志位和夫
2024年以降(第216~213回国会)の発言数: 10
※ 会議の議長だった場合の発言を除く
志位和夫君による発言要約一覧
全2件 / 1ページ
2024-10-07
第214回国会(臨時会) 衆議院 本会議 第3号 発言No.40会議全体を見る- 志位和夫君は、石破総理に対し、石川県能登の豪雨災害の被災者への支援や旧優生保護法に関する問題を提起し、政治腐敗や経済政策の見直しを求めました。
- また、最低賃金引上げ、労働時間短縮、税金の民主的改革について具体的提案を行い、日米軍事同盟の強化に対する懸念も示しました。
- 志位君は、国民の生活苦を解消するための具体的な施策を政府に要求するとともに、平和外交の重要性についても言及しました。
私は、日本共産党を代表して、石破総理に質問します。
冒頭、石川県能登の豪雨災害で亡くなられた方々に深い哀悼を申し上げ、被災された方々に心からのお見舞いを申し上げます。
二度目の避難に多くの被災者が苦しんでいます。にもかかわらず、避難所での温かく栄養のある食事の提供やプライバシーの確保などで、一月の震災の教訓が生かされておらず、見捨てられたとの声も上がっています。直ちに改善することを強く求めます。浸水した仮設住宅の早期改修や安心できる場所への仮設住宅の建設など、住まいの確保への支援の強化を強く求めます。直ちに補正予算の編成が必要だと考えますが、いかがですか。
旧優生保護法の違憲判決を受け、本日の本会議で謝罪決議と被害補償法を可決しました。引き続き、当事者である障害者の皆さんの声を聞き、真摯な反省の下に検証を行い、優生思想を根絶することは、政府と国会に課せられた重要な責務であります。答弁を求めます。
私は、総理の政治姿勢の基本について、三つの点を質問いたします。
第一は、腐敗政治をなくし、政治に信頼を取り戻すという問題です。
まず問いたいのは、総理自身の言行不一致の問題です。
あなたは、自民党総裁選で、国民に判断してもらえる材料を提供するのは新しい総理の責任だ、本当のやり取りは予算委員会だと繰り返しました。ところが、総理に就任すると、前言を覆し、あさってにも解散を強行するとしています。
解散・総選挙は民主主義の根幹に関わる大問題です。そうした大問題で、数日前の自らの発言を平気で覆す。これでは、総理が今後どんな発言をしようと、国民はそれを信用することができなくなるではありませんか。一国の政治指導者がこういう姿勢を取っていて、どうして政治への信頼が回復するでしょうか。しかとお答えいただきたい。
裏金問題について、九月九日、日本ジャーナリスト会議は、今年度のJCJ大賞にしんぶん赤旗日曜版の裏金スクープを選ぶとともに、その授賞理由の中で、裏金問題を大政治犯罪だと断罪しました。
端的に聞きます。総理はそもそも裏金問題を大政治犯罪だと認識しているのか否か、お答えいただきたい。
しんぶん赤旗日曜版の十月六日号は、総理が代表を務めた石破派が、政治資金パーティーの収入を六年間で計百四十万円分不記載にしていた事実を新たにスクープしました。
総理は、昨年十二月十二日のテレビ番組で、石破派にもキックバックがあったことを認めた上で、出も入りもきちんと載せているとし、政治資金収支報告書の記載に問題はないと強調していましたが、あなたの発言は真っ赤なうそということになるではありませんか。
総理、石破派にも主要五派閥と同じ深刻な裏金疑惑が問われているのであります。総理は、新しい事実が判明したら調査する、勇気と真心を持って真実を語ると言われました。ならば、徹底的な再調査を行い、国民に真実を明らかにすべきではありませんか。
自民党の底知れない腐敗政治の大本には、企業・団体献金があります。パーティー券も含めて企業・団体献金は全面的に禁止し、政党助成金は撤廃すべきです。明確な答弁を求めます。
七月、厚生労働省が発表した国民生活基礎調査で、生活が苦しいと答えた方は五九・六%に上りました。働く人の実質賃金は、この十一年間で年三十三万円も減りました。他方、大企業の内部留保は、同時期に二百兆円以上も膨らみ、五百三十九兆円に達しています。大富豪四十人の資産は七・七兆円から二十九・五兆円へと膨れ上がりました。
これは決して自然現象ではありません。異次元の金融緩和で物価高騰を招き、国民を苦しめているのは誰か。働く人を派遣、パート、アルバイトなど非正規ワーカーに置き換え、使い捨て労働を蔓延させているのは誰か。大企業減税を行い、その穴埋めに消費税大増税を強行したのは誰か。
今日の国民の深刻な生活苦は、全てが自民党の経済失政の結果ではありませんか。総理にはその認識がありますか。あなたは岸田内閣の経済政策を引き継ぐと言いますが、こうした経済失政を引き継ぐおつもりですか。答弁を求めます。
大企業、大金持ち優遇から国民の暮らし最優先に、経済政策の大転換が必要です。三つの点に絞って具体的に提案いたします。
第一は、最低賃金を速やかに全国一律千五百円に引き上げることです。
最賃の大幅引上げのために不可欠なのが中小企業への社会保険料減免など直接支援ですが、総理は所信で一言も触れませんでした。直接支援は必要ないというお考えですか。日本共産党は、大企業の内部留保の増加分に時限的課税を行い、十兆円の税収を中小企業の賃上げ支援に充てる提案を行っていますが、この提案を受け入れる意思はありませんか。答弁を求めます。
第二は、賃上げと一体に、労働時間を短縮し、自由な時間を増やすことです。
日本の労働時間は、ヨーロッパの主要国に比べて年間で三百時間も長く、過労死がいまだに一大社会問題になっています。
こうした中、博報堂の行った若者調査では、今一番欲しいものとの問いに、一位はお金、二位は時間、三位は自由という結果が出ました。あるベビーシッター会社が、子育て中のお母さんを対象に、母の日のプレゼントに何が欲しいかのアンケートを行ったところ、断トツ一位は自分だけの時間でした。多くのお母さんが仕事と家事と育児に追われ、睡眠時間を削らざるを得ない現状にあるのであります。
総理は、自由に使える時間が欲しいという願いが国民の切実な願いであるという認識をお持ちですか。男性は仕事、女性は家事、こういう不平等を正し、ジェンダー平等の日本をつくるためにも、労働時間の短縮が必要だと考えますが、いかがですか。
こうした事態の抜本的打開のために、日本共産党は自由時間拡大推進法を提案しております。一日七時間、週三十五時間労働制に速やかに移行すること、この目標達成のために、政府に中小企業への支援、介護、教育、建設、運輸などの人手不足の分野で特別の対策を義務づけること、残業規制を強め、サービス残業を根絶することなどをパッケージで提案しております。
人間は、ただ働いて、食べて、寝るだけの存在ではありません。働く人が、人間らしい生活を営む収入とともに、余暇や趣味を楽しみ、豊かな教養に親しみ、家族と一緒の時間を大切にし、社会活動に取り組むための自由な時間を持つことができる社会こそ、本当に豊かな社会と言えるのではないでしょうか。総理に我が党の提案への見解を問うものです。
第三は、暮らしを支え、格差を正す、税金と財政の民主的改革です。
空前のもうけを上げている富裕層と大企業に応分の負担を求め、消費税を緊急に五%に減税する、インボイスは廃止する、これこそ物価高騰への最良の特効薬ではありませんか。
高齢者の負担を増やし、給付を減らすのは当たり前という冷酷な政治がまかり通り、高齢者の人権と尊厳が踏みにじられている現実は、本当に異常です。老人福祉法は、「老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする。」と定めています。総理、この基本理念に立って、年金、介護、医療の充実を図ることこそ、政治の使命ではありませんか。
大学の学費値上げが一大社会問題になっています。今でも異常に高い学費を更に値上げなど、とんでもありません。高等教育への公的負担を大幅に増やし、学費値下げに踏み出し、学費ゼロの社会をつくるために、本気で政治の責任を果たすべきではありませんか。答弁を求めます。
日米軍事同盟絶対の政治を続けていいのかが問われています。
この間、集団的自衛権の行使容認、長射程ミサイルの配備、GDP比二%への大軍拡、武器輸出の解禁など、憲法九条の下でできないとされてきたことが次々と強行されています。それらの全てで、日米同盟の強化が最大の理由とされています。
日米同盟の四文字を聞くと思考停止に陥ってしまう政治が、今、日本の政界を覆っています。日米同盟のためにといって、日本国憲法を平気でじゅうりんする。日米同盟のためにといって、核兵器禁止条約に背を向け、果ては核共有、米国と核のボタンを押すことを共有するなどという被爆国の首相にあるまじき恥ずべき主張を行う。日米同盟のためにといって、沖縄県民の民意を踏みつけにして辺野古新基地建設を押しつけ、少女への性暴力を隠蔽する。独立国にあるまじきこんな政治を続けていいのかを、私は総理に問いたいのであります。
日本が軍事同盟強化で構えれば、相手も一層の軍事力強化で構え、軍事対軍事の悪循環をひどくします。その先に決して平和は訪れません。日本共産党は、世界を対立するブロックに引き裂く軍事同盟強化に断固反対を貫きます。
世界を見れば、軍事同盟に頼らずに平和をつくる動きがあるではありませんか。ASEANは、域内で年間千五百回もの会合を持つなど、徹底した対話の積み重ねで東南アジアを平和の共同体に変えました。さらに、平和の流れを域外に広げ、ASEAN十か国プラス日本、中国、米国を含む八か国で構成される東アジア・サミットを強化して、東アジアの全体をASEANのような戦争の心配のない地域にする大構想を提唱しています。あれこれの国を敵視するブロック政治を排し、地域の全ての国を包摂した平和の枠組みを発展させようというのがその根本精神であります。
今、日本政府がなすべきは、ASEANと協力して東アジアに平和を構築する、憲法九条を生かした平和外交ではないでしょうか。
総理の答弁を求めて、質問を終わります。
〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕
2024-04-18
第213回国会(常会) 衆議院 本会議 第22号 発言No.21会議全体を見る- 志位和夫君は日米首脳会談を通じて、日本の安全保障政策が根本から覆されたと指摘し、反撃能力や敵基地攻撃能力の獲得を批判した。
- 自衛隊の独立した指揮系統が保証されていない中、米軍との指揮統制強化が進むことで、日本国憲法に反する先制攻撃に自衛隊が関与する可能性を懸念した。
- 最後に、志位君は日本が進むべき道を軍事的対抗ではなく、平和外交にシフトすることだと強調した。
私は、日本共産党を代表して、日米首脳会談について総理に質問します。
エマニュエル駐日米大使は、総理を米国に国賓待遇で招待した意義について、産経のインタビューでこう述べています。
岸田政権は二年間で、七十年来の日本の安全保障政策の隅々に手を入れ、根底から覆した。防衛費のGDP比二%への増額、反撃能力、敵基地攻撃能力保有、そのための米国製トマホークの購入に踏み切った。防衛装備品の輸出にもめどをつけた。
七十年来の政策の隅々に手を入れ、根底から覆した。私は、米国大使のこの評価は、ずばり真実を語っていると考えますが、総理はどう受け止めますか。総理、あなたがやってきたことは、歴代政権が憲法に基づく平和国家の理念としてきたことを、ことごとく根底から覆したものではありませんか。
今回の日米首脳会談の最大の問題点は、バイデン大統領が共同記者会見で、日米同盟が始まって以来、最も重要なアップグレードと述べたように、米軍と自衛隊の指揮統制のかつてない連携強化に踏み込んだことにあります。
日米共同声明は、「我々は、作戦及び能力のシームレスな統合を可能にし、平時及び有事における自衛隊と米軍との間の相互運用性及び計画策定の強化を可能にするため、二国間でそれぞれの指揮・統制の枠組みを向上させる」と明記しています。
そこで聞きます。
ここで言うシームレスな統合とは何か。米軍と自衛隊の統合を意味することは、文意から明らかではありませんか。政府は、自衛隊は独立した指揮系統で行動すると説明していますが、独立した指揮系統でなければならない理由をお答えいただきたい。米軍の指揮下に入ることは日本国憲法の下では許されないということですか。答弁を求めます。
問題は、米軍と自衛隊の指揮統制の連携強化の下で、自衛隊が独立した指揮系統で活動する保証がどこにあるのかということです。
安保三文書に基づいて、政府は、敵基地攻撃能力保有、統合防空ミサイル防衛、IAMDを進めていますが、その実施のためには、米軍との間で、攻撃目標の情報の共有、攻撃目標の分担、攻撃の成果についての評価の共有などが必要となり、指揮統制の緊密な協力が不可欠になると考えますが、いかがですか。日米首脳会談で合意された指揮統制の連携強化はそのためのものではありませんか。そして、この道を進めば、指揮統制は、情報でも装備でも圧倒的に優越的な立場にある米軍主導で行われ、自衛隊は事実上、米軍の指揮統制の下に置かれることになることは明瞭ではありませんか。
さらに、米軍は、IAMDの基本方針に先制攻撃を明記しています。米国が国連憲章に違反する先制攻撃の戦争に乗り出した際に、米軍の事実上の指揮統制の下で自衛隊が参戦する道を開くことになるではありませんか。
日本共産党は、日米軍事同盟の文字どおりの歴史的大変質に断固抗議し、その中止を強く求めるものです。
日米共同声明は、総理が殺傷兵器の輸出解禁を決定したことを歓迎し、軍需産業でも日米を統合する協議体を開催し、ミサイルの共同開発、生産などを行うとしています。これは、武器輸出を国是として全面禁止した武器輸出三原則が根本理念としてきた、国際紛争の助長を回避するという平和国家の理念を根底から投げ捨てるものではありませんか。米国従属の下での死の商人国家への道を歯止めなく進むことは、絶対に許されるものではありません。
日米共同声明は、沖縄県辺野古新基地建設の強行を宣言するとともに、事故原因が不明なままでのオスプレイの飛行再開、全国の米軍基地周辺での有機フッ素化合物、PFAS汚染には一言もありません。沖縄県民の民意を無視し、日本国民の米軍基地に関わる不安には無関心。余りに卑屈な従属姿勢ではありませんか。
日米共同声明が、米英豪による軍事的な排他的枠組みであるAUKUSと日本が先端軍事技術での協力検討を行うことを明記したことも重大です。日米が中国を対象にこうした対応を取れば、東アジアでの軍事的分断と対抗の悪循環を加速することになるのではありませんか。
日米共同声明には、ASEANインド太平洋構想、AOIPへの支持も明記されました。AOIPは、対抗でなく対話と協力のインド太平洋を目指し、あれこれの国を排除するのではなく、地域の全ての国を包摂する東アジア・サミットを活用、発展させ、東アジアを戦争の心配のない平和な地域にするという構想であります。この構想への支持とAUKUSへの参加検討は真っ向から矛盾すると考えませんか。お答えいただきたい。
今、日本が進むべきは、軍事的対抗の強化ではなく、ASEANと協力して東アジアに平和を創出する、憲法九条を生かした平和外交にこそあることを強調して、質問を終わります。
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕