやトイレカーの配備を強く訴えてまいりました。
直ちに全国の避難所の総点検を実施し、必要な資機材の確保や円滑な避難所運営のための支援などを国が前面に立って進めていただきたい。
避難所の環境改善について、総理に伺います。
地域公共交通は、地域住民の移動の足であり、住民、利用者目線に立って再構築を図るとともに、利便性を向上させ、地域活性化につなげていくべきです。
そのためにも、まずは公共交通機関における担い手不足への対応が急務です。事業者の賃上げや働き方改革などを推進し、若者や女性、外国人材を含め、担い手の確保を進めていただきたい。また、キャッシュレス化等のDX化とともに、自動運転やMaaSなど交通分野におけるデジタル技術の導入を強力に推進すべきです。さらに、地域の多様な関係者による連携、協働を促進し、地域公共交通計画のアップデートを進めるため、関係府省庁による支援を促進すべきと考えます。
国土交通大臣の答弁を求めます。
安定した収入の確保と働きがいが実感できる魅力ある農林水産業へ再構築を進め、食料安全保障を強化することが急務です。
私は、地元の埼玉県草加市、八潮市、三郷市で、担い手不足や猛暑による農産物の生育不良に危機感を募らせる生産者の声を伺ってまいりました。食を支える農業や漁業の担い手の減少に加え、気候変動による品質低下などが続けば、食品の安定供給が確保できなくなるおそれがあります。
こうした状況を克服するため、生産性や付加価値を飛躍的に高めるスマート農林水産業と新品種の開発導入を強力に後押しすべきです。また、適正な取引環境の構築に向けて、付加価値や生産コストの上昇分を価格に反映できる環境整備も重要であり、法制化を含め、対策を一層強化すべきです。
所得向上など魅力ある農林水産業への支援について、総理に伺います。
世界は今、戦争による人道危機や核兵器使用リスクの増大など、人間の生命や尊厳を脅かす複合的な危機に直面をしており、国際社会の平和と安定へ、日本の果たす役割はこれまで以上に重要です。
公明党は、人間の安全保障の理念に立脚した地雷除去支援やアジア諸国の海上保安職員の能力向上などを長年推進してまいりましたが、地雷除去支援については、今後のウクライナの支援につながるよう、カンボジアや国連と協力して主導的な取組を推進すべきであります。
また、対話外交が極めて重要な時代だからこそ、欧州諸国を中心に米国やロシアも加盟する欧州安保協力機構、OSCEをモデルにした対話の常設機関をアジアにもつくるべきと考えます。
公明党といたしましても、戦後八十年、被爆八十年の節目を迎える来春をめどに、こうした平和創出の取組を積極的に進めるビジョンを提示したいと考えております。
我が国、そして国際社会の平和に向けた外交政策について、総理の決意を伺います。
結びに一言申し上げます。
来月、結党六十年を迎える公明党は、大衆とともにという不変の立党精神を胸に、政治のはざまに置かれた大衆に光を当て、福祉社会の建設や清潔な政治の実現などを大きく進めてまいりました。また、国会議員と地方議員のネットワークを生かし、現場の課題を的確に把握し、迅速な対応で庶民の生活を守ってまいりました。六十年たった今も、こうした政治姿勢はいささかも変わることはありません。
これからも、庶民の声を代弁し、ひたすら国民の幸福のために働く政党であり続けることをお誓いし、私の代表質問を終わります。
〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕
2024-10-07
第214回国会(臨時会) 衆議院 本会議 第3号 発言No.37全文を見る石井啓一議員の御質問にお答えをいたします。
政治改革の取組についてお尋ねがありました。
政策活動費の透明性確保や、政治資金に関する独立性が確保された機関の設置、調査研究広報滞在費の使途の明確化、公開、残金返納につきましては、いずれも政治活動の透明性を高めるものとして大変重要であると認識をしており、我が党と御党との連立政権合意書におきましても、これらの課題に取り組むことが明記をされております。特に、政策活動費につきましては、将来的な廃止も念頭に、その在り方の検討や透明性の確保に取り組んでまいります。
これらの議論を加速するため、自民党におきましても、総裁直轄の政治改革本部を設置することといたしました。国民の皆様方にもう一度政治を信頼していただくためには、早期に結論を得られるよう、党内での検討、各党各会派との真摯な協議を進めてまいります。
物価高対策についてお尋ねがございました。
物価上昇を上回って賃金が上昇するといった成長と分配の好循環が確実に回り出すまでの間、足下で物価高に苦しむ方々への支援が必要であります。
そのため、経済対策を早急に策定し、当面の対応として、物価高の影響を特に受ける低所得者世帯向けの給付金や、地域の実情に応じたきめ細かい対応のための重点支援地方交付金を始め、総合的な対応を図ります。
エネルギーコストを含めた物価高対策につきましては、状況を丁寧に見極めながら、これらの給付金や地方交付金を含め、今後、経済対策について議論していく中で、総合的に検討いたしてまいります。
下請法の改正及び中小企業の持続的な賃上げに向けた取組についてお尋ねをいただきました。
中小企業の持続的な賃上げに向けましては、事業者が賃上げの原資を確保できるよう、サプライチェーン全体で適切な価格転嫁を定着させていくための取引環境を整備していくことが必要であります。
政府といたしましては、現在、下請法の改正も含めた検討に取り組んでおり、石井代表の御指摘も踏まえ、引き続き、このような価格転嫁の取組や生産性向上支援など、中小企業の持続的な賃上げを実現するための施策を推進いたしてまいります。
教育費負担の軽減についてお尋ねを頂戴いたしました。
教育費につきましては、特に高等教育費について、本年度から、授業料の減額等の対象を多子世帯の中間層等に拡充、令和七年度から、無償化の対象となる多子世帯の所得制限をなくすことといたしており、まずはこうした拡充を着実に実施に移してまいります。その上で、教育の機会均等や少子化対策の観点から、その効果を見極めつつ取り組んでまいります。
また、学校給食費の無償化につきましては、学校給食の実態調査を受け、石井代表の御指摘も踏まえ、関係省庁が連携し、児童生徒間の公平性、国と地方との役割分担、政策効果、法制面等の課題を整理した上で検討いたしてまいります。
若者の政治参画及び可処分所得の向上についてのお尋ねをいただきました。
若者が政策形成過程に参画することにより、若者の状況やニーズをより的確に踏まえることができ、様々な施策がより実効性のあるものとなることが期待できます。若者議会を始め、若者の政治参画を促進する各地の先進的な取組について、事例、動画集の活用等により、周知、普及に取り組んでまいります。
その上で、御指摘の被選挙権年齢や供託金の在り方につきましては、選挙制度の根幹に関わる事柄でありますことから、各党各会派で十分御議論いただくべき問題であると考えております。
若者の所得向上に向けては、公的職業訓練の実施や教育訓練給付の拡充などのリスキリング支援、正社員への転換に取り組む事業主への支援やハローワークにおけるきめ細かな就職支援に取り組んでまいります。
女性活躍についてお尋ねを頂戴いたしました。
女性活躍、男女共同参画は、全ての人が生きがいを感じられる、多様性が尊重される社会を実現するとともに、我が国の経済社会の持続的な発展に不可欠な要素であると考えております。
意思決定の在り方を劇的に変えていくため、社会のあらゆる組織の意思決定に女性が参画することを官民の目標とし、達成への指針を定め、計画的に取り組みます。
また、情報公表、分析の拡大による男女間賃金格差の是正や、柔軟な働き方の推進による仕事と育児、介護の両立など、多くの女性に社会活動を長く続けていただけるにはどうすればよいか、国民的議論を主導し、制度改革を実現いたしてまいります。
能登半島地震の復興加速に向けた決意と、防災・減災、国土強靱化の取組などについてのお尋ねを頂戴いたしました。
大地震と豪雨により度重なる被害を受けた能登半島について、不安を抱える被災者の方々の生活を支援しつつ、一日も早く被災前の活気ある町並みを取り戻すため、激甚災害の指定のほか、災害廃棄物処理における地震と豪雨の一体的取扱いなどの取組を推進し、復旧と創造的復興を一層加速いたしてまいります。
また、人命最優先の防災立国を構築するため、現在の内閣府防災担当の機能を予算、人員の両面において抜本的に強化いたしますとともに、代表の御指摘を踏まえ、平時から不断に万全の備えを行う防災庁の設置に向けた準備を進めてまいります。
防災・減災、国土強靱化につきましては、予算を確保して五か年加速化対策を着実に実施するとともに、実施中期計画の策定にも早期に取りかかっており、万全を期してまいります。
避難所の環境改善についてお尋ねをいただきました。
発災後、速やかに、避難所にトイレ、キッチンカー、ベッド、風呂等を配備し、被災者に安心していただける居住環境を提供することは極めて重要であると考えております。
御指摘いただきましたスフィア基準を十分に踏まえながら避難所の在り方を見直しますとともに、避難所で使用するベッド、トイレ等の資機材の備蓄に関し、有効な取組を支援する仕組みを構築するなど、避難所の環境改善のための取組を着実に進めてまいります。
農林水産業の支援についてお尋ねをいただきました。
新たな食料・農業・農村基本法の下、最初の五年間に計画的かつ集中した施策を講じる中で、担い手不足に対応したスマート技術の導入、気候変動に対応した高温耐性のある新品種の開発導入などを進めてまいります。循環型林業など強い林業づくりや、海洋環境の変化を踏まえた操業形態や養殖業への転換、海業の全国的展開など、漁業、水産業の活性化にも取り組んでまいります。
人件費、資材費などの恒常的なコストを考慮した合理的な価格形成の仕組みについて、法制化に向けた検討を進めてまいります。
これらによる所得の向上等を通じ、魅力ある農林水産業の実現を図ってまいります。
我が国と国際社会の平和に向けた外交政策についてお尋ねがありました。
国際社会の分断と対立が進む中、私は、現実的な国益を踏まえつつ、対話と協力を通じて、国際社会の平和と繁栄のため取り組んでまいります。
御指摘のカンボジアとの協力によるウクライナの地雷除去支援を含め、対ウクライナ支援を今後とも強力に推し進めてまいります。
アジアにおける対話外交につきましては、ASEANが地域協力の中心として重要な役割を担っており、米中ロも参加する多層的な枠組みがございます。
我が国としては、引き続き、こうした枠組みへの積極的な参画及びその強化に取り組んでいく考えであります。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をいたさせます。
〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇〕
2024-10-04
第214回国会(臨時会) 衆議院 本会議 第2号 発言No.16全文を見るこの度、第百二代内閣総理大臣に就任いたしました。
すべての人に安心と安全を。
私は、日本国内閣総理大臣として、全身全霊を捧げ、日本と日本の未来を守り抜いてまいります。
この決意を申し述べるに当たり、まずは、政治資金問題などをめぐり、国民の政治不信を招いた事態について、深い反省とともに触れねばなりません。
政治資金問題に際し、岸田総理は、自由民主党内の派閥解消や政治資金規正法改正などに取り組まれた後に、所属議員が起こした事態について、組織の長として責任を取るために退任されました。これらは全て、政治改革を前に進めるとの思いを持って決断されたものでした。
また、岸田内閣の三年間は、経済、エネルギー政策、こども政策、安全保障政策、そして外交政策など、幅広い分野において具体的な成果が形になった三年でありました。岸田総理の御尽力に心より敬意を表します。
その思いや実績を基に、私は、政治資金問題などにより失った国民の皆様からの信頼を取り戻し、そして、すべての人に安心と安全をもたらす社会を実現してまいります。
千年単位で見ても類を見ない人口減少、生成AI等の登場による急激なデジタルの進化、約三十年ぶりの物価上昇。我が国は大きな時代の変化に直面しております。この変化に対し、政治は十分に責任を果たしてきたでしょうか。政治資金問題で失われた政治への信頼を取り戻すとともに、これまで以上に、我が国が置かれている状況を国民の皆様に説明し、納得と共感を頂きながら、安全、安心で豊かな日本を再構築する。それが政治の責任です。
そのために、私は、ルールを守る、日本を守る、国民を守る、地方を守る、若者、女性の機会を守る、これらの五本の柱で、日本の未来を創り、そして、未来を守ります。
国民の皆様からの信頼を取り戻す。そのために、政治家のための政治ではない、国民のための政治を実現してまいります。
政治資金収支報告書への不記載の問題については、まずは、問題を指摘された議員一人一人と改めて向き合い、反省を求め、ルールを守る倫理観の確立に全力を挙げます。
それぞれの政治家が国民一人一人と誠実に向き合い、改正された政治資金規正法を徹底的に遵守し、限りない透明性を持って国民に向けて公開することを確立しなければなりません。国民の皆様方にもう一度政治を信頼していただくため、私自身も説明責任を果たし、更に透明性を高める努力を最大限してまいることを固くお約束を申し上げます。
激変する安全保障環境から日本を守り抜きます。
国連安全保障理事会の常任理事国であるロシアによるウクライナ侵略は未だに続いており、戦火は絶えません。今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない。そのような不安を多くの方々が抱いております。何故ウクライナにおいて抑止力が効かなかったのか、私は強い思いを持っております。中東情勢なども相まって、国際社会は分断と対立が進んでいます。
そうした現状を踏まえ、私は、現実的な国益を踏まえた外交により、日米同盟を基軸に、友好国、同志国を増やし、外交力と防衛力の両輪をバランスよく強化し、我が国の平和、地域の安定を実現します。その際、自由で開かれたインド太平洋というビジョンの下、法の支配に基づく国際秩序を堅持し、地域の安全と安定を一層確保するための取組を主導してまいります。
日米同盟は、日本外交、安全保障の基軸であり、インド太平洋地域と国際社会の平和と繁栄の基盤です。まずは、この同盟の抑止力、対処力を一層強化します。加えて、同志国との連携強化に取り組んでまいります。先日は、早速、バイデン米国大統領に加え、韓国、豪州、G7各国の首脳と電話会談を行いました。
現下の戦略環境の下、日韓が緊密に連携していくことは、双方の利益にとって極めて重要です。日韓間には難しい問題もありますが、来年に国交正常化六十周年を迎えることも見据え、岸田総理が尹大統領との間で築かれた信頼関係を礎に、日韓両国の協力を更に堅固で幅広いものとしていきます。また、日米韓で一層緊密に連携していきます。
中国に対しては、戦略的互恵関係を包括的に推進し、あらゆるレベルでの意思疎通を重ねてまいります。一方、中国は、東シナ海や南シナ海における力による一方的な現状変更の試みを日々強化しております。先月には、幼い日本人の子供が暴漢に襲われ、尊い命を失うという痛ましい事件が起きました。これは断じて看過しがたいことであります。我が国として主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案を含め対話を行い、共通の諸課題については協力する、建設的かつ安定的な関係を日中双方の努力で構築していきます。日中韓の枠組みも前進させます。
拉致被害者やその御家族が高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人道問題、国家主権の侵害であり、政権の最重要課題です。日朝平壌宣言から二十年余り、残された拉致被害者たちの御帰国が実現していないことは痛恨の極みです。日朝平壌宣言の原点に立ち返り、すべての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現するとともに、北朝鮮との諸問題を解決するため、私自身の強い決意の下で、総力を挙げて取り組んでまいります。
対露制裁、対ウクライナ支援は、今後とも強力に推し進めます。日露関係は厳しい状況にありますが、我が国としては、領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持します。
ASEANとの連携強化に引き続き取り組みます。グローバルサウスとの関係強化や、軍縮・不拡散、気候変動など地球規模課題への取組を進めてまいります。また、在外邦人の安全確保に全力を尽くしてまいります。
我が国は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しています。中国及びロシアによる一連の領空侵犯も発生しました。これは、我が国主権の重大な侵害です。北朝鮮は、核・ミサイル開発を継続し、近年、かつてない頻度で弾道ミサイルの発射を繰り返しているほか、米国を射程に収める長射程ミサイルの開発も追求しています。これは、国連安保理決議違反であり、我が国のみならず、地域、国際社会の平和と安全を脅かすものです。このような中、国家安全保障戦略等に基づき、我が国自身の防衛力を抜本的に強化すべきことは論を俟ちません。
防衛力の最大の基盤は自衛官です。いかに装備品を整備しようとも、防衛力を発揮するためには、人的基盤を強化することが不可欠です。日本の独立と平和を守る自衛官の生活、勤務環境や処遇の改善に向け、総理大臣を長とする関係閣僚会議を設置し、その在り方を早急に検討し成案を得るものといたします。
先の大戦中、沖縄では、国内最大の地上戦が行われ、多くの県民が犠牲になられたこと、戦後二十七年間、米国の施政下に置かれたことなどを、私は決して忘れません。基地負担の軽減にも引き続き取り組みます。在日米軍の円滑な駐留のためには、地元を含む国民の御理解と御協力を得ることが不可欠です。普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し、辺野古への移設工事を進めます。また、未だ全国最下位である一人当たりの県民所得や、子どもの貧困の問題などの課題も存在します。沖縄振興の経済効果は十分に域内に波及しているのだろうか、そして、それが本当に実感していただけるのだろうか。沖縄の皆様の思いに向き合い、沖縄経済を強化すべく支援を継続いたします。
少子化とその結果生ずる人口減少は、国の根幹にかかわる課題、いわば静かな有事です。
今の子育て世代が幸せでなければ、少子化の克服はありません。子育て世帯の意見に十分に耳を傾け、今の子育て世帯に続く若者が増えるような子育て支援に全力を挙げます。こども未来戦略を着実に実施するとともに、社会の意識改革を含め、短時間勤務の活用や生活時間、睡眠時間を確保する勤務間インターバル制度の導入促進など、働き方改革を強力に推し進めます。さらに、少子化の原因を分析し、子育て世帯に寄り添った適切な対策を実施します。
少子化をめぐる状況は地域によって異なります。婚姻率が低い県は人口減少率も高いことは厳然たる事実です。若年世代の人口移動を見ると、この十年間で、全国三十三の道県で男性よりも女性の方が多く転出する状況となっております。若者、女性に選ばれる地方、多様性のある地域分散型社会を作っていかなければなりません。それぞれの地域において、地方創生と表裏一体のものとして若者に選ばれる地域社会の構築に向け、全力で取り組んでまいります。
日本経済のデフレ脱却を確かなものとし、日本経済の未来を創り、日本経済を守り抜きます。
その中で、デフレ脱却を最優先に実現するため、経済あっての財政との考え方に立った経済財政運営を行い、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現しつつ、財政状況の改善を進め、力強く発展する、危機に強靱な経済、財政を作っていきます。
イノベーションを促進すること等による高付加価値創出や生産性の向上、意欲ある高齢者が活躍できる社会を実現し、我が国のGDPの五割超を占める個人消費を回復させ、消費と投資を最大化する成長型経済を実現します。
このため、コストカット型経済から高付加価値創出型経済へ移行しながら、持続可能なエネルギー政策を確立し、イノベーションとスタートアップ支援を強化していきます。また、経済安全保障の観点から、半導体等のサプライチェーンの国内回帰を含む強靱化や技術流出対策等を進めます。あわせて、能動的サイバー防御の導入に向けた検討を更に加速させるなど、サイバーセキュリティーの強化に取り組みます。柔軟な社会保障制度の再構築を実現するとともに、データに基づき財政支出を見直し、ワイズスペンディングを徹底してまいります。
私は、国全体の経済成長のみならず、国民一人当たりのGDPの増加と、満足度、幸福度の向上を優先する経済の実現を目標といたします。そのために、官民で総合的な幸福度、満足度の指標を策定、共有し、一人一人が豊かで幸せな社会の構築を目指します。
日本の経済を守り、国民生活を守り抜きます。
生鮮食品、エネルギーなどの物価高に国民の皆様は直面しておられます。物価上昇を上回る賃金上昇を定着させ、国民の皆様に生活が確かに豊かになったとの思いを持っていただかなければなりません。
日本経済がコストカット型の対応を続けてきた失われた三十年とコロナ禍での苦難の三年間を乗り越え、経済状況は改善し、賃金もようやく上がるようになってきました。しかしながら、国民の皆様に安心して消費をしていただける経済になるまでは道半ばです。
こうした中、賃上げと人手不足緩和の好循環に向けて、一人一人の生産性を上げ、付加価値を上げ、所得を上げ、物価上昇を上回る賃金の増加を実現してまいります。適切な価格転嫁と生産性向上支援により最低賃金を着実に引き上げ、二〇二〇年代に全国平均千五百円という高い目標に向かってたゆまぬ努力を続けます。そのために、政府として、自由に働き方を選択しても不公平にならない職場づくりを目指した個人のリスキリングなど人への投資を強化し、事業者のデジタル環境整備も含め、将来の経済のパイを拡大する施策を集中的に強化いたします。
高付加価値のモノとサービスを、グローバル市場において、適正な価格で売ることのできる経済を実現します。輸出企業の競争力を強化し、中小企業を中心とする高付加価値化、労働分配率の向上、官民挙げての思い切った投資を実現します。
物価上昇を上回って賃金が上昇し、設備投資が積極的に行われるといった成長と分配の好循環が確実に回り出すまでの間、足下で物価高に苦しむ方々への支援が必要です。こうした物価高への対応に加えて、成長分野に官民を挙げての思い切った投資を行い、賃上げと投資が牽引する成長型経済の実現を図るため、経済対策を早急に策定し、その実現に取り組みます。
当面の対応として、物価高の影響を特に受ける低所得者世帯への支援や、地域の実情に応じたきめ細かい対応を行うこと、構造的な対応としてのエネルギーコスト上昇に強い社会の実現など、物価高の克服。新たな地方創生施策の展開、中堅・中小企業の賃上げ環境整備、成長力に資する国内投資促進など、日本経済、地方経済の成長。能登地域をはじめとする自然災害からの復旧復興、防災・減災、国土強靱化の推進、外交、安全保障環境の変化への対応、誰も取り残さない社会の実現など、国民の安心、安全の確保を柱といたします。
エネルギーの安定的な供給と安全の確保は喫緊の課題です。
AI時代の電力需要の激増も踏まえつつ、脱炭素化を進めながらエネルギー自給率を抜本的に高めるため、省エネルギーを徹底し、安全を大前提とした原子力発電の利活用、国内資源の探査と実用化と併せ、我が国が高い潜在力を持つ地熱など再生可能エネルギーの最適なエネルギーミックスを実現し、日本経済をエネルギー制約から守り抜きます。
このため、GXの取組を加速させ、アジア諸国の多様な取組を日本の技術力や金融力で支援し、同時に、アジアの成長力を我が国に取り込んでいきます。
日本経済の活性化と成長を加速させるため、科学技術・イノベーション、宇宙などフロンティアの開拓を推進するとともに、スタートアップ支援策を引き続き強化していきます。政府のスタートアップ育成五か年計画を着実に進め、アジア最大のスタートアップハブを実現します。AIの研究開発、実装がしやすい環境を更に充実し、政府のAI政策の司令塔機能を強化します。
経済活動の基盤である金融資本市場の変革にも取り組みます。貯蓄から投資への流れを着実なものとし、国民の資産形成を後押しする資産運用立国の政策を引き継ぐとともに、産業に思い切った投資が行われる投資大国に向けた施策を講じます。
社会保障制度は、様々な境遇にある国民の方々に安心を提供するセーフティーネットです。将来不安を取り除き、皆が安心して充実して暮らせる、こうした日本を実現することによって未来を守り、次の時代に負担を先送りしない。それが今を生きる我々の責任であります。
医療、年金、子育て、介護など、社会保障全般を見直し、国民の皆様に安心していただける社会保障制度を確立します。その際、今の時代にあった社会保障へと転換し、多様な人生の在り方、多様な人生の選択肢を実現できる柔軟な制度設計を行います。人口減少時代を踏まえ、意欲のある高齢者、女性、障害者などの就労を促進し、誰もが年齢に関わらず能力や個性を最大限生かせる社会を目指します。
子供、女性、高齢者をはじめ、全ての方々が安心して暮らせるよう、犯罪対策を推進し、世界一安全な日本を実現します。
度重なる災害から、国民の生命、身体と財産を守り抜きます。
コロナ禍の最中は、ふるさとに戻ることすらできませんでした。やっと里帰りができるようになり、皆が待ちわびていた家族の団らんが、能登半島では、今年の元日、地震により一瞬にして奪われました。亡くなられた方々に哀悼の誠を捧げるとともに、被災されている方々に心よりお見舞いを申し上げます。その後、さらに、能登半島地震の被災地を豪雨が襲い、河川の氾濫や土砂災害が相次ぎ、多くの尊い人命が失われました。度重なる被災の前の活気ある能登を取り戻すため、復旧と創造的復興に向けた取組を一層加速してまいります。
世界有数の災害発生国であるこの日本において、近年の更なる風水害の頻発化、激甚化に早急に対処できる人命最優先の防災立国を構築しなければなりません。防災・減災、国土強靱化の取組を推進します。事前防災の徹底に向けて、まず、現在の内閣府防災担当の機能を、予算、人員の両面において抜本的に強化するとともに、平時から不断に万全の備えを行うため、専任の大臣を置く防災庁の設置に向けた準備を進めてまいります。
日本では、ひとたび災害が起こると、被災者の方々は避難所で厳しい生活を強いられます。平成二十八年に起きた熊本地震では、直接亡くなられた方々の四倍もの方々が、避難生活の中で健康を崩されるなどして、災害関連死として亡くなられています。
被災して大きな悲しみや不安を抱えている方々に手を差し伸べ、温かい食事、安心できる居住環境を提供することが必要です。災害関連死ゼロを実現すべく、避難所の満たすべき基準を定めたスフィア基準も踏まえつつ避難所の在り方を見直し、発災後速やかにトイレ、キッチンカー、ベッド、風呂を配備しうる、平時からの官民連携体制を構築します。
福島の復興なくして東北の復興なし。東北の復興なくして日本の再生はありません。被災者の生活や、産業、生業の再建に全力で取り組んでまいります。一部の国、地域による日本産水産物の輸入停止に対し、岸田政権での取組を活かし、あらゆる機会をとらえて即時撤廃を強く求めるとともに、影響を受ける水産物の国内需要の拡大や新たな輸出先の開拓など、我が国水産業の更なる発展のために、政府として責任を持って支援を行ってまいります。
地方創生の原点に立ち返り、地方を守り抜きます。
十年前に、私は、初代地方創生担当大臣を拝命し、文化庁の京都移転、それまでの補助金とは一線を画する地方創生推進交付金の創設をはじめ、一生懸命に取り組みました。以来、交付金などを活用し、住民の方々が気持ちを一つにして地方創生の取組に頑張っていらっしゃる姿を、全国各地でたくさん見てまいりました。そして、その姿に勇気づけられてまいりました。
竹下総理はかつて、地域が自主性と責任を持って、おのおのの知恵と情熱を生かし、小さな村も大きな町もこぞって、地域づくりをみずから考え、みずから実践していくと述べられました。
産官学金労言、すなわち、産業界、行政機関、大学だけではなく中学校、高等学校も含めた教育機関、金融機関、労働者の皆様、報道機関の皆様。こうした地域の多様なステークホルダーが知恵を出し合い、地域の可能性を最大限に引き出し、都市に住む人も地方に住む人も、すべての人に安心と安全を保障し、希望と幸せを実感する社会。それが地方創生の精神であります。今一度、地方に雇用と所得、そして、都市に安心と安全を生み出します。
地方こそ成長の主役です。地方創生をめぐる、これまでの成果と反省を活かし、地方創生二・〇として再起動させます。
全国各地の取組を一層強力に支援するため、地方創生の交付金を当初予算ベースで倍増することを目指します。少子高齢化や人口減少に対応するため、デジタル田園都市国家構想実現会議を発展させ、新しい地方経済・生活環境創生本部を創設し、今後十年間集中的に取り組む基本構想を策定します。ブロックチェーンなどの新技術やインバウンドの大きな流れなどの効果的な活用も視野に入れ、国民の生活を守りながら、地方創生を実現してまいります。
地方の成長の根幹である農林水産業は、農山漁村の雇用と所得を生み出すとともに、国家の安全保障の一環でもあることから、その持てる力を最大限引き出してまいります。
新たな基本法の下、最初の五年間に計画的かつ集中した施策を講ずることにより、食料安全保障の確保、環境と調和のとれた食料システムの確立、農林水産業の持続的な発展、中山間地域を始めとする農山漁村の振興を図ります。国内の生産基盤の維持の観点も踏まえ、農林水産物の輸出をより一層促進します。持続可能な食品産業への転換を促進し、循環型林業など強い林業づくりや、海洋環境の変化を踏まえた操業形態や養殖業への転換、海業の全国展開など漁業、水産業の活性化に取り組みます。
観光産業の高付加価値化を推進するとともに、文化芸術立国に向けた地域の文化、芸術への支援強化にも取り組みます。地域交通は地方創生の基盤です。全国で、交通空白の解消に向け、移動の足の確保を強力に進めます。
地方創生に終わりはありません。地域づくりは人づくり。人材育成こそ全てです。私が先頭に立って、国、地方、国民が一丸となって地方創生に永続的に取り組む機運を高めてまいります。
二〇二五年大阪・関西万博は、世界と交流を深め、日本の魅力を世界に向けて発信する絶好の機会です。多くの方に御来場いただき、楽しみ、そしてそれぞれの将来に夢と希望を持ってもらう、またとない機会です。成功に向け、関係者と心を合わせて取り組んでまいります。
若者、女性、それぞれの方々の幸せ、そして人権が守られる社会にしていかなければなりません。
人づくりこそ国づくり。この考え方のもと、デジタル技術の活用を前提に、自ら考え、自由に人生を設計することができる能力の育成を目指します。あらゆる人が、最適な教育を受けられる社会を実現します。教職員の処遇見直しを通じた公教育の再生に全力を挙げます。
強靱で持続性のある稼げる日本の再構築のためには、教育やリスキリングなどの人的資源への最大限の投資が不可欠です。人生のあらゆる局面で、何度でも必要な学びが得られる体制を整備します。
意思決定の在り方を劇的に変えていくため、社会のあらゆる組織の意思決定に女性が参画することを官民の目標とし、達成への指針を定め、計画的に取り組みます。男女間の賃金格差の是正は、引き続き喫緊の課題です。多くの女性に社会活動を長く続けてもらえるにはどうすればよいか、国民的議論を主導して制度改革を実現します。
コロナ禍で増加した女性の自殺者数が高止まりし、こども、若者の自殺者数が増加傾向にあることも踏まえ、自殺総合対策を強力に進めます。
憲法改正について、私が総理に在任している間に発議を実現していただくべく、今後、憲法審査会において、与野党の枠を超え、建設的な議論を行い、国民的な議論を積極的に深めていただくことを期待します。
日本にとって、皇位の安定的な継承等は極めて重要なことです。とりわけ、皇族数の確保は喫緊の課題です。国会において、早期に立法府の総意が取りまとめられるよう、積極的な議論が行われることを期待します。
私は、議員になる一年前の昭和六十年、渡辺美智雄代議士の、政治家の仕事は勇気と真心をもって真実を語ることだとの言葉に大きな感銘を受けました。爾来四十年、こうありたいと思い続け、今、この壇上に立っております。
政治を信じていただいている国民の皆様方が決して多くはないことを、私は承知いたしております。しかし、政治は国民を信じているのでしょうか。どうせ分かってはもらえない、そのうち忘れてしまうだろうなどと思ってはいないでしょうか。国民を信じない政治が、国民の皆様に信じてもらえるわけがありません。勇気と真心をもって真実を語り、国民の皆様の納得と共感を得られる政治を実践することにより、政治に対する信頼を取り戻し、日本の未来を創り、日本の未来を守り抜く決意であります。
以上、私の思いを申し述べました。
かつての日本は、今ほど豊かではなかったかもしれません。しかし、もっとお互いを思いやる社会でした。皆に笑顔がありました。いつの間にか、日本は、お互いが足を引っ張ったり、悪口を言い合ったりするような、そういう社会になってしまったのではないでしょうか。私は、もう一度、全ての国民の皆様に笑顔を取り戻したい。
すべての人に安心と安全を。
国民の皆様、並びに、この場に集う全国民を代表される国会議員の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。
2024-10-04
第214回国会(臨時会) 参議院 本会議 第2号 発言No.4全文を見るこの度、第百二代内閣総理大臣に就任いたしました。
すべての人に安心と安全を。
私は、日本国内閣総理大臣として、全身全霊を捧げ、日本と日本の未来を守り抜いてまいります。
この決意を申し上げるに当たり、まずは、政治資金問題などをめぐり、国民の政治不信を招いた事態について、深い反省とともに触れねばなりません。
政治資金問題に際し、岸田総理は、自由民主党内の派閥解消や政治資金規正法改正などに取り組まれた後に、所属議員が起こした事態について、組織の長として責任を取るために退任されました。これらは、全て、政治改革を前に進めるとの思いを持って決断されたものでした。
また、岸田内閣の三年間は、経済、エネルギー政策、こども政策、安全保障政策、そして外交政策など、幅広い分野において、具体的な成果が形になった三年でありました。岸田総理の御尽力に、心より敬意を表します。
その思いや実績を基に、私は、政治資金問題などにより失った国民の皆様方からの信頼を取り戻し、そして、すべての人に安心と安全をもたらす社会を実現してまいります。
千年単位で見ても類を見ない人口減少、生成AI等の登場による急激なデジタルの進化、約三十年ぶりの物価上昇。我が国は大きな時代の変化に直面しています。この変化に対し、政治は十分に責任を果たしてきたでしょうか。
政治資金問題で失われた政治への信頼を取り戻すとともに、これまで以上に、我が国が置かれている状況を国民の皆様方に説明し、納得と共感を頂きながら安全安心で豊かな日本を再構築する。それが政治の責任です。
そのために、私は、ルールを守る、日本を守る、国民を守る、地方を守る、若者・女性の機会を守る、これらの五本の柱で、日本の未来を創り、そして、未来を守ります。
国民の皆様からの信頼を取り戻す。そのために、政治家のための政治ではない、国民のための政治を実現してまいります。
政治資金収支報告書への不記載の問題については、まずは、問題を指摘された議員一人一人と改めて向き合い、反省を求め、ルールを守る倫理観の確立に全力を挙げます。
それぞれの政治家が国民一人一人と誠実に向き合い、改正された政治資金規正法を徹底的に遵守し、限りない透明性を持って国民に向けて公開することを確立せねばなりません。国民の皆様方にもう一度、政治を信頼していただくため、私自身も説明責任を果たし、更に透明性を高める努力を最大限していくことを固くお約束申し上げます。
激変する安全保障環境から日本を守り抜きます。国連安全保障理事会の常任理事国であるロシアによるウクライナ侵略は未だに続いており、戦火は絶えません。今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない。そのような不安を多くの方々が抱いております。何故ウクライナにおいて抑止力が効かなかったのか、私は強い思いを持っております。中東情勢なども相まって、国際社会は分断と対立が進んでいます。
そうした現状を踏まえ、私は、現実的な国益を踏まえた外交により、日米同盟を基軸に、友好国・同志国を増やし、外交力と防衛力の両輪をバランスよく強化し、我が国の平和、地域の安定を実現します。その際、自由で開かれたインド太平洋というビジョンの下、法の支配に基づく国際秩序を堅持し、地域の安全と安定を一層確保するための取組を主導してまいります。
日米同盟は、日本外交・安全保障の基軸であり、インド太平洋地域と国際社会の平和と繁栄の基盤です。まずはこの同盟の抑止力・対処力を一層強化します。加えて、同志国との連携強化に取り組んでまいります。先日は、早速バイデン米国大統領に加え、韓国、豪州、G7各国の首脳と電話会談を行いました。
現下の戦略環境の下、日韓が緊密に連携していくことは、双方の利益にとって極めて重要です。日韓間には難しい問題もありますが、来年に国交正常化六十周年を迎えることも見据え、岸田総理が尹大統領との間で築かれた信頼関係を礎に、日韓両国の協力を更に堅固で幅広いものとしていきます。また、日米韓で一層緊密に連携していきます。
中国に対しては、戦略的互恵関係を包括的に推進し、あらゆるレベルでの意思疎通を重ねてまいります。一方、中国は、東シナ海や南シナ海における力による一方的な現状変更の試みを、日々、強化しております。先月には、幼い日本人の子供が暴漢に襲われ、尊い命を失うという痛ましい事件が起きました。これは断じて看過しがたいことであります。我が国として主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案を含め対話を行い、共通の諸課題については協力する、建設的かつ安定的な関係を日中双方の努力で構築していきます。日中韓の枠組みも前進させます。
拉致被害者やその御家族が高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人道問題、国家主権の侵害であり、政権の最重要課題です。日朝平壌宣言から二十年余り、残された拉致被害者たちの御帰国が実現していないことは痛恨の極みです。
日朝平壌宣言の原点に立ち返り、すべての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現するとともに、北朝鮮との諸問題を解決するため、私自身の強い決意の下で、総力を挙げて取り組んでまいります。
対露制裁、対ウクライナ支援は今後とも強力に推し進めます。日露関係は厳しい状況にありますが、我が国としては、領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持いたします。
ASEANとの連携強化に引き続き取り組みます。グローバルサウスとの関係強化や、軍縮不拡散、気候変動など地球環境、地球規模課題への取組を進めてまいります。また、在外邦人の安全確保に全力を尽くしてまいります。
我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しております。中国及びロシアによる一連の領空侵犯も発生しました。これは、我が国の主権の重大な侵害であります。北朝鮮は、核・ミサイル開発を継続し、近年、かつてない高い頻度で弾道ミサイルの発射を繰り返しておるほか、米国を射程に収める長射程ミサイルの開発も追求しております。これは、国連安保理決議違反であり、我が国のみならず、地域、国際社会の平和と安全を脅かすものです。このような中、国家安全保障戦略等に基づき、我が国自身の防衛力を抜本的に強化すべきことは論を俟ちません。
防衛力の最大の基盤は、自衛官です。いかに装備品を整備しようとも、防衛力を発揮するためには、人的基盤を強化することが不可欠です。日本の独立と平和を守る自衛官の生活・勤務環境や処遇の改善に向け、総理大臣を長とする関係閣僚会議を設置し、その在り方を早急に検討し成案を得るものといたします。
先の大戦中、沖縄では、国内最大の地上戦が行われ、多くの県民が犠牲になられたこと、戦後二十七年間、米国の施政下に置かれたことなどを、私は決して忘れません。基地負担の軽減にも引き続き取り組みます。在日米軍の円滑な駐留のためには、地元を含む国民の御理解と御協力を得ることが不可欠です。普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し、辺野古への移設工事を進めます。また、未だ全国最下位である一人当たりの県民所得や、子どもの貧困の問題などの課題も存在します。沖縄振興の経済効果は十分に域内に波及しているのだろうか、そしてそれが、本当に実感していただけているのだろうか。沖縄の皆様の思いに向き合い、沖縄経済を強化すべく支援を継続いたします。
少子化とその結果生ずる人口減少は、国の根幹にかかわる課題、いわば静かな有事です。
今の子育て世代が幸せでなければ、少子化の克服はありません。子育て世帯の意見に十分に耳を傾け、今の子育て世帯に続く若者が増えるよう、子育て支援に全力を挙げます。こども未来戦略を着実に実施するとともに、社会の意識改革を含め、短時間勤務の活用や生活時間・睡眠時間を確保する勤務間インターバル制度の導入促進など、働き方改革を強力に推し進めます。さらに、少子化の原因を分析し、子育て世代に寄り添った適切な対策を実施します。
少子化をめぐる状況は地域によって異なります。婚姻率が低い県は、人口減少率も高いことは厳然たる事実です。若年世代の人口移動を見ると、この十年間で全国三十三の道県で男性より女性の方が多く転出する状況となっております。若者・女性に選ばれる地方、多様性のある地域分散型社会を作っていかなければなりません。それぞれの地域において、地方創生と表裏一体のものとして若者に選ばれる地域社会の構築に向け、全力で取り組んでまいります。
日本経済のデフレ脱却を確かなものとし、日本経済の未来を創り、日本経済を守り抜きます。その中で、デフレ脱却を最優先に実現するため、経済あっての財政との考え方に立った経済・財政運営を行い、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現しつつ、財政状況の改善を進め、力強く発展する、危機に強靱な経済・財政を作ってまいります。
イノベーションを促進すること等による高付加価値創出や生産性の向上、意欲ある高齢者が活躍できる社会を実現し、我が国GDPの五割超を占める個人消費を回復させ、消費と投資を最大化する成長型経済を実現します。
このため、コストカット型経済から高付加価値創出型経済へ移行しながら、持続可能なエネルギー政策を確立し、イノベーションとスタートアップ支援を強化してまいります。また、経済安全保障の観点から、半導体等のサプライチェーンの国内回帰を含む強靱化や技術流出対策等を進めます。あわせて、能動的サイバー防御の導入に向けた検討を更に加速させるなど、サイバーセキュリティの強化に取り組みます。柔軟な社会保障制度の再構築を実現するとともに、データに基づき財政支出を見直し、ワイズ・スペンディングを徹底してまいります。
私は、国全体の経済成長のみならず、国民一人当たりのGDPの増加と、満足度、幸福度の向上を優先する経済の実現を目標とします。そのために、官民で総合的な幸福度・満足度の指標を策定・共有し、一人一人が豊かで幸せな社会の構築を目指します。
日本の経済を守り、国民生活を守り抜きます。
生鮮食品、エネルギーなどの物価高に国民の皆様は直面しておられます。物価上昇を上回る賃金上昇を定着させ、国民の皆様に生活が確かに豊かになったとの思いを持っていただかなければなりません。
日本経済がコストカット型の対応を続けてきた失われた三十年とコロナ禍での苦難の三年間を乗り越え、経済状況は改善し、賃金もようやく上がるようになってきました。しかしながら、国民の皆様に安心して消費をしていただける経済になるまでは道半ばです。
こうした中、賃上げと人手不足緩和の好循環に向けて、一人一人の生産性を上げ、付加価値を上げ、所得を上げ、物価上昇を上回る賃金の増加を実現してまいります。適切な価格転嫁と生産性向上支援により最低賃金を着実に引き上げ、二〇二〇年代に全国平均千五百円という高い目標に向かってたゆまぬ努力を続けます。そのために、政府として、自由に働き方を選択しても不公平にならない職場づくりを目指した個人のリスキリングなど人への投資を強化し、事業者のデジタル環境整備も含め、将来の経済のパイを拡大する施策を集中的に強化いたします。
高付加価値のモノとサービスを、グローバル市場において、適正な価格で売ることのできる経済を実現します。輸出企業の競争力を強化し、中小企業を中心とする高付加価値化、労働分配率の向上、官民挙げての思い切った投資を実現します。
物価上昇を上回って、賃金が上昇し、設備投資が積極的に行われるといった成長と分配の好循環が確実に回り出すまでの間、足下で物価高に苦しむ方々への支援が必要です。こうした物価高への対応に加えて、成長分野に官民を挙げての思い切った投資を行い、賃上げと投資が牽引する成長型経済の実現を図るため、経済対策を早急に策定し、その実現に取り組みます。当面の対応として、物価高の影響を特に受ける低所得者世帯への支援や、地域の実情に応じたきめ細かい対応を行うこと、構造的な対応としてのエネルギーコスト上昇に強い社会の実現など物価高の克服。新たな地方創生施策の展開、中堅・中小企業の賃上げ環境整備、成長力に資する国内投資促進など日本経済・地方経済の成長。能登地域をはじめとする自然災害からの復旧・復興、防災・減災、国土強靱化の推進、外交・安全保障環境の変化への対応、誰も取り残さない社会の実現など国民の安心・安全の確保を柱とします。
エネルギーの安定的な供給と安全の確保は喫緊の課題です。AI時代の電力需要の激増も踏まえつつ、脱炭素化を進めながらエネルギー自給率を抜本的に高めるため、省エネルギーを徹底し、安全を大前提とした原子力発電の利活用、国内資源の探査と実用化と併せ、我が国が高い潜在力を持つ地熱など再生可能エネルギーの最適なエネルギーミックスを実現し、日本経済をエネルギー制約から守り抜きます。このため、GXの取組を加速させ、アジア諸国の多様な取組を日本の技術力や金融力で支援し、同時に、アジアの成長力を我が国に取り込んでいきます。
日本経済の活性化と成長を加速させるため、科学技術・イノベーション、宇宙などフロンティアの開拓を推進するとともに、スタートアップ支援策を引き続き強化していきます。政府のスタートアップ育成五か年計画を着実に進め、アジア最大のスタートアップハブを実現します。AIの研究開発・実装がしやすい環境を更に充実し、政府のAI政策の司令塔機能を強化します。
経済活動の基盤である金融資本市場の変革にも取り組みます。貯蓄から投資への流れを着実なものとし、国民の資産形成を後押しする資産運用立国の政策を引き継ぐとともに、産業に思い切った投資が行われる投資大国に向けた施策を講じます。
社会保障制度は、様々な境遇にある国民の方々に安心を提供するセーフティネットです。将来不安を取り除き、皆が安心して充実して暮らせる、こうした日本を実現することによって未来を守り、次の時代に負担を先送りしない。それが今を生きる我々の責任であります。
医療・年金・子育て・介護など、社会保障全般を見直し、国民の皆様に安心していただける社会保障制度を確立します。その際、今の時代にあった社会保障へと転換し、多様な人生の在り方、多様な人生の選択肢を実現できる柔軟な制度設計を行います。人口減少時代を踏まえ、意欲のある高齢者、女性、障害者などの就労を促進し、誰もが年齢に関わらず能力や個性を最大限生かせる社会を目指します。
子供、女性、高齢者をはじめ、全ての方々が安心して暮らせるよう犯罪対策を推進し、世界一安全な日本を実現します。
度重なる災害から、国民の生命、身体と財産を守り抜きます。
コロナ禍の最中は、ふるさとに戻ることすらできませんでした。やっと里帰りができるようになり、皆が待ちわびていた家族の団らんが、能登半島では、今年の元日、地震により一瞬にして奪われました。亡くなられた方々に哀悼の誠を捧げるとともに、被災されている方々に心よりお見舞いを申し上げます。その後さらに能登半島地震の被災地を豪雨が襲い、河川の氾濫や土砂災害が相次ぎ、多くの尊い人命が失われました。度重なる被災の前の活気ある能登を取り戻すため、復旧と創造的復興に向けた取組を一層加速してまいります。
全世界有数の災害発生国である、この日本において、近年の更なる風水害の頻発化・激甚化に早急に対処できる人命最優先の防災立国を構築しなければなりません。防災・減災、国土強靱化の取組を推進します。事前防災の徹底に向けて、まず、現在の内閣府防災担当の機能を予算・人員の両面において抜本的に強化するとともに、平時から不断に万全の備えを行うため、専任の大臣を置く防災庁の設置に向けた準備を進めてまいります。
日本では、ひとたび災害が起こると、被災者の方々は避難所で厳しい生活を強いられます。平成二十八年に起きた熊本地震では、直接亡くなられた方々の四倍もの方々が、避難生活の中で健康を崩されるなどして、災害関連死として亡くなられています。被災して大きな悲しみや不安を抱えている方々に手を差し伸べ、温かい食事、安心できる居住環境を提供することが必要です。災害関連死ゼロを実現すべく、避難所の満たすべき基準を定めたスフィア基準も踏まえつつ避難所の在り方を見直し、発災後速やかにトイレ、キッチンカー、ベッド・風呂を配備しうる平時からの官民連携体制を構築します。
福島の復興なくして、東北の復興なし。東北の復興なくして、日本の再生はありません。被災者の生活や、産業・生業の再建に全力で取り組んでまいります。一部の国・地域による日本産水産物の輸入停止に対し、岸田政権での取組を活かし、あらゆる機会をとらえて即時撤廃を強く求めるとともに、影響を受ける水産物の国内需要の拡大や新たな輸出先の開拓など、我が国水産業の更なる発展のために、政府として責任を持って支援を行ってまいります。
地方創生の原点に立ち返り、地方を守り抜きます。十年前に私は初代地方創生担当大臣を拝命し、文化庁の京都移転、それまでの補助金とは一線を画する地方創生推進交付金の創設はじめ、一生懸命取り組んでまいりました。以来、交付金などを活用し、住民の方々が気持ちを一つにして地方創生の取組に頑張っておられる姿を全国各地にたくさん見てまいりました。そして、その姿に勇気づけられてまいりました。
竹下総理はかつて、「地域が自主性と責任を持っておのおのの知恵と情熱を生かし、小さな村も大きな町もこぞって地域づくりをみずから考えみずから実践していく」と述べられました。産官学金労言、すなわち、産業界、行政機関、大学だけではなく中学校・高等学校も含めた教育機関、金融機関、労働者の皆さん、報道機関の皆さん。こうした地域の多様なステークホルダーが知恵を出し合い、地域の可能性を最大限に引き出し、都市に住む人も地方に住む人も、すべての人に安心と安全を保障し、希望と幸せを実感する社会。それが地方創生の精神です。今一度、地方に雇用と所得、そして、都市に安心と安全を生み出します。
地方こそ成長の主役です。地方創生をめぐる、これまでの成果と反省を活かし、地方創生二・〇として再起動させます。
全国各地の取組を一層強力に支援するため、地方創生の交付金を当初予算ベースで倍増することを目指します。
少子高齢化や人口減少に対応するため、デジタル田園都市国家構想実現会議を発展させ、新しい地方経済・生活環境創生本部を創設し、今後十年間集中的に取り組む基本構想を策定します。ブロックチェーンなどの新技術やインバウンドの大きな流れなどの効果的な活用も視野に入れ、国民の生活を守りながら、地方創生を実現してまいります。
地方の成長の根幹である農林水産業は、農山漁村の雇用と所得を生み出すとともに、国家の安全保障の一環でもあることから、その持てる力を最大限引き出してまいります。新たな基本法の下、最初の五年間に計画的かつ集中した施策を講ずることにより、食料安全保障の確保、環境と調和のとれた食料システムの確立、農林水産業の持続的な発展、中山間地域を始めとする農山漁村の振興を図ります。国内の生産基盤の維持の観点も踏まえ、農林水産物の輸出をより一層促進します。持続可能な食品産業への転換を促進し、循環型林業など強い林業づくりや、海洋環境の変化を踏まえた操業形態や養殖業への転換、海業の全国展開など漁業・水産業の活性化に取り組みます。
観光産業の高付加価値化を推進するとともに、文化芸術立国に向けた地域の文化、芸術への支援強化にも取り組みます。地域交通は地方創生の基盤です。全国で交通空白の解消に向け、移動の足の確保を強力に進めます。
地方創生に終わりはありません。地域づくりは人づくり。人材育成こそ全てです。私が先頭に立って、国・地方・国民が一丸となって地方創生に永続的に取り組む機運を高めてまいります。
二〇二五年大阪・関西万博は、世界と交流を深め、日本の魅力を世界に向けて発信する絶好の機会です。多くの方に来場いただき、楽しみ、そしてそれぞれの将来に夢と希望を持ってもらう、またとない機会です。成功に向け関係者と心を合わせ取り組んでまいります。
若者・女性、それぞれの方々の幸せ、そして人権が守られる社会にしていかなければなりません。
人づくりこそ国づくり。この考え方のもと、デジタル技術の活用を前提に、自ら考え、自由に人生を設計することができる能力の育成を目指します。あらゆる人が、最適な教育を受けられる社会を実現します。教職員の処遇見直しを通じた公教育の再生に全力を挙げます。
強靱で持続性のある稼げる日本の再構築のためには、教育やリスキリングなどの人的資源への最大限の投資が不可欠です。人生のあらゆる局面で何度でも必要な学びが得られる体制を整備します。
意思決定の在り方を劇的に変えていくため、社会のあらゆる組織の意思決定に女性が参画することを官民の目標とし、達成への指針を定め、計画的に取り組みます。男女間の賃金格差の是正は、引き続き喫緊の課題です。多くの女性に社会活動を長く続けてもらえるにはどうすればよいか、国民的議論を主導して制度改革を実現します。
コロナ禍で増加した女性の自殺者数が高止まりし、こども・若者の自殺者数が増加傾向にあることを踏まえ、自殺総合対策を強力に進めます。
憲法改正について、私が総理に在任している間に発議を実現していただくべく、今後、憲法審査会において、与野党の枠を超え、建設的な議論を行い、国民的な議論を積極的に深めていただくことを期待します。
日本にとって、皇位の安定的な継承等は極めて重要なことです。とりわけ皇族数の確保は喫緊の課題です。国会において、早期に立法府の総意が取りまとめられるよう、積極的な議論が行われることを期待します。
私は、議員になる一年前の昭和六十年、渡辺美智雄代議士の、政治家の仕事は勇気と真心をもって真実を語る言葉、語ることだとの言葉に大きな感銘を受けました。爾来四十年、こうありたいと思い続け、今、この壇上に立っております。政治を信じていただいている国民の皆様が、決して多くはないことを私は承知をいたしております。しかし、政治は国民を信じているのでしょうか。どうせ分かってはもらえない、そのうち忘れてしまうだろうなどと思ってはいないでしょうか。国民を信じない政治が、国民の皆様方に信じていただけるわけはありません。勇気と真心をもって真実を語り、国民の皆様方の納得と共感を得られる政治を実践することにより、政治に対する信頼を取り戻し、日本の未来を創り、日本の未来を守り抜く決意です。
以上、私の思いを申し述べました。
かつての日本は、今ほど豊かではなかったかもしれません。しかし、もっとお互いを思いやる社会でした。皆に笑顔がありました。いつの間にか、日本はお互いが足を引っ張り合ったり、悪口を言い合ったりするような、そんな社会になってしまったのではないでしょうか。私は、もう一度、全ての国民の皆様へ笑顔を取り戻したい。
すべての人に安心と安全を。
国民の皆様、並びに、この場に集う全国民を代表される国会議員の皆様の御理解と御協力を切にお願い申し上げます。