こうしたしっかりとした精査の上で、やはり慎重に考える必要があるんだろうというふうに思います。
政治資金パーティーに関しても、フランスでは、参加者が食事代を支払う、対価を伴う収益については、寄附とは別に雑収入として認めている。その処理が企業ができるのかどうか、問題もあります。こうしたこともやはり十分に調べないと、これは与野党を通じた問題であると思っています。
また、政策活動費について、これは、我が党でも、政策活動費については廃止するとしつつ、最終的な支出等については基本的に全て公開することとなるが、外交上の秘密やプライバシーあるいは営業秘密を害するおそれに配慮すべき場合など、一部の限定された支出については公開の方法については工夫が必要と述べています。
これは、私は外交官をやっていまして、もっともだと思うんですね。ワシントンで外交官をしていた当時、インテリジェンスコミュニティー、つまり諜報機関が何を注目するかというと、この政治家に誰が献金をしているのか、あるいはこの政治家は誰と会っているのか。特に、例えば台湾など外交関係のない国とやる場合に、国がお金を出すわけにいかない、そして誰と接触するわけにいかない。そういったときに、やはりこうしたものは公開するというのは、国民だけじゃなくて世界中のインテリジェンスに公開するということでもありますから、総理、あるいは検討する過程で自民党自身の言葉として、そうした点もしっかりとお伝えをしなければなりません。
そうしたことも含めて、石破総理におかれては、先ほど述べた決意に従って政治改革を断行することを望んでおります。
次に、憲法改正に対する姿勢について伺います。
私は、自民党において、野党時代に起草された自民党憲法草案の起草を始め、石破総理ほど憲法改正に取り組んできた政治家はおられないと思います。所信表明演説において、総理は、国会による発議の実現に向け、今後、憲法審査会において建設的な議論を行い、国民的な議論を積極的に深めていくことを期待するとおっしゃいました。
我が党は、今年三月の党大会において、憲法改正に向けた条文案を作成する、憲法改正実現を目指すとの運動方針を掲げ、具体的には、自衛隊の明記、緊急事態対応、合区解消・地方公共団体、教育の充実の四項目について条文イメージ、たたき台素案を作成し、実現に向けて取り組んでおります。
この点、憲法審査会の会長が立憲民主党の枝野幸男議員になったことから、自衛権をめぐる憲法論議が進まないのではないかと懸念する声があります。私はそうではないと考えています。
実は、憲法九条に関して具体的な条文案を作成したのは自民党だけではありません。枝野幸男審査会会長もそうであります。
これは、憲法審査会長となられた枝野幸男議員が文芸春秋二〇一三年十月号で公表した「改憲私案発表 憲法九条 私ならこう変える」と題する改憲私案であります。
この中で枝野議員は、現行憲法九条一項、二項を維持した上で、新たに九条の二以下を設けて、自衛権の行使や、総理大臣が実力行使の組織の最高指揮官となることを憲法上明記することを提案しています。
配付資料三の最後のページを見ていただければ分かりますが、石破総理の発言を引用して、枝野議員は、他国が日本に照準を向けたミサイルが発射準備を整えた場合、急迫不正な武力の行使の着手があったとして、自衛権の行使が可能だ、弾が入っていると思われる拳銃を突きつけられたら、正当防衛として反撃してよいように、その発射を阻止するのに必要最小限の行為は、自衛権の行使として認められるべきなどと、事実上、敵基地攻撃能力を認めるような主張もされておられます。枝野会長は、この論考について、あくまで私見としつつ、本稿は従来の民主党の方針とそごはありませんと述べておられます。
これは十年前の論文ですけれども、政治家の憲法に対する姿勢が僅か十年で変わることはないはずであり、そうだとすれば、枝野憲法審査会長を始め旧民主党の皆さんも、憲法九条の具体的案文案を基に建設的な議論を行うことを否定するものではないと思います。
総理、野党にもおけるこうした考えも含めて、自民党総裁として、憲法改正に対する姿勢を伺います。