防衛研究所の令和三年度特別研究成果報告書、将来の戦闘様相を踏まえた我が国の戦闘構想、防衛戦略に関する研究では、中国との戦争に関し、日本の防衛戦略の基本目標として、状況を膠着状態に持ち込み、米国のグローバルな戦力集中までの時間を稼ぐこと、を挙げています。そして、中国渡洋進攻を阻止するための各種対艦ミサイル、中国本土の空軍基地を攻撃するための長射程ミサイル、敵基地攻撃ミサイルを装備することを提言しています。
私は、アメリカはオフショアコントロール戦略に沿って日本に戦わせようとしており、アメリカが戦うことはないと思います。一方、安保三文書は基本的に令和三年度報告に沿ったもので、防衛力整備計画では、ミサイルなどを含むCBRNE攻撃を耐えて持久戦を戦うための、全国三百の自衛隊基地を抗堪化、そして強靱化する施設整備や、中国本土の敵基地を攻撃することも可能な各種長射程ミサイル二千発以上を全国配備することが計画されております。
現在、これらのことが行われていると思いますけれども、しかし、米軍は中国本土を攻撃しません。二三年一月に公表された、米シンクタンク、戦略国際問題研究所、CSISの台湾有事シミュレーション、ザ・ファースト・バトル・オブ・ザ・ネクスト・ウォーでは、エスカレーションのリスクを考慮して米国大統領は中国の領土に対する攻撃を許可しないかもしれないとしています。核戦争のリスクを考えて、米国は敵基地攻撃をしないのです。これに対して、日本は中国本土にミサイル攻撃をするための敵基地攻撃用の長射程ミサイル保有を宣言しています。
台湾有事への自衛隊の関与は、日中戦争になることは必至です。一昨日の質疑で中谷大臣が答弁されたように、現在、日米ガイドラインの下で日米共同作戦計画が策定され、先島の島外避難を含む様々な取組が進められています。米国の覇権維持のための戦争で、先島ばかりでなく、日本の全土が戦場になり、特に基地周辺住民の命が犠牲になることが予想されます。米国追従だけが日本の進路ではありません。このような戦略は立ち止まって再考すべきです。
かつて中谷大臣は、ごまかしや情報隠しをすることなく政府は堂々と国民に問うべきだ、政治への信頼をなくして安全保障の議論は前に進まないし、進めてはいけないとおっしゃっています。また、岩屋大臣も、軍拡競争の果てにより良い国や世界ができるとはどうしても思えませんとおっしゃっています。
日本の国土を戦場にするようなこのような戦略、日米共同作戦計画、つまり、集団的自衛権の行使を容認し敵基地攻撃能力を保有する安保三文書に基づくこのような戦略は、見直すべきではないでしょうか。
外務大臣、防衛大臣、いかがでしょうか。