三木圭恵
三木圭恵君による発言要約一覧
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2024-04-18
第213回国会(常会) 衆議院 本会議 第22号 発言No.15会議全体を見る- 三木圭恵君は、岸田総理の米国公式訪問の意義と日米協力の重要性を強調し、特に安全保障や経済面での日米同盟の強化を評価した。
- 米国の大統領選挙を見据え、今後の米国のアジアにおける役割の強化が不可欠であるとし、自衛隊と在日米軍の連携や法整備についても問題提起した。
- また、憲法改正の実現を求め、国会発議の重要性と総理の指導力に期待を寄せた。
日本維新の会・教育無償化を実現する会の三木圭恵です。
私は、会派を代表し、岸田総理による米国公式訪問の帰朝報告について、全て総理に質問いたします。
自由で開かれた国際秩序が大きく揺らぐ中、日米両国首脳が結束し、安全保障や経済、エネルギー、宇宙など、多面的に協働していくことで合意するとともに、日米同盟をより強固にし、国際秩序の構築を担っていくと宣言した意義は大きいと評価します。特に、首脳会談で、日米同盟の抑止力、対処力を迅速かつ確実に向上させる防衛、安全保障協力に軸足が置かれ、インド太平洋で格子状に広がる安全保障体制の中核に日米同盟があるのだと明確に世界に示したことは新機軸です。
東アジア、インド太平洋、ひいては世界の安定維持へ、日本が向かうべき進路は、米議会での演説で総理が強調された、米国は独りではありません、日本は米国とともにありますという言葉に尽きると考えます。米国がオバマ政権時代に一旦捨てた世界の警察官の立場を、日本が米国とともに担っていくという重責を負う決意と受け止めますが、見解を伺います。
米国では、十一月に大統領選挙を控えています。状況は予断を許しませんが、結果次第では、トランプ前大統領が返り咲き、米国の外交、安保戦略が揺らぎかねない、不確実な米国のリスクにさらされています。政府として、そのリスクにどのように対処していく方針ですか。選挙結果にかかわらず、五年後、十年後、さらに、その先を見据え、米国のアジア、世界への関与を一層強め、逆戻りさせないことが不可欠と考えますが、所見を求めます。
とりわけ、自衛隊と在日米軍をより一体的に運用できるよう指揮統制の枠組みを向上させるとした合意は、バイデン大統領が日米同盟発足以来最も重要な改良だと意義を強調したように、具現化が急がれる喫緊の課題です。米国側は、日本が今年度末に陸海空三自衛隊を一元的に指揮する統合作戦司令部を創設する方針を見据え、管理にとどまっている在日米軍に対し、ハワイに司令部を置くインド太平洋軍の権限の一部を移行するとされていますが、自衛隊と米軍が作戦立案や部隊運用で日常的に連携し、より効果的に戦える即応態勢を整えることは不可欠です。
米国側も、陸海空、海兵隊はもちろん、戦略軍や宇宙軍、サイバーコマンドなど機能別統合軍も含めて、ワンストップで運用調整ができる権限を持った司令部組織であるべきです。そのために、四つ星クラスの司令官に率いられ、また、日本の統合作戦司令部と同様に、常設の上、近くにあるべきと考えますが、こうしたことを米国と大胆な議論をするべきではないですか。
我が国が保有を決めた反撃能力の発揮に当たっては、必要最小限にして、同じ拒否的抑止力の要たる統合防空ミサイル防衛能力との連動が求められており、米軍の打撃作戦の計画的な実施にも影響を及ぼしかねません。日米共同の観点からすれば、日本側の事態認定や武器使用、武力行使の条件などをめぐる法制は極めて複雑です。このままで、米軍と運用上、円滑にやっていけるのですか。米軍が反撃すると言ったとき、日本はどのようにするのかという政治的な意思決定の問題が必ず出てくると存じますが、どのように解決するとお考えですか。
平和安全法制で、自衛隊は、集団的自衛権の限定的行使や平時の米艦船等の防護が可能となりましたが、米軍への支援は武力行使の一体化にならない範囲に限られています。このままでは、戦闘現場で自衛隊が米軍を見捨てざるを得ず、同盟の信頼性が担保できないのではないですか。グレーゾーン事態でも後方支援できるよう法整備すべきだと考えますが、併せて見解を求めます。
日米首脳会談では、防衛装備・技術協力として、日米防衛産業協力・取得・維持整備定期協議が開催され、日米の防衛産業を含めて、共同開発、生産、維持整備が進められることになりました。具体的に挙げられているミサイルの共同生産は、終わりが見えないウクライナ危機によって世界的に弾薬の需給が逼迫する中、日米両国の防衛力整備とウクライナ支援の双方の観点から有益な取組です。速やかに具体論を詰めるべきだと考えますが、見解をお伺いします。
日本に前方展開している米軍艦船や航空機の維持整備も、整備の都度、米国本土に戻る時間を短縮できるため、米軍の運用率向上に資することは明らかで、同盟の即応性維持に大きな寄与が見込めます。無論、単なる米国の下請にならないよう、日本の防衛産業への裨益もしっかり確保すべきであり、大胆な技術移転を迫るなど賢く交渉するべきだと考えますが、政府の対処方針をお尋ねします。
バイデン大統領は、日比米首脳による共同ビジョンステートメントで、日本の防衛装備品移転三原則の見直しを歓迎しました。しかし、先般、国際共同開発の装備品の第三国移転を英国、イタリアとの次期戦闘機のみに限って認めた措置は、今後の日本の防衛産業の発展に影を落としかねません。国家安全保障戦略で、防衛装備品の移転については、日本にとって望ましい安全保障環境の創出と位置づけていたこととそごがあると考えますが、所見を求めます。
これまでも、首脳会談等において、尖閣諸島に対する日米安保条約第五条の適用が確認されてきましたが、今回の日米共同声明には、中国による東シナ海における力又は威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試みにも強い反対の意を表明するとの文脈で、「尖閣諸島に対する日本の長きにわたり、かつ、平穏な施政を損なおうとする行為を通じたものを含む、」という文言が追加されています。尖閣諸島に関して、米国が一歩、日本の立場に沿った見解を示したものと評価できるのではないでしょうか。この機会に、更に尖閣防衛に対する強い意思と能力を日米共同で示すための取組を検討するべきだと考えますが、併せて所見を求めます。
日米首脳会談では、北朝鮮による拉致問題の即時解決に向けて総理が目指す日朝首脳会談の早期実現について、バイデン大統領から支持されました。拉致問題の解決には期限があり、残された被害者の親世代が御存命のうちに解決することは、絶対の国家的至上命題です。もし解決の期限が守られなければ、拉致問題は永遠に未解決のまま日朝間に残り続け、日朝国交正常化交渉に甚大な悪影響を及ぼすと考えますが、認識をお伺いします。
去る十一日、我が党は拉致問題に関する要望書を林官房長官に提出し、その中で、拉致問題が解決する場合、核とミサイルの問題の解決に先行して、北朝鮮に対する人道支援を検討することを表明しました。これに対する政府の立場をお聞かせください。
ロシアのウクライナ侵略を機に、国際平和に主要な責任を負うはずの国連安全保障理事会の機能不全とその改革の必要性が叫ばれていますが、今回の日米共同声明では、常任、非常任理事国双方の拡大等を通じた安保理改革への関与と、日本の常任理事国入りへの米国の支持を再確認したとされます。
折しも三月下旬には、国連安保理で、北朝鮮への制裁の履行状況を調べる専門家パネルの任期を延長する決議案がロシアの拒否権によって否決されるゆゆしき事態に直面しましたが、今回の日米首脳会談では、常任理事国が持つ拒否権の剥奪など、従来方針の再確認にとどまらず、より突っ込んだ安保理改革の議論はなされたのですか。なされなかったならば、なぜですか。
今回の総理の訪米において、バイデン大統領、フィリピンのマルコス大統領が初の三か国首脳会談を開き、三つの海洋民主主義国が安全保障や経済など幅広い分野で連携協力を進めることで合意したことを歓迎します。国際法を踏みにじり、傍若無人に振る舞う中国から、自由で開かれた海であるべき南シナ海と東シナ海を守るためにも、日米比の協力関係を盤石にしていくことは不可欠です。
しかるに、今回の三か国首脳会談で、この会談の定例化を打ち出すことが検討されていたと聞いていますが、なぜ合意に至らなかったのですか。今後、日本は、この三か国の首脳会談を定例的に開催していく考えはありますか。
在沖縄の米海兵隊は、フィリピン、オーストラリアなど、インド太平洋各地に部隊をローテーション展開する運用を行っていますが、フィリピンは、中国に対する抑止力向上のために、自衛隊にもローテーション展開を求めていると伺っています。
この三月、離島奪還作戦を担う陸上自衛隊の水陸機動団、いわゆる日本版海兵隊の第三連隊が編成されました。これを機に、自衛隊は、水機団の三部隊が交代で任務、訓練、待機を担い、海外へのローテーション展開も本格化させる方針とされています。ならば、今後、対中牽制のために、フィリピンとの間で自衛隊とフィリピン軍の往来をスムーズにする円滑化協定等の締結を急ぎ、水機団をフィリピンに定期派遣すべきだと思料しますが、海外への水機団のローテーション展開方針を含め、政府のお考えをお尋ねします。
日本は、広島AIプロセスを主導し、成果として、高度なAIシステムを開発する組織向けの広島プロセス国際行動規範を取りまとめ、昨年十月に発出しました。これは今回の総理の訪米でも評価されましたが、我が国の生成AIに対する法整備は遅れています。
EU理事会では、昨年十二月、EU域内で一律に適用される、人工知能、AIの包括的な規制枠組み規制案、いわゆるAI法案に関し、暫定的な政治合意に達しました。また、バイデン政権は、昨年十月、人工知能、AIの安心、安全で信頼できる開発と利用に関する大統領令を発令しました。
日本では、AI事業者ガイドラインについて話し合われているものの、いまだ法整備に至っていません。今後、日本が生成AIに関する研究開発協力を日米で、また世界的に成し遂げていくには、日本国内において生成AIの規律と活用の面から法整備が急務だと考えますが、所見をお伺いします。
日本製鉄によるUSスチール買収に対し、バイデン大統領もトランプ前大統領も否定的な考えを表明するなど、日米間の大きな政治問題に発展しつつあります。しかし、この買収問題について、総理は、首脳会談後の共同記者会見で、日米両国にとってよい話合いになることを期待していると当事者間の協議に委ねる考えを示し、まるで人ごとのようでした。
USスチール買収に抵抗する同盟国たる米国の対応は、経済安全保障の観点からも極めて憂慮すべき問題ではないですか。首脳会談で、総理は、USスチール買収に関してバイデン大統領と具体的に議論されたのですか。もし触れなかったならば、グローバルパートナーとは名ばかりのものであると言わざるを得ません。見解をお伺いします。
総理は、共同記者会見で、日本は米国にとって最大の投資国であり、米国内で約百万人を雇用している、日本からの投資は今後ますます拡大基調にあると胸を張り、今回の訪米でノースカロライナ州を訪れ、日系企業の工場等を視察されました。
しかし、馬場代表ら我が党訪米団が、昨年七月、ワシントンで在米日本企業関係者と懇談した際、米国企業と対等にビジネスができる環境整備を米側に働きかけてほしい旨、要望を多数いただきました。このような声をどのように受け止め、いかに対応されていくお考えですか。
最後に、日本国憲法に関して質問します。
日本有事とされる台湾有事が生起しても、現行憲法は、自衛隊が米軍と一緒になって台湾を守るために戦うことを許しておらず、専守防衛に徹する自衛隊は、原則、我が国自身が攻撃されなければ反撃できません。平和憲法と言われる現憲法が、その実、国防への障害となっているならば、本末転倒、憲法を守って国を守れずです。これで日本は本当に米国のグローバルパートナーになり得るとお考えでしょうか。
岸田総理自身は、今年九月までの自民党総裁の任期中に憲法改正実現を目指すと繰り返し表明してきました。衆議院憲法審査会では、ようやく、起草委員会を設け、改正原案の取りまとめに着手する機運が出てきましたが、九月までに国民投票を行うには、今国会の会期末までに国会発議に持ち込めなければ時間切れとなります。
折しも、総理が会期末までに衆議院を解散するという観測が流れています。まさか総理が国会発議をほったらかして解散・総選挙に踏み切ることはないと信じていますが、それはないと約束できますか。もちろん、解散となれば、我々は正々堂々と受けて立ちます。
九月までの憲法改正実現への帰趨は、総裁たる総理の指導力にかかっています。憲法改正という国民への事実上の公約を果たせなかったら、総裁再選に挑む資格はないとはっきり申し上げます。いかがでしょうか。自民党総裁としての明快な答弁を求めます。
以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕