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2024-12-18
第216回国会(臨時会) 衆議院 内閣委員会 第4号 発言No.10全文を見るありがとうございます。
レアアースのサプライチェーンの強靱化については、もういろいろ報道で、ネットのニュースでも出ているので、もう少し具体的に言っていただきたいなというふうに思っておりました。
重希土類の分離精製プロジェクトを立ち上げているということでございますけれども、私から申し上げますと、双日とJOGMECが共同で設立しました日豪レアアース株式会社を通じまして、オーストラリアのライナス社のプロジェクトがありまして、こちらでしっかりと鉱山開発をしていくというところであります。また、精製については、これからどういうふうにしていくかということを詰めていくというふうに聞いております。これは大いに進めていただきたいというふうに思っております。
その上で、レアアースについては、外国に頼らずに自国内で開発ができる可能性が大きい鉱物資源だというふうに思っておりまして、私は大変期待をしております。
そして、我が国では、科学的イノベーション創造プログラム、SIPの一つであります海洋安全保障プラットフォームで行われている南鳥島レアアース泥の開発、これが、私は期待していますが、来年はいよいよ、実海域の南鳥島沖のEEZ内で海底六千メートル下にあるレアアース泥を、六千メートルの揚泥管を使って試掘するというふうに聞いております。
そして、日本の周辺の海域でございますが、また残念ながら、中国が、南鳥島EEZに隣接する海域、公海でありますが、海洋開発の動きを見せております。中国の海洋開発の動向に注意しつつ、日本は自国のEEZ内の海洋開発の速度を上げていくべきだ、そのように努力していくべきだというふうに考えておりますが、城内大臣に、このSIP、第三期海洋安全保障プラットフォームへの期待と展望をお答えいただきますようお願いします。
2024-12-11
第216回国会(臨時会) 衆議院 外務委員会 第1号 発言No.7全文を見る外務大臣の岩屋毅です。
堀内委員長を始め、理事、委員各位に外務大臣としての所信を申し述べます。
ウクライナ侵略が国際秩序を揺るがし、安全保障環境も厳しさを増す中、日米同盟の強化、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた同盟国、同志国との連携、グローバルサウスとの連携の三点を重視し、我が国の平和、地域の安定を実現し、国際社会を分断から協調に導いてまいります。
私は先月、APEC閣僚会議及びG7外相会合に出席し、同盟国、同志国との協力を確認するとともに、ウクライナを訪問し、日本はウクライナと共にあるとの変わらぬ姿勢を伝えました。侵略の現場を訪問し、力による一方的な現状変更は世界のどこであれ許されないとの思いを強くいたしました。
外交と防衛は国の根幹を成すものです。外交の失敗は国を誤るとの認識の下、緊張感を持って職務に当たってまいります。
我が国の外交、安全保障の基軸である日米同盟については、石破政権の最優先事項として、充実強化に取り組んでまいります。米国の現政権、次期政権との間でも、強固な信頼関係を構築し、日米協力を更に深化させてまいります。
日米同盟の抑止力、対処力の一層の強化、拡大抑止の信頼性と強靱性の強化、在日米軍の態勢の最適化に向けた取組を進めます。同時に、普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指して辺野古移設を進めるなど、沖縄を始めとした地元の負担軽減と米軍の安定的駐留に全力を尽くしてまいります。
また、外交、安全保障と経済を一体として議論していく観点から、貿易、投資の拡大や経済安全保障協力の強化など、経済分野での協力を更に拡大、深化させてまいります。
また、重層的な人的交流も一層強化してまいります。
自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、G7、ASEAN、豪州、インド、EU、NATOなどとの協力関係を更に強化し、日米豪印、日米韓及び日米比を始め、実践的な協力を広げてまいります。テロ、暴力的過激主義や国際組織犯罪の対策の協力も推進してまいります。
我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中、国家安全保障戦略の下、特に、防衛装備の移転、政府安全保障能力強化支援、OSAの着実な実施や、サイバー安全保障の推進に取り組んでまいります。
サプライチェーンの強靱化や経済的威圧への対応、重要・新興技術の保全、促進など、経済安全保障にも取り組んでまいります。
偽情報の拡散といった国際的な情報戦に対しては、情報の収集、分析、適時適切な発信とともに、情報セキュリティー基盤の構築、強化にも取り組んでまいります。
近隣諸国などとは、難しい問題に正面から対応しつつ、安定的な関係を築いてまいります。
日本と中国の間には、様々な可能性とともに、尖閣諸島情勢を含む東シナ海、南シナ海における力による一方的な現状変更の試みや、我が国周辺での一連の軍事活動を含め、多くの課題や懸案が存在しています。また、台湾海峡の平和と安定も重要です。さらに、中国の人権状況や香港情勢についても深刻に懸念しています。
同時に、日中両国は、地域と世界の平和と繁栄に対して大きな責任を有しています。戦略的互恵関係を包括的に推進するとともに、建設的かつ安定的な関係の構築を日中双方の努力で進めていくことが重要です。
先般、中国での短期滞在に係る査証の免除措置が再開されました。日中関係の基礎である両国の国民間の交流が一層円滑化されることを期待しています。
ALPS処理水の海洋放出と日本産水産物の輸入規制に関する日中両政府による発表に基づき、中国による日本産水産物の輸入回復を早期に実現するよう引き続き求めてまいります。また、拘束されている邦人の早期解放、在留邦人の安全確保にも全力を尽くしてまいります。
日本政府として、今般の韓国国内の一連の動きについては、引き続き特段かつ重大な関心を持って事態を注視してまいります。また、現地の状況が早期に落ち着くことを期待しており、引き続き高い緊張感を持って在留邦人の安全に万全を期す考えです。
韓国は国際社会の様々な課題にパートナーとして協力すべき重要な隣国であり、現下の戦略環境の下、日韓関係の重要性は変わりません。韓国側とは、引き続き緊密に意思疎通してまいります。
竹島については、歴史的事実に照らしても、国際法上も、日本固有の領土であるとの基本的な立場に基づき、毅然と対応してまいります。
日ロ関係は厳しい状況にありますが、政府として、北方領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持してまいります。
日ロが隣国として対処する必要のある事項については、引き続き適切に対応してまいります。北方四島交流訪問事業の再開は最優先事項の一つです。ロシア側に対し、引き続き、特に北方墓参に重点を置いて事業の再開を強く求めてまいります。
北朝鮮の核・ミサイル開発は断じて容認できません。また、北朝鮮兵士のウクライナに対する戦闘への参加といったロ朝軍事協力の進展は、ウクライナ情勢のみならず、我が国周辺地域の安全保障に与える影響の観点からも深刻に憂慮しています。
国連安保理決議の完全な履行に向け、国際社会と緊密に連携してまいります。
日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化を実現するとの方針は変わりません。
とりわけ、拉致被害者やその御家族も御高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人道問題であるとともに、その本質は国家主権の侵害であり、政権の最重要課題です。全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現するとともに、北朝鮮との諸問題を解決するため、総理自身の強い決意の下、総力を挙げて取り組んでまいります。
ロシアによるウクライナ侵略を止め、一日も早く公正で永続的な平和を実現するため、G7を始めとする国際社会と連携して、ウクライナ支援と対ロ制裁を強力に推進してまいります。
ウクライナの復旧復興支援についても、官民一体で取組を強化してまいります。
中東情勢は、引き続き予断を許しません。シリアで一刻も早く暴力が停止し、全てのシリア人が基本的人権を享有し、自由と繁栄を享受できるようになることを強く望んでいます。イスラエルとレバノンの停戦合意の完全な履行と、ガザにおける人質解放及び停戦を強く求めてまいります。
引き続き、G7及び国連安保理の一員として、中長期的な地域の平和と安定の確立に向け、外交努力を重ねてまいります。
グローバルサウスとの連携も重要です。来年八月の第九回アフリカ開発会議を始め様々な機会を通じて、また、ODAやOSAも活用し、丁寧な対話を通じたきめ細かな外交を進めてまいります。また、OECDによる取組も通じて、東南アジアなどとの連携を進めてまいります。
日本経済の成長や地方創生に貢献すべく、日本企業の海外展開、日本産食品の輸出拡大、対日直接投資の推進を後押しします。在外公館では、公館長自ら先頭に立って、経済広域担当官も活用しつつ日本企業をバックアップするとともに、対日直接投資の推進体制を強化してまいります。
二〇二五年大阪・関西万博、二〇二七年国際園芸博覧会の成功に向けた取組や、文化外交、人的交流を通じた親日派、知日派の育成も推進してまいります。
ルールに基づく自由で公正な経済秩序の維持拡大も重要です。多角的貿易体制の一層の強化のためのWTOの改革、CPTPPの新規加入やハイスタンダードの維持強化、RCEP協定の透明性のある履行の確保、安全、安心で信頼できるAIの実現や、信頼性のある自由なデータ流通、DFFTの推進を含む新興分野での国際的なルール作りなどに取り組んでまいります。
来年、国連が創設八十周年を迎えるに当たり、安保理改革を含め国連の機能強化に取り組んでまいります。
人権外交や、女性・平和・安全保障、いわゆるWPSも引き続き推進してまいります。
核兵器のない世界の実現に向け、G7首脳広島ビジョンを強固なステップ台としつつ、ヒロシマ・アクション・プランの下での取組を実行していくことで、現実的で実践的な取組を強化してまいります。
ALPS処理水の海洋放出の安全性については、IAEAと緊密に連携し、科学的根拠に基づき、高い透明性を持って国内外に丁寧に説明してまいります。
気候変動、国際保健、防災といった地球規模課題については、SDGsの達成に向け、人間の安全保障の理念に基づく取組を進めてまいります。また、ポストSDGsを見据え、国際的なルール形成を主導します。国際機関における邦人職員の活躍も後押ししてまいります。
これらの取組に向け、人的体制の強化、財政基盤の整備、業務合理化・DXや働き方改革の推進など、外交・領事実施体制の抜本的強化に取り組んでまいります。
緊急事態対応や邦人保護、情報保全対策などに万全を期すため、在外公館の強靱化も推進してまいります。
以上の所信の下、これまで平和国家として築いてきた国際社会からの信頼に応えるべく、対話と協調の外交を全力で進めてまいります。
議員各位、そして国民の皆様の御理解と御協力を心よりお願い申し上げます。
以上です。
2024-12-10
第216回国会(臨時会) 参議院 外交防衛委員会 第1号 発言No.7全文を見る防衛大臣の中谷元です。小野田委員長を始め、理事及び委員の皆様方に防衛大臣としての御挨拶を申し上げます。
今、我が国を取り巻く安全保障環境は、戦後最も厳しく複雑なものになっています。
中国は、国防費を急速に増加をさせ、軍事力の質、量を広範かつ急速に強化をしています。
このような軍事力を背景として、中国は、尖閣諸島周辺を含む東シナ海、日本海、西太平洋など、我が国周辺全体での活動を活発化させるとともに、近年、台湾周辺で大規模な軍事演習を数回、複数回実施するなど、台湾に対する軍事的圧力を高め、さらに、南シナ海での軍事拠点化などを推し進めております。
こうした中、本年八月の中国軍機による領空侵犯や九月の中国海軍空母による我が国領海に近接した海域での航行など、我が国周辺海空域において短期間にこうした事案が立て続けに起きているということに強い危機感を有しております。
このような中国の対外的な姿勢や軍事動向などは、我が国と国際社会の深刻な懸念事項であり、我が国の平和と安全及び国際社会の平和と安定を確保し、法の支配に基づく国際秩序を強化する上で、これまでにない最大の戦略的な挑戦となっています。
北朝鮮は、体制を維持するため、大量破壊兵器や弾道ミサイルなどの増強に集中的に取り組んでおり、近年は、低空を変則的な軌道で飛翔する弾道ミサイルの実用化を追求するとともに、ICBM級弾道ミサイルの発射を繰り返し強行しています。
北朝鮮は一貫して核・ミサイル能力を強化をしていく姿勢を示しており、今後も、各種ミサイル発射や衛星打ち上げ、核実験などの更なる挑発行為に出る可能性があると考えられます。
このような北朝鮮の軍事動向は、我が国の安全保障にとって、従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威となっています。
ロシアは、ウクライナ侵攻を、ウクライナ侵略を継続するとともに、我が国周辺においても北方領土を含む極東地域において、新型装備の配備や大規模な軍事演習の実施など、活発な軍事活動を継続しています。
本年九月には、ロシア軍機が三度にわたって我が国領空を侵犯しました。このような行為は、我が国の主権の重大な侵害であるだけではなく、安全を脅かすものであり、全く受け入れられるものではありません。
さらに、近年は、中国とともに艦艇による共同航行や爆撃機による共同飛行、各種訓練を実施するなど、軍事面での連携を強化をしており、先日も、二日間にわたって我が国周辺での共同飛行を実施をしました。
こうしたロシアの軍事動向は、我が国を含むインド太平洋地域において、中国との戦略的な連携と相まって、防衛上の強い懸念となっています。
また、ロシアによるウクライナ侵略が継続する中、北朝鮮はロシアと軍事面での協力を強化をしております。
北朝鮮兵士のロシアへの派遣やウクライナに対する戦闘への参加など、最近のロ朝軍事協力の進展の動きは、ウクライナ情勢の更なる悪化を招くのみならず、我が国を取り巻く地域の安全保障に与える影響の観点からも、深刻に憂慮すべきものです。
このように、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、国民の命と平和な暮らし、そして我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くため、防衛力の抜本的強化を速やかに実現させる必要があります。
スタンドオフ防衛能力や統合防空ミサイル防衛能力といった将来の中核となる能力を強化を、強化するとともに、非対称的な優勢を獲得するための無人アセット防衛能力や領域横断作戦能力の強化、さらには、迅速な意思決定を行うための指揮統制・情報関連機能の強化に取り組むほか、今年度末に統合作戦司令部を新設します。
また、部隊が迅速かつ粘り強く活動するためには、機動展開能力や持続性、強靱性の強化も重要です。今年度末に自衛隊海上輸送群を新編するとともに、現有装備品を最大限有効に活用するため、可動数向上や弾薬、燃料の確保、主要な防衛施設の強靱化への投資を加速してまいります。
また、既存の国際秩序への挑戦が続く中、こうした防衛力の抜本的強化に加え、同盟国、同志国等との協力、連携を深めていくことが不可欠です。
日米同盟は、我が国の安全保障政策の基軸であり、その抑止力、対処力の強化に向けた具体的な取組を着実に進めてまいります。
あわせて、普天間飛行場の辺野古移設を含む在日米軍再編を進める中で、抑止力の強化を図りながら、沖縄を始めとする地元の負担軽減を図るために全力で取り組みます。
米国のオースティン長官とは、就任以来、三度会談を実施をし、日米同盟の重要性について確認したところであり、本日も四度目の会談を予定をしています。
トランプ次期政権との間でも、緊密に意思疎通を行い、日米同盟を新たな高みに引き上げるため、努力をしている、していく考えです。
同時に、日米韓や日米豪といった日米を基軸とした多国間協力の発展もこれまで以上に進めてまいります。
そして、自由で開かれたインド太平洋というビジョンの実現に資する取組を進めるため、多角的、多層的な防衛協力・交流を積極的に推進します。
本年十月には、日本の防衛大臣として初めてNATO国防相会合に出席をし、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障が不可分であるとの共通認識を多くの国と共有しました。さらに、初開催となったG7国防相会合にも出席をし、地域情勢や防衛力の基盤について幅広い議論を行いました。先月には、拡大ASEAN国防相会議に参加をし、初となる日米豪比韓防衛相会談を含め、各国との防衛相会談を実施をしました。
引き続き、こうした防衛相会談を積極的に実施してまいります。
加えて、現在、我が国は日英伊三か国共同での次期戦闘機の開発を進めております。このプログラムは、欧州及びインド太平洋地域の平和と安定のために不可欠な極めて重要なものであり、三か国で緊密に連携をしながら進めていく考えです。
なお、地域の安全保障環境が厳しさと複雑さを増す中、日韓、日米韓の連携がますます重要であり、国際社会の様々な課題にパートナーとして協力すべき重要な隣国である韓国における今般の動きについては、日本政府として、引き続き特段かつ重大な関心を持って事態を注視していきます、注視しています。
また、防衛生産・技術基盤は、言わば防衛力そのものと位置付けられるものであり、その強化は必要不可欠です。
昨年施行された防衛生産基盤強化法に基づき、防衛生産・技術基盤の強靱化に向けた施策を引き続き力強く進めてまいります。
そして、豪州政府が進めている、進める次期汎用フリゲートの最終候補に、我が国の「もがみ」型護衛艦の能力向上型である令和六年度型の護衛艦が残りました。最終選考に向けた良い提案ができるように、関係省庁としっかり連携をし、官民一体となって取り組んでまいります。
最後に、人的基盤の強化も待ったなしの課題です。
防衛力の中核は自衛隊員であり、少子化による募集対象人口の減少などを背景とした厳しい募集環境の中においても、自衛隊員を安定的に確保していくことが不可欠です。
現在、石破総理を議長とする自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する関係閣僚会議において関係閣僚とも議論を行っているところですが、関係省庁が連携して取り組むべき方策の方向性と令和七年度予算に計上すべき項目を早期に取りまとめる考えであります。
また、人事院勧告の趣旨を踏まえ、自衛官の俸給月額及びボーナスを引き上げるなどの改定を行うため、防衛省職員の給与等に関する法律を改正するための法律案を今国会に提出をしました。
委員各位におかれましては、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
以上、防衛省・自衛隊が直面する課題に対して、防衛大臣として、全身全霊、職務に邁進する所存であります。
皆様におかれましては、一層の御指導、御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。
2024-12-10
第216回国会(臨時会) 参議院 外交防衛委員会 第1号 発言No.5全文を見る外務大臣の岩屋毅です。小野田委員長を始め、理事、委員各位に外務大臣としての所信を申し述べます。
ウクライナ侵略が国際秩序を揺るがし、安全保障環境も厳しさを増す中、日米同盟の強化、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた同盟国、同志国との連携、グローバルサウスとの連携の三点を重視し、我が国の平和、地域の安定を実現し、国際社会を分断から協調に導いてまいります。
私は、先月、APEC閣僚会議及びG7外相会合に出席し、同盟国、同志国との協力を確認するとともに、ウクライナを訪問し、日本はウクライナと共にあるとの変わらぬ姿勢を伝えました。侵略の現場を訪問し、力による一方的な現状変更は世界のどこであれ許されないとの思いを強くいたしました。
外交と防衛は国の根幹を成すものです。外交の失敗は国を誤るとの認識の下、緊張感を持って職務に当たってまいります。
我が国の外交・安全保障の基軸である日米同盟については、石破政権の最優先事項として、充実強化に取り組みます。米国の現政権、次期政権との間でも、強固な信頼関係を構築し、日米協力を更に深化させてまいります。
日米同盟の抑止力、対処力の一層の強化、拡大抑止の信頼性と強靱性の強化、在日米軍の態勢の最適化に向けた取組を進めてまいります。同時に、普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指して辺野古移設を進めるなど、沖縄を始めとした地元の負担軽減と米軍の安定的駐留に全力を尽くしてまいります。
また、外交・安全保障と経済を一体として議論していく観点から、貿易、投資の拡大や経済安全保障協力の強化など、経済分野での協力を更に拡大、深化させてまいります。
また、重層的な人的交流も一層強化してまいります。
自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、G7、ASEAN、豪州、インド、EU、NATOなどとの協力関係を更に強化し、日米豪印、日米韓及び日米比を始め、実践的な協力を広げてまいります。テロ、暴力的過激主義や国際組織犯罪の対策の協力も推進してまいります。
我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中、国家安全保障戦略の下、特に、防衛装備の移転、政府安全保障能力強化支援、OSAの着実な実施や、サイバー安全保障の推進に取り組んでまいります。
サプライチェーンの強靱化や経済的威圧への対応、重要・新興技術の保全、促進など、経済安全保障にも取り組んでまいります。
偽情報の拡散といった国際的な情報戦に対しては、情報の収集、分析、適時適切な発信とともに、情報セキュリティー基盤の構築、強化にも取り組んでまいります。
近隣諸国などとは、難しい問題に正面から対応しつつ、安定的な関係を築いてまいります。
日本と中国との間には、様々な可能性とともに、尖閣諸島情勢を含む東シナ海、南シナ海における力による一方的な現状変更の試みや、我が国周辺での一連の軍事活動を含め、多くの課題や懸案が存在しています。また、台湾海峡の平和と安定も重要です。さらに、中国の人権状況や香港情勢についても深刻に懸念をしています。
同時に、日中両国は、地域と世界の平和と繁栄に対して大きな責任を有しています。戦略的互恵関係を包括的に推進するとともに、建設的かつ安定的な関係の構築を日中双方の努力で進めていくことが重要です。
先般、中国での短期滞在に係る査証の免除措置が再開されました。日中関係の基礎である両国の国民間の交流が一層円滑化されることを期待しています。
ALPS処理水の海洋放出と日本産水産物の輸入規制に関する日中両政府による発表に基づき、中国による日本産水産物の輸入回復を早期に実現するよう引き続き求めてまいります。また、拘束されている邦人の早期解放、在留邦人の安全確保にも全力を尽くしてまいります。
日本政府として、今般の韓国国内の一連の動きについては、引き続き特段かつ重大な関心を持って事態を注視してまいります。また、現地の状況が早期に落ち着くことを期待しており、引き続き高い緊張感を持って在留邦人の安全に万全を期す考えです。韓国は国際社会の様々な課題にパートナーとして協力すべき重要な隣国であり、現下の戦略環境の下、日韓関係の重要性は変わりません。韓国側とは引き続き緊密に意思疎通してまいりたいと思います。
竹島については、歴史的事実に照らしても、国際法上も、日本固有の領土であるとの基本的な立場に基づき、毅然と対応してまいります。
日ロ関係は厳しい状況にありますが、政府として、北方領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持してまいります。
日ロが隣国として対処する必要のある事項につきましては、引き続き適切に対応してまいります。北方四島交流訪問事業の再開は最優先事項の一つです。ロシア側に対し、引き続き、特に北方墓参に重点を置いて事業の再開を強く求めてまいります。
北朝鮮の核・ミサイル開発は断じて容認できません。また、北朝鮮兵士のウクライナに対する戦闘への参加といったロ朝軍事協力の進展は、ウクライナ情勢のみならず、我が国周辺地域の安全保障に与える影響の観点からも、深刻に憂慮しています。
国連安保理決議の完全な履行に向け、国際社会と緊密に連携してまいります。
日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化を実現するとの方針は変わりません。
とりわけ、拉致被害者やその御家族も御高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人道問題であるとともに、その本質は国家主権の侵害であり、政権の最重要課題です。全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現するとともに、北朝鮮との諸問題を解決するため、総理自身の強い決意の下、総力を挙げて取り組んでまいります。
ロシアによるウクライナ侵略を止め、一日も早く公正で永続的な平和を実現するため、G7を始めとする国際社会と連携して、ウクライナ支援と対ロ制裁を強力に推進してまいります。
ウクライナの復旧復興支援についても、官民一体で取組を強化してまいります。
中東情勢は引き続き予断を許しません。シリアで一刻も早く暴力が停止し、全てのシリア人が基本的人権を享有し、自由と繁栄を享受できるようになることを強く望んでいます。イスラエルとレバノンの停戦合意の完全な履行と、ガザにおける人質解放及び停戦を強く求めてまいります。
引き続き、G7及び国連安保理の一員として、中長期的な地域の平和と安定の確立に向け、外交努力を重ねてまいります。
グローバルサウスとの連携も重要です。来年八月の第九回アフリカ開発会議を始め様々な機会を通じて、また、ODAやOSAも活用し、丁寧な対話を通じたきめ細かな外交を進めてまいります。また、OECDによる取組も通じて、東南アジアなどとの連携を進めます。
日本経済の成長や地方創生に貢献すべく、日本企業の海外展開、日本産食品の輸出拡大、対日直接投資の推進を後押ししてまいります。在外公館では、公館長自ら先頭に立って、経済広域担当官も活用しつつ、日本企業をバックアップするとともに、対日直接投資の推進体制を強化してまいります。
二〇二五年大阪・関西万博、二〇二七年国際園芸博覧会の成功に向けた取組や、文化外交、人的交流を通じた親日派、知日派の育成も推進してまいります。
ルールに基づく自由で公正な経済秩序の維持拡大も重要です。多角的貿易体制の一層の強化のためのWTOの改革、CPTPPの新規加入やハイスタンダードの維持強化、RCEP協定の透明性のある履行の確保、安全、安心で信頼できるAIの実現や、信頼性のある自由なデータ流通、DFFTの推進を含む新興分野での国際的なルール作りなどに取り組んでまいります。
来年、国連が創設八十周年を迎えるに当たり、安保理改革を含め国連の機能強化に取り組んでまいります。
人権外交や、女性・平和・安全保障、いわゆるWPSも引き続き推進してまいります。
核兵器のない世界の実現に向け、G7首脳広島ビジョンを強固なステップ台としつつ、ヒロシマ・アクション・プランの下での取組を実行していくことで現実的で実践的な取組を強化してまいります。
ALPS処理水の海洋放出の安全性については、IAEAと緊密に連携し、科学的根拠に基づき、高い透明性を持って国内外に丁寧に説明してまいります。
気候変動、国際保健、防災といった地球規模課題については、SDGsの達成に向け、人間の安全保障の理念に基づく取組を進めてまいります。また、ポストSDGsを見据え、国際的なルール形成を主導します。国際機関における邦人職員の活躍も後押ししてまいります。
これらの取組に向け、人的体制の強化、財政基盤の整備、業務合理化、DXや働き方改革の推進など、外交・領事実施体制の抜本的強化に取り組みます。
緊急事態対応や邦人保護、情報保全対策などに万全を期すため、在外公館の強靱化も推進してまいります。
以上の所信の下、これまで平和国家として築いてきた国際社会からの信頼に応えるべく、対話と協調の外交を全力で進めてまいります。
議員各位、そして国民の皆様の御理解と御協力を心よりお願い申し上げます。
2024-12-10
第216回国会(臨時会) 衆議院 予算委員会 第3号 発言No.36全文を見る自民党の中谷真一でございます。
まず冒頭、この度、私どもの事務所において不記載の問題がございました。これは速やかに修正をいたしましてというところであります。これは単純ミスでございまして、国民の皆様に疑念を持たれることがあってはなりませんので、これはしっかりと、今後、再発防止、二度とこのようなことがないように努めてまいりたいということを申し上げたいというふうに思います。本当におわびを申し上げたいと思います。
それでは、この度、質問の機会をいただきましたことに心から感謝申し上げます。委員長始め、また理事の皆様、そして委員の皆様に心から感謝を申し上げるところでございます。
それでは、早速質問に移らせていただきます。
まずは、総理がおっしゃっておられますアジア版NATOについて質問をしたいというふうに思います。
このアジア版NATOでありますが、まず、今、世界中がどのようになっているかという状況認識について確認をしたいというふうに思います。
今、ロシア、ウクライナの戦争は継続中であります。千日を超えてというところであります。さらに、北朝鮮がこれに参加をしてきております。さらには、イスラエル、パレスチナ、これは中東で戦争が起きていますが、これにヒズボラ、これはレバノンですね、さらにイラン、こういったところが参画をしてきているということであります。燃え広がってきているということであります。第三次世界大戦が始まっていると言う有識者もおられるというところであります。
私は、我々の東アジアも例外ではないというふうに考えています。これは皆様とほぼほぼ共通認識だと思いますが、東アジアにおいて、我が国の安全保障において最も脅威になっているのは、やはり中国であります。
中国は急速に軍事力を伸ばしています。さらに、力による現状変更を試みています。東シナ海、さらには南シナ海で行っています。さらに、毎日のように領海侵犯、領空侵犯を繰り返しているわけでありまして、力による現状変更を許してはいけないということで、海上保安庁、そして陸海空自衛隊の皆さんに頑張っていただいているという状況にございます。
ここでまたさらに大きな出来事がございました。それは、まさに日本が同盟を結ぶ米国でありますが、トランプ大統領の再登板であります。
トランプ大統領についてはいろいろな評価がありますけれども、私は、東アジア、日本の安全保障を考えた場合に、歓迎するという立場であります。
これはなぜかと申し上げますと、前回トランプ大統領が就任されたときはオバマ大統領から引き継いだわけでありますが、このときは、ニクソン政権、ニクソン大統領のときからオバマ大統領まで続けていた対中融和政策を変えて、そして中国が行っている力による現状変更を許さないということで、まさにそれに対抗するというふうな政治姿勢に変えた、米国の政策を変えたのはまさにトランプ大統領でありました。それを引き継いだのがバイデン政権であったというところであります。
トランプ大統領が今回の選挙戦を通じておっしゃっているのは、ロシア、ウクライナの戦争を終わらせると言っています。それは、これまでウクライナに対して支援してきた、この支援について制限をしていくということを言っています。さらには、ウクライナのNATO加入については、これを認めないということによってロシアと交渉していくことになろうかというふうに思います。そして、ヨーロッパでの戦争を終わらせて、ヨーロッパに割いていたアメリカの力を東アジアに集中するとも言っているわけであります。
そうしますと何が起きるかというと、米中の摩擦が激化していくことになります。
そこで、地図を持ってまいりました。この下の白い地図を見ていただきたいんですが、アメリカを青に塗っています、中国を赤に塗っています、そして日本を緑、そして台湾を黄色に塗っていますけれども。
この地図を見ますと、米中が摩擦を起こしたときにどこがホットゾーンになっていくかということでありますが、これは、八十年前、日本とアメリカが太平洋戦争を戦ったときと大体同じ地域がホットゾーンになってきます。これは地政学的にそうであります。そう考えますと、やはり、インドからASEAN、そしてオーストラリアを含むオセアニア、そして太平洋、これは大洋州を含みますけれども、ここがホットゾーンになってくるということになります。
中国は太平洋に出なければアメリカとは勝負にならないわけでありまして、そう考えますと、日本列島と台湾がまさに中国が太平洋に出ようとするのを防ぐか、邪魔するかのように存在しているということでありまして、台湾に侵攻するのではないかと言われているのはそういった理由でありまして、これを取ることによって太平洋への道が開けるということであります。このホットゾーンがここの地域だということを申し上げました。
そこで、米ソ冷戦期を振り返ってみたいんです。
米ソ冷戦期はどうであったかということでありますが、この上の地図を見ていただきたいというふうに思います。当時、米ソ冷戦期にNATOが作った地図でありますけれども、これは、青い方は、アメリカを含むまさにNATO諸国を青色で塗っています。赤色の方は、ソ連とそしてワルシャワ条約機構を赤色で塗っています。
これが西と東に分かれて対立構造をつくっていったというところでありますけれども。この評価については様々ございますが、この二つの固まりが対峙することによって最終的には戦争を回避したということでありまして、そういった評価もできるというところであります。
これは、舞台を変えて、今度は東アジア、このアジアでこういった形になっていくのではないかという予測がされているところであります。
そうなっていきますと、まさに総理がおっしゃっているような、NATOのようなものを形成していく。これは軍事同盟というよりは、やはりネットワークを形成していく必要があるというふうに考えているところであります。そう考えますと、それをやろうとすると、アジアはそこまで成熟していないとか、中国を刺激するんじゃないかというようなこともありますが、やはり、やっていかなければいけないというふうに思っています。
これは、少なくとも中国はもう始めています。この五月から、調べたんですが、今年の五月からだけでも九回、いわゆる軍事共同訓練をASEANの諸国と行っています。特に自分の自国に近いところですね、ラオス、カンボジア、タイ、ベトナム、こういった国々とバイで共同訓練を行っております。
こういったことを考えますと、私たちの日本も、東アジアにおいて価値観の近い国々とはそういったことをしていかなければいけないのではないかというふうに思うわけであります。今、まさにヨーロッパの国々とはACSA等々結んでおりますけれども、そうではなくて、やはりアジアの国々と結ぶ必要があるというふうに思っています。さらには、共同訓練、こういったものもやっていかなければいけないというふうに思っています。
そして、これは軍事だけではなくて、まさに経済的にも結びついていかなきゃいけないというふうに思っておりまして、それは、ODAを使って、そしてAZEC、アジアのゼロエミッションとかですね、こういったものに協力していくとか、宇宙を共同で開発していくとか、こういったことを行っていく必要があるというふうに思っています。
とにかく、ネットワークをつくって、東アジアの安定をつくっていくのはやはり日本だというふうに思っているところでありまして、総理のアジア版NATOに関しての考え方をお聞きしたいと思います。
2024-12-05
第216回国会(臨時会) 衆議院 安全保障委員会 第1号 発言No.9全文を見る外務大臣を拝命した岩屋毅でございます。
安全保障委員会の開催に当たり、遠藤委員長を始め理事、委員各位に御挨拶申し上げますとともに、我が国の安全保障政策について所信を申し述べます。
国際社会の分断や対立が深まり、我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に置かれる中、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持することの重要性がより一層高まっています。
こうした中、私は外務大臣として、我が国の長年にわたる外交活動や経済活動の実績を糧に、大幅に強化される外交実施体制の下、危機を未然に防ぎ、平和で安定した国際環境を能動的に創出するために、外交と防衛を連携させながら、総合的に外交、安全保障政策を進めていきます。
私は先月、APEC閣僚会議及びG7外相会合に出席しました。その機会に、米国及び韓国を始めとして、同盟国、同志国のカウンターパートとも会談し、連携と協力を確認したところです。
また、現下の国際情勢においてウクライナ情勢は最も重要な課題の一つと考え、ウクライナを訪問しました。ゼレンスキー大統領を含む要人と会談し、日本はウクライナと共にあるとの変わらぬ姿勢を伝えたところです。ブチャを含む侵略の現場を目の当たりにし、力による一方的な現状変更は世界のどこであっても許されないとの思いを改めて強くいたしました。
外交と防衛は表裏一体をなし、国の根幹を成すものであります。私自身、政治家として一貫して外交、安全保障に携わってきた経験を生かし、外交の失敗は国を誤るとの認識の下、強い危機感を持って、激動する国際情勢から我が国を守り抜き、地域や国際社会の平和と安定に取り組んでまいります。
我が国の外交、安全保障政策の推進に当たり、同盟国、同志国との連携は不可欠です。
まずは、日米同盟を更に深化させていきます。日米同盟の充実強化は石破政権の外交、安全保障政策の最優先事項です。現政権、次期政権との間でも強固な信頼、協力関係を構築し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の中核を担うグローバルパートナーとして、日米協力を更に深化させていきます。
また、国家安全保障戦略などの三文書や本年七月の日米2プラス2で確認した方向性に従って、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持するため、日米同盟の抑止力、対処力の更なる強化に日米で共に取り組んでまいります。
その際、同盟調整メカニズムを通じた二国間調整の更なる強化、平時における同盟の取組、日本の反撃能力の効果的な運用に向けた日米間の協力の深化、宇宙、サイバー、情報戦分野での協力、同盟の技術的優位性の確保のための技術協力や、新興技術への共同投資、情報保全の強化などを重点的に進めてまいります。
また、米国による拡大抑止の信頼性と強靱性を強化するための取組も続けてまいります。
さらに、在日米軍の態勢の最適化に向けた取組を進めていきます。それとともに、普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指して辺野古移設を進めるなど、沖縄を始めとした地元の負担軽減と米軍の安定的駐留に全力を尽くしてまいります。
日米同盟を更に発展させていく上で、外交、安全保障と経済を一体として議論していくことが重要です。こうした観点から、経済安全保障分野での協力強化を始め、経済分野での日米協力を更に拡大、深化させてまいります。
法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の堅持により、インド太平洋地域、ひいては世界全体の平和と繁栄を確保していくことが重要です。日米豪印、日米韓及び日米比を始め、このような考え方を共有する国々とも連携しながら、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組を強化してまいります。
ウクライナ情勢を始めとする国際社会の喫緊の課題に対応するため、G7の連携はかつてなく緊密になっています。引き続きG7外相間の議論に貢献してまいります。
現下の戦略環境の下、韓国と緊密に連携していくことは、日韓双方にとっても、地域にとっても利益となるものです。日本政府として、今般の韓国国内の動きについては、引き続き特段かつ重大な関心を持って事態を注視しております。在留邦人の安全確保については、引き続き万全を期す考えです。その上で、日韓は国際社会の様々な課題にパートナーとして協力すべき重要な隣国同士です。日韓関係全体の今後の取組については、情勢を注視しつつ適切に判断してまいります。
ASEAN諸国、豪州、インド、欧州諸国、EU、NATOを始め、基本的価値を共有する国々、パートナーとの協力関係を更に強化し、そのネットワーク化も進めてまいります。
同盟国、同志国間のネットワークを重層的に構築し、抑止力を強化する観点から、防衛装備品の共同開発や移転を始めとする安全保障上の協力を一層強化していく考えです。
英国及びイタリアとの間で行う次期戦闘機の共同開発についても、我が国の安全保障環境にふさわしい戦闘機を実現すべく、引き続き三か国で緊密に連携して進めてまいります。
近隣諸国などとの間の懸案の解決も重要な課題です。
中国との間では、戦略的互恵関係を包括的に推進するとともに、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案も含め、対話をしっかりと重ね、共通の諸課題については協力するという、建設的かつ安定的な関係の構築を日中双方の努力で進めていくことが重要です。
一方で、日本と中国の間には、様々な可能性とともに、尖閣諸島情勢を含む東シナ海における力による一方的な現状変更の試みや、ロシアとの一層の連携強化を含む我が国周辺での一連の軍事活動を含め、数多くの課題や懸案が存在しています。また、台湾海峡の平和と安定も重要です。
特に、尖閣諸島周辺の我が国領海で独自の主張をする海警船の活動は、国際法違反であり、断じて認められません。我が国の平和と安定、尖閣諸島を含む我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの決意の下、中国に対しては冷静かつ毅然と対応してまいります。
南シナ海をめぐる問題についても、地域における力又は威圧による一方的な現状変更の試みや緊張を高めるいかなる行為にも強く反対いたします。そして、力や威圧によらず、国際法に基づき紛争を平和的に解決することが重要であると改めて強調してまいります。
今後も中国の不透明かつ急速な軍事力の増強や活発化する活動を注視しつつ、その透明性の向上を働きかけてまいります。
竹島については、歴史的事実に照らしても、国際法上も日本固有の領土であるとの基本的な立場に基づき、毅然と対応してまいります。
日ロ関係は引き続き厳しい状況にありますが、政府として、北方領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持してまいります。
漁業や我が国周辺の安全に係る問題のように、日ロが隣国として対処する必要のある事項につきましては、ロシア側への働きかけを含め、引き続き適切に対応してまいります。また、北方四島交流訪問事業の再開は最優先事項の一つです。ロシア側に対して、特に北方墓参に重点を置いて事業の再開を引き続き強く求めてまいります。
北朝鮮による核・ミサイル開発も推し進められています。一連の北朝鮮の行動は、我が国、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できません。
さらに、北朝鮮兵士のロシアへの派遣やウクライナに対する戦闘への参加、ロシアによる北朝鮮からの弾道ミサイルを含む武器弾薬の調達及び使用といった最近のロ朝軍事協力の進展の動きを強く非難いたします。こうした動きは、ウクライナ情勢の更なる悪化を招くのみならず、我が国を取り巻く地域の安全保障に与える影響の観点からも深刻に憂慮すべきものです。
米国、韓国を始めとする国際社会とも協力しながら、関連する国連安保理決議の完全な履行を進め、北朝鮮の核・弾道ミサイル計画の完全な廃棄を求めてまいります。
我が国の北朝鮮に対する基本方針は、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化を実現するというものです。とりわけ、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人道問題であるとともに、その本質は国家主権の侵害であり、政権の最重要課題です。全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現すべく全力で取り組んでまいります。
ロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙です。今なお続くロシア側による一連の攻撃につき、改めて強く非難します。
また、我が国は、唯一の戦争被爆国として、ロシアによる核の威嚇、ましてや使用はあってはならないと考えています。ロシアによる侵略を止め、一日も早くウクライナに公正かつ永続的な平和を実現するため、ウクライナ支援と対ロ制裁を強力に推進してまいります。
地域、国際社会が抱える諸課題への対応にも全力で取り組みます。
中東情勢は引き続き予断を許しません。先般イスラエルとレバノンが停戦に合意したことを歓迎し、全ての当事者による停戦合意の完全な履行を強く求めてまいります。ガザについては、引き続き人質の解放と停戦を強く求めます。同時に、危機的な人道状況が継続し、多数の民間人が犠牲となっていることを深刻に憂慮しています。
加えて、中東地域全体で緊張が高まっていることを深刻に懸念しており、私も地域のカウンターパートと電話会談を行い、事態の鎮静化に向けて引き続き連携することを確認してきております。
我が国としては、引き続き、融和と協調を重んじる日本外交の基本的立場に基づき、G7及び国連安保理の一員として、関係国とも緊密に連携しながら、事態の早期鎮静化、人道状況の改善、そして中長期的な地域の平和と安定の確立に向け、外交努力を重ねてまいります。
また、我が国は中東地域に原油輸入の九割以上を依存しています。世界経済の安定と成長にとり不可欠であるエネルギーの安定供給、そしてこれを支える中東地域における航行の安全の確保に万全を期してまいります。
核軍縮・不拡散については、核軍縮に関するG7首脳広島ビジョンを強固なステップ台としつつ、ヒロシマ・アクション・プランの下での取組を一つ一つ実行していくことで、NPT体制を維持強化し、核兵器のない世界の実現に向けた現実的で実践的な取組を継続、強化してまいります。
経済安全保障に関しては、サプライチェーンの強靱化や経済的威圧への対応、重要・新興技術の保全、促進を進めるべく、同志国間の議論を牽引するとともに、国際社会の関心を喚起し、基本的価値やルールに基づく国際経済秩序の維持強化に取り組んでまいります。
サイバー安全保障の推進や政府安全保障能力強化支援、OSAの着実な実施にも取り組んでまいります。
また、テロ及び暴力的過激主義の脅威、国際組織犯罪への対策は、我が国及び国際社会にとって引き続き重要な課題となっています。こうした分野においても我が国の取組や国際的な貢献を継続してまいります。
そして、人間の尊厳を守り抜くために、貧困、気候変動、大規模自然災害などの複合的危機への対応について国際協力を進めるとともに、地球規模課題におけるルール形成の議論を主導してまいります。
また、女性・平和・安全保障、いわゆるWPSについては、人間の安全保障など、日本が掲げる人間中心の外交を支えるものとして、今後も国際的な協力を進めてまいります。
以上、当面する諸課題についての所信を申し述べました。
遠藤委員長を始め、理事、委員各位の御指導と御理解を心よりお願い申し上げます。