総理、ありがとうございました。
やっぱり、いろんな場面で言われていますけれども、やっぱりこうした議論を、やっぱり自民党は、正々堂々と私たちの考え方というものを国民の皆さん方に示して、そして評価をいただく、そういう努力も続けていかなければいけないというふうに思います。
今日はテレビで総理の発言を何度も放映をしていただいていますから、全国で多くの皆さん方がこれを御覧になっていただいていると思います。是非、私たちは、正々堂々と国民の皆さん方にこの在り方について訴えていきたいというふうに思います。
〔委員長退席、理事足立敏之君着席〕
それでは次に、経済政策について、幾つかこれからお聞きをしてまいりたいというふうに思います。
今、世界中の、それも先進国と言われる国々において政治的混乱が起きています。民主主義の危機は、いつも、近年はですね、アメリカ大統領選挙が近づいてきますとこのフレーズが多く聞かれるようになってくるわけでありますけれども、現在、米国のみならず、EU各国におきましても、政治的不安定さが報道され、行く先の不透明感が増し、民主主義がさまよっているように私は感じています。
京都大学名誉教授の佐伯啓思教授は著書の中で、米国社会の現状につきまして、今日のグローバルな市場経済、市場競争の中で生じた情報、金融や新技術などの専門知識を持つグローバルエリートへの富と機会の集中であり、それとは対照的に、国内の製造業に従事する平均的な労働者の賃金はほとんど上がっていません、ここに生じる恐るべき格差こそがいわゆるラストベルトの白人労働者層の不満を通じてトランプ現象を起こしたものです、ですから、トランプという特異な人物が米国社会の分断の危機を誘発した張本人ではなく、所得・資産格差こそが米国社会の分断と民主主義の機能不全をもたらしたものであり、トランプ現象は社会不安の原因ではなく結果なのだというふうに述べられています。さらに、そうした事態は、米国同様、現在EU内でも起きていると教授はおっしゃられているところであります。
では、私たちの国、日本の現状はどうでしょうか。グローバルな社会・産業構造変化から懸け離れた場所にいる存在なのでしょうか。私はそうは思いません。現在の日本は決してそのような世界の中から孤立した国ではなく、まさにグローバルネットワークの中で政治的にも経済的にも重要な役割を持ち、責任を果たしている国なのです。それゆえに、先進国各地で起きている新たな社会・産業構造変化の中で起こる社会の対立や分断、そこから派生する民主主義の危機は決して他人事ではなく、私たちにとっても迫りつつある危機なのだと思います。
前岸田政権では、我が国の時代の転換点に直面する中で、変化の力を、変化を力にすることを目指し、新しい資本主義を掲げ、成長と分配の好循環、賃金と物価の好循環の実現に向け、強力に取り組んでこられました。岸田総理御自身、長い外務大臣としての経験の中で、激動する世界における社会・産業構造の変化を危機と捉え、社会の安定に寄与する中間層の充実こそ、それが社会の対立や分断を生じさせないために必要であると考え、力強く政策実現を取り組んでこられたものだと私は思います。
〔理事足立敏之君退席、委員長着席〕
そこで、石破総理の経済政策について、基本的な考え方をお聞きをしてまいります。
今述べましたように、今日、世界中で起きています社会、産業の構造変化は、それぞれの地域や国が持つ独自事情、例えば米国であれば米国の事情もありますし、EU地域内でありましたらEUの異なった事情があります。例えば、EUの地域の中では移民受入れが、政策の、自国労働者や市民とのあつれきをもたらし、社会の対立と分断につながっていると言われています。その結果、若者たちの失業率が増加をし、経済的中間層に疲弊が生じ、社会不安を助長させていると言われています。
我が国の現状を見ますと、過去三十年間続いてきましたデフレ型経済から抜け出し、成長型経済に移行していく千載一遇のチャンスを迎えていると言えます。他方において、地方や中小企業を含め、賃金の伸びが着実、継続的に物価高を超える状態に至っているとは言えない状況であります。
改めて申し上げるまでもなく、我が国は、エネルギーや食料など、最も生活に必要な資源の海外依存度、依存比率は他国に比べて格段に高く、加えて、世界に先駆けて少子高齢化を伴う労働力減少に直面する極めて難しい現状にあるのが我が国経済の現状であると思います。
まず、総理は、世界の先進各国で起きております社会、産業の構造変化や、それに起因して拡大していると言われる社会の分断についてどのように捉えているのか、お聞きいたします。また、そうした現状において、これから我が国経済をどのように前に進められていこうとしているのか、お聞きをしたいと思います。