ただいま議題となりました自由民主党・無所属の会提出の政治資金規正法等の一部を改正する法律案、国会法の一部を改正する法律案及び政治資金委員会法案の三案につきまして、提出者を代表して、その提案理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。
初めに、我が党が政治資金をめぐる問題により国民の政治に対する信頼を失う事態を招いたことに対し、この場をおかりして深くおわび申し上げます。
我が党は、この問題に対する真摯な反省の下、国民の政治に対する信頼を取り戻すため、さきの通常国会で成立した改正政治資金規正法の附則に記された項目等について検討した結果、これらの法律案を提出した次第です。
以下、各法律案の概要について御説明いたします。
まず、政治資金規正法等の一部を改正する法律案についてです。
第一に、政策活動費の廃止です。党から所属国会議員へ多額の金銭が支払われ、具体的な使途が明らかになっていなかったことに対する国民の疑念や不信感に応えるため、政党又は国会議員関係政治団体の経費は、その役職員又は構成員に対する渡し切りの方法によっては支出できないこととし、党から所属国会議員への渡し切りによる政策活動費を法律上明確に廃止します。これにより、政党の支出は、政治資金収支報告書において全て最終の支出先を示す形で公開されることとなります。
第二に、政党の支出のうち公開方法に工夫を必要とする支出の扱いについてです。政党の支出のうち、公開されることにより、国の安全・外交上の秘密、法人その他の団体の業務に関する秘密及び個人の権利利益を害するおそれがあるため、その公開の方法に工夫を必要とする支出について、支出の相手方の氏名、住所又は支出日の記載に代えて、公開方法工夫支出であることを記載することができることとしております。その上で、この公開方法工夫支出については、その適正を担保するため、公開方法工夫支出明細書、領収書の写し等を、国会内に新たに置く政治資金委員会に提出した上で、その監査を受けなければならないこととしております。
第三に、収支報告書に係るデータベースによる情報提供の充実についてです。総務大臣は、政党本部若しくは政治資金団体又は国会議員関係政治団体からオンラインにより総務省又は都道府県選挙管理委員会に提出された収支報告書について、検索することができるよう体系的に構成したデータベースを整備し、インターネットを通じて一般に供しなければならないこととしています。その際、プライバシーに配慮する観点から、個人の寄附者等に係る事項については、対象から除外することとしております。
第四に、外国人、外国法人等による政治資金パーティーの対価の支払いの禁止等についてです。外国人、外国法人等からの政治資金パーティーの対価の支払いを受けることは、政治活動に関する寄附と同様に、我が国の政治活動や選挙がこれら外国人、外国法人等からの影響を受けるおそれがあるため、これを禁止します。また、外国人、外国法人等が、外国人、外国法人等であることを偽って政治活動に関する寄附や政治資金パーティーの対価の支払いをしてはならないこととしております。さらに、政治資金パーティーを開催する者は、あらかじめ、外国人、外国法人等から政治資金パーティーの対価の支払いを受けることができない旨を書面により告知することとしております。
第五に、自らが代表を務める政党選挙区支部に対する寄附への税制優遇の適用除外についてです。寄附金控除の特例等の適用対象から、公職の候補者が自ら代表を務める政党選挙区支部に対してする政治活動に関する寄附を除外することとしております。
最後に、政党に所属する国会議員が起訴された場合における政党交付金の交付停止等についてです。政党に所属する国会議員が政治資金又は選挙に関する犯罪で起訴された場合において、その政党に対して交付すべき政党交付金のうち当該議員に係る議員数割額に相当する額の交付を停止する制度を設けるものとし、その法制上の措置については、この法律の公布の日後一年以内を目途として講ずるものとしております。
続きまして、国会法の一部を改正する法律案について御説明いたします。
第一に、政治資金委員会の委員長及び委員の推薦並びに政治資金委員会の要請を受けた場合の国政に関する調査を行うため、国会に、公開方法工夫支出の監査等に係る両議院の議院運営委員会の合同協議会を置くこととしております。
第二に、両院合同協議会は、政治資金委員会の要請を受けた場合において必要があると認めるときは、当該要請に係る事項について、国政に関する調査を行うことができるようにすることとしております。
最後に、政治資金委員会法案について御説明いたします。
第一に、政党が行う公開方法工夫支出の監査を行うとともに、政治資金の制度に関する提言を行うため、国会に、政治資金委員会を置くこととしております。
第二に、政治資金委員会の組織等については、委員長及び委員六人とし、委員長及び委員は、委員会の職務の遂行に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者のうちから、両院合同協議会の推薦に基づき、両議院の議長が、両議院の承認を得て、これを任命することとしております。
第三に、公開方法工夫支出に関する監査については、まず、政党の会計責任者は、公開方法工夫支出である旨を記載した収支報告書を提出するときは、その提出期限までに、収支報告書の写し及び公開方法工夫支出明細書、領収書等の写し等を政治資金委員会に提出しなければならないこととし、次いで、委員会は、収支報告書の公表期限の一月前までに、各公開方法工夫支出に関し、公開方法工夫支出に該当すること等について監査することとしております。そして、委員会は、監査報告書を両議院の議長に提出するとともに政党の会計責任者に送付し、速やかにその内容を公表するものとしています。
以上が、三案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願いいたします。