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2024-12-05
第216回国会(臨時会) 衆議院 予算委員会 第1号 発言No.245全文を見る委員のおっしゃることは全てそのとおりでございます。
議院内閣制において、いかにして立法府の権限を強化するかというのは極めて大事なことであって、それは精神論だけ言っていても仕方がありません。
そして、我が党の平成二十四年憲法改正草案の中に、政党というのを位置づけました。それは、権力の介入というのは最大限排除されなければならない。しかし、その党が、どうやって代表を選び、財政はどうなり、どうやって意思決定がなされるのか。それは、我が党とほかの党は違いますよ。だけれども、それが主権者に分かるようにするというのは大事なことだと思っています。
全ては主権者目線、納税者目線で政治改革を論ぜねばならぬのであって、私の反省は、平成の政治改革はどうも選ばれる我々の理屈でやっちゃったんじゃないか、少なくとも自分自身はそういう反省を持っております。
ただ、それは、私の立場としてではなくて、我が党を始め皆様方の中で令和の政治改革はそういう視点を持っていただければありがたいなという、これは単なる願望でございますが、強い反省とともにそのように思っておるところでございます。
2024-12-05
第216回国会(臨時会) 衆議院 予算委員会 第1号 発言No.260全文を見るお尋ねにお答えするには、まず、調査の対象は誰なのかということを分けて論ずる必要があると思っております。
国会又は国会の機関による政党等の活動に係る調査につきましては、国会において御議論をされるべき事柄でありまして、これに関する法的な側面からの議論につきまして、内閣法制局として検討したことはこれまでにもありませんし、また検討する立場にもないと思っています。
その上で、行政に対する調査との関係で、お尋ねの憲法六十二条の国政調査権についての一般的な解釈に関しては、法制局としてお答えしたことがございますので、その答弁を御紹介いたします。
平成八年十二月十日の参議院予算委員会においての答弁でございますが、国会の国政調査権と憲法六十五条等との関係や、三権分立の立場から行政をどの程度監督できるかといった旨の質問に対しまして、当時の大森内閣法制局長官が、国会は憲法によりまして、立法や予算の議決権、行政監督ともいうべき権能を有し、これらの権能を有効に行使するための補助的な権限、手段といたしまして憲法六十二条により国政調査権を有している、憲法は三権分立の原則を取っておりまして、また、国政調査はあくまでも行政監督等の権限行使に役立たせるために実施されるものであり、個々の行政を直接的に抑制する、あるいは自主的に自らその行政を執行する結果となるような行為を行うことはなし得るものではないと述べたことがあります。
また、その際、議員立法で当時提案されました、国会の附属機関としての行政監視院に行政に対する立入調査権等の調査権限を設けることの現行法上の問題についての質問がありまして、これに対して同長官が、現行法上、国政調査権を行使するための手段として議院に認められている具体的な権限とのバランスにおいてなお検討を要すべき問題がある、現行法上、国政調査権の行使の手段としてはこの立入調査権は憲法上認めていないというのが学説の通説でございまして、その点で問題があるというふうに思います、こう述べております。
2024-11-13
第215回国会(特別会) 衆議院 憲法審査会 第1号 発言No.5全文を見るこの際、一言御挨拶申し上げます。
委員の皆さんの御推挙により、憲法審査会の会長の重責を担うこととなりました。どうぞよろしくお願いをいたします。
本審査会は、国会法第百二条の六の規定に基づき、憲法とこれに密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行うとともに、憲法改正原案や改正の発議、国民投票に関する法律案等を審査する場として設置をされています。
憲法は、言うまでもなく、国の在り方、統治の基本原理を定める根本規範であり、あらゆる法令の根拠となり基本を成すものです。本審査会は、いわば国家の骨格に関して議論をする場であり、その重要性は論をまちません。
あわせて、現在、我が国が直面する数多くの課題には、憲法に関わる重要な問題を含むものが少なくありません。
本審査会に課せられた使命は大変重大であります。
これまで、憲法やその改正については、党派間での見解の違いが大きいと見られ、また、社会的にもその違いばかりが注目されてきました。
しかし、憲法改正の発議には三分の二以上の賛成を必要としています。また、改正には国民投票を要するともされています。
このため、憲法の議論においては、見解の違いを乗り越えて一致点を見出し、国会においてはもとより、国民的にも広範な合意形成を図ることが肝要であります。
憲法審査会の前身である憲法調査会では、平成十二年、西暦二〇〇〇年一月の設置以来、中山太郎調査会長が主導されたいわゆる中山方式に基づいて、円滑で建設的な議論が進められました。中山方式については、円卓式の委員会室や、質疑時間など少数会派にも配慮した運営、自由討議を多用することなど、特に形式面において、本審査会に引き継がれている点が多々あります。
加えて、その運営や議論などの実質においても、一致点を見出し、幅広い合意形成に向けて努力するという中山方式の本質に立ち返り、本審査会に課せられた重大な使命を、更に十分に果たしていかなければなりません。
私は、幹事、委員の皆さんに御指導をいただきながら、公平かつ円満な審査会運営に努め、幅広い合意形成を視野に入れて、一致点を見出すための努力を重ねる決意です。
幹事、委員の皆さんの御指導と御協力を心からお願い申し上げ、御挨拶といたします。
2024-10-07
第214回国会(臨時会) 衆議院 本会議 第3号 発言No.34全文を見る馬場伸幸議員の御質問にお答えをいたします。
今般の解散等についてお尋ねがありました。
内閣は、国政上の重大な局面等において主権者たる国民の意思を確かめる必要があるような場合には、衆議院の解散権を行使することができると考えております。
今回、新内閣の発足に当たり、国民の皆様の意思を確かめる必要があると判断し、解散を行うとの判断をいたしました。この判断は憲法の趣旨にも沿うものだと考えており、変節したとの御指摘は当たりません。
国民の皆様に対して勇気と真心を持って真実を語る姿勢を大切にしつつ、政治の信頼を回復し、能登半島地震、大雨からの復旧復興、緊迫する国際情勢における外交のかじ取りなど、政府として諸課題の解決に全力を尽くしてまいることで、国民の皆様方の納得と共感を得てまいります。
政治資金収支報告書に不記載があった議員の政治倫理審査会への出席、公認の方針等についてお尋ねをいただきました。
政治倫理審査会への出席につきましては、両院の政治倫理審査会規程に基づき判断されるべきものではありますが、国民の皆様の納得を得るための努力がなされているかという観点から、公認の是非を判断するための一要素としたものであります。
公認につきましては、選挙対策本部において、各選挙区の事情、当選の可能性などを踏まえ適切に判断していくこととなりますが、最終的な公認権者は総裁であり、不記載があった議員については、引き続き適切な方法で、地元の理解が得られているかなどを判断してまいります。
政策活動費の廃止についてお尋ねをいただきました。
政策活動費につきましては、将来的な廃止も念頭に、その在り方の検討や透明性の確保に取り組みます。政策活動費の在り方は、我が党のみならず、各党の政治活動の在り方にも関係し得る事柄であることから、共通のルールにのっとって透明性を高めていくことが必要と考えており、今後、各党各会派との真摯な議論も経て、最終的な結論を得てまいる所存であります。
企業・団体献金の禁止についてお尋ねをいただきました。
企業・団体献金につきましては、さきの通常国会において、各党各会派による様々な議論がなされた結果、見直しは行われなかったものと承知をしております。
また、政治団体の収入につきましては、多様な考え方の多くの出し手による様々な収入を確保することが政策立案における中立性やバランスの確保において重要と認識をいたしており、企業・団体献金のみを禁止することによる影響につきましても十分に議論する必要があると考えております。
議員定数についてのお尋ねをいただきました。
議員定数の削減につきましては、議員立法により、平成二十五年に衆議院の定数五議席、平成二十八年に衆議院の定数十議席の削減が実現をいたしたところであります。
その上で、議員定数の在り方につきましては、民主主義の根幹に関わる重要な問題であり、各党各会派で御議論いただくべき事柄であると考えております。
調査研究広報滞在費についてお尋ねをいただきました。
調査研究広報滞在費、いわゆる旧文通費については、我が党の岸田前総裁と議員との間において、衆参議長の下に置かれる協議の場において前向きに議論を行い、使途公開と残金返納を義務づける立法措置を講ずることについて文書で合意が交わされたものと認識をいたしております。私も自民党総裁として、その合意を引き継いでまいります。
なお、旧文通費の使途公開や残金返納につきましては、現在、衆参両院の議院運営委員会による有識者へのヒアリングが進められておるところと承知をしておることから、領収書の自主的な公開の要否については、当該議論の状況も踏まえて判断をいたしてまいります。
子育て支援財源及び防衛増税についてお尋ねをいただきました。
少子化とその結果生ずる人口減少は、国の根幹に関わる課題、いわば静かな有事であります。このため、こども未来戦略を着実に実施し、子育て支援に全力を挙げます。
支援金制度は今月から拡充されております児童手当などの加速化プランの実施に必要なものであり、これを導入しても、歳出改革等により、社会保険料の上昇を確実に抑制いたします。あわせて、物価上昇を上回る賃金上昇の定着に向けた取組を進め、現役世代の所得を増やしてまいります。
他方、激変する安全保障環境において日本を守り抜くためには、国家安全保障戦略等に基づき、我が国自身の防衛力を抜本的に強化すべきことは論をまちません。
そのための財源確保に当たっては、行財政改革の努力を最大限に行った上で、それでも足りない約四分の一につきまして、今を生きる我々の将来世代への責任として、税制措置での御協力をお願いすることといたしております。
今後、与党の税制調査会等の場で議論が行われていくものと承知をいたしておりますが、政府・与党で緊密に連携し、適切に対応いたしてまいります。
社会保障制度についてのお尋ねをいただきました。
社会保障制度は、様々な境遇にある国民の方々に安心を提供するセーフティーネットです。
政府としては、高齢者を含め全ての世代の方がその状況に応じて支え合い、必要な給付が受けられる全世代型社会保障の構築に取り組んでまいります。
その際、高齢化などにより社会保障の給付が増加する中、多様な関係者を含めた国民的な議論の場を設けることを念頭に、昨年末に策定した改革工程に基づき、医療DXによる効率化、質の向上や医療の提供体制の改革などを進め、歳出改革を含む歳出の最適化により、社会保険料の上昇を抑制してまいります。
マイナ保険証及び電子カルテについてのお尋ねをいただきました。
現行の健康保険証の新規発行終了につきましては、法に定められたスケジュールにより進めていきますが、マイナ保険証が利用できない方も確実に保険診療が受けられるよう、資格確認書の活用も図ってまいります。さらに、資格確認書でも保険診療が受けられることなど、高齢者の方にも伝わるよう周知を徹底し、不安の払拭に向け、丁寧に進めてまいります。
また、国が小規模な医療機関でも導入しやすい電子カルテを開発し普及させるなど、医療の質の向上と医療機関の負担軽減につながる医療DXを推進してまいります。
年金制度の在り方についてお尋ねをいただきました。
本年七月に公表した令和六年財政検証では、近年の女性や高齢者の労働参加の進展等により、前回の検証に比べ、将来の給付水準の改善が確認をされました。加えて、今回は新たに個人単位でも推計を行い、若年世代において年金額が増加する傾向にあることが確認されました。
今後は、こうした結果も踏まえ、さらに、被用者保険の適用拡大などを通じた働き方に中立な制度の構築や、所得保障、再分配機能の強化を図る観点からの基礎年金水準の確保といった観点から、年末に向けて制度見直しの議論を進めてまいります。
年金の財政検証についてお尋ねがありました。
公的年金の財政検証におきましては、出生率等の前提について、これまでの実績に基づきながら専門家による検討を経た上で幅広い複数のケースを設定しており、適切なものと考えております。
今後、今回の財政検証の結果も踏まえ、次期年金制度改正に向け、丁寧に議論を進めてまいります。
地方創生についてお尋ねがありました。
私が十年前に初代地方創生担当大臣として地方創生推進交付金の創設などに取り組んで以降、交付金などを活用し、住民の方々が気持ちを一つにして地方創生の取組に頑張っておられる姿が全国各地で見られるようになったことは、大きな成果であると考えております。
一方、東京一極集中の流れは止まっておらず、地方において産官学金労言の地域の多様な関係者の知恵が十分に引き出されてきたか、国においてこれを十分に後押ししてこられたかにつきましては、改善の余地が多分にあると考えております。
これまでの成果と反省を生かし、地方創生二・〇を再起動させるべく、新しい地方経済・生活環境創生本部を創設し、今後十年間集中的に取り組む基本構想を策定します。
御指摘の多極分散も含め、地方六団体と更に連携を密にし、例えば、地方創生の交付金を当初予算ベースで倍増することを目指し、好事例の普遍化、地方の成長の根幹である農林水産業の活性化、観光産業や文化芸術分野の更なる振興策、半導体等のサプライチェーンの国内立地策などについて検討を行い、成案を得ます。
国から地方への税源移譲についてのお尋ねを頂戴いたしました。
地方創生を推進するためには、その基盤となる地方税の充実確保は不可欠であり、これまでも、個人住民税における三兆円の税源移譲、消費税率引上げに際しての地方消費税の拡充等に着実に取り組んできたところであります。
今後も、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に取り組むとともに、地方税の充実確保に努めてまいります。
物価高対策と消費税減税、社会保険料の軽減についてのお尋ねをいただきました。
物価上昇を上回って賃金が上昇するといった成長と分配の好循環が確実に回り出すまでの間、足下で物価高に苦しむ方々への支援が必要です。当面の対応として、物価高の影響を特に受ける低所得者世帯向けの給付金や、地域の実情に応じたきめ細かい対応のための重点支援地方交付金を始め、総合的な対応を図ります。
消費税につきましては、急速な高齢化等に伴い社会保障給付費が大きく増加する中で、全ての世代が広く公平に分かち合う観点から、社会保障の財源として位置づけられており、その税率を引き下げることは考えておりません。
社会保険制度につきましては、相互扶助の考え方を基盤としつつ、所得に応じた保険料負担としています。可処分所得向上のために幅広く保険料の減免を行うことは、給付と負担の関係が不明確となり、財源をどうするのかという観点からも、慎重な検討が必要なものと考えております。
規制改革に対するお尋ねをいただきました。
人口減少、少子高齢化等の課題を克服して地方の活性化につなげるため、また、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現するため、利用者目線を徹底し、必要となる規制・制度改革に取り組んでまいります。
地域交通は地方創生の基盤です。全国での交通空白の解消に向け、骨太方針に従い、日本版ライドシェア等の施策の実施効果を検証しつつ、地域交通の担い手や移動の足の確保の取組を強力に進めてまいります。
北陸新幹線の延伸についてのお尋ねを頂戴いたしました。
北陸新幹線敦賀―新大阪間につきましては、平成二十八年度に与党のプロジェクトチームにおいて小浜・京都ルートとすることが決定されており、まずは、詳細な駅位置、ルートを絞り込んだ上で、着工五条件の検討を深め、一日も早い全線開業を目指してまいります。
いわゆる台湾有事に関する私の認識についてお尋ねをいただきました。
台湾有事という仮定の御質問に関し、私の認識を含め、政府としてお答えをすることは差し控えますが、その上で申し上げれば、台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安定にとっても重要であり、台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決することを期待するというのが、我が方の従来からの一貫した立場であります。この点、これまでも日米やG7で台湾海峡の平和と安定の重要性について一致をしております。
また、あくまで一般論として申し上げれば、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、我が国及び我が国国民の安全と繁栄を確保するため、政府として、いかなる事態に対しても対応できるよう、平素からの体制の整備を進め、万全を期していくことは当然のことであります。
今後の自衛隊の運用及び我が国周辺の安全保障環境を踏まえた措置についてお尋ねを頂戴いたしました。
最近、我が国周辺海空域におきまして、ロシアや中国により短期間に領空侵犯等が立て続けに起きておることについて、政府として強い危機感を有しておるところであります。
自衛隊の運用に関するお尋ねにつきましてはお答えを差し控えますが、我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中、我が国の領土、領海、領空を守り抜くため、冷静かつ毅然と対応いたしてまいります。
憲法改正についてお尋ねをいただきました。
内閣総理大臣の立場からは、憲法改正についての国会における具体的な議論の進め方等について直接申し上げることは差し控えますが、自民党総裁としてあえて申し上げれば、憲法改正は立党以来の自民党の党是であります。
発議は自民党総裁の一存で決することができるものではございませんが、総裁在任中に国会への発議を実現していただくべく、今後、憲法審査会において、与野党の枠を超え、建設的な議論を行い、国民的な議論を積極的に深めていただくことを期待いたしております。
以上であります。
2024-10-07
第214回国会(臨時会) 衆議院 本会議 第3号 発言No.33全文を見る日本維新の会の馬場伸幸です。
教育無償化を実現する会との統一会派を代表し、質問をいたします。
元日の震災から復興へ懸命に立ち上がろうとしていた石川県能登地方が、先月下旬、線状降水帯による記録的豪雨に見舞われました。お亡くなりになられた方々に哀悼の意を表し、御遺族と被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。また、被災地で救助、復旧等に力を尽くされている全ての皆様に深く敬意を表します。
私たちは、震災直後から続けている被災地へのサポート体制を強化し、更にきめ細かく支援をお届けしてまいります。
さて、総理は、総裁選直前の八月に上梓した「保守政治家 わが政策、わが天命」の中で、大臣就任時に答弁について、検討するという文言は認めず、検討して、いつまでに成案を得ると改めていたとしています。ならば、私が政策課題の実現目標を伺った際には真摯にお答えいただくよう、まずもって強く求め、質問に入ります。
総理になる前の自民党総裁の立場で、次期衆議院選挙を十月二十七日投開票の日程で行うというおきて破りの表明をし、明後日、解散される運びとなっています。国会で正式に選出される前に総理の伝家の宝刀を抜くとは、国会軽視、思い上がりも甚だしいと指弾せざるを得ません。
僅か半月余り前の総裁選の討論会で、総理は、解散の時期について、国民が判断する材料を提供するのは政府の責任であり、新しい総理の責任、本当のやり取りは予算委員会だ、世界情勢がどうなるか分からないのに、すぐ解散するという言い方はしないと明言していました。事実上、総理を選ぶ総裁選での言葉は国民に対する公約にほかなりませんが、舌の根も乾かぬうちに手のひら返しの解散を宣言する変節ぶりには、開いた口が塞がりません。
無論、常在戦場です。私たちは受けて立ちますが、解散前にやると約束した予算委員会さえも開かず、敵前逃亡のそしりは逃れ得ません。
総理に伺います。
元々、憲法七条に基づく解散については、時の政権に有利になるため憲法の趣旨に反すると否定的な見解を示していたのに、なぜ豹変したのですか。党執行部に押し切られて解散を決断したならば、党内野党として筋を通してきた総理も、最高権力を手にした途端に、党利党略で持論を曲げてしまうという本性が露呈したと受け止めなければいけません。これでは先が思いやられます。これに反論できますか。
このような有様で、自民党の裏金問題で地に落ちた国民の政治への信頼を取り戻せるとお考えでしょうか。就任記者会見で自ら、納得と共感内閣だと命名されましたが、国民に納得と共感が得られるとお思いでしょうか。
会期延長してでも予算委員会を開くことが不可欠です。能登半島の豪雨災害に対応するための令和六年度補正予算編成も無視するのでしょうか。
総裁選中、世界情勢が不透明なことも解散しない理由に挙げていましたが、先週、イランがイスラエルにミサイル攻撃し、第五次中東戦争の萌芽が現れました。国際情勢は一層混沌とし、日本がエネルギー危機に見舞われる可能性があります。現在の国際情勢下で、衆議院議員不在の政治空白をつくっていいのでしょうか。
総理の臆面もない公約破りを目の当たりにすれば、さきの総裁選は、自民党挙げての壮大な茶番だったと断じざるを得ません。総理の変節は、本質は変わらない、変えられない自民党政権の実態そのものではないでしょうか。
以上、敵前逃亡することなく、真摯にお答えください。
前国会で私は自民党総裁との間で文書を交わし、いわゆる政策活動費の十年後の公開で合意をしました。しかしながら、それは、結党当初から身を切る改革を掲げ、政治と金についてどの党よりも厳しいルールを自らに課してきた我が党として、改革姿勢が後退したのではないかという疑念を抱かせる結果を招いてしまいました。
前国会において自民党に、政治と金の問題を一掃する完全なる改革、政策活動費の即時廃止を迫らなかったことは、結果的に私たちの誤りでした。提案した政策は法案が成立しなくても実践するという政治姿勢を貫き続けている維新の党是から、今すぐの実践にちゅうちょがあったことも含め、真摯に反省をしています。
そこで、前国会閉会後、いま一度、改革政党の原点に立ち返り、政策活動費の支出は今後一切行わないことをルールとして定め、実践に移しています。さらには、これを法律による共通ルールとするため、今国会に、政策活動費や企業・団体献金の禁止、議員定数の削減等をうたった政治資金規正法及び公職選挙法の改正案を提出しました。
一方で、自民党は、裏金問題について、再発防止と政治不信を払拭するための法改正だけでなく、実態解明と当事者の処分も実施すると明言してきました。しかしながら、これらは今も、うやむやのままです。残された課題を今国会でやり切ることは立法府の使命です。しかし、総理がその議論する機会さえ奪わんとして、解散・総選挙に突き進んでいます。このことには断固たる抗議をいたします。
その上で、政治と金の問題に関して、総理にお伺いをいたします。
まず、派閥のパーティー収入不記載に端を発した裏金問題についてです。
政治倫理審査会については、衆参両院議員計七十二人がいまだに出席を拒んでいます。当然、出席を促すお考えでしょうか。
来る総選挙で、石破総理は昨日、相当程度の非公認が生じると宣言をされました。しかしながら、国民感情からすれば、裏金、脱税に関与した全員を非公認とするべきではないでしょうか。総裁選の公約どおり、総裁自らお一人お一人に聞き取りを行って判断するのですか。
前国会で明らかになったのは、長年の金権体質がしみついた自民党が構造的な機能不全に陥っているという事実です。この組織的問題に対して、幾ら首をすげ替えても対症療法にしかなり得ません。
私たちは既に、率先垂範して、旧文書通信交通滞在費の領収書公開を自主的に行ってきました。政治資金収支報告書の会計責任者は国会議員本人とし、責任の所在も明確にいたしました。さらに、先ほど述べたように、今後は政策活動費も完全に廃止をいたします。
総理は、過去に、政策活動費の廃止も一つの方向性だと述べておられますが、私たちの取組と比べると、いささか踏み込みが甘くないですか。自民党も、政治不信を一掃するために、私たちに倣って、廃止する方針を明確にすべきではないでしょうか。
さらに、私たちは、この問題を追及するに当たり、自ら身を正すことが必要と考え、過去の政策活動費の検証を行うチームを設置することに決めました。私たちの調査では、総理は、自民党幹事長職にあった平成二十四年九月から平成二十六年八月にかけ、計七十二回、総額十七億五千五十万円を政策活動費として受け取っています。私たちと同様に、これらの内訳も全て自主的に調査、説明してはいかがでしょうか。
金権体質を根本的に浄化するには、企業・団体献金の禁止は不可欠です。日本の財政を圧迫している社会保障の抜本改革は、献金を橋渡しにした自民党と企業、団体の癒着によって立ち往生しています。例えば、岸田前総理は日本医師会政治連盟から年間一千四百万円もの献金を受け取っており、これが癒着となれ合いを生み出し、医療制度改革を停滞させる要因になっているとの指摘は絶えません。
我々は、企業、団体へのパーティー券販売も含め、企業や業界団体からは一切お金を受け取りません。既得権の温床となる企業・団体献金は直ちに禁止すべきと考えますが、総理の決意を伺います。
一切のしがらみを排した構造改革を成し遂げるには、政治家自らが身分や特権を手放すことで覚悟を示さねばなりません。
私たちには、大阪府市で議員定数の削減を行い、議員歳費も削減した実績があります。国会では身を切る改革で、月々の歳費の二割、ボーナス三割を自主的にカットし、国内外の被災地や戦災地に寄附をしているほか、形骸化した特別委員会や委員長ポストの廃止に取り組んでいます。
民主党政権下の平成二十四年から果たされていない国民との約束が、国会議員定数の大幅な削減です。自民党は、この問題をいつまで引き延ばすのでしょうか。私たちが四日に提出した、比例代表選出議員の定数を二割削減する公選法改正案を可及的速やかに可決するべきではないでしょうか。議席削減に向けた総理の覚悟をお示しください。
旧文通費については、根本的に政府・与党の姿勢を問いたださなければなりません。
自民党との合意文書では、旧文通費の使途公開と残金返納を義務づける立法措置を行うこととなっています。これは公党同士の約束です。無論、総理はこの合意を生きているとお考えでしょう。
しかし、総理は、総裁選勝利後の先月二十九日のテレビ番組で、何が使途として認められるのか与野党で合意すれば公開すると発言されましたが、まず公開することを実践してから使途を決めるのが筋ではないでしょうか。私たちは、旧文通費の領収書を一枚残らず自主的に公開をしています。与野党の合意がなくても、総理自身、私たち同様に、自主的に領収書を公開するお考えはありますか。
岸田前総理が導入を決めた子ども・子育て支援金は、少子化対策を掲げながらも現役世代の手取りを減らし、また、防衛財源とするための法人税、所得税、たばこ税の増税は、身を切る改革なくして負担を国民に押しつける暴政そのものです。
自民党の茂木前幹事長が総裁選でゼロ増税を打ち出し、いずれも実施せずに財源は確保できると喝破されました。政策決定時に党幹事長であった方の発言には重いものがあります。この意見を受け入れ、社会保険料増額や増税を一旦凍結し、予算の精査や事業の見直しをやり直すべきではないでしょうか。お答えください。
社会保障制度は、国民の安心と幸せに直結する国民の関心事です。しかし、総理は就任会見で見直しに着手するとしただけで、ほとんど関心がないと断じざるを得ません。私たちは既に、高齢者医療制度の窓口負担の適正化、診療報酬の見直しなど、医療維新として具体的な医療制度改革案を提示しているところです。
総理は、年々増大する社会保障費を具体的にどのように抑制していくお考えでしょうか。社会保険料を下げることで現役世代の負担を軽減し、世代間格差を解消することこそ政府が解決すべき課題だと考えますが、総理の見解を求めます。
医療分野のDXは、医療費の適正化や診療報酬と薬価の見直し、電子カルテの標準化など、聖域とされてきた社会保険制度の中核にメスを入れることになります。しかし、その入口であるマイナ保険証に対する国民の忌避感が強く、十二月の健康保険証とマイナンバーカード一体化への円滑な移行が危惧されます。ここでつまずいているようでは、医療DXの実現など絵に描いた餅にすぎません。
不人気の大きな理由は、制度設計上、マイナ保険証を使用するメリットが余りにも少ないからです。問答無用でマイナ保険証を持たせることが目的化し、搭載される医療情報が極めて限定されている現行の制度設計は、医療DXのプラットフォームとして嘆かわしい状況です。
総理に質問をいたします。
マイナ保険証への移行は予定どおり実施されますか。マイナ保険証への移行と並行し、電子カルテ情報を共有できるよう、現行二百床以下の医療機関、診療所の半数が紙のカルテを用いている状況を打開するなど、国民の受診、治療や健康維持に資する制度を構築することが不可欠ではないでしょうか。お答えください。
本年は五年に一度の年金財政検証の年でありましたが、年金制度の経年劣化は火を見るよりも明らかです。人口減少が加速する今、年金は、現役世代の安心感よりも、むしろ負担感を増しているとも思われますが、どうお考えでしょうか。
そもそも、財政検証の考え方自体が昭和のモデルを前提としており、時勢を反映していないと言わざるを得ません。例えば、年金の所得代替率のベースは専業主婦世帯を想定しています。年金の保険料を納めている現役世代の多くが共稼ぎや未婚世帯であり、将来の見通しは個人単位の比較で示すべきであります。
現代社会に通用しない昭和のモデルにメスを入れ、時代に合う年金、医療の仕組みを再構築すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
財政検証では、合計特殊出生率の長期的な値も一・三六に設定されており、昨年の合計特殊出生率が一・二〇だったことを踏まえれば、異常に高い水準になっています。また、全人口に占める外国人の比率が一一%になるとされていることにも疑義があります。外国人比率一一%を実現するなら、日本社会の在り方そのものが大きく姿を変えることは容易に想像できます。このような変化に対し、そもそも、国民的なコンセンサスが取れているとお考えでしょうか。そうでなければ、なぜこのような空想的な比率を採用したのでしょうか。
年金の財政検証は粉飾と言わざるを得ず、将来世代への負担の先送りにつながると考えます。これらの前提を見直すべきではないでしょうか。総理に答弁を求めます。
総理は、地方創生の交付金を当初予算ベースで倍増させる方針を示されました。
総理に伺います。
初代の地方創生担当大臣を二年間務め、地方の問題に力を注がれてきましたが、これまでにどのような成果があったとお考えでしょうか。
首都圏一都三県への転入者と転出者の差は、地方創生がスタートした平成二十六年よりも拡大しています。男性より女性の流入の方が多い傾向も、この十年、変わっていません。東京一極集中の流れを反転させるような効果はなかったと思いますが、これまでの取組のどこに問題があったと認識されていますか。
地方創生推進交付金事業をめぐっては、過去に行政評価レビューで、重要業績評価指標、いわゆるKPIの設定や効果検証の方法などについて、外部有識者から事業全体の抜本的な改善を勧告された経緯があります。やり方によっては、ばらまきの道具になり、総理が師と仰ぐ田中角栄流の利益誘導政治に戻りかねません。今まで地方創生推進交付金がどのように使われ、いかなる効果をもたらしてきたか、まず徹底的に検証するべきではないですか。
地域を活性化するには、大学、雇用、金融機関などが集中する極が必要です。これを日本全国に分散させ、極を中心に経済成長を目指す多極分散の発想が不可欠と考えますが、所見を求めます。
消費税を始めとした国税を地方に抜本的に税源移譲することで、国の関与を減らし、主体的な自治体経営を可能とすることも肝要と考えますが、見解を求めます。
長引く物価高は、国民の日常生活を苦しめ、その影響は深刻度を増しています。今月値上げされた食品は、ペットボトル入りの飲料やハム、ソーセージなど二千九百品目余りにも上り、今年に入って最も多くなったと伝えられています。
政府は、物価高対策として電気やガス料金への補助やガソリン価格を抑えるための補助を実施していますが、ばらまき志向のびほう策にすぎません。総理が改めて意思表示をした低所得者向けの給付金も、高齢者に偏重し、本当に必要な人に届く施策ではありません。私たちは、国民が何よりも求めていることは、消費税や社会保険料の負担軽減と、それに伴う可処分所得の増加だと考えています。
総理に伺います。
事業者支援を中心とするばらまき路線から脱却し、全ての国民に直接還元されるような形での支援に転換すべきではないでしょうか。消費税を八%に引き下げ、軽減税率を廃止するとともに、社会保険料を軽減することが、より実効性のある物価対策になり得ると考えますが、いかがでしょうか。お答えください。
自民党政権は、長らく、業界団体や霞が関との堅牢な鉄のトライアングルを築き、旧態依然とした規制と昭和の古い価値観を温存することで、我が国の成長を阻んできました。電波オークションの導入や農地の企業所有解禁といった岩盤規制の改革を断行しなければ、イノベーションも新しい産業も生まれず、日本経済は停滞から抜け出せません。
失われた三十年の元凶の象徴と言える事例が、ライドシェア解禁に対する政府の対応です。
今年四月、日本版ライドシェアなるものが導入されましたが、実態は、運行管理はタクシー事業者にしか認められず、時間や地域も限定され、名ばかりライドシェアと言わざるを得ません。権益を固守する政官業が、へ理屈と恣意的なデータを駆使し、できない理由を取り繕い、業界外からの新規参入をブロックしているからです。全面解禁による市場規模は一兆円を優に超えるとされているにもかかわらずです。また、来るべき大阪・関西万博の成功に向けても、ライドシェアの更なる解禁が切望をされています。
総理は自著「保守政治家」の中で、あらゆる改革について、既得権益を壊すために不人気な政策であっても断固としてやり抜かなくては日本の将来に禍根を残すことになると訴えていますが、所信表明では規制改革のキの字にも触れずじまいでした。
総理に伺います。
業界団体と役所の既得権益を守ることで、国民の利便性がないがしろにされていいのでしょうか。規制改革に本腰を入れて取り組む覚悟はないのでしょうか。移動の足の不足という社会課題を解決するためにも、大胆な規制改革によって新たな市場の創出や新しい働き方への転換を促すためにも、新規参入が可能なライドシェアの全面解禁を実現してしかるべきではないでしょうか。お答えください。
インフラ整備についても伺います。
石破総理は、リニア新幹線について、開業すれば東海道新幹線に輸送余力が生じると積極的なコメントをされ、高速交通インフラに強い関心があると拝察いたします。
翻って、東京と大阪をつなぐ北陸新幹線の整備事業では、空白となっている敦賀以西のルートについて、国土交通省は、当初想定した建設費が二倍以上の五兆円超まで膨らむと試算し、難工事のリスクから工期も最長約二十八年と当初の十五年から大幅に延びると見込んでいます。
総理に伺います。
現行の計画ルートの工事条件が不測の事態で大きく悪化した場合、より合理的、現実的なルートへの変更も検討する可能性はありますか。対象ルートが収支採算性や投資効果など着工五条件がクリアできないなら、五条件自体を見直すという声も与党から漏れ聞こえてきています。まさかゴールポストを強引に移動させるようなことはないと思いますが、所見を求めます。
国際情勢が流動化する中、核を持つ中国、北朝鮮、ロシアを隣に抱える日本の安全環境は日を追うごとに厳しさを増しています。力による台湾統一の野心を持つ中国の人民解放軍は、八月以降、日本周辺での威圧活動を先鋭化させています。情報収集機が領空侵犯したほか、測量艦が領海侵入し、空母が初めて接続水域を航行しました。日本が米国と安全保障面で連携を強化していることへの反発であることは間違いがありません。
総理に質問します。
日本有事に直結する台湾有事は、総理の総裁任期中の二〇二七年までに起きるとの観測が強まっています。御自身が戦時の宰相になり得る蓋然性が高いわけですが、その覚悟はありますか。その日を視野に、国家国民を守り抜くための万全な防衛体制をどのように、そしていかなるタイムスケジュールで敷いていくお考えでしょうか。
総理は、自著「保守政治家」で、台湾有事、即日本有事になる可能性は相当低いと指摘しています。理由は、中国が台湾を攻撃しても、日本を攻撃すれば同盟国の米国を敵に回すことになるからだそうです。
そのような政府最高指導者の甘い認識は、中国、そして日本国民への誤ったメッセージになりかねないのではないでしょうか。対中抑止力や国民の国防意識をそぐことになるとも懸念しますが、所見を求めます。
海上自衛隊の護衛艦「さざなみ」が先月二十五日、海自艦艇として台湾海峡を初めて通過しました。欧米の軍艦は、台湾海峡はどの国にも属さない国際水域として自由に航行していましたが、日本はこれまで、中国との間で緊張が高まることを避けるため、海自艦艇による航行を控えていました。指示をした岸田前総理の決断は、日本周辺で傍若無人に振る舞う中国を牽制する上で意義があり、対中抑止力に資するものとして評価をいたします。
今後も海自艦艇の台湾海峡航行を継続して行っていくべきだと考えますが、見解を伺います。また、これに限らず、中国、北朝鮮、ロシアの脅威に対して、日本は毅然とした行動や対抗措置を取っていくお考えはあるでしょうか。
総理は、自民党総裁選での政策集で、党是の憲法改正について、国会での議論を促進し、総理在任中の国会発議を実現すると掲げました。岸田前総理は、総裁任期中の憲法改正実現を重ねて公言されていましたが、結局果たせずに終わりました。与野党五会派で合意形成されつつある緊急事態条項創設や、防衛力の抜本的強化と表裏一体にある九条への自衛隊の明記などを軸に、改正案の取りまとめ作業に直ちに入るべきです。
総理にお尋ねいたします。
前総理が憲法改正を実現できなかった最大の要因は、自民党が常々、予算や重要法案の審議優先などをできない理由の口実として野党第一党と談合し、都合よく先送りし続けているからだと考えます。つまり、やる気がないだけで、成否は総理・総裁の決断次第です。このような現状を打開する覚悟はあるでしょうか。
総理が発議をするとした総理在任中とは、現総裁任期の三年以内にということでしょうか。総理在任中というなら、場合によっては発議の目標期限が総裁任期最長三期連続、すなわち九年先までずるずると先延ばしができます。三年以内に発議をするとはっきり言ってください。自民党総裁として答弁を求めます。
日本維新の会は改革政党です。結局は従来型の自民党手法そのものから抜け出ることのできない石破内閣に対して、もう一つの選択肢を示していきます。
先月、私は日本維新の会の外交ミッションとしてインドを訪れましたが、昭和四十年代の日本のように、国中にあふれる活気に驚きました。現地の人々が皆、暮らしがよくなっていく期待でわくわくする笑顔で輝いていたからです。
近く迎える総選挙で、私たちも、国民がわくわくできる社会を実現すべく、日本大改革の道筋を果敢に提案し、全力で戦い抜くことをお誓い申し上げ、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕
2024-10-07
第214回国会(臨時会) 衆議院 本会議 第3号 発言No.28全文を見る吉田はるみ議員の御質問にお答えをいたします。
最低賃金の引上げに伴う中小企業支援についてお尋ねを頂戴いたしました。
最低賃金につきましては、二〇二〇年代に全国平均千五百円という高い目標に向かって、たゆまぬ努力を続けてまいります。
これまで、価格転嫁の状況の公表、下請Gメンの体制充実などの価格転嫁対策に取り組んできたところでありますが、引き続き、適切な価格転嫁と生産性向上を支援してまいります。また、事業者のデジタル環境整備や省力化投資を促進し、中小企業が賃上げができる環境を整備いたしてまいります。
いわゆる年収の壁についてのお尋ねがございました。
年収によって社会保険の適用が変更され、社会保険料の発生により手取り収入が減少する、いわゆる年収の壁に対しましては、当面の対応策として取りまとめました年収の壁・支援強化パッケージの活用の拡大にまずは取り組んでまいります。
その上で、就業調整を行っている労働者が希望に応じて働くことができるよう、制度的な対応として、被用者保険の更なる適用拡大などに取り組むことといたしております。
現在、次期年金制度改正に向けて議論を行っておるところでございますが、働き方に中立的な制度の構築に向け、今後とも関係者の御意見を伺いながら、引き続き丁寧に議論をいたしてまいります。
インボイス制度についてでありますが、インボイス制度は複数税率の下で課税の適正性を確保するために必要な制度であり、これを廃止することは考えておりません。
インボイス制度に対する御不安、御懸念、これを抱かれておられる方はおられます。そのような不安等に対しましては、税負担や事務負担を軽減する二割特例等を周知するとともに、事業者の方からの御相談には引き続き丁寧に対応いたしてまいります。
介護職員等の処遇改善についてであります。
介護、障害、保育等の現場におきましては、人材の確保が極めて重要であり、そのため、処遇改善を図ることは重要な課題であると認識をいたしております。
介護及び障害福祉につきましては、令和六年度の報酬改定において、また、保育等については、こども未来戦略に基づき、処遇改善を進めております。
ベースアップを含め、施策の効果について確認、点検を行いながら、福祉等の現場で働く方々の処遇改善に誠実かつ着実に取り組み、国民の皆様方に安心していただける社会保障制度を整備してまいります。
エネルギー負担軽減策についてのお尋ねをいただきました。
電気・ガス料金支援につきましては、物価高に直撃され苦しい状況にある国民を守り、酷暑の夏を乗り切るため、即効性が高い対策として、酷暑乗り切り緊急支援として、八月から十月の使用分について支援を実施いたしてまいりました。
エネルギーコストを含めた物価高対策につきましては、状況を丁寧に見極めながら、物価高の影響を特に受ける低所得者世帯向けの給付金や、地域の実情に応じたきめ細かい対応のための重点支援地方交付金を含め、今後、経済対策について議論していく中で、総合的に検討いたします。
金融所得課税と法人税についてのお尋ねをいただきました。
金融所得課税につきましては、貯蓄から投資への流れを引き続き推進していくことが重要であり、現時点でその強化について具体的に検討することは考えておりません。
法人税の在り方につきましては、与党税制調査会でかねてから議論されており、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現していくために何が効果的なのかという観点を踏まえて議論されるものと考えております。
防衛力に係る財源確保のための税制措置についてのお尋ねを頂戴いたしました。
激変する安全保障環境において日本を守り抜くために、国家安全保障戦略等に基づき、我が国自身の防衛力を抜本的に強化すべきことは論をまちません。
そのための財源確保に当たりましては、行財政改革の努力を最大限に行った上で、それでもなお足りない四分の一について、今を生きる我々の将来世代への責任として、税制措置での御協力をお願いすることといたしております。
今後、与党の税制調査会等の場で議論が行われていくものと承知をいたしておりますが、政府・与党で緊密に連携し、対応いたしてまいりたいと存じます。
子育て支援金制度についてのお尋ねであります。
少子化とその結果生ずる人口減少は、国の根幹に関わる課題、いわば静かな有事であります。このため、こども未来戦略を着実に実施し、子育て支援に全力を挙げます。
支援金制度は、子育て世代を全世代、全経済主体が支える仕組みであり、子育て支援のための加速化プランの実施に必要なものです。これを導入しても、歳出改革等により社会保険料の上昇を確実に抑制します。今月から拡充されている児童手当などは、物価上昇を上回る賃金上昇の定着に向けた取組と相まって、若い世代の所得を増やしていくこととなります。
政府といたしましては、支援金制度の令和八年度の施行に向け、こうした制度の趣旨について国民の皆様方に説明を尽くしてまいります。
学校給食費の無償化についてもお尋ねを頂戴いたしました。
学校給食費の無償化につきましては、学校給食の実態を踏まえつつ、関係省庁が連携をし、児童生徒間の公平性や国と地方との役割分担、政策効果、法制面等の課題を整理した上で検討いたしてまいります。
国公立大学の授業料についてのお尋ねであります。
国立大学の授業料につきましては、国が標準額を示しつつ、その一・二倍を上限として各法人が個別に設定する仕組みとなっております。
経済的な理由により進学を諦めることがないよう、給付型奨学金や授業料等減免制度を拡充してきております。引き続き、高等教育費の負担軽減に取り組んでまいります。
学校の仕事量軽減と指導、運営体制、いじめ、不登校等の対策についてのお尋ねがございました。
学校の仕事量削減につきましては、働き方改革やデジタル技術の活用により、学校、教師が担う業務を適正化し、教師の時間外在校等時間を削減します。
指導、運営体制につきましては、様々な教育課題に対応するための、各自治体の権限と責任の下で任用される支援スタッフと教職員との連携、協働を進めます。
いじめ、不登校等につきましては、教師のみに負担させるのではなく、専門スタッフによる教育相談や、学校内における多様な学びの場の活用等による対策を進めてまいります。
女性閣僚の数についてであります。
大臣、副大臣、大臣政務官の人事につきましては、所管分野の状況や本人の手腕、経験などを踏まえて行ったところであります。
女性活躍と女性参画は重要な課題であり、社会のあらゆる組織の意思決定に女性が参画することを官民の目標とし、達成への指針を定め、計画的に取り組んでまいります。
選択的夫婦別氏制度についてのお尋ねがございました。
選択的夫婦別氏制度の導入を求める声があることは承知をいたしております。夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方につきましては、国民の間に様々な意見があり、政府としては、国民各層の意見や国会における議論の動向等を踏まえ、更なる検討をする必要があると考えているところです。
そのため、当該制度の導入の是非や導入時の家族への影響等について、私の立場から個人的な見解を申し上げることは差し控えます。
マイナ保険証についてのお尋ねをいただきました。
マイナ保険証は、本人の健康医療情報を活用した適切な医療の提供に大きく寄与するものです。一方で、マイナ保険証が使えないといった様々な不安の声に丁寧に対応する必要がございます。
現行の健康保険証の新規発行終了につきましては、法に定められたスケジュールにより進めていきますが、マイナ保険証が利用できない方も確実に保険診療が受けられますように、資格確認書の活用も図ってまいります。さらに、資格確認書でも保険診療が受けられることなど、高齢者の方にも伝わるよう周知を徹底し、不安の払拭に向け、丁寧に進めてまいります。
食料供給困難事態対策法についてお尋ねをいただきました。
この法律が事業者に生産等の計画の届出を求めておりますのは、食料供給が大幅に不足し、買占めや価格の高騰など国民生活等に支障が生ずるような場合に、政府として、確保可能な食料供給量を把握し、必要な対策を講ずるためであります。
計画の届出をしない事業者に対する罰金は、その実効性を担保するためのものであり、引き続き、丁寧な説明に努めてまいります。
就農者の確保についてのお尋ねを頂戴いたしました。
我が国の農業が持続的に発展していくためには、御指摘のように、就農者を確保することが極めて重要であります。
このため、就農に向けた研修資金、経営を開始するための資金及び就農者の雇用を促進するための資金の交付、経営発展のための機械、施設の導入支援、就農後の技術面のサポートなど、総合的な支援を進めてまいります。
エネルギー基本計画における原発の位置づけについてであります。
AI時代の電力需要の激増が見込まれる中、脱炭素化を進めながらエネルギー自給率を抜本的に高めることが重要であります。
そのため、省エネルギーを徹底し、再生可能エネルギーを拡大するとともに、安全性の確保を大前提とした原子力発電を利活用することも必要です。
再生可能エネルギーか原子力かという議論ではなく、利用可能な脱炭素電源は適切に活用していくという考え方であります。
こうした足下の情勢も踏まえ、次期エネルギー基本計画について国の審議会で検討いたしてまいります。
憲法改正についてであります。
内閣総理大臣の立場からは、憲法改正についての具体的な内容等について直接申し上げることは差し控えますが、自由民主党総裁としてあえて申し上げれば、我が党では、緊急事態条項の在り方、憲法における自衛隊の明記等について活発な議論が行われ、論点整理等が進められてきたところであります。私も、自民党総裁として、これらの議論の積み重ねを引き継ぎ、後戻りさせることなく前に進めてまいります。
調査研究広報滞在費についてお尋ねを頂戴いたしました。
調査研究広報滞在費、いわゆる旧文通費につきましては、我が党の岸田前総裁と維新の会馬場代表との間において、衆参議長の下に置かれる協議の場において前向きに議論を行い、使途公開と残金返還を義務づける立法措置を講ずることについて文書で合意が交わされたものと認識をいたしております。私も、自民党総裁として、その合意を引き継いでまいります。
現在、衆参両院の議院運営委員会による有識者へのヒアリングが進められているところと承知をいたしておりますが、今後、制度の詳細等について各党各会派間での合意を早期に得て、必要な立法措置が講じられるよう、自民党としても誠心誠意対応いたしてまいります。
自民党と旧統一教会との関係等についてお尋ねをいただきました。
御指摘の写真に係る報道については承知をいたしておりますが、当該報道のみでは、自民党と旧統一教会との間に組織的関係はなかったというこれまでの党の説明を覆さなければならないような事情があるとは考えておりません。
また、私と旧統一教会及びその関連団体との関係について、御指摘の講演や献金の受取は事実でありますが、それ以外の事実は把握をいたしておらず、既に旧統一教会とは一切関係を持たないことといたしておるところでございます。
自民党と旧統一教会との関係についての調査についてお尋ねがありました。
自民党におきましては、一昨年に各議員が旧統一教会との過去の関係を詳細に点検、報告するとともに、それ以降に新たな接点が明らかとなった場合には、その都度、追加的に報告、説明を行うよう求めてきたところであります。
当該団体は長年にわたり多様な組織形態や名称の下で様々な活動を展開しており、個々の議員が全ての接点を網羅的に把握し切れない場合があることも事実であります。新たな接点が判明いたしました場合には、速やかに報告、説明するとともに、未来に向かって当該団体と関係を持たないことを徹底することが大切であると考えており、引き続きこの方針を堅持いたしてまいります。
自民党と旧統一教会との関係遮断についてお尋ねをいただきましたが、先ほども申し上げましたとおり、自民党におきましては、一昨年、各議員が旧統一教会との過去の関係を詳細に点検、報告したところであり、それ以降は当該団体と一切関係を持たないこと、新たな接点が明らかとなった場合には、その都度、追加的に報告、説明を行うことを方針としておるところであり、現時点において、お尋ねのような対応が必要な状況であるとは考えておりません。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をいたさせます。
〔国務大臣牧原秀樹君登壇〕
2024-10-07
第214回国会(臨時会) 衆議院 本会議 第3号 発言No.27全文を見る立憲民主党・無所属の吉田はるみです。
会派を代表して質問いたします。
まず初めに、本年一月に発生した能登半島地震、そして九月の大雨災害で被災された方々にお見舞いを申し上げますとともに、お亡くなりになられた、犠牲になられた方々に心から御冥福をお祈り申し上げます。
まず、賃上げ、物価高対策についてお伺いします。
一日八時間労働で真っ当な生活ができる賃金を保障しなければなりません。立憲民主党は以前から、最低賃金を千五百円とすることを訴えてきましたが、この度、石破総理は、所信表明演説で、二〇二〇年代、全国平均千五百円と明言されました。私たちが以前から訴えている主張を採用していただいたことは評価いたします。最低賃金を引き上げると、パート、アルバイトの方はもちろん、非正規雇用、また正社員の賃金も押し上げられます。
ただし、これを実現するとき、二つのことをセットでやらなければなりません。中小企業支援と年収の壁の解消です。
総理は、最低賃金について、全国平均千五百円への引上げを目指すとおっしゃいましたが、その際、セットで、最低賃金の引上げが負担増となる中小企業への支援が必要ではないでしょうか。具体策があればお聞かせください。
立憲民主党は、新たに正社員を雇用した中小事業者には社会保険料の事業主負担の一部分を助成することで、中小企業の負担を軽減し、正規雇用を増やすための社会保険料事業者負担軽減法案を提出しています。
そして二つ目は、せっかく最低賃金が上がっても、年収百三十万円を超えれば社会保険料を払わなければならず、その範囲内で働く時間を減らしてしまうため、人手不足は解消されません。この年収百三十万円の壁ができたのは一九九三年、そのときの最低賃金は五百八十三円です。この時給で計算すると、週休二日で、一日八・五時間働けます。一方、現在の全国平均最低賃金千五十五円で計算すると、同じ条件で、一日僅か四・七時間です。
年収の壁を越えると働き損にならないよう、社会保険料を負担する仕組みはありますし、収入が一時的に百三十万円を超えても、引き続き扶養者認定が可能です。ただし、これは期間限定の措置です。年収の壁をどうするかという根本的な方針は示されていません。永続的な制度としては、どうされるおつもりですか。具体的にお答えください。
加えて、個人事業主を苦しめているのが、消費税のインボイス制度です。立憲民主党は、この間、インボイス一一〇番を設置して、インボイス制度に関するたくさんの御意見を伺ってきました。このままでは廃業するしかないと現場から悲痛な声が寄せられています。インボイス制度は廃止すべきだと考えますが、総理の認識を伺います。
また、介護など福祉分野では常に人手不足です。全国で毎年十万人の介護離職者が出ています。保育も常に人手不足です。
人手不足の原因は給料です。全産業と比べても、月額約八万円も低いのです。政府は、今年の介護報酬改定に先駆けて、介護職員一人当たり月額六千円の賃上げ支援を行いましたが、到底足りません。支えるどころか、逆に訪問介護の基本報酬の引下げをしてしまいました。介護の現場からは悲鳴が上がっています。
石破総理、私たちは議員立法を提出していますが、介護職員、障害福祉職員、保育士、幼稚園教諭の処遇改善をすべきではないですか。お答えください。
電気・ガス価格激変緩和事業、通称電気・ガス補助金は今年六月支払い分で終わり、最も暑い七月、八月支払い分の補助は打ち切られ、物価高に苦しむ家計を直撃しました。その後、九月、十月、十一月支払い分については補助が復活。しかし、これは自民党総裁選や解散・総選挙の時期と重なります。選挙目当てではないですか。出したり引っ込めたり、国民生活は振り回されています。
私たち立憲民主党は、今年の夏は猛暑になることをあらかじめ予想し、五月の時点で、月三千円のエネルギー手当を中低所得者層の方々に給付するエネルギー負担軽減策を提案しました。高所得者も対象になる、財政を圧迫する自民党と、立憲民主党が提案する中小企業や所得が少ない方々など必要な方にきちんと届くエネルギー負担軽減策。国民の皆様、私たち立憲民主党案の方が、持続可能で、財政に責任を持つ、有効な物価高対策ではないでしょうか。
石破総理、これから冬が来て、電気・ガス代は更にかさみます。立憲民主党が提案する、日本の財政、日本の未来に責任を持つエネルギー負担軽減策を政府の物価高対策に取り入れ、速やかに実行していただけないでしょうか。
次に、税制に関して伺います。
まず、金融所得課税の強化についてです。
所得税は、本来、累進課税が基本ですが、税率が一律二〇%であるために、所得が一億円を超えるあたりからは逆に実質税率が減る、いわゆる一億円の壁という問題があります。この解消のためには、超富裕層に更なる御負担をお願いしなければなりません。
石破総理、そもそも、総裁選が始まる前の九月二日に出演したテレビ番組で、金融所得課税の強化を実行したいと述べられました。御発言のとおり、実行されるのでしょうか。
思い起こせば三年前、自民党総裁選に立候補された岸田前総理も金融所得課税に言及し、日経平均株価は総裁就任の日から六営業日の間に二千円超も下落しました。これに動揺された岸田前総理は、当面は触ることは考えないと発言を修正されています。
過分ではなく応分の負担をお願いすること、これは当然だと思います。NISAなどの投資には全く影響がありません。石破総理、金融所得課税の強化に踏み込まないようであれば、アベノミクスの時代と何ら変わらないのではありませんか。市場の動きを見て、金融所得課税の強化を引っ込めた岸田総理と同じ道をたどられるのでしょうか。
強いものをより強くし、格差を拡大する自民党に対して、私たち立憲民主党は再配分を重視し、分厚い中間層の復活を目指します。
また、石破総理は、法人税についても、法人税は引き上げる余地がある、税負担する能力がある法人はまだまだある、もう少し負担をお願いしたいと九月二十一日の討論会で発言されました。法人税を引き上げる方針に変わりはございませんか。また、法人税、引き上げる時期はいつを考えていらっしゃいますか。
次に、子供、子育て財源と防衛費増の関係について伺います。
岸田政権では、五年で防衛費を四十三兆円まで増やすことに決めました。復興財源まで防衛費につけ替えて、それでも足りずに防衛増税です。岸田政権で約束した防衛増税は来年度の税制改正に盛り込まれるのでしょうか。大切なことですので、国民の皆様に誠実に御説明ください。
私たちは、適切な防衛費は必要だと考えます。しかし、こんなに速いペースで増やすことはやり過ぎです。それによって子供、子育ての財源がなくなり、支援金という名の新たな増税が導入されてはなりません。
岸田前総理が当初、実質負担ゼロといいながら、実際は、負担額が一人当たり三百五十円から六百円、試算によっては千円を超える負担もあり得ることが、私たち立憲民主党の国会審議を通じて明らかになりました。
石破政権でも、予定どおり、子ども・子育て支援金制度を導入する方針に変わりはないですか。現役世代を応援するはずが、現役世代の更なる負担になる支援金制度は本末転倒です。今からでも、方針を転換していただけませんか。
また、全国の小中学校の給食の無償化も必要です。給食の無償化ができている自治体と有償の自治体があります。しかし、学校給食無償化は本来、国の財源でするべきです。給食がない地域の方には、相当額を補助すればよいのです。石破総理、学校給食の無償化を進めるべきではないでしょうか。
次に、教育に関して伺います。
教育の無償化は時代の要請です。天然資源の乏しい日本で一番大切な宝、それは人です。その人を育て、可能性を最大限に引き出す、それは、幼児期から社会人、シニアと、全世代の教育です。
立憲民主党は、チルドレンファースト。生まれた地域や経済格差で学びを諦めない。国公立大学の無償化を実現し、公の教育で、小中高大と、最高の教育を子供たちに保障します。私立大生や専門学校生に対しても、国公立大学と同額程度の負担軽減を行うべきと考えます。
高校の無償化は民主党政権時に実現しました。当時の自民党はばらまきだと批判しましたが、その後の自民党政権下でも継続され、高校の無償化は必要であると認識されました。しかし、大学の無償化では立場が異なります。自民党は国公立大学の値上げ、オーケーですね。実際、東京大学の授業料値上げが先月決定されました。この値上げの波は、全国の国立大学、そして私立大学にも波及します。
大学経営が苦しいのは理解しますが、そのしわ寄せが学生や保護者に来るのはおかしいです。経済的に厳しい人は学校に行くなということでしょうか。石破総理も、国公立大学の授業料値上げに賛成というお考えでしょうか。お答えください。
教育費負担は少子化の大きな要因であります。私たち立憲民主党は、教育の無償化の旗をしっかり掲げ、子供たちに、そして保護者の皆様に、教育はしっかり支える、安心してくださいというメッセージを発信します。
教員不足はまた危機的状況です。
文科省は、教員の処遇改善として教職調整額を現在の月額の四%から一三%に引き上げる方針を出しました。定額働かせ放題の給特法は、本来廃止すべきですが、一定の評価はします。しかしながら、実際の残業に見合った額とは到底言えません。このまま残業が続くと、学校はブラックな職場だと思われ、教員になりたい学生は集まりません。教職を離れる人も増えており、結果、教育の質が落ちます。
教職を魅力ある職業に戻すために、残業をしなくていいよう、具体的にどのように仕事量を減らしていくのでしょうか。石破総理、お答えください。
スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、ICT支援員、学校司書、外国語指導助手、特別支援教育支援員など、子供たちの学校生活を包括的に支えるチームをがっつりつくりましょう。こうした方の多くが、会計年度任用職員という期限付の不安定雇用です。総理は、この賃金格差、そして子供の学びを支える大切な仕事をされている方々の不安定雇用をどう是正していくおつもりでしょうか。お答えください。
また、いじめ、不登校は過去最多になり、子供の自殺は過去二番目。発達障害児の支援も足りません。こうしたいじめ、不登校、子供の自殺、石破総理はどうやって減らしますか。所信表明演説でも、ごく抽象的にしか触れられていません。役所の答弁ではなく、石破総理御自身の血の通った言葉で具体策を聞かせてください。
次に、ジェンダー平等に関して伺います。
石破政権の閣僚の皆様、御就任、誠におめでとうございます。
ただ、一つ気になることがあります。それは女性閣僚の人数です。女性大臣は、二十人中、僅かお二人。副大臣、政務官も、五十四人中、女性は僅かお二人です。余りにも男女不均衡ではないでしょうか。
政府は、東証プライム市場上場企業における女性役員の比率を二〇三〇年まで三〇%にする目標を掲げています。しかし、その旗振り役である政権がこれでは、自分たちからまずやってみたらという、民間企業のさめた目で見ていると思います。
石破総理、自民党にも公明党にも優秀な女性議員は大勢いらっしゃいます。なぜ、このように女性閣僚が少ないのでしょう。教えてください。
選択的夫婦別姓は、夫婦同姓にする自由も別姓にする自由もあり、選択できます。誰の権利も侵していません。経団連の十倉会長も、連合の芳野会長も、選択的夫婦別姓の導入を求めています。今年七月の日経の世論調査によると、十八歳から三十九歳の世代は、八割が選択的夫婦別姓に賛成です。社会全体から声が上がっています。自民党の一部の反対で止まっているとしたら、やはり総選挙の大きな争点になります。
総裁選では、石破総理は、選択的に姓を選べるのはあるべきだと思う、女性であれ男性であれ、姓を選べないことによってつらい思いをして不利益を受けることは解消されなければならないと述べています。総理、選択的夫婦別姓を必ず実現するという強い御決意をお聞かせください。あわせて、実現するのであれば、次の国会でやるということを明言してください。
また、九月三十日に交わされた自公連立政権の合意文書で、選択的夫婦別姓の記載が見送られました。公明党は一貫して積極的だったと伺っておりますが、合意文書に選択的夫婦別姓の実現は盛り込まれませんでした。公明党の皆様の御納得は得られたのでしょうか。教えてください。
石破総理は、こうも発言されています。夫婦が別姓になると家族が崩壊するとか、よく分からない理屈があるが、やらない理由がよく分からないと。齋藤健また小泉龍司両法務大臣も、戸籍の機能や重要性が変わるものではなく、大きな問題は生じないと答弁しています。石破総理も同じ見解でよろしいでしょうか。お伺いします。
また、お伺いしたいと思います。選択的夫婦別姓を導入すると家族は壊れますか。
次に、マイナ保険証に関して伺います。
石破総理は、総裁選のとき、現行保険証の廃止時期についても、見直す可能性はあると発言されています。ところが、福岡厚生労働大臣、平デジタル大臣は、十二月二日の廃止時期を堅持すると発言されています。総理、廃止時期は見直すということでよろしいですか。
また、石破総理は、総裁選に際して、九月八日、記者団に対し、二〇二四年十二月の廃止時に不利益を被る国民が一定数いた場合には、現行の紙の保険証と当面併用することも選択肢として当然だとおっしゃいました。この併用とは、元々移行の猶予期間として併用が認められている十二月二日からの一年間を指すのではなく、それ以降もずっと併用できるという理解でよろしいでしょうか。十二月に押し迫っている大切な問題です。御確認をお願いいたします。
農業に関して伺います。
さきの国会で食料供給困難事態対策法が成立しました。この法律は、緊急事態時に食料不足が生じた場合、どの程度の食料確保が可能かを把握するため、農家に対し、政府に計画の提出を義務づけるものです。万一、計画の提出を怠った場合、二十万円の罰金が科されます。罰金なんてあんまりだと、全国の生産者の方、国民の皆様から怒りの声が上がっています。
食料安全保障が重要だと政府は言いながら、物価高で深刻な経営危機にある酪農家や畜産農家を救えず、廃業する農業従事者が増えています。ただでさえ厳しい経営の中、農家に更なる負担、そして罰金を科すような法律を撤回すべきです。総理の見解を伺います。
農家の皆様は、私たち国民の命の基である食べ物を作るため、毎日汗を流し、寒い日も暑い日も一生懸命に働いていらっしゃいます。その農業に携わる方の平均年齢は六十八歳です。先日、私も、農作業をしていらっしゃる方と話しました。今年の夏は暑過ぎだ、体がきつい、来年には畑に出られる自信がない、昔と違う、温暖化の影響かなとおっしゃっていました。総理、この就農者の高齢化、どう解決していくおつもりでしょうか。具体的に教えてください。
若い世代が農業をやってみようと思ってもらうため、立憲民主党は、就農準備資金、経営開始資金、雇用就農資金、技術面でのサポート体制の整備など、具体策を提案しています。石破政権の具体策をお示しください。
原子力政策に関してお伺いします。
自民党の総裁選で、石破総理は、原発への依存度を下げると明言されました。原発はもはや安い電源ではないというのが世界の認識です。武力攻撃の標的になる危険性や、地震の多い日本において、絶対の安全はありません。立憲民主党は、再生可能エネルギーにシフトし、原発に依存しない日本のロードマップを作成していますが、自民党はいかがでしょうか。
総理、まさか、現行のエネルギー基本計画に記載されている、可能な限り原発依存度を低減するという文言を削除することはないですよね。総理の見解を求めます。
憲法改正についてお尋ねします。
本年八月に出版された総理の御著書「保守政治家」では、憲法改正に関し、戦力不保持をうたった九条二項を削除し、現在の自衛隊を国防軍に改め、憲法に明記するべきと強調しています。一方、自民党の改憲四項目では、現行の九条一項、二項は残し、自衛隊を明記するとなっています。
石破総理、戦力の不保持と交戦権を認めない憲法九条の二項は削除するのですか、残すのですか。総選挙を控えて、総理御自身のお考えが有権者の重要な判断材料となります。憲法審査会の議論になどと逃げずに、明確にお答えください。
政治の信頼回復に関して伺います。
調査研究広報滞在費、通称旧文通費の使途公開についてお尋ねします。
私たち立憲民主党は、二〇二二年十一月に、使い道は全て公開すること、そして、余ったお金の返還を義務づける法案を提出しています。石破総理、調査研究広報滞在費の使途公開と国庫返納は自民党として賛成ですか。お答えください。賛成であるならば、次の国会で実現しようではありませんか。この場でお約束ください。
旧統一教会に関してお伺いします。
岸田前総理は、二〇二二年八月十一日、内閣改造後の記者会見で、自民党と統一教会には組織的な関係はないとの認識を従来示していると発言されており、国会でも、組織的な関係はないと何度も答弁されています。しかし、九月十七日の朝日新聞で、二〇一三年の参議院選挙の直前、当時の安倍総理が自民党本部の総裁応接室で教団関係者と面会していたことが、その写真とともに報道されました。石破総理に伺います。この写真を見てもまだ、自民党と旧統一教会との間には組織的な関係がなかったとお考えですか。確認した上でお答えください。
また、石破総理御自身も、二〇一五年六月二十五日、旧統一教会関連団体の世界戦略総合研究所の定例会で講演をしたり、旧統一教会関連企業の世界日報の元社長から十万円の献金を受け取っていたりしたことが明らかになっています。これらは事実ですか。また、これら以外に、イベントへの参加や選挙支援などを受けたことは本当にありませんか。
石破内閣では、総理以外にも、岩屋外務大臣、加藤財務大臣、小里農水大臣、武藤経産大臣、林官房長官、坂井国家公安委員長、赤澤経済再生担当大臣、城内経済安全保障担当大臣、伊東沖縄北方対策担当大臣が、旧統一教会や関連団体のイベントに出席をしたり、祝電を送ったり、選挙支援を受けたりと、内閣の半数が接点を持っています。この閣僚の皆様は、接点があったことを認め、弁明しておられますが、牧原秀樹法務大臣も、二〇二一年六月六日、さいたま市で開かれた、祝福結婚と希望前進大会二〇二一イン埼玉に出席していたと報道されています。牧原法務大臣、この集会に出席されたことは事実ですか。
自民党の自主点検はずさんなのではありませんか。より踏み込んだ形で、第三者委員会等の外部による調査を受け入れ、全ての野党が求める、これまでの関係やその影響について徹底した調査をし、公表する意思はありますか。石破総理、明確にお答えください。
自民党は、次期衆議院総選挙での公認に当たり、裏金議員には再発防止策を講じる旨の誓約書を提出させるそうですが、石破総理、旧統一教会との関係を一切遮断することについても、同じように誓約書を出させるべきではありませんか。二〇二三年の統一地方選挙では、旧統一教会との関係断絶を書面で誓約させることを公認の条件とした都道府県連もありましたが、国会議員にも同様の対応が必要ではないでしょうか。お答えください。
最後に、総裁選で総理は、国民は政治を信じていない、そうでしょう、じゃ、我々政治家は国民を信じているのか、そのうち忘れる、そんなこと思ってはいけません、どうせ分かりはしない、そんなこと思ってはいけませんとおっしゃいました。そのお言葉に私は心から拍手を送りました。しかし、総理になった途端、言うことが変わってしまいました。
総理就任前に衆議院解散を宣言し、予算委員会は開催せず、旧統一教会問題は再調査しない。選択的夫婦別姓への意欲は消えてしまい、現行保険証の廃止時期の見直しもしない。やるとおっしゃった金融所得課税の強化、法人税の増税への言及はなし。これだけ多くの言行不一致があります。
安倍総理、菅総理とアベノミクスが続きましたが、滴り落ちる滴はなく、国民生活は苦しくなり、格差が広がりました。強いものをより強くする自民党。自民一強のおごりが表れた強引な国会運営。岸田総理なら変えてくれるかもと期待しましたが、裏金問題と統一教会で混乱。今度こそ石破総理ならと期待しましたが、もはや何を信じていいのか分かりません。
今、国民の皆様が見ているのは、結局、誰がトップになっても変われない自民党です。石破総理でも自民党を変えられないなら、我々がやるしかありません。生活が懸かっています。
私たち立憲民主党は、徹底的に賃金アップ、男女の賃金格差をなくし、非正規雇用から正社員に、そして選択的夫婦別姓を実現します。教育の無償化で、誰にでもチャンスのある日本を。そして、医療、介護、保育と手厚い社会保障で、全力で国民を支える。国民の皆様の期待に応え、政権交代を実現することをお誓い申し上げ、私の質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕
2024-10-07
第214回国会(臨時会) 衆議院 本会議 第3号 発言No.25全文を見る小野寺五典議員の御質問にお答えを申し上げます。
政治の信頼回復に向けた決意についてのお尋ねを頂戴いたしました。
議員御指摘のとおり、また岸田前総理も常々おっしゃっておられたように、信なくば立たず、国民の信頼なくして政治の安定はなく、政治の安定なくして政策の推進もありません。国民の皆様方からの信頼を取り戻すため、ルールを守る政治を確立し、政治家のための政治ではない、国民のための政治を実現していく決意であります。
まずは、政治資金収支報告書の不記載が指摘された議員一人一人と改めて向き合い、反省を求めて、ルールを守る倫理観の確立に全力を挙げてまいります。
また、政治のために金が必要であるならば、国民の皆様方にそれを丁寧に説明し、節度を持って集めたお金を、限りない透明性を持って国民に向けて公開することを確立いたします。改正政治資金規正法を徹底的に遵守することは当然のこと、政策活動費の将来的な廃止も念頭に、その在り方の検討や透明性の確保に取り組むなど、政治資金の透明性を更に高めるための努力を最大限にいたしてまいります。
能登半島の復旧復興に向けた決意と我が国の防災体制の強化などについてのお尋ねをいただきました。
大地震と豪雨により度重なる被害を受けた能登半島につきましては、不安を抱えられる被災者の方々の生活を支援しつつ、一日も早く被災前の活気ある町並みを取り戻すため、激甚災害の指定のほか、災害廃棄物処理における地震と豪雨の一体的取扱いなどの取組を推進し、復旧と創造的復興を一層加速してまいります。
また、人命最優先の防災立国を構築するため、平時から不断に万全の備えを行う防災庁の設置に向けた準備、被災者に温かい食事や安心ができる居住環境を速やかに提供するための官民連携体制の構築等を進めてまいります。
避難所の在り方につきましては、これは、東日本大震災大津波のときに、小野寺議員はまさしく被災者のお一人として体験をされ、いろいろなことを私もお教えをいただきました。今後とも、いろいろなお教えを賜りながら、避難所の境遇改善に努めてまいる所存であります。
防災・減災、国土強靱化につきましては、予算を確保して五か年加速化対策を着実に推進するとともに、実施中期計画の策定にも早期に取りかかっており、万全を期してまいります。
当面の物価高対策、物価高に負けない賃上げ、成長と分配の好循環の実現に向けた取組についてであります。
物価上昇を上回って賃金が上昇し、設備投資が積極的に行われる、成長と分配の好循環が回り出すまでの間、足下で物価高に苦しむ方々への支援が必要であります。当面の対応として、物価高の影響を特に受ける低所得世帯向けの給付金や、地域の実情に応じたきめ細かい対応のための重点支援地方交付金を始め、総合的な対応を図ります。
適切な価格転嫁と生産性向上支援により、中小企業等が賃上げを行う環境整備に取り組みます。また、個人のリスキリングなど人への投資を強化し、事業者のデジタル環境整備も含め、官民挙げての思い切った投資を実現いたします。
農林水産業につきまして、輸入肥料、飼料の高騰を踏まえ、国産肥料、飼料の積極活用を支援するとともに、施設園芸や水産分野への燃油高騰対策を着実に実施いたしてまいります。
こうした取組により、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現し、日本経済の未来をつくり、日本経済を守り抜いてまいります。
成長戦略としての成長投資についてであります。
日本経済が三十年続いたデフレ経済から脱却し、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現するために、国内における成長投資の拡大は極めて重要であります。
私の政権では、イノベーションを促進すること等による高付加価値創出や生産性の向上、意欲ある高齢者が活躍できる社会を実現し、我が国GDPの五割超を占めます個人消費を回復させ、消費と投資を最大化する成長型経済を実現します。
このため、コストカット型経済から高付加価値創出型経済へ移行しながら、半導体に加え、地域経済の活性化にも資する蓄電池、洋上風力、バイオ等の成長投資を加速いたしてまいります。
資産運用立国、投資大国の実現についてのお尋ねを頂戴いたしました。
貯蓄から投資への流れを着実なものとし、国民の資産形成を後押しする資産運用立国を引き継ぐとともに、産業に思い切った投資が行われる投資大国に向けた施策を講じます。
具体的には、幅広い層の家計が長期安定的な資産形成を実現するとともに、企業の統治、経営の改革を強化して、持続的、構造的な賃上げと投資を促進し、社会課題解決やスタートアップといった、まだ十分に発達の余地がある分野への資金供給を促進してまいります。
政権の外交、安全保障の基本方針について、また、自衛隊員の処遇改善等につきましてのお尋ねを頂戴いたしました。
我が国は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面いたしております。そうした現状を踏まえ、私は、現実的な国益を踏まえた外交により、日米同盟を基軸に、友好国、同志国の輪を広げ、外交力、防衛力の両輪で、我が国の平和、地域の安定を実現してまいります。その際、自由で開かれたインド太平洋というビジョンの下、法の支配に基づく国際秩序を堅持し、地域の安全と安定を一層確保するための取組を主導いたしてまいります。
同時に、防衛力の抜本的強化を実現し、抑止力、対処力を高めてまいります。こうした外交力、防衛力を含む総合的な国力を結集して、我が国を断固として守り抜いてまいります。
防衛力の最大の基盤は自衛官であり、自衛官の生活、勤務環境や処遇の改善、新たな生涯設計の確立につきましては喫緊の課題であると認識をいたしております。私を長とする関係閣僚会議を早期に立ち上げ、具体的な取組内容について早急に検討し、成果を得るものといたします。
北朝鮮への対応についてのお尋ねを頂戴いたしました。
我が国の目指す方針は、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化を実現するというものであります。
とりわけ、拉致被害者やその御家族も御高齢となられる中で、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人道問題であるとともに、その本質は国家主権の侵害であり、政権の最重要課題であります。
また、北朝鮮による核・ミサイル開発は断じて容認できず、毅然として対応いたします。
全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現するとともに、北朝鮮との諸問題を解決するため、私自身の強い決意の下、総力を挙げて取り組んでまいります。
地方創生についてのお尋ねを頂戴いたしました。
私が十年前に初代地方創生担当大臣として地方創生推進交付金の創設などに取り組んで以来、交付金などを活用し、住民の方々が気持ちを一つにして地方創生の取組に頑張っておられる姿を、全国各地でたくさん見てまいりました。
産官学金労言の、地域の多様な関係者が知恵を出し合い、その可能性を最大限に引き出し、希望と幸せを実感する社会こそが地方創生のあるべき姿と考えております。その実現に向け、新しい地方経済・生活環境創生本部を創設し、今後十年間集中的に取り組む基本構想を策定いたします。
地方の成長の根幹であります農林水産業につきましては、その持てる力を最大限に引き出します。担い手の育成、確保に努めつつ、直交集成板、いわゆるCLTなど新たな農林水産品の積極活用、スマート技術の導入、世界市場に向けた輸出の取組を支援します。中山間地域を始めとする農山漁村の振興、海業の全国展開など、漁業、水産業の活性化を図ります。農林水産業も含めて、全国各地の取組を一層強力に支援するため、地方創生の交付金を当初予算ベースで倍増することを目指します。
地方こそ成長の主役です。地方創生をめぐる、これまでの成果と反省を生かし、地方創生二・〇として再起動させてまいります。
教師の処遇改善と教職員定数の改善等についてお尋ねを頂戴いたしました。
教師に優れた人材を確保するためにも、教師を取り巻く環境の整備は喫緊の課題であり、教師の担う業務の更なる厳選、見直しなどの働き方改革や、給与面を含む教師の処遇改善、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援を一体的に進め、公教育の再生に全力を挙げてまいります。
憲法改正についてのお尋ねでありますが、内閣総理大臣の立場からは憲法改正についての具体的な議論の進め方等について直接申し上げることは控えますが、自由民主党総裁としてあえて申し上げれば、小野寺議員御指摘のとおり、我が党では、緊急事態条項の在り方、憲法における自衛隊の明記等について活発な議論が行われ、論点整理等が進められてきたところであります。私も、自民党総裁として、これら議論の積み重ねを引き継ぎ、後戻りさせることなく前に進めていく決意であります。
2024-10-07
第214回国会(臨時会) 衆議院 本会議 第3号 発言No.24全文を見る自由民主党の小野寺五典です。
私は、自由民主党・無所属の会を代表して、石破内閣総理大臣の所信表明演説に対し質問をいたします。
政権が発足して一週間。国民の皆様は、石破総理がどのような国づくりを進めていかれるのか、大きな関心を持って見ておられます。自民党に厳しい目が注がれる中、代表質問を通じ、総理の目指す我が国の方向性について、分かりやすく説明いただきたいと思います。
まず、政治の信頼回復についてお伺いいたします。
今回の政治資金に関する問題は、そもそも、法律に定められた記載義務が守られていなかったことが原因です。自らが定めた法律を守れないようでは、国民の皆様から信頼は得られません。私たちは、深い反省と危機意識に立ち、二度とこのようなことを起こさないため、さきの通常国会において、政治家の責任を高めることや、パーティー券購入者の公開基準を引き下げるなど、政治資金規正法の改正を行いました。また、党として厳正な党紀処分を行い、一定のけじめをつけたところです。
今後は、政策活動費の在り方や透明性の確保、その監査に関する第三者機関の設置、政党交付金の交付停止等の制度創設、また、いわゆる旧文通費の使途明確化や公開、未使用分の国庫返納等、着実に進めていかなければなりません。特に、政策活動費については、国民の皆様から不信を抱かれないよう、その在り方については真摯な検討を行う必要があります。
厳しい反省と強い倫理観の下、不断の政治改革、党改革に取り組み、襟を正し、ルールを徹底して守らなければ、政治不信は解消しません。まさに信なくば立たずであります。
政治の信頼回復に向けた石破総理・総裁の決意を伺います。
次に、能登半島地震について伺います。
先月二十二日から降り続いた大雨によって、能登地方では、広範囲にわたり洪水や土砂災害が発生し、十五名の方が犠牲となられ、一名の方がいまだ安否不明となっております。
まずは、犠牲になられた方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。
また、人命救助、捜索活動に当たられている消防、警察、自衛隊、そして復旧復興に尽力されている皆さんに心から感謝を申し上げます。
元日の大地震から復興途上にある中で、再び大きな災害に見舞われたことは、まさに複合災害と言われる事態です。できることは何でもやる、これは、地震発生以来の政府・与党の一貫した方針です。
総理は、先週、予備費第七弾の指示、能登訪問、そして激甚災害指定の表明など、対応を加速化されています。生活再建に向けた継続的な支援は不可欠であり、地震対策と一体となったきめ細やかな対応が必要です。
総理は、事前防災の徹底に向けて、内閣府防災部局の人員拡充と予算増額を行い、防災庁設置を表明されました。都道府県、市町村とも連携し、国民の命と暮らしを守る体制を着実に進める必要があります。
自然災害が頻発化、激甚化する中、日頃の備えとしての国土強靱化は重要です。現行の五か年加速化計画は四年目に入り、今後必要な事業量が確保できるのかが見えないという声が各地から聞こえております。五か年加速化対策の五年目も必要十分な予算を確保するとともに、次期中期計画の策定に当たっては、災害の頻発化や激甚化、資材価格等の高騰、防災庁設置も踏まえ、これまでを上回る規模が必要ではないかと考えます。
能登の復旧復興に向けた決意と併せ、防災庁設置など我が国の防災体制の強化、避難所の在り方、そして国土強靱化実施中期計画策定に向けた考え方について、総理に伺います。
次に、経済について伺います。
日本経済は今、歴史的な転換期を迎えています。コストカット型のデフレ経済から、三十年ぶりの高水準の賃上げ、名目GDP六百兆円の達成など、変化の胎動を見せ始めています。
岸田政権の三年間の集中的な取組によって、成長型の経済ステージへと動き始めています。ここで歩みを止めてはなりません。国内投資を増やし、供給量を拡大させ、構造的な賃上げなどの政策を強化することで、成長と分配の好循環を実現させていかなければなりません。経済あっての財政の考えの下、成長を高める対策が求められています。
一方、足下の急激な物価高から国民生活を守ることが必要です。特に影響を受ける低所得者の世帯の方々を始め、医療、介護、保育、教育等の現場、中小企業や農林水産業など、地域の実情も踏まえ、きめ細かく対応すべきです。
そして、何よりも大事なのが賃上げです。物価水準を超える賃上げを継続的に実現することが成長につながります。生産性向上支援や価格転嫁対策など、あらゆる政策を総動員しなければなりません。
総理は、先週、総合経済対策の策定を指示されました。当面の物価高対策、物価高に負けない賃上げ、そして成長と分配の好循環の実現に向けた取組について、総理の認識を伺います。
成長と分配の好循環の成功例が、半導体への投資です。九州の半導体企業への投資は、設備投資のみならず、大学や高専も含めた人材育成にも取り組んだことがポイントでした。物の投資に加え、人の投資を地域で行ったことにより、賃金上昇や設備投資の増加が地域全体に広がりました。
こうした投資は、半導体に限りません。経済安全保障やGXの観点からも、蓄電池や洋上風力発電、バイオなどの産業は、日本にしっかり残し、競争力を高めていく必要があります。石破政権の新たな成長戦略として、地域経済への活性化も含めた成長投資を進めていくべきだと考えます。総理の御見解を求めます。
経済成長と国民の資産所得増加を図るため、資産運用立国の実現に向けた取組を着実に進めていくことが大切です。本年一月にNISAは大幅拡充され、iDeCoの拠出限度額及び受給開始年齢の上限引上げについても、本年中に結論を得ることになっています。継続的な賃上げと貯蓄から投資への流れによって、所得と成長の好循環につなげていくことが大事です。
石破総理は、内外からの投資を引き出す投資大国の実現も表明されました。資産運用立国と投資大国の実現に向けた総理の決意を伺います。
次に、外交、安全保障について伺います。
ロシアのウクライナ侵略、中国の力による現状変更の試みが顕在化する中で、国際秩序は重大な挑戦にさらされています。中東情勢は緊迫の度合いを増し、グローバルサウスと呼ばれる国々の存在感もますます高まっています。
我が国周辺では、北朝鮮の度重なるミサイル発射、中国による領海侵入や領空侵犯、空母遼寧の接続水域航行、ロシアによる領空侵犯等、挑発的行動が活発化しており、決して見過ごすわけにはいきません。国民の命と暮らし、領土、領海、領空を断固として守り抜くため、政権として毅然と対応すべきです。
こうした中、シンセンの日本人学校に通う男子児童が登校中、中国人の男に刺殺されました。本当に悲しく、断じて許せない事件です。いまだ明確な動機や背景の説明すらなく、偶発的な事件と説明する中国政府の対応は、常軌を逸していると言わざるを得ません。
蘇州で日本人学校のスクールバスが襲われた事件や、靖国神社への中国人による侮辱行為など、中国による反日教育が根底にあるとすれば深刻です。
石破総理、在留邦人の安全対策の徹底と、中国政府への厳しい対応を求めます。
日米同盟を基軸に、普遍的価値を共有するパートナーとの連携を強化しながら、自らの防衛力も高めていく。その基盤となる自衛隊員の生活、勤務環境や処遇改善にはしっかり対応すべきです。こうした自らの努力を積み重ねるとともに、首脳外交も活発に展開し、我が国の平和と繁栄を追求しなければなりません。
政権の外交や安全保障の基本方針と、自衛隊員の処遇改善等の取組について、総理のお考えを伺います。
北朝鮮による拉致問題は、被害者の御家族が高齢になる中、一刻も早く解決しなければいけない重要課題です。拉致、核、ミサイルを含め、諸懸案の解決のために北朝鮮とどのように向き合うのか、総理の考えをお聞かせください。
総理は初代地方創生大臣を務められました。まち・ひと・しごと創生法の制定や地方創生推進交付金の創設に尽力され、雇用創出や移住支援、政府機関の地方移転、国家戦略特区による岩盤規制改革など、様々な政策により、地方移住の関心も拡大し、人口が増えた地域も出るなど、成果が上がっています。
この取組を更に後押しするため、総理は、地方創生の交付金を、当初予算ベースで倍増することを目指すとともに、新しい地方経済・生活環境創生本部をつくり、次の十年の基本構想の策定を指示されました。
総理の考える、地方創生のあるべき姿について伺います。あわせて、地方の主産業である農林水産業への支援策を伺います。
教育は国の礎です。人づくりこそ国づくりです。他方、教師を取り巻く厳しい勤務状況や教師不足の解消は喫緊の課題であり、こうした環境を抜本的に改善し、質の高い公教育を実現することが必要です。
我が党では、来年の通常国会に教育職員給与等特措法の改正案を提出し、教職調整額の率を少なくとも一〇%以上に引き上げること等を提言し、骨太二〇二四でもこの方向性は決定されています。
今後、詳細をしっかり詰める必要はありますが、教師の処遇改善と教職員定数の改善等にどのように取り組まれるのか、総理の決意を伺います。
最後に、憲法改正について伺います。
憲法改正は自民党の党是であり、党内において多くの議論が積み重ねられてきました。
八月末には、我が党の憲法改正実現本部において、選挙困難事態における任期特例に加え、早急に取り組むべき改正の重要テーマとして、自衛隊明記及び緊急政令について論点整理が行われました。今後は、これを踏まえ、幅広い会派との協議を進めるとともに、条文化作業を加速し、速やかな改正原案の起草、国会提出につなげていく方針であります。
石破総理の総裁としての憲法改正に向けた見解を伺います。
結びに当たり、冒頭述べたように、さきの国会で政治資金規正法の改正や厳正な党紀処分を行いましたが、我が党を取り巻く情勢はかつてないほどの厳しさがあり、国民の皆様は、これから先に、本当に自民党が変われるのか、改革が止まることはないのか、厳しく見られております。
だからこそ、石破総理の原点である、政治の使命は勇気と真心を持って真実を語るという姿勢が大事だと思います。
政治に停滞は許されません。自民党は、石破総理・総裁を先頭に、政治の信頼回復に向けた取組を手を緩めることなく進めていくとともに、山積する内外の諸課題解決に向け全力を尽くしていくことをお誓い申し上げ、私の質問とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。
〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕
2024-10-07
第214回国会(臨時会) 衆議院 本会議 第3号 発言No.19全文を見る野田代表から、冒頭、大変ありがたいお言葉をいただきました。厚く御礼を申し上げます。
野田佳彦議員の御質問にお答えをいたします。
安倍政権下の対ロシア外交についてお尋ねがございました。
安倍政権におきましては、幅広い分野で日ロ関係全体を国益に資するよう発展させるべく、平和条約交渉を粘り強く進めたものと承知をいたしております。
その後、ロシアによるウクライナ侵略を受け、我が国は、従来の対ロ外交を大きく転換をいたしました。引き続き、何が我が国の国益に資するかという観点から、適切に対応をいたします。
自衛官の処遇改善についてお尋ねをいただきました。
防衛力の最大の基盤は自衛官であります。防衛力を発揮するためには、装備だけではなく、人的基盤を強化することが不可欠であります。自衛官が定員割れとなっている状態を放置することは大きな問題であります。
この待ったなしの課題に対し、私を長とする関係閣僚会議を早期に立ち上げ、早急に検討し、成果を得てまいります。
能登半島の災害への予算面での対応についてお尋ねをいただきました。
今般策定することといたしております経済対策の裏づけとなる補正予算においては、能登地域の災害からの復旧復興にも対応することといたしております。その一方で、予備費であれば更に迅速な対応ができること、一般予備費に十分な残額があることを踏まえ、予備費を活用して切れ目なく被災地の支援を行うことにより、能登地域の早期の復旧復興に向けた対応に万全を期してまいります。
二重災害で苦しむ能登半島、その被災地における選挙準備についてのお尋ねをいただきました。
被災地におきましては、総務省から必要な助言を行いながら、既に、投票所の確保など選挙の執行に向けた準備を進めていただいております。
先般も、選挙事務に精通したアドバイザーを被災地に派遣をし、被災地の状況把握及び選挙の執行に向けた助言等を実施したところであり、引き続き、県選挙管理委員会とも緊密に連携し、被災地における選挙の実施に万全を期してまいります。
衆議院の解散についてお尋ねをいただきました。
内閣は、憲法第六十九条の場合に典型的に表れておりますように、国政上の重大な局面等において主権者たる国民の意思を確かめる必要があるような場合には、衆議院の解散権を行使することができると考えております。その法的根拠といたしましては、憲法第七条の規定であり、今般表明した衆議院の解散についても、同様に考えております。
衆議院解散権の行使について、その濫用を慎むべきことは言うまでもありませんが、今回、新しい内閣が発足したことに伴い、国民の意思を確かめる必要があるとの観点から、衆議院の解散を行うとの判断をいたしました。
今般の解散についてのお尋ねがありました。
九月三十日の私の発言は、あくまで、内閣総理大臣に選出されれば、諸条件が整えばという二つの前提を置いた上で総選挙の日程について申し上げたものであり、天皇の国事行為に踏み込んだとの御指摘は当たりません。
自民党における旧派閥の政治資金収支報告書の不記載の問題に関する再調査についてお尋ねをいただきました。
自民党における旧派閥の政治資金収支報告書の不記載に関する一連の問題につきましては、第三者である検察による厳正な捜査が行われ、法と証拠に基づき、刑事事件として取り上げるべきものは立件されてきたものと承知をいたしております。また、自民党における外部の弁護士を交えた聞き取り調査や当事者自身による会見等での説明など、様々な関係者による事実関係の把握、解明の努力が進められてきたところであります。国民の信頼を回復するために今後更に行うべきことにつきましては、これまでの取組の経緯等を踏まえつつ、適切に判断をいたします。
私が代表を務めておりました水月会の政治資金収支報告書についてのお尋ねをいただきました。
お尋ねにつきましては、政治資金パーティーのパーティー券を複数の議員から購入いただき、支払い額の合計が二十万円を超えていた政治団体について、水月会の事務局側での確認漏れがあり、当該団体のパーティー券の支払い総額の記載に誤りが生じたものであります。
なお、収支報告書には、政治資金パーティーの収入総額に加えて、その内訳としてパーティー券の支払い額が二十万円を超えたものの支払い額も記載することとされているところ、この度の記載の誤りがあったのは内訳の金額であり、収入総額の誤りは確認されておりません。
水月会自体は既に解散をしておりますが、訂正可能な過去の収支報告書につきましては、既に訂正手続を行ったところであります。
政治資金収支報告書に不記載があった議員の公認の方針等についてお尋ねがありました。
お尋ねにつきましては、昨日自民党総裁として公表した方針に基づき公認に向けた手続を進めているところであり、現時点において公認となる方が誰かは具体的に確定はいたしておりません。
自民党による処分についてお尋ねをいただきました。
今般の一連の収支報告書の不記載の問題に係る自民党の処分については、外部の有識者を含めた党紀委員会において議論を行い、公平に判断されたものと認識しており、また、処分の後も、党として政治資金規正法の改正を含む再発防止策に取り組んできたところであり、御指摘のように甘い処分で幕引きを図ろうとしたものとは認識をいたしておりません。
政治資金規正法の改正についてのお尋ねであります。
さきの通常国会におきまして、政治資金収支報告書の記載に係る政治家の責任の強化、政治資金パーティーのパーティー券の購入者に係る公開基準の引下げ等を内容とする政治資金規正法の一部改正が行われ、収支報告書の不記載の再発防止や政治資金の透明性向上が図られたところであります。
まずは、改正政治資金規正法を徹底的に遵守しますとともに、政治資金に関する独立性の担保された機関の在り方など残された課題の検討を着実に進め、その課題についての結論を得ていくことが重要と考えております。
自民党と公明党との連立合意文書における政策活動費の取扱いについてお尋ねをいただきました。
さきの通常国会において成立した改正政治資金規正法の一部を改正する法律の附則では、政策活動費の使途を十年後に明らかにする、政策活動費を監査する独立性の担保された機関を設置するといった方向性とともに、その具体的な在り方について今後検討を行うことが規定されました。
今回の我が党と公明党との間における連立政権合意書におきましては、このような法律の規定が既にあることを踏まえ、まずは、政策活動費の透明性の確保や、政治資金に関する独立性が確保された機関の設置等に取り組んでいくことを記載することとしたものであります。
国会議員の世襲制限についてのお尋ねがありました。
お尋ねにつきましては、議員の政治活動の在り方と密接に関わる問題であることから、まずは国会において御議論いただくべきものと考えております。
国会議員の世襲に関する問題は、基本的には、政治家として有能かつふさわしい人を国民が広く選べるような仕組みをどのようにつくるかという問題であり、自民党におきましても、公募、予備選挙等の積極的な活用を通じて、有為な人材を広く募集、発掘するよう努めているところであります。
アベノミクスの清算と共同声明の見直しについてお尋ねをいただきました。
アベノミクスは、デフレではない状況をつくり出し、GDPを高め、雇用を拡大し、企業収益の増加傾向にもつながりました。こうした成果の上で、岸田内閣の新しい資本主義の取組が、最低賃金の過去最大の引上げ、名目百兆円超の設備投資などにつながったものと認識をいたしております。私は、デフレからの脱却を確実なものとするべく、こうした岸田内閣の経済政策を引き継ぎ、更に加速をさせ、賃上げと投資が牽引する成長型経済の実現を図ってまいります。
平成二十五年一月の共同声明につきましては、先日、植田日銀総裁と意見交換を行い、政府と日銀は共同声明に沿って引き続き連携を続けていくことを確認いたしており、現時点において共同声明を見直すことは考えておりません。
アジア版NATO及び日米安保条約の改正の実現可能性についてであります。
アジア版NATOを含む日本の安全保障の在り方につきましては、これまで私自身の一国会議員としての考えを累次述べてまいりましたが、一朝一夕で実現するとは当然思っておりません。一国の総理大臣として、まずは喫緊の外交、安全保障上の課題に取り組んでいく必要があると考えております。
日米同盟の抑止力、対処力を強化するとともに、その強靱性、持続性を高めていくとの観点から、また、同盟国、同志国間のネットワークを有機的、重層的に構築し、抑止力を強化する観点から、検討し対応いたしてまいります。
具体的な検討についてお尋ねがありました。
繰り返しになりますが、アジア版NATOについては、一朝一夕で実現するとは考えておりません。一国の総理大臣として、まずは喫緊の外交、安全保障上の課題に取り組んでいく必要があると考えております。
外務大臣や防衛大臣に対し現時点で具体的な指示を出しているわけではありませんが、同盟国、同志国間のネットワークを有機的、重層的に構築し、抑止力を強化する観点から、検討、対応をいたしてまいります。
自由民主党の選挙公約に盛り込むか否かにつきましては、現時点では決まっておりません。
中東情勢が緊迫する中についての対応について、中東外交につきましてのお尋ねを頂戴いたしました。
現下の中東情勢の緊張の高まりは、私自身、深刻に懸念しておるところであります。
我が国は、独自の取組を通じて、これまで中東各国と良好な関係を築いてまいりました。こうした外交資産の土台の上で、関係国とも緊密に連携しつつ、中東の緊張緩和と情勢の安定化に向け、積極的な外交努力を行ってまいります。
東京と平壌における連絡事務所につきましてであります。
我が国の北朝鮮に対する基本方針は、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化を実現するというものです。
とりわけ、拉致被害者やその御家族も御高齢となられる中で、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人道問題であるとともに、その本質は国家主権の侵害であり、政権の最重要課題であります。
御質問の点も含め、今後の対応について具体的にお答えをすることは差し控えますが、政府の責任において、最も有効な手だてを講じてまいります。
家族会の方々に電話で就任の御挨拶をした際の具体的な個別の発言につきましては、対外的には言及しないことになっておりますが、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現するとともに、北朝鮮との諸問題を解決するため、私自身の強い決意の下、総力を挙げて取り組んでまいります。
残余の御質問につきましては、関係大臣から答弁をいたさせます。
〔国務大臣武藤容治君登壇〕