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2024-10-07
第214回国会(臨時会) 衆議院 本会議 第3号 発言No.27全文を見る立憲民主党・無所属の吉田はるみです。
会派を代表して質問いたします。
まず初めに、本年一月に発生した能登半島地震、そして九月の大雨災害で被災された方々にお見舞いを申し上げますとともに、お亡くなりになられた、犠牲になられた方々に心から御冥福をお祈り申し上げます。
まず、賃上げ、物価高対策についてお伺いします。
一日八時間労働で真っ当な生活ができる賃金を保障しなければなりません。立憲民主党は以前から、最低賃金を千五百円とすることを訴えてきましたが、この度、石破総理は、所信表明演説で、二〇二〇年代、全国平均千五百円と明言されました。私たちが以前から訴えている主張を採用していただいたことは評価いたします。最低賃金を引き上げると、パート、アルバイトの方はもちろん、非正規雇用、また正社員の賃金も押し上げられます。
ただし、これを実現するとき、二つのことをセットでやらなければなりません。中小企業支援と年収の壁の解消です。
総理は、最低賃金について、全国平均千五百円への引上げを目指すとおっしゃいましたが、その際、セットで、最低賃金の引上げが負担増となる中小企業への支援が必要ではないでしょうか。具体策があればお聞かせください。
立憲民主党は、新たに正社員を雇用した中小事業者には社会保険料の事業主負担の一部分を助成することで、中小企業の負担を軽減し、正規雇用を増やすための社会保険料事業者負担軽減法案を提出しています。
そして二つ目は、せっかく最低賃金が上がっても、年収百三十万円を超えれば社会保険料を払わなければならず、その範囲内で働く時間を減らしてしまうため、人手不足は解消されません。この年収百三十万円の壁ができたのは一九九三年、そのときの最低賃金は五百八十三円です。この時給で計算すると、週休二日で、一日八・五時間働けます。一方、現在の全国平均最低賃金千五十五円で計算すると、同じ条件で、一日僅か四・七時間です。
年収の壁を越えると働き損にならないよう、社会保険料を負担する仕組みはありますし、収入が一時的に百三十万円を超えても、引き続き扶養者認定が可能です。ただし、これは期間限定の措置です。年収の壁をどうするかという根本的な方針は示されていません。永続的な制度としては、どうされるおつもりですか。具体的にお答えください。
加えて、個人事業主を苦しめているのが、消費税のインボイス制度です。立憲民主党は、この間、インボイス一一〇番を設置して、インボイス制度に関するたくさんの御意見を伺ってきました。このままでは廃業するしかないと現場から悲痛な声が寄せられています。インボイス制度は廃止すべきだと考えますが、総理の認識を伺います。
また、介護など福祉分野では常に人手不足です。全国で毎年十万人の介護離職者が出ています。保育も常に人手不足です。
人手不足の原因は給料です。全産業と比べても、月額約八万円も低いのです。政府は、今年の介護報酬改定に先駆けて、介護職員一人当たり月額六千円の賃上げ支援を行いましたが、到底足りません。支えるどころか、逆に訪問介護の基本報酬の引下げをしてしまいました。介護の現場からは悲鳴が上がっています。
石破総理、私たちは議員立法を提出していますが、介護職員、障害福祉職員、保育士、幼稚園教諭の処遇改善をすべきではないですか。お答えください。
電気・ガス価格激変緩和事業、通称電気・ガス補助金は今年六月支払い分で終わり、最も暑い七月、八月支払い分の補助は打ち切られ、物価高に苦しむ家計を直撃しました。その後、九月、十月、十一月支払い分については補助が復活。しかし、これは自民党総裁選や解散・総選挙の時期と重なります。選挙目当てではないですか。出したり引っ込めたり、国民生活は振り回されています。
私たち立憲民主党は、今年の夏は猛暑になることをあらかじめ予想し、五月の時点で、月三千円のエネルギー手当を中低所得者層の方々に給付するエネルギー負担軽減策を提案しました。高所得者も対象になる、財政を圧迫する自民党と、立憲民主党が提案する中小企業や所得が少ない方々など必要な方にきちんと届くエネルギー負担軽減策。国民の皆様、私たち立憲民主党案の方が、持続可能で、財政に責任を持つ、有効な物価高対策ではないでしょうか。
石破総理、これから冬が来て、電気・ガス代は更にかさみます。立憲民主党が提案する、日本の財政、日本の未来に責任を持つエネルギー負担軽減策を政府の物価高対策に取り入れ、速やかに実行していただけないでしょうか。
次に、税制に関して伺います。
まず、金融所得課税の強化についてです。
所得税は、本来、累進課税が基本ですが、税率が一律二〇%であるために、所得が一億円を超えるあたりからは逆に実質税率が減る、いわゆる一億円の壁という問題があります。この解消のためには、超富裕層に更なる御負担をお願いしなければなりません。
石破総理、そもそも、総裁選が始まる前の九月二日に出演したテレビ番組で、金融所得課税の強化を実行したいと述べられました。御発言のとおり、実行されるのでしょうか。
思い起こせば三年前、自民党総裁選に立候補された岸田前総理も金融所得課税に言及し、日経平均株価は総裁就任の日から六営業日の間に二千円超も下落しました。これに動揺された岸田前総理は、当面は触ることは考えないと発言を修正されています。
過分ではなく応分の負担をお願いすること、これは当然だと思います。NISAなどの投資には全く影響がありません。石破総理、金融所得課税の強化に踏み込まないようであれば、アベノミクスの時代と何ら変わらないのではありませんか。市場の動きを見て、金融所得課税の強化を引っ込めた岸田総理と同じ道をたどられるのでしょうか。
強いものをより強くし、格差を拡大する自民党に対して、私たち立憲民主党は再配分を重視し、分厚い中間層の復活を目指します。
また、石破総理は、法人税についても、法人税は引き上げる余地がある、税負担する能力がある法人はまだまだある、もう少し負担をお願いしたいと九月二十一日の討論会で発言されました。法人税を引き上げる方針に変わりはございませんか。また、法人税、引き上げる時期はいつを考えていらっしゃいますか。
次に、子供、子育て財源と防衛費増の関係について伺います。
岸田政権では、五年で防衛費を四十三兆円まで増やすことに決めました。復興財源まで防衛費につけ替えて、それでも足りずに防衛増税です。岸田政権で約束した防衛増税は来年度の税制改正に盛り込まれるのでしょうか。大切なことですので、国民の皆様に誠実に御説明ください。
私たちは、適切な防衛費は必要だと考えます。しかし、こんなに速いペースで増やすことはやり過ぎです。それによって子供、子育ての財源がなくなり、支援金という名の新たな増税が導入されてはなりません。
岸田前総理が当初、実質負担ゼロといいながら、実際は、負担額が一人当たり三百五十円から六百円、試算によっては千円を超える負担もあり得ることが、私たち立憲民主党の国会審議を通じて明らかになりました。
石破政権でも、予定どおり、子ども・子育て支援金制度を導入する方針に変わりはないですか。現役世代を応援するはずが、現役世代の更なる負担になる支援金制度は本末転倒です。今からでも、方針を転換していただけませんか。
また、全国の小中学校の給食の無償化も必要です。給食の無償化ができている自治体と有償の自治体があります。しかし、学校給食無償化は本来、国の財源でするべきです。給食がない地域の方には、相当額を補助すればよいのです。石破総理、学校給食の無償化を進めるべきではないでしょうか。
次に、教育に関して伺います。
教育の無償化は時代の要請です。天然資源の乏しい日本で一番大切な宝、それは人です。その人を育て、可能性を最大限に引き出す、それは、幼児期から社会人、シニアと、全世代の教育です。
立憲民主党は、チルドレンファースト。生まれた地域や経済格差で学びを諦めない。国公立大学の無償化を実現し、公の教育で、小中高大と、最高の教育を子供たちに保障します。私立大生や専門学校生に対しても、国公立大学と同額程度の負担軽減を行うべきと考えます。
高校の無償化は民主党政権時に実現しました。当時の自民党はばらまきだと批判しましたが、その後の自民党政権下でも継続され、高校の無償化は必要であると認識されました。しかし、大学の無償化では立場が異なります。自民党は国公立大学の値上げ、オーケーですね。実際、東京大学の授業料値上げが先月決定されました。この値上げの波は、全国の国立大学、そして私立大学にも波及します。
大学経営が苦しいのは理解しますが、そのしわ寄せが学生や保護者に来るのはおかしいです。経済的に厳しい人は学校に行くなということでしょうか。石破総理も、国公立大学の授業料値上げに賛成というお考えでしょうか。お答えください。
教育費負担は少子化の大きな要因であります。私たち立憲民主党は、教育の無償化の旗をしっかり掲げ、子供たちに、そして保護者の皆様に、教育はしっかり支える、安心してくださいというメッセージを発信します。
教員不足はまた危機的状況です。
文科省は、教員の処遇改善として教職調整額を現在の月額の四%から一三%に引き上げる方針を出しました。定額働かせ放題の給特法は、本来廃止すべきですが、一定の評価はします。しかしながら、実際の残業に見合った額とは到底言えません。このまま残業が続くと、学校はブラックな職場だと思われ、教員になりたい学生は集まりません。教職を離れる人も増えており、結果、教育の質が落ちます。
教職を魅力ある職業に戻すために、残業をしなくていいよう、具体的にどのように仕事量を減らしていくのでしょうか。石破総理、お答えください。
スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、ICT支援員、学校司書、外国語指導助手、特別支援教育支援員など、子供たちの学校生活を包括的に支えるチームをがっつりつくりましょう。こうした方の多くが、会計年度任用職員という期限付の不安定雇用です。総理は、この賃金格差、そして子供の学びを支える大切な仕事をされている方々の不安定雇用をどう是正していくおつもりでしょうか。お答えください。
また、いじめ、不登校は過去最多になり、子供の自殺は過去二番目。発達障害児の支援も足りません。こうしたいじめ、不登校、子供の自殺、石破総理はどうやって減らしますか。所信表明演説でも、ごく抽象的にしか触れられていません。役所の答弁ではなく、石破総理御自身の血の通った言葉で具体策を聞かせてください。
次に、ジェンダー平等に関して伺います。
石破政権の閣僚の皆様、御就任、誠におめでとうございます。
ただ、一つ気になることがあります。それは女性閣僚の人数です。女性大臣は、二十人中、僅かお二人。副大臣、政務官も、五十四人中、女性は僅かお二人です。余りにも男女不均衡ではないでしょうか。
政府は、東証プライム市場上場企業における女性役員の比率を二〇三〇年まで三〇%にする目標を掲げています。しかし、その旗振り役である政権がこれでは、自分たちからまずやってみたらという、民間企業のさめた目で見ていると思います。
石破総理、自民党にも公明党にも優秀な女性議員は大勢いらっしゃいます。なぜ、このように女性閣僚が少ないのでしょう。教えてください。
選択的夫婦別姓は、夫婦同姓にする自由も別姓にする自由もあり、選択できます。誰の権利も侵していません。経団連の十倉会長も、連合の芳野会長も、選択的夫婦別姓の導入を求めています。今年七月の日経の世論調査によると、十八歳から三十九歳の世代は、八割が選択的夫婦別姓に賛成です。社会全体から声が上がっています。自民党の一部の反対で止まっているとしたら、やはり総選挙の大きな争点になります。
総裁選では、石破総理は、選択的に姓を選べるのはあるべきだと思う、女性であれ男性であれ、姓を選べないことによってつらい思いをして不利益を受けることは解消されなければならないと述べています。総理、選択的夫婦別姓を必ず実現するという強い御決意をお聞かせください。あわせて、実現するのであれば、次の国会でやるということを明言してください。
また、九月三十日に交わされた自公連立政権の合意文書で、選択的夫婦別姓の記載が見送られました。公明党は一貫して積極的だったと伺っておりますが、合意文書に選択的夫婦別姓の実現は盛り込まれませんでした。公明党の皆様の御納得は得られたのでしょうか。教えてください。
石破総理は、こうも発言されています。夫婦が別姓になると家族が崩壊するとか、よく分からない理屈があるが、やらない理由がよく分からないと。齋藤健また小泉龍司両法務大臣も、戸籍の機能や重要性が変わるものではなく、大きな問題は生じないと答弁しています。石破総理も同じ見解でよろしいでしょうか。お伺いします。
また、お伺いしたいと思います。選択的夫婦別姓を導入すると家族は壊れますか。
次に、マイナ保険証に関して伺います。
石破総理は、総裁選のとき、現行保険証の廃止時期についても、見直す可能性はあると発言されています。ところが、福岡厚生労働大臣、平デジタル大臣は、十二月二日の廃止時期を堅持すると発言されています。総理、廃止時期は見直すということでよろしいですか。
また、石破総理は、総裁選に際して、九月八日、記者団に対し、二〇二四年十二月の廃止時に不利益を被る国民が一定数いた場合には、現行の紙の保険証と当面併用することも選択肢として当然だとおっしゃいました。この併用とは、元々移行の猶予期間として併用が認められている十二月二日からの一年間を指すのではなく、それ以降もずっと併用できるという理解でよろしいでしょうか。十二月に押し迫っている大切な問題です。御確認をお願いいたします。
農業に関して伺います。
さきの国会で食料供給困難事態対策法が成立しました。この法律は、緊急事態時に食料不足が生じた場合、どの程度の食料確保が可能かを把握するため、農家に対し、政府に計画の提出を義務づけるものです。万一、計画の提出を怠った場合、二十万円の罰金が科されます。罰金なんてあんまりだと、全国の生産者の方、国民の皆様から怒りの声が上がっています。
食料安全保障が重要だと政府は言いながら、物価高で深刻な経営危機にある酪農家や畜産農家を救えず、廃業する農業従事者が増えています。ただでさえ厳しい経営の中、農家に更なる負担、そして罰金を科すような法律を撤回すべきです。総理の見解を伺います。
農家の皆様は、私たち国民の命の基である食べ物を作るため、毎日汗を流し、寒い日も暑い日も一生懸命に働いていらっしゃいます。その農業に携わる方の平均年齢は六十八歳です。先日、私も、農作業をしていらっしゃる方と話しました。今年の夏は暑過ぎだ、体がきつい、来年には畑に出られる自信がない、昔と違う、温暖化の影響かなとおっしゃっていました。総理、この就農者の高齢化、どう解決していくおつもりでしょうか。具体的に教えてください。
若い世代が農業をやってみようと思ってもらうため、立憲民主党は、就農準備資金、経営開始資金、雇用就農資金、技術面でのサポート体制の整備など、具体策を提案しています。石破政権の具体策をお示しください。
原子力政策に関してお伺いします。
自民党の総裁選で、石破総理は、原発への依存度を下げると明言されました。原発はもはや安い電源ではないというのが世界の認識です。武力攻撃の標的になる危険性や、地震の多い日本において、絶対の安全はありません。立憲民主党は、再生可能エネルギーにシフトし、原発に依存しない日本のロードマップを作成していますが、自民党はいかがでしょうか。
総理、まさか、現行のエネルギー基本計画に記載されている、可能な限り原発依存度を低減するという文言を削除することはないですよね。総理の見解を求めます。
憲法改正についてお尋ねします。
本年八月に出版された総理の御著書「保守政治家」では、憲法改正に関し、戦力不保持をうたった九条二項を削除し、現在の自衛隊を国防軍に改め、憲法に明記するべきと強調しています。一方、自民党の改憲四項目では、現行の九条一項、二項は残し、自衛隊を明記するとなっています。
石破総理、戦力の不保持と交戦権を認めない憲法九条の二項は削除するのですか、残すのですか。総選挙を控えて、総理御自身のお考えが有権者の重要な判断材料となります。憲法審査会の議論になどと逃げずに、明確にお答えください。
政治の信頼回復に関して伺います。
調査研究広報滞在費、通称旧文通費の使途公開についてお尋ねします。
私たち立憲民主党は、二〇二二年十一月に、使い道は全て公開すること、そして、余ったお金の返還を義務づける法案を提出しています。石破総理、調査研究広報滞在費の使途公開と国庫返納は自民党として賛成ですか。お答えください。賛成であるならば、次の国会で実現しようではありませんか。この場でお約束ください。
旧統一教会に関してお伺いします。
岸田前総理は、二〇二二年八月十一日、内閣改造後の記者会見で、自民党と統一教会には組織的な関係はないとの認識を従来示していると発言されており、国会でも、組織的な関係はないと何度も答弁されています。しかし、九月十七日の朝日新聞で、二〇一三年の参議院選挙の直前、当時の安倍総理が自民党本部の総裁応接室で教団関係者と面会していたことが、その写真とともに報道されました。石破総理に伺います。この写真を見てもまだ、自民党と旧統一教会との間には組織的な関係がなかったとお考えですか。確認した上でお答えください。
また、石破総理御自身も、二〇一五年六月二十五日、旧統一教会関連団体の世界戦略総合研究所の定例会で講演をしたり、旧統一教会関連企業の世界日報の元社長から十万円の献金を受け取っていたりしたことが明らかになっています。これらは事実ですか。また、これら以外に、イベントへの参加や選挙支援などを受けたことは本当にありませんか。
石破内閣では、総理以外にも、岩屋外務大臣、加藤財務大臣、小里農水大臣、武藤経産大臣、林官房長官、坂井国家公安委員長、赤澤経済再生担当大臣、城内経済安全保障担当大臣、伊東沖縄北方対策担当大臣が、旧統一教会や関連団体のイベントに出席をしたり、祝電を送ったり、選挙支援を受けたりと、内閣の半数が接点を持っています。この閣僚の皆様は、接点があったことを認め、弁明しておられますが、牧原秀樹法務大臣も、二〇二一年六月六日、さいたま市で開かれた、祝福結婚と希望前進大会二〇二一イン埼玉に出席していたと報道されています。牧原法務大臣、この集会に出席されたことは事実ですか。
自民党の自主点検はずさんなのではありませんか。より踏み込んだ形で、第三者委員会等の外部による調査を受け入れ、全ての野党が求める、これまでの関係やその影響について徹底した調査をし、公表する意思はありますか。石破総理、明確にお答えください。
自民党は、次期衆議院総選挙での公認に当たり、裏金議員には再発防止策を講じる旨の誓約書を提出させるそうですが、石破総理、旧統一教会との関係を一切遮断することについても、同じように誓約書を出させるべきではありませんか。二〇二三年の統一地方選挙では、旧統一教会との関係断絶を書面で誓約させることを公認の条件とした都道府県連もありましたが、国会議員にも同様の対応が必要ではないでしょうか。お答えください。
最後に、総裁選で総理は、国民は政治を信じていない、そうでしょう、じゃ、我々政治家は国民を信じているのか、そのうち忘れる、そんなこと思ってはいけません、どうせ分かりはしない、そんなこと思ってはいけませんとおっしゃいました。そのお言葉に私は心から拍手を送りました。しかし、総理になった途端、言うことが変わってしまいました。
総理就任前に衆議院解散を宣言し、予算委員会は開催せず、旧統一教会問題は再調査しない。選択的夫婦別姓への意欲は消えてしまい、現行保険証の廃止時期の見直しもしない。やるとおっしゃった金融所得課税の強化、法人税の増税への言及はなし。これだけ多くの言行不一致があります。
安倍総理、菅総理とアベノミクスが続きましたが、滴り落ちる滴はなく、国民生活は苦しくなり、格差が広がりました。強いものをより強くする自民党。自民一強のおごりが表れた強引な国会運営。岸田総理なら変えてくれるかもと期待しましたが、裏金問題と統一教会で混乱。今度こそ石破総理ならと期待しましたが、もはや何を信じていいのか分かりません。
今、国民の皆様が見ているのは、結局、誰がトップになっても変われない自民党です。石破総理でも自民党を変えられないなら、我々がやるしかありません。生活が懸かっています。
私たち立憲民主党は、徹底的に賃金アップ、男女の賃金格差をなくし、非正規雇用から正社員に、そして選択的夫婦別姓を実現します。教育の無償化で、誰にでもチャンスのある日本を。そして、医療、介護、保育と手厚い社会保障で、全力で国民を支える。国民の皆様の期待に応え、政権交代を実現することをお誓い申し上げ、私の質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕
2024-10-07
第214回国会(臨時会) 衆議院 本会議 第3号 発言No.25全文を見る小野寺五典議員の御質問にお答えを申し上げます。
政治の信頼回復に向けた決意についてのお尋ねを頂戴いたしました。
議員御指摘のとおり、また岸田前総理も常々おっしゃっておられたように、信なくば立たず、国民の信頼なくして政治の安定はなく、政治の安定なくして政策の推進もありません。国民の皆様方からの信頼を取り戻すため、ルールを守る政治を確立し、政治家のための政治ではない、国民のための政治を実現していく決意であります。
まずは、政治資金収支報告書の不記載が指摘された議員一人一人と改めて向き合い、反省を求めて、ルールを守る倫理観の確立に全力を挙げてまいります。
また、政治のために金が必要であるならば、国民の皆様方にそれを丁寧に説明し、節度を持って集めたお金を、限りない透明性を持って国民に向けて公開することを確立いたします。改正政治資金規正法を徹底的に遵守することは当然のこと、政策活動費の将来的な廃止も念頭に、その在り方の検討や透明性の確保に取り組むなど、政治資金の透明性を更に高めるための努力を最大限にいたしてまいります。
能登半島の復旧復興に向けた決意と我が国の防災体制の強化などについてのお尋ねをいただきました。
大地震と豪雨により度重なる被害を受けた能登半島につきましては、不安を抱えられる被災者の方々の生活を支援しつつ、一日も早く被災前の活気ある町並みを取り戻すため、激甚災害の指定のほか、災害廃棄物処理における地震と豪雨の一体的取扱いなどの取組を推進し、復旧と創造的復興を一層加速してまいります。
また、人命最優先の防災立国を構築するため、平時から不断に万全の備えを行う防災庁の設置に向けた準備、被災者に温かい食事や安心ができる居住環境を速やかに提供するための官民連携体制の構築等を進めてまいります。
避難所の在り方につきましては、これは、東日本大震災大津波のときに、小野寺議員はまさしく被災者のお一人として体験をされ、いろいろなことを私もお教えをいただきました。今後とも、いろいろなお教えを賜りながら、避難所の境遇改善に努めてまいる所存であります。
防災・減災、国土強靱化につきましては、予算を確保して五か年加速化対策を着実に推進するとともに、実施中期計画の策定にも早期に取りかかっており、万全を期してまいります。
当面の物価高対策、物価高に負けない賃上げ、成長と分配の好循環の実現に向けた取組についてであります。
物価上昇を上回って賃金が上昇し、設備投資が積極的に行われる、成長と分配の好循環が回り出すまでの間、足下で物価高に苦しむ方々への支援が必要であります。当面の対応として、物価高の影響を特に受ける低所得世帯向けの給付金や、地域の実情に応じたきめ細かい対応のための重点支援地方交付金を始め、総合的な対応を図ります。
適切な価格転嫁と生産性向上支援により、中小企業等が賃上げを行う環境整備に取り組みます。また、個人のリスキリングなど人への投資を強化し、事業者のデジタル環境整備も含め、官民挙げての思い切った投資を実現いたします。
農林水産業につきまして、輸入肥料、飼料の高騰を踏まえ、国産肥料、飼料の積極活用を支援するとともに、施設園芸や水産分野への燃油高騰対策を着実に実施いたしてまいります。
こうした取組により、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現し、日本経済の未来をつくり、日本経済を守り抜いてまいります。
成長戦略としての成長投資についてであります。
日本経済が三十年続いたデフレ経済から脱却し、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現するために、国内における成長投資の拡大は極めて重要であります。
私の政権では、イノベーションを促進すること等による高付加価値創出や生産性の向上、意欲ある高齢者が活躍できる社会を実現し、我が国GDPの五割超を占めます個人消費を回復させ、消費と投資を最大化する成長型経済を実現します。
このため、コストカット型経済から高付加価値創出型経済へ移行しながら、半導体に加え、地域経済の活性化にも資する蓄電池、洋上風力、バイオ等の成長投資を加速いたしてまいります。
資産運用立国、投資大国の実現についてのお尋ねを頂戴いたしました。
貯蓄から投資への流れを着実なものとし、国民の資産形成を後押しする資産運用立国を引き継ぐとともに、産業に思い切った投資が行われる投資大国に向けた施策を講じます。
具体的には、幅広い層の家計が長期安定的な資産形成を実現するとともに、企業の統治、経営の改革を強化して、持続的、構造的な賃上げと投資を促進し、社会課題解決やスタートアップといった、まだ十分に発達の余地がある分野への資金供給を促進してまいります。
政権の外交、安全保障の基本方針について、また、自衛隊員の処遇改善等につきましてのお尋ねを頂戴いたしました。
我が国は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面いたしております。そうした現状を踏まえ、私は、現実的な国益を踏まえた外交により、日米同盟を基軸に、友好国、同志国の輪を広げ、外交力、防衛力の両輪で、我が国の平和、地域の安定を実現してまいります。その際、自由で開かれたインド太平洋というビジョンの下、法の支配に基づく国際秩序を堅持し、地域の安全と安定を一層確保するための取組を主導いたしてまいります。
同時に、防衛力の抜本的強化を実現し、抑止力、対処力を高めてまいります。こうした外交力、防衛力を含む総合的な国力を結集して、我が国を断固として守り抜いてまいります。
防衛力の最大の基盤は自衛官であり、自衛官の生活、勤務環境や処遇の改善、新たな生涯設計の確立につきましては喫緊の課題であると認識をいたしております。私を長とする関係閣僚会議を早期に立ち上げ、具体的な取組内容について早急に検討し、成果を得るものといたします。
北朝鮮への対応についてのお尋ねを頂戴いたしました。
我が国の目指す方針は、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化を実現するというものであります。
とりわけ、拉致被害者やその御家族も御高齢となられる中で、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人道問題であるとともに、その本質は国家主権の侵害であり、政権の最重要課題であります。
また、北朝鮮による核・ミサイル開発は断じて容認できず、毅然として対応いたします。
全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現するとともに、北朝鮮との諸問題を解決するため、私自身の強い決意の下、総力を挙げて取り組んでまいります。
地方創生についてのお尋ねを頂戴いたしました。
私が十年前に初代地方創生担当大臣として地方創生推進交付金の創設などに取り組んで以来、交付金などを活用し、住民の方々が気持ちを一つにして地方創生の取組に頑張っておられる姿を、全国各地でたくさん見てまいりました。
産官学金労言の、地域の多様な関係者が知恵を出し合い、その可能性を最大限に引き出し、希望と幸せを実感する社会こそが地方創生のあるべき姿と考えております。その実現に向け、新しい地方経済・生活環境創生本部を創設し、今後十年間集中的に取り組む基本構想を策定いたします。
地方の成長の根幹であります農林水産業につきましては、その持てる力を最大限に引き出します。担い手の育成、確保に努めつつ、直交集成板、いわゆるCLTなど新たな農林水産品の積極活用、スマート技術の導入、世界市場に向けた輸出の取組を支援します。中山間地域を始めとする農山漁村の振興、海業の全国展開など、漁業、水産業の活性化を図ります。農林水産業も含めて、全国各地の取組を一層強力に支援するため、地方創生の交付金を当初予算ベースで倍増することを目指します。
地方こそ成長の主役です。地方創生をめぐる、これまでの成果と反省を生かし、地方創生二・〇として再起動させてまいります。
教師の処遇改善と教職員定数の改善等についてお尋ねを頂戴いたしました。
教師に優れた人材を確保するためにも、教師を取り巻く環境の整備は喫緊の課題であり、教師の担う業務の更なる厳選、見直しなどの働き方改革や、給与面を含む教師の処遇改善、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援を一体的に進め、公教育の再生に全力を挙げてまいります。
憲法改正についてのお尋ねでありますが、内閣総理大臣の立場からは憲法改正についての具体的な議論の進め方等について直接申し上げることは控えますが、自由民主党総裁としてあえて申し上げれば、小野寺議員御指摘のとおり、我が党では、緊急事態条項の在り方、憲法における自衛隊の明記等について活発な議論が行われ、論点整理等が進められてきたところであります。私も、自民党総裁として、これら議論の積み重ねを引き継ぎ、後戻りさせることなく前に進めていく決意であります。
2024-10-07
第214回国会(臨時会) 衆議院 本会議 第3号 発言No.37全文を見る石井啓一議員の御質問にお答えをいたします。
政治改革の取組についてお尋ねがありました。
政策活動費の透明性確保や、政治資金に関する独立性が確保された機関の設置、調査研究広報滞在費の使途の明確化、公開、残金返納につきましては、いずれも政治活動の透明性を高めるものとして大変重要であると認識をしており、我が党と御党との連立政権合意書におきましても、これらの課題に取り組むことが明記をされております。特に、政策活動費につきましては、将来的な廃止も念頭に、その在り方の検討や透明性の確保に取り組んでまいります。
これらの議論を加速するため、自民党におきましても、総裁直轄の政治改革本部を設置することといたしました。国民の皆様方にもう一度政治を信頼していただくためには、早期に結論を得られるよう、党内での検討、各党各会派との真摯な協議を進めてまいります。
物価高対策についてお尋ねがございました。
物価上昇を上回って賃金が上昇するといった成長と分配の好循環が確実に回り出すまでの間、足下で物価高に苦しむ方々への支援が必要であります。
そのため、経済対策を早急に策定し、当面の対応として、物価高の影響を特に受ける低所得者世帯向けの給付金や、地域の実情に応じたきめ細かい対応のための重点支援地方交付金を始め、総合的な対応を図ります。
エネルギーコストを含めた物価高対策につきましては、状況を丁寧に見極めながら、これらの給付金や地方交付金を含め、今後、経済対策について議論していく中で、総合的に検討いたしてまいります。
下請法の改正及び中小企業の持続的な賃上げに向けた取組についてお尋ねをいただきました。
中小企業の持続的な賃上げに向けましては、事業者が賃上げの原資を確保できるよう、サプライチェーン全体で適切な価格転嫁を定着させていくための取引環境を整備していくことが必要であります。
政府といたしましては、現在、下請法の改正も含めた検討に取り組んでおり、石井代表の御指摘も踏まえ、引き続き、このような価格転嫁の取組や生産性向上支援など、中小企業の持続的な賃上げを実現するための施策を推進いたしてまいります。
教育費負担の軽減についてお尋ねを頂戴いたしました。
教育費につきましては、特に高等教育費について、本年度から、授業料の減額等の対象を多子世帯の中間層等に拡充、令和七年度から、無償化の対象となる多子世帯の所得制限をなくすことといたしており、まずはこうした拡充を着実に実施に移してまいります。その上で、教育の機会均等や少子化対策の観点から、その効果を見極めつつ取り組んでまいります。
また、学校給食費の無償化につきましては、学校給食の実態調査を受け、石井代表の御指摘も踏まえ、関係省庁が連携し、児童生徒間の公平性、国と地方との役割分担、政策効果、法制面等の課題を整理した上で検討いたしてまいります。
若者の政治参画及び可処分所得の向上についてのお尋ねをいただきました。
若者が政策形成過程に参画することにより、若者の状況やニーズをより的確に踏まえることができ、様々な施策がより実効性のあるものとなることが期待できます。若者議会を始め、若者の政治参画を促進する各地の先進的な取組について、事例、動画集の活用等により、周知、普及に取り組んでまいります。
その上で、御指摘の被選挙権年齢や供託金の在り方につきましては、選挙制度の根幹に関わる事柄でありますことから、各党各会派で十分御議論いただくべき問題であると考えております。
若者の所得向上に向けては、公的職業訓練の実施や教育訓練給付の拡充などのリスキリング支援、正社員への転換に取り組む事業主への支援やハローワークにおけるきめ細かな就職支援に取り組んでまいります。
女性活躍についてお尋ねを頂戴いたしました。
女性活躍、男女共同参画は、全ての人が生きがいを感じられる、多様性が尊重される社会を実現するとともに、我が国の経済社会の持続的な発展に不可欠な要素であると考えております。
意思決定の在り方を劇的に変えていくため、社会のあらゆる組織の意思決定に女性が参画することを官民の目標とし、達成への指針を定め、計画的に取り組みます。
また、情報公表、分析の拡大による男女間賃金格差の是正や、柔軟な働き方の推進による仕事と育児、介護の両立など、多くの女性に社会活動を長く続けていただけるにはどうすればよいか、国民的議論を主導し、制度改革を実現いたしてまいります。
能登半島地震の復興加速に向けた決意と、防災・減災、国土強靱化の取組などについてのお尋ねを頂戴いたしました。
大地震と豪雨により度重なる被害を受けた能登半島について、不安を抱える被災者の方々の生活を支援しつつ、一日も早く被災前の活気ある町並みを取り戻すため、激甚災害の指定のほか、災害廃棄物処理における地震と豪雨の一体的取扱いなどの取組を推進し、復旧と創造的復興を一層加速いたしてまいります。
また、人命最優先の防災立国を構築するため、現在の内閣府防災担当の機能を予算、人員の両面において抜本的に強化いたしますとともに、代表の御指摘を踏まえ、平時から不断に万全の備えを行う防災庁の設置に向けた準備を進めてまいります。
防災・減災、国土強靱化につきましては、予算を確保して五か年加速化対策を着実に実施するとともに、実施中期計画の策定にも早期に取りかかっており、万全を期してまいります。
避難所の環境改善についてお尋ねをいただきました。
発災後、速やかに、避難所にトイレ、キッチンカー、ベッド、風呂等を配備し、被災者に安心していただける居住環境を提供することは極めて重要であると考えております。
御指摘いただきましたスフィア基準を十分に踏まえながら避難所の在り方を見直しますとともに、避難所で使用するベッド、トイレ等の資機材の備蓄に関し、有効な取組を支援する仕組みを構築するなど、避難所の環境改善のための取組を着実に進めてまいります。
農林水産業の支援についてお尋ねをいただきました。
新たな食料・農業・農村基本法の下、最初の五年間に計画的かつ集中した施策を講じる中で、担い手不足に対応したスマート技術の導入、気候変動に対応した高温耐性のある新品種の開発導入などを進めてまいります。循環型林業など強い林業づくりや、海洋環境の変化を踏まえた操業形態や養殖業への転換、海業の全国的展開など、漁業、水産業の活性化にも取り組んでまいります。
人件費、資材費などの恒常的なコストを考慮した合理的な価格形成の仕組みについて、法制化に向けた検討を進めてまいります。
これらによる所得の向上等を通じ、魅力ある農林水産業の実現を図ってまいります。
我が国と国際社会の平和に向けた外交政策についてお尋ねがありました。
国際社会の分断と対立が進む中、私は、現実的な国益を踏まえつつ、対話と協力を通じて、国際社会の平和と繁栄のため取り組んでまいります。
御指摘のカンボジアとの協力によるウクライナの地雷除去支援を含め、対ウクライナ支援を今後とも強力に推し進めてまいります。
アジアにおける対話外交につきましては、ASEANが地域協力の中心として重要な役割を担っており、米中ロも参加する多層的な枠組みがございます。
我が国としては、引き続き、こうした枠組みへの積極的な参画及びその強化に取り組んでいく考えであります。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をいたさせます。
〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇〕
2024-10-04
第214回国会(臨時会) 参議院 本会議 第2号 発言No.4全文を見るこの度、第百二代内閣総理大臣に就任いたしました。
すべての人に安心と安全を。
私は、日本国内閣総理大臣として、全身全霊を捧げ、日本と日本の未来を守り抜いてまいります。
この決意を申し上げるに当たり、まずは、政治資金問題などをめぐり、国民の政治不信を招いた事態について、深い反省とともに触れねばなりません。
政治資金問題に際し、岸田総理は、自由民主党内の派閥解消や政治資金規正法改正などに取り組まれた後に、所属議員が起こした事態について、組織の長として責任を取るために退任されました。これらは、全て、政治改革を前に進めるとの思いを持って決断されたものでした。
また、岸田内閣の三年間は、経済、エネルギー政策、こども政策、安全保障政策、そして外交政策など、幅広い分野において、具体的な成果が形になった三年でありました。岸田総理の御尽力に、心より敬意を表します。
その思いや実績を基に、私は、政治資金問題などにより失った国民の皆様方からの信頼を取り戻し、そして、すべての人に安心と安全をもたらす社会を実現してまいります。
千年単位で見ても類を見ない人口減少、生成AI等の登場による急激なデジタルの進化、約三十年ぶりの物価上昇。我が国は大きな時代の変化に直面しています。この変化に対し、政治は十分に責任を果たしてきたでしょうか。
政治資金問題で失われた政治への信頼を取り戻すとともに、これまで以上に、我が国が置かれている状況を国民の皆様方に説明し、納得と共感を頂きながら安全安心で豊かな日本を再構築する。それが政治の責任です。
そのために、私は、ルールを守る、日本を守る、国民を守る、地方を守る、若者・女性の機会を守る、これらの五本の柱で、日本の未来を創り、そして、未来を守ります。
国民の皆様からの信頼を取り戻す。そのために、政治家のための政治ではない、国民のための政治を実現してまいります。
政治資金収支報告書への不記載の問題については、まずは、問題を指摘された議員一人一人と改めて向き合い、反省を求め、ルールを守る倫理観の確立に全力を挙げます。
それぞれの政治家が国民一人一人と誠実に向き合い、改正された政治資金規正法を徹底的に遵守し、限りない透明性を持って国民に向けて公開することを確立せねばなりません。国民の皆様方にもう一度、政治を信頼していただくため、私自身も説明責任を果たし、更に透明性を高める努力を最大限していくことを固くお約束申し上げます。
激変する安全保障環境から日本を守り抜きます。国連安全保障理事会の常任理事国であるロシアによるウクライナ侵略は未だに続いており、戦火は絶えません。今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない。そのような不安を多くの方々が抱いております。何故ウクライナにおいて抑止力が効かなかったのか、私は強い思いを持っております。中東情勢なども相まって、国際社会は分断と対立が進んでいます。
そうした現状を踏まえ、私は、現実的な国益を踏まえた外交により、日米同盟を基軸に、友好国・同志国を増やし、外交力と防衛力の両輪をバランスよく強化し、我が国の平和、地域の安定を実現します。その際、自由で開かれたインド太平洋というビジョンの下、法の支配に基づく国際秩序を堅持し、地域の安全と安定を一層確保するための取組を主導してまいります。
日米同盟は、日本外交・安全保障の基軸であり、インド太平洋地域と国際社会の平和と繁栄の基盤です。まずはこの同盟の抑止力・対処力を一層強化します。加えて、同志国との連携強化に取り組んでまいります。先日は、早速バイデン米国大統領に加え、韓国、豪州、G7各国の首脳と電話会談を行いました。
現下の戦略環境の下、日韓が緊密に連携していくことは、双方の利益にとって極めて重要です。日韓間には難しい問題もありますが、来年に国交正常化六十周年を迎えることも見据え、岸田総理が尹大統領との間で築かれた信頼関係を礎に、日韓両国の協力を更に堅固で幅広いものとしていきます。また、日米韓で一層緊密に連携していきます。
中国に対しては、戦略的互恵関係を包括的に推進し、あらゆるレベルでの意思疎通を重ねてまいります。一方、中国は、東シナ海や南シナ海における力による一方的な現状変更の試みを、日々、強化しております。先月には、幼い日本人の子供が暴漢に襲われ、尊い命を失うという痛ましい事件が起きました。これは断じて看過しがたいことであります。我が国として主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案を含め対話を行い、共通の諸課題については協力する、建設的かつ安定的な関係を日中双方の努力で構築していきます。日中韓の枠組みも前進させます。
拉致被害者やその御家族が高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人道問題、国家主権の侵害であり、政権の最重要課題です。日朝平壌宣言から二十年余り、残された拉致被害者たちの御帰国が実現していないことは痛恨の極みです。
日朝平壌宣言の原点に立ち返り、すべての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現するとともに、北朝鮮との諸問題を解決するため、私自身の強い決意の下で、総力を挙げて取り組んでまいります。
対露制裁、対ウクライナ支援は今後とも強力に推し進めます。日露関係は厳しい状況にありますが、我が国としては、領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持いたします。
ASEANとの連携強化に引き続き取り組みます。グローバルサウスとの関係強化や、軍縮不拡散、気候変動など地球環境、地球規模課題への取組を進めてまいります。また、在外邦人の安全確保に全力を尽くしてまいります。
我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しております。中国及びロシアによる一連の領空侵犯も発生しました。これは、我が国の主権の重大な侵害であります。北朝鮮は、核・ミサイル開発を継続し、近年、かつてない高い頻度で弾道ミサイルの発射を繰り返しておるほか、米国を射程に収める長射程ミサイルの開発も追求しております。これは、国連安保理決議違反であり、我が国のみならず、地域、国際社会の平和と安全を脅かすものです。このような中、国家安全保障戦略等に基づき、我が国自身の防衛力を抜本的に強化すべきことは論を俟ちません。
防衛力の最大の基盤は、自衛官です。いかに装備品を整備しようとも、防衛力を発揮するためには、人的基盤を強化することが不可欠です。日本の独立と平和を守る自衛官の生活・勤務環境や処遇の改善に向け、総理大臣を長とする関係閣僚会議を設置し、その在り方を早急に検討し成案を得るものといたします。
先の大戦中、沖縄では、国内最大の地上戦が行われ、多くの県民が犠牲になられたこと、戦後二十七年間、米国の施政下に置かれたことなどを、私は決して忘れません。基地負担の軽減にも引き続き取り組みます。在日米軍の円滑な駐留のためには、地元を含む国民の御理解と御協力を得ることが不可欠です。普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し、辺野古への移設工事を進めます。また、未だ全国最下位である一人当たりの県民所得や、子どもの貧困の問題などの課題も存在します。沖縄振興の経済効果は十分に域内に波及しているのだろうか、そしてそれが、本当に実感していただけているのだろうか。沖縄の皆様の思いに向き合い、沖縄経済を強化すべく支援を継続いたします。
少子化とその結果生ずる人口減少は、国の根幹にかかわる課題、いわば静かな有事です。
今の子育て世代が幸せでなければ、少子化の克服はありません。子育て世帯の意見に十分に耳を傾け、今の子育て世帯に続く若者が増えるよう、子育て支援に全力を挙げます。こども未来戦略を着実に実施するとともに、社会の意識改革を含め、短時間勤務の活用や生活時間・睡眠時間を確保する勤務間インターバル制度の導入促進など、働き方改革を強力に推し進めます。さらに、少子化の原因を分析し、子育て世代に寄り添った適切な対策を実施します。
少子化をめぐる状況は地域によって異なります。婚姻率が低い県は、人口減少率も高いことは厳然たる事実です。若年世代の人口移動を見ると、この十年間で全国三十三の道県で男性より女性の方が多く転出する状況となっております。若者・女性に選ばれる地方、多様性のある地域分散型社会を作っていかなければなりません。それぞれの地域において、地方創生と表裏一体のものとして若者に選ばれる地域社会の構築に向け、全力で取り組んでまいります。
日本経済のデフレ脱却を確かなものとし、日本経済の未来を創り、日本経済を守り抜きます。その中で、デフレ脱却を最優先に実現するため、経済あっての財政との考え方に立った経済・財政運営を行い、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現しつつ、財政状況の改善を進め、力強く発展する、危機に強靱な経済・財政を作ってまいります。
イノベーションを促進すること等による高付加価値創出や生産性の向上、意欲ある高齢者が活躍できる社会を実現し、我が国GDPの五割超を占める個人消費を回復させ、消費と投資を最大化する成長型経済を実現します。
このため、コストカット型経済から高付加価値創出型経済へ移行しながら、持続可能なエネルギー政策を確立し、イノベーションとスタートアップ支援を強化してまいります。また、経済安全保障の観点から、半導体等のサプライチェーンの国内回帰を含む強靱化や技術流出対策等を進めます。あわせて、能動的サイバー防御の導入に向けた検討を更に加速させるなど、サイバーセキュリティの強化に取り組みます。柔軟な社会保障制度の再構築を実現するとともに、データに基づき財政支出を見直し、ワイズ・スペンディングを徹底してまいります。
私は、国全体の経済成長のみならず、国民一人当たりのGDPの増加と、満足度、幸福度の向上を優先する経済の実現を目標とします。そのために、官民で総合的な幸福度・満足度の指標を策定・共有し、一人一人が豊かで幸せな社会の構築を目指します。
日本の経済を守り、国民生活を守り抜きます。
生鮮食品、エネルギーなどの物価高に国民の皆様は直面しておられます。物価上昇を上回る賃金上昇を定着させ、国民の皆様に生活が確かに豊かになったとの思いを持っていただかなければなりません。
日本経済がコストカット型の対応を続けてきた失われた三十年とコロナ禍での苦難の三年間を乗り越え、経済状況は改善し、賃金もようやく上がるようになってきました。しかしながら、国民の皆様に安心して消費をしていただける経済になるまでは道半ばです。
こうした中、賃上げと人手不足緩和の好循環に向けて、一人一人の生産性を上げ、付加価値を上げ、所得を上げ、物価上昇を上回る賃金の増加を実現してまいります。適切な価格転嫁と生産性向上支援により最低賃金を着実に引き上げ、二〇二〇年代に全国平均千五百円という高い目標に向かってたゆまぬ努力を続けます。そのために、政府として、自由に働き方を選択しても不公平にならない職場づくりを目指した個人のリスキリングなど人への投資を強化し、事業者のデジタル環境整備も含め、将来の経済のパイを拡大する施策を集中的に強化いたします。
高付加価値のモノとサービスを、グローバル市場において、適正な価格で売ることのできる経済を実現します。輸出企業の競争力を強化し、中小企業を中心とする高付加価値化、労働分配率の向上、官民挙げての思い切った投資を実現します。
物価上昇を上回って、賃金が上昇し、設備投資が積極的に行われるといった成長と分配の好循環が確実に回り出すまでの間、足下で物価高に苦しむ方々への支援が必要です。こうした物価高への対応に加えて、成長分野に官民を挙げての思い切った投資を行い、賃上げと投資が牽引する成長型経済の実現を図るため、経済対策を早急に策定し、その実現に取り組みます。当面の対応として、物価高の影響を特に受ける低所得者世帯への支援や、地域の実情に応じたきめ細かい対応を行うこと、構造的な対応としてのエネルギーコスト上昇に強い社会の実現など物価高の克服。新たな地方創生施策の展開、中堅・中小企業の賃上げ環境整備、成長力に資する国内投資促進など日本経済・地方経済の成長。能登地域をはじめとする自然災害からの復旧・復興、防災・減災、国土強靱化の推進、外交・安全保障環境の変化への対応、誰も取り残さない社会の実現など国民の安心・安全の確保を柱とします。
エネルギーの安定的な供給と安全の確保は喫緊の課題です。AI時代の電力需要の激増も踏まえつつ、脱炭素化を進めながらエネルギー自給率を抜本的に高めるため、省エネルギーを徹底し、安全を大前提とした原子力発電の利活用、国内資源の探査と実用化と併せ、我が国が高い潜在力を持つ地熱など再生可能エネルギーの最適なエネルギーミックスを実現し、日本経済をエネルギー制約から守り抜きます。このため、GXの取組を加速させ、アジア諸国の多様な取組を日本の技術力や金融力で支援し、同時に、アジアの成長力を我が国に取り込んでいきます。
日本経済の活性化と成長を加速させるため、科学技術・イノベーション、宇宙などフロンティアの開拓を推進するとともに、スタートアップ支援策を引き続き強化していきます。政府のスタートアップ育成五か年計画を着実に進め、アジア最大のスタートアップハブを実現します。AIの研究開発・実装がしやすい環境を更に充実し、政府のAI政策の司令塔機能を強化します。
経済活動の基盤である金融資本市場の変革にも取り組みます。貯蓄から投資への流れを着実なものとし、国民の資産形成を後押しする資産運用立国の政策を引き継ぐとともに、産業に思い切った投資が行われる投資大国に向けた施策を講じます。
社会保障制度は、様々な境遇にある国民の方々に安心を提供するセーフティネットです。将来不安を取り除き、皆が安心して充実して暮らせる、こうした日本を実現することによって未来を守り、次の時代に負担を先送りしない。それが今を生きる我々の責任であります。
医療・年金・子育て・介護など、社会保障全般を見直し、国民の皆様に安心していただける社会保障制度を確立します。その際、今の時代にあった社会保障へと転換し、多様な人生の在り方、多様な人生の選択肢を実現できる柔軟な制度設計を行います。人口減少時代を踏まえ、意欲のある高齢者、女性、障害者などの就労を促進し、誰もが年齢に関わらず能力や個性を最大限生かせる社会を目指します。
子供、女性、高齢者をはじめ、全ての方々が安心して暮らせるよう犯罪対策を推進し、世界一安全な日本を実現します。
度重なる災害から、国民の生命、身体と財産を守り抜きます。
コロナ禍の最中は、ふるさとに戻ることすらできませんでした。やっと里帰りができるようになり、皆が待ちわびていた家族の団らんが、能登半島では、今年の元日、地震により一瞬にして奪われました。亡くなられた方々に哀悼の誠を捧げるとともに、被災されている方々に心よりお見舞いを申し上げます。その後さらに能登半島地震の被災地を豪雨が襲い、河川の氾濫や土砂災害が相次ぎ、多くの尊い人命が失われました。度重なる被災の前の活気ある能登を取り戻すため、復旧と創造的復興に向けた取組を一層加速してまいります。
全世界有数の災害発生国である、この日本において、近年の更なる風水害の頻発化・激甚化に早急に対処できる人命最優先の防災立国を構築しなければなりません。防災・減災、国土強靱化の取組を推進します。事前防災の徹底に向けて、まず、現在の内閣府防災担当の機能を予算・人員の両面において抜本的に強化するとともに、平時から不断に万全の備えを行うため、専任の大臣を置く防災庁の設置に向けた準備を進めてまいります。
日本では、ひとたび災害が起こると、被災者の方々は避難所で厳しい生活を強いられます。平成二十八年に起きた熊本地震では、直接亡くなられた方々の四倍もの方々が、避難生活の中で健康を崩されるなどして、災害関連死として亡くなられています。被災して大きな悲しみや不安を抱えている方々に手を差し伸べ、温かい食事、安心できる居住環境を提供することが必要です。災害関連死ゼロを実現すべく、避難所の満たすべき基準を定めたスフィア基準も踏まえつつ避難所の在り方を見直し、発災後速やかにトイレ、キッチンカー、ベッド・風呂を配備しうる平時からの官民連携体制を構築します。
福島の復興なくして、東北の復興なし。東北の復興なくして、日本の再生はありません。被災者の生活や、産業・生業の再建に全力で取り組んでまいります。一部の国・地域による日本産水産物の輸入停止に対し、岸田政権での取組を活かし、あらゆる機会をとらえて即時撤廃を強く求めるとともに、影響を受ける水産物の国内需要の拡大や新たな輸出先の開拓など、我が国水産業の更なる発展のために、政府として責任を持って支援を行ってまいります。
地方創生の原点に立ち返り、地方を守り抜きます。十年前に私は初代地方創生担当大臣を拝命し、文化庁の京都移転、それまでの補助金とは一線を画する地方創生推進交付金の創設はじめ、一生懸命取り組んでまいりました。以来、交付金などを活用し、住民の方々が気持ちを一つにして地方創生の取組に頑張っておられる姿を全国各地にたくさん見てまいりました。そして、その姿に勇気づけられてまいりました。
竹下総理はかつて、「地域が自主性と責任を持っておのおのの知恵と情熱を生かし、小さな村も大きな町もこぞって地域づくりをみずから考えみずから実践していく」と述べられました。産官学金労言、すなわち、産業界、行政機関、大学だけではなく中学校・高等学校も含めた教育機関、金融機関、労働者の皆さん、報道機関の皆さん。こうした地域の多様なステークホルダーが知恵を出し合い、地域の可能性を最大限に引き出し、都市に住む人も地方に住む人も、すべての人に安心と安全を保障し、希望と幸せを実感する社会。それが地方創生の精神です。今一度、地方に雇用と所得、そして、都市に安心と安全を生み出します。
地方こそ成長の主役です。地方創生をめぐる、これまでの成果と反省を活かし、地方創生二・〇として再起動させます。
全国各地の取組を一層強力に支援するため、地方創生の交付金を当初予算ベースで倍増することを目指します。
少子高齢化や人口減少に対応するため、デジタル田園都市国家構想実現会議を発展させ、新しい地方経済・生活環境創生本部を創設し、今後十年間集中的に取り組む基本構想を策定します。ブロックチェーンなどの新技術やインバウンドの大きな流れなどの効果的な活用も視野に入れ、国民の生活を守りながら、地方創生を実現してまいります。
地方の成長の根幹である農林水産業は、農山漁村の雇用と所得を生み出すとともに、国家の安全保障の一環でもあることから、その持てる力を最大限引き出してまいります。新たな基本法の下、最初の五年間に計画的かつ集中した施策を講ずることにより、食料安全保障の確保、環境と調和のとれた食料システムの確立、農林水産業の持続的な発展、中山間地域を始めとする農山漁村の振興を図ります。国内の生産基盤の維持の観点も踏まえ、農林水産物の輸出をより一層促進します。持続可能な食品産業への転換を促進し、循環型林業など強い林業づくりや、海洋環境の変化を踏まえた操業形態や養殖業への転換、海業の全国展開など漁業・水産業の活性化に取り組みます。
観光産業の高付加価値化を推進するとともに、文化芸術立国に向けた地域の文化、芸術への支援強化にも取り組みます。地域交通は地方創生の基盤です。全国で交通空白の解消に向け、移動の足の確保を強力に進めます。
地方創生に終わりはありません。地域づくりは人づくり。人材育成こそ全てです。私が先頭に立って、国・地方・国民が一丸となって地方創生に永続的に取り組む機運を高めてまいります。
二〇二五年大阪・関西万博は、世界と交流を深め、日本の魅力を世界に向けて発信する絶好の機会です。多くの方に来場いただき、楽しみ、そしてそれぞれの将来に夢と希望を持ってもらう、またとない機会です。成功に向け関係者と心を合わせ取り組んでまいります。
若者・女性、それぞれの方々の幸せ、そして人権が守られる社会にしていかなければなりません。
人づくりこそ国づくり。この考え方のもと、デジタル技術の活用を前提に、自ら考え、自由に人生を設計することができる能力の育成を目指します。あらゆる人が、最適な教育を受けられる社会を実現します。教職員の処遇見直しを通じた公教育の再生に全力を挙げます。
強靱で持続性のある稼げる日本の再構築のためには、教育やリスキリングなどの人的資源への最大限の投資が不可欠です。人生のあらゆる局面で何度でも必要な学びが得られる体制を整備します。
意思決定の在り方を劇的に変えていくため、社会のあらゆる組織の意思決定に女性が参画することを官民の目標とし、達成への指針を定め、計画的に取り組みます。男女間の賃金格差の是正は、引き続き喫緊の課題です。多くの女性に社会活動を長く続けてもらえるにはどうすればよいか、国民的議論を主導して制度改革を実現します。
コロナ禍で増加した女性の自殺者数が高止まりし、こども・若者の自殺者数が増加傾向にあることを踏まえ、自殺総合対策を強力に進めます。
憲法改正について、私が総理に在任している間に発議を実現していただくべく、今後、憲法審査会において、与野党の枠を超え、建設的な議論を行い、国民的な議論を積極的に深めていただくことを期待します。
日本にとって、皇位の安定的な継承等は極めて重要なことです。とりわけ皇族数の確保は喫緊の課題です。国会において、早期に立法府の総意が取りまとめられるよう、積極的な議論が行われることを期待します。
私は、議員になる一年前の昭和六十年、渡辺美智雄代議士の、政治家の仕事は勇気と真心をもって真実を語る言葉、語ることだとの言葉に大きな感銘を受けました。爾来四十年、こうありたいと思い続け、今、この壇上に立っております。政治を信じていただいている国民の皆様が、決して多くはないことを私は承知をいたしております。しかし、政治は国民を信じているのでしょうか。どうせ分かってはもらえない、そのうち忘れてしまうだろうなどと思ってはいないでしょうか。国民を信じない政治が、国民の皆様方に信じていただけるわけはありません。勇気と真心をもって真実を語り、国民の皆様方の納得と共感を得られる政治を実践することにより、政治に対する信頼を取り戻し、日本の未来を創り、日本の未来を守り抜く決意です。
以上、私の思いを申し述べました。
かつての日本は、今ほど豊かではなかったかもしれません。しかし、もっとお互いを思いやる社会でした。皆に笑顔がありました。いつの間にか、日本はお互いが足を引っ張り合ったり、悪口を言い合ったりするような、そんな社会になってしまったのではないでしょうか。私は、もう一度、全ての国民の皆様へ笑顔を取り戻したい。
すべての人に安心と安全を。
国民の皆様、並びに、この場に集う全国民を代表される国会議員の皆様の御理解と御協力を切にお願い申し上げます。
2024-10-04
第214回国会(臨時会) 衆議院 本会議 第2号 発言No.16全文を見るこの度、第百二代内閣総理大臣に就任いたしました。
すべての人に安心と安全を。
私は、日本国内閣総理大臣として、全身全霊を捧げ、日本と日本の未来を守り抜いてまいります。
この決意を申し述べるに当たり、まずは、政治資金問題などをめぐり、国民の政治不信を招いた事態について、深い反省とともに触れねばなりません。
政治資金問題に際し、岸田総理は、自由民主党内の派閥解消や政治資金規正法改正などに取り組まれた後に、所属議員が起こした事態について、組織の長として責任を取るために退任されました。これらは全て、政治改革を前に進めるとの思いを持って決断されたものでした。
また、岸田内閣の三年間は、経済、エネルギー政策、こども政策、安全保障政策、そして外交政策など、幅広い分野において具体的な成果が形になった三年でありました。岸田総理の御尽力に心より敬意を表します。
その思いや実績を基に、私は、政治資金問題などにより失った国民の皆様からの信頼を取り戻し、そして、すべての人に安心と安全をもたらす社会を実現してまいります。
千年単位で見ても類を見ない人口減少、生成AI等の登場による急激なデジタルの進化、約三十年ぶりの物価上昇。我が国は大きな時代の変化に直面しております。この変化に対し、政治は十分に責任を果たしてきたでしょうか。政治資金問題で失われた政治への信頼を取り戻すとともに、これまで以上に、我が国が置かれている状況を国民の皆様に説明し、納得と共感を頂きながら、安全、安心で豊かな日本を再構築する。それが政治の責任です。
そのために、私は、ルールを守る、日本を守る、国民を守る、地方を守る、若者、女性の機会を守る、これらの五本の柱で、日本の未来を創り、そして、未来を守ります。
国民の皆様からの信頼を取り戻す。そのために、政治家のための政治ではない、国民のための政治を実現してまいります。
政治資金収支報告書への不記載の問題については、まずは、問題を指摘された議員一人一人と改めて向き合い、反省を求め、ルールを守る倫理観の確立に全力を挙げます。
それぞれの政治家が国民一人一人と誠実に向き合い、改正された政治資金規正法を徹底的に遵守し、限りない透明性を持って国民に向けて公開することを確立しなければなりません。国民の皆様方にもう一度政治を信頼していただくため、私自身も説明責任を果たし、更に透明性を高める努力を最大限してまいることを固くお約束を申し上げます。
激変する安全保障環境から日本を守り抜きます。
国連安全保障理事会の常任理事国であるロシアによるウクライナ侵略は未だに続いており、戦火は絶えません。今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない。そのような不安を多くの方々が抱いております。何故ウクライナにおいて抑止力が効かなかったのか、私は強い思いを持っております。中東情勢なども相まって、国際社会は分断と対立が進んでいます。
そうした現状を踏まえ、私は、現実的な国益を踏まえた外交により、日米同盟を基軸に、友好国、同志国を増やし、外交力と防衛力の両輪をバランスよく強化し、我が国の平和、地域の安定を実現します。その際、自由で開かれたインド太平洋というビジョンの下、法の支配に基づく国際秩序を堅持し、地域の安全と安定を一層確保するための取組を主導してまいります。
日米同盟は、日本外交、安全保障の基軸であり、インド太平洋地域と国際社会の平和と繁栄の基盤です。まずは、この同盟の抑止力、対処力を一層強化します。加えて、同志国との連携強化に取り組んでまいります。先日は、早速、バイデン米国大統領に加え、韓国、豪州、G7各国の首脳と電話会談を行いました。
現下の戦略環境の下、日韓が緊密に連携していくことは、双方の利益にとって極めて重要です。日韓間には難しい問題もありますが、来年に国交正常化六十周年を迎えることも見据え、岸田総理が尹大統領との間で築かれた信頼関係を礎に、日韓両国の協力を更に堅固で幅広いものとしていきます。また、日米韓で一層緊密に連携していきます。
中国に対しては、戦略的互恵関係を包括的に推進し、あらゆるレベルでの意思疎通を重ねてまいります。一方、中国は、東シナ海や南シナ海における力による一方的な現状変更の試みを日々強化しております。先月には、幼い日本人の子供が暴漢に襲われ、尊い命を失うという痛ましい事件が起きました。これは断じて看過しがたいことであります。我が国として主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案を含め対話を行い、共通の諸課題については協力する、建設的かつ安定的な関係を日中双方の努力で構築していきます。日中韓の枠組みも前進させます。
拉致被害者やその御家族が高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人道問題、国家主権の侵害であり、政権の最重要課題です。日朝平壌宣言から二十年余り、残された拉致被害者たちの御帰国が実現していないことは痛恨の極みです。日朝平壌宣言の原点に立ち返り、すべての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現するとともに、北朝鮮との諸問題を解決するため、私自身の強い決意の下で、総力を挙げて取り組んでまいります。
対露制裁、対ウクライナ支援は、今後とも強力に推し進めます。日露関係は厳しい状況にありますが、我が国としては、領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持します。
ASEANとの連携強化に引き続き取り組みます。グローバルサウスとの関係強化や、軍縮・不拡散、気候変動など地球規模課題への取組を進めてまいります。また、在外邦人の安全確保に全力を尽くしてまいります。
我が国は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しています。中国及びロシアによる一連の領空侵犯も発生しました。これは、我が国主権の重大な侵害です。北朝鮮は、核・ミサイル開発を継続し、近年、かつてない頻度で弾道ミサイルの発射を繰り返しているほか、米国を射程に収める長射程ミサイルの開発も追求しています。これは、国連安保理決議違反であり、我が国のみならず、地域、国際社会の平和と安全を脅かすものです。このような中、国家安全保障戦略等に基づき、我が国自身の防衛力を抜本的に強化すべきことは論を俟ちません。
防衛力の最大の基盤は自衛官です。いかに装備品を整備しようとも、防衛力を発揮するためには、人的基盤を強化することが不可欠です。日本の独立と平和を守る自衛官の生活、勤務環境や処遇の改善に向け、総理大臣を長とする関係閣僚会議を設置し、その在り方を早急に検討し成案を得るものといたします。
先の大戦中、沖縄では、国内最大の地上戦が行われ、多くの県民が犠牲になられたこと、戦後二十七年間、米国の施政下に置かれたことなどを、私は決して忘れません。基地負担の軽減にも引き続き取り組みます。在日米軍の円滑な駐留のためには、地元を含む国民の御理解と御協力を得ることが不可欠です。普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し、辺野古への移設工事を進めます。また、未だ全国最下位である一人当たりの県民所得や、子どもの貧困の問題などの課題も存在します。沖縄振興の経済効果は十分に域内に波及しているのだろうか、そして、それが本当に実感していただけるのだろうか。沖縄の皆様の思いに向き合い、沖縄経済を強化すべく支援を継続いたします。
少子化とその結果生ずる人口減少は、国の根幹にかかわる課題、いわば静かな有事です。
今の子育て世代が幸せでなければ、少子化の克服はありません。子育て世帯の意見に十分に耳を傾け、今の子育て世帯に続く若者が増えるような子育て支援に全力を挙げます。こども未来戦略を着実に実施するとともに、社会の意識改革を含め、短時間勤務の活用や生活時間、睡眠時間を確保する勤務間インターバル制度の導入促進など、働き方改革を強力に推し進めます。さらに、少子化の原因を分析し、子育て世帯に寄り添った適切な対策を実施します。
少子化をめぐる状況は地域によって異なります。婚姻率が低い県は人口減少率も高いことは厳然たる事実です。若年世代の人口移動を見ると、この十年間で、全国三十三の道県で男性よりも女性の方が多く転出する状況となっております。若者、女性に選ばれる地方、多様性のある地域分散型社会を作っていかなければなりません。それぞれの地域において、地方創生と表裏一体のものとして若者に選ばれる地域社会の構築に向け、全力で取り組んでまいります。
日本経済のデフレ脱却を確かなものとし、日本経済の未来を創り、日本経済を守り抜きます。
その中で、デフレ脱却を最優先に実現するため、経済あっての財政との考え方に立った経済財政運営を行い、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現しつつ、財政状況の改善を進め、力強く発展する、危機に強靱な経済、財政を作っていきます。
イノベーションを促進すること等による高付加価値創出や生産性の向上、意欲ある高齢者が活躍できる社会を実現し、我が国のGDPの五割超を占める個人消費を回復させ、消費と投資を最大化する成長型経済を実現します。
このため、コストカット型経済から高付加価値創出型経済へ移行しながら、持続可能なエネルギー政策を確立し、イノベーションとスタートアップ支援を強化していきます。また、経済安全保障の観点から、半導体等のサプライチェーンの国内回帰を含む強靱化や技術流出対策等を進めます。あわせて、能動的サイバー防御の導入に向けた検討を更に加速させるなど、サイバーセキュリティーの強化に取り組みます。柔軟な社会保障制度の再構築を実現するとともに、データに基づき財政支出を見直し、ワイズスペンディングを徹底してまいります。
私は、国全体の経済成長のみならず、国民一人当たりのGDPの増加と、満足度、幸福度の向上を優先する経済の実現を目標といたします。そのために、官民で総合的な幸福度、満足度の指標を策定、共有し、一人一人が豊かで幸せな社会の構築を目指します。
日本の経済を守り、国民生活を守り抜きます。
生鮮食品、エネルギーなどの物価高に国民の皆様は直面しておられます。物価上昇を上回る賃金上昇を定着させ、国民の皆様に生活が確かに豊かになったとの思いを持っていただかなければなりません。
日本経済がコストカット型の対応を続けてきた失われた三十年とコロナ禍での苦難の三年間を乗り越え、経済状況は改善し、賃金もようやく上がるようになってきました。しかしながら、国民の皆様に安心して消費をしていただける経済になるまでは道半ばです。
こうした中、賃上げと人手不足緩和の好循環に向けて、一人一人の生産性を上げ、付加価値を上げ、所得を上げ、物価上昇を上回る賃金の増加を実現してまいります。適切な価格転嫁と生産性向上支援により最低賃金を着実に引き上げ、二〇二〇年代に全国平均千五百円という高い目標に向かってたゆまぬ努力を続けます。そのために、政府として、自由に働き方を選択しても不公平にならない職場づくりを目指した個人のリスキリングなど人への投資を強化し、事業者のデジタル環境整備も含め、将来の経済のパイを拡大する施策を集中的に強化いたします。
高付加価値のモノとサービスを、グローバル市場において、適正な価格で売ることのできる経済を実現します。輸出企業の競争力を強化し、中小企業を中心とする高付加価値化、労働分配率の向上、官民挙げての思い切った投資を実現します。
物価上昇を上回って賃金が上昇し、設備投資が積極的に行われるといった成長と分配の好循環が確実に回り出すまでの間、足下で物価高に苦しむ方々への支援が必要です。こうした物価高への対応に加えて、成長分野に官民を挙げての思い切った投資を行い、賃上げと投資が牽引する成長型経済の実現を図るため、経済対策を早急に策定し、その実現に取り組みます。
当面の対応として、物価高の影響を特に受ける低所得者世帯への支援や、地域の実情に応じたきめ細かい対応を行うこと、構造的な対応としてのエネルギーコスト上昇に強い社会の実現など、物価高の克服。新たな地方創生施策の展開、中堅・中小企業の賃上げ環境整備、成長力に資する国内投資促進など、日本経済、地方経済の成長。能登地域をはじめとする自然災害からの復旧復興、防災・減災、国土強靱化の推進、外交、安全保障環境の変化への対応、誰も取り残さない社会の実現など、国民の安心、安全の確保を柱といたします。
エネルギーの安定的な供給と安全の確保は喫緊の課題です。
AI時代の電力需要の激増も踏まえつつ、脱炭素化を進めながらエネルギー自給率を抜本的に高めるため、省エネルギーを徹底し、安全を大前提とした原子力発電の利活用、国内資源の探査と実用化と併せ、我が国が高い潜在力を持つ地熱など再生可能エネルギーの最適なエネルギーミックスを実現し、日本経済をエネルギー制約から守り抜きます。
このため、GXの取組を加速させ、アジア諸国の多様な取組を日本の技術力や金融力で支援し、同時に、アジアの成長力を我が国に取り込んでいきます。
日本経済の活性化と成長を加速させるため、科学技術・イノベーション、宇宙などフロンティアの開拓を推進するとともに、スタートアップ支援策を引き続き強化していきます。政府のスタートアップ育成五か年計画を着実に進め、アジア最大のスタートアップハブを実現します。AIの研究開発、実装がしやすい環境を更に充実し、政府のAI政策の司令塔機能を強化します。
経済活動の基盤である金融資本市場の変革にも取り組みます。貯蓄から投資への流れを着実なものとし、国民の資産形成を後押しする資産運用立国の政策を引き継ぐとともに、産業に思い切った投資が行われる投資大国に向けた施策を講じます。
社会保障制度は、様々な境遇にある国民の方々に安心を提供するセーフティーネットです。将来不安を取り除き、皆が安心して充実して暮らせる、こうした日本を実現することによって未来を守り、次の時代に負担を先送りしない。それが今を生きる我々の責任であります。
医療、年金、子育て、介護など、社会保障全般を見直し、国民の皆様に安心していただける社会保障制度を確立します。その際、今の時代にあった社会保障へと転換し、多様な人生の在り方、多様な人生の選択肢を実現できる柔軟な制度設計を行います。人口減少時代を踏まえ、意欲のある高齢者、女性、障害者などの就労を促進し、誰もが年齢に関わらず能力や個性を最大限生かせる社会を目指します。
子供、女性、高齢者をはじめ、全ての方々が安心して暮らせるよう、犯罪対策を推進し、世界一安全な日本を実現します。
度重なる災害から、国民の生命、身体と財産を守り抜きます。
コロナ禍の最中は、ふるさとに戻ることすらできませんでした。やっと里帰りができるようになり、皆が待ちわびていた家族の団らんが、能登半島では、今年の元日、地震により一瞬にして奪われました。亡くなられた方々に哀悼の誠を捧げるとともに、被災されている方々に心よりお見舞いを申し上げます。その後、さらに、能登半島地震の被災地を豪雨が襲い、河川の氾濫や土砂災害が相次ぎ、多くの尊い人命が失われました。度重なる被災の前の活気ある能登を取り戻すため、復旧と創造的復興に向けた取組を一層加速してまいります。
世界有数の災害発生国であるこの日本において、近年の更なる風水害の頻発化、激甚化に早急に対処できる人命最優先の防災立国を構築しなければなりません。防災・減災、国土強靱化の取組を推進します。事前防災の徹底に向けて、まず、現在の内閣府防災担当の機能を、予算、人員の両面において抜本的に強化するとともに、平時から不断に万全の備えを行うため、専任の大臣を置く防災庁の設置に向けた準備を進めてまいります。
日本では、ひとたび災害が起こると、被災者の方々は避難所で厳しい生活を強いられます。平成二十八年に起きた熊本地震では、直接亡くなられた方々の四倍もの方々が、避難生活の中で健康を崩されるなどして、災害関連死として亡くなられています。
被災して大きな悲しみや不安を抱えている方々に手を差し伸べ、温かい食事、安心できる居住環境を提供することが必要です。災害関連死ゼロを実現すべく、避難所の満たすべき基準を定めたスフィア基準も踏まえつつ避難所の在り方を見直し、発災後速やかにトイレ、キッチンカー、ベッド、風呂を配備しうる、平時からの官民連携体制を構築します。
福島の復興なくして東北の復興なし。東北の復興なくして日本の再生はありません。被災者の生活や、産業、生業の再建に全力で取り組んでまいります。一部の国、地域による日本産水産物の輸入停止に対し、岸田政権での取組を活かし、あらゆる機会をとらえて即時撤廃を強く求めるとともに、影響を受ける水産物の国内需要の拡大や新たな輸出先の開拓など、我が国水産業の更なる発展のために、政府として責任を持って支援を行ってまいります。
地方創生の原点に立ち返り、地方を守り抜きます。
十年前に、私は、初代地方創生担当大臣を拝命し、文化庁の京都移転、それまでの補助金とは一線を画する地方創生推進交付金の創設をはじめ、一生懸命に取り組みました。以来、交付金などを活用し、住民の方々が気持ちを一つにして地方創生の取組に頑張っていらっしゃる姿を、全国各地でたくさん見てまいりました。そして、その姿に勇気づけられてまいりました。
竹下総理はかつて、地域が自主性と責任を持って、おのおのの知恵と情熱を生かし、小さな村も大きな町もこぞって、地域づくりをみずから考え、みずから実践していくと述べられました。
産官学金労言、すなわち、産業界、行政機関、大学だけではなく中学校、高等学校も含めた教育機関、金融機関、労働者の皆様、報道機関の皆様。こうした地域の多様なステークホルダーが知恵を出し合い、地域の可能性を最大限に引き出し、都市に住む人も地方に住む人も、すべての人に安心と安全を保障し、希望と幸せを実感する社会。それが地方創生の精神であります。今一度、地方に雇用と所得、そして、都市に安心と安全を生み出します。
地方こそ成長の主役です。地方創生をめぐる、これまでの成果と反省を活かし、地方創生二・〇として再起動させます。
全国各地の取組を一層強力に支援するため、地方創生の交付金を当初予算ベースで倍増することを目指します。少子高齢化や人口減少に対応するため、デジタル田園都市国家構想実現会議を発展させ、新しい地方経済・生活環境創生本部を創設し、今後十年間集中的に取り組む基本構想を策定します。ブロックチェーンなどの新技術やインバウンドの大きな流れなどの効果的な活用も視野に入れ、国民の生活を守りながら、地方創生を実現してまいります。
地方の成長の根幹である農林水産業は、農山漁村の雇用と所得を生み出すとともに、国家の安全保障の一環でもあることから、その持てる力を最大限引き出してまいります。
新たな基本法の下、最初の五年間に計画的かつ集中した施策を講ずることにより、食料安全保障の確保、環境と調和のとれた食料システムの確立、農林水産業の持続的な発展、中山間地域を始めとする農山漁村の振興を図ります。国内の生産基盤の維持の観点も踏まえ、農林水産物の輸出をより一層促進します。持続可能な食品産業への転換を促進し、循環型林業など強い林業づくりや、海洋環境の変化を踏まえた操業形態や養殖業への転換、海業の全国展開など漁業、水産業の活性化に取り組みます。
観光産業の高付加価値化を推進するとともに、文化芸術立国に向けた地域の文化、芸術への支援強化にも取り組みます。地域交通は地方創生の基盤です。全国で、交通空白の解消に向け、移動の足の確保を強力に進めます。
地方創生に終わりはありません。地域づくりは人づくり。人材育成こそ全てです。私が先頭に立って、国、地方、国民が一丸となって地方創生に永続的に取り組む機運を高めてまいります。
二〇二五年大阪・関西万博は、世界と交流を深め、日本の魅力を世界に向けて発信する絶好の機会です。多くの方に御来場いただき、楽しみ、そしてそれぞれの将来に夢と希望を持ってもらう、またとない機会です。成功に向け、関係者と心を合わせて取り組んでまいります。
若者、女性、それぞれの方々の幸せ、そして人権が守られる社会にしていかなければなりません。
人づくりこそ国づくり。この考え方のもと、デジタル技術の活用を前提に、自ら考え、自由に人生を設計することができる能力の育成を目指します。あらゆる人が、最適な教育を受けられる社会を実現します。教職員の処遇見直しを通じた公教育の再生に全力を挙げます。
強靱で持続性のある稼げる日本の再構築のためには、教育やリスキリングなどの人的資源への最大限の投資が不可欠です。人生のあらゆる局面で、何度でも必要な学びが得られる体制を整備します。
意思決定の在り方を劇的に変えていくため、社会のあらゆる組織の意思決定に女性が参画することを官民の目標とし、達成への指針を定め、計画的に取り組みます。男女間の賃金格差の是正は、引き続き喫緊の課題です。多くの女性に社会活動を長く続けてもらえるにはどうすればよいか、国民的議論を主導して制度改革を実現します。
コロナ禍で増加した女性の自殺者数が高止まりし、こども、若者の自殺者数が増加傾向にあることも踏まえ、自殺総合対策を強力に進めます。
憲法改正について、私が総理に在任している間に発議を実現していただくべく、今後、憲法審査会において、与野党の枠を超え、建設的な議論を行い、国民的な議論を積極的に深めていただくことを期待します。
日本にとって、皇位の安定的な継承等は極めて重要なことです。とりわけ、皇族数の確保は喫緊の課題です。国会において、早期に立法府の総意が取りまとめられるよう、積極的な議論が行われることを期待します。
私は、議員になる一年前の昭和六十年、渡辺美智雄代議士の、政治家の仕事は勇気と真心をもって真実を語ることだとの言葉に大きな感銘を受けました。爾来四十年、こうありたいと思い続け、今、この壇上に立っております。
政治を信じていただいている国民の皆様方が決して多くはないことを、私は承知いたしております。しかし、政治は国民を信じているのでしょうか。どうせ分かってはもらえない、そのうち忘れてしまうだろうなどと思ってはいないでしょうか。国民を信じない政治が、国民の皆様に信じてもらえるわけがありません。勇気と真心をもって真実を語り、国民の皆様の納得と共感を得られる政治を実践することにより、政治に対する信頼を取り戻し、日本の未来を創り、日本の未来を守り抜く決意であります。
以上、私の思いを申し述べました。
かつての日本は、今ほど豊かではなかったかもしれません。しかし、もっとお互いを思いやる社会でした。皆に笑顔がありました。いつの間にか、日本は、お互いが足を引っ張ったり、悪口を言い合ったりするような、そういう社会になってしまったのではないでしょうか。私は、もう一度、全ての国民の皆様に笑顔を取り戻したい。
すべての人に安心と安全を。
国民の皆様、並びに、この場に集う全国民を代表される国会議員の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。