馬場伸幸
2024年以降(第216~213回国会)の発言数: 17
※ 会議の議長だった場合の発言を除く
馬場伸幸君による発言要約一覧
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2024-12-19
第216回国会(臨時会) 衆議院 憲法審査会 第1号 発言No.13会議全体を見る- 日本維新の会の馬場委員は、憲法審査会の活動とその歴史に言及し、中山太郎先生の理念を再確認した。
- 憲法改正に向けた議論は進んでいないとし、特に共産党の反対が障害となっていると指摘した。
- 彼は、憲法論議には妥協が必要だとし、急務として審査会を年末年始にも開催するよう訴えた。
- また、安倍総理の所信表明の変化に疑問を呈し、行動を示さない自民党に対して批判を行った。
- 最後に、国民主権に基づく憲法改正の必要性を強調し、建設的な議論を求めた。
日本維新の会の馬場伸幸です。
先ほど橘法制局長より、衆参両院における憲法審査会の原点となった超党派の憲法調査委員会設置推進議員連盟結成から今日まで二十七年間の憲法論議の経過について、るる御説明いただきました。ありがとうございました。
議連の立ち上げから衆参両院での憲法調査会設置に奔走し、本院調査会の初代会長を務めた、私の師匠、中山太郎先生にいま一度思いをはせています。
湾岸戦争当時外務大臣だった中山先生は、お金だけ出して人的貢献をしなかった我が国に対する諸外国の冷たい視線を痛感しました。その根因は施行から半世紀を経た旧時代の日本国憲法にあると考え、たまらず行動に移されました。
中山先生が全国会議員に配付した議連の設立趣意書にはこう書かれています。憲法論議は国権の最高機関たる国会において党派を超えた全国民的立場でなされるべきであり、国家の基本問題について真摯に議論することこそが我々政治家に課せられた最大の使命だ。立法府に身を置く我々はこの言葉をかみしめるべきです。
ほぼ開かずの扉状態だった本審査会も、ここ三年は、私たちの強いプッシュもあって相当数開催されるようになりましたが、中身は羅針盤のない航海のごときです。各会派の意見発表会から脱却できず、いざ意見集約に向けてアクセルを踏もうとすれば、特定野党がいわゆる中山方式を曲解、悪用し、ブレーキをかけてきました。
弟子だった私が中山方式の真髄をはっきり申し上げます。中山方式イコール全会一致ではありません。中山先生が先頭に立たれていた当時は、まず憲法改正という列車をレールに乗せなければならないフェーズでした。中山方式は、時間をかけてでも中身の議論をするための紳士協定ですが、もはやフェーズは変わりました。レールに乗った列車を前に進めなければなりません。
改憲につながるやり方は一切認めないと繰り返す共産党が存在する限り、全会一致は永遠に望めません。反対会派の意見に耳を傾けることは不可欠ですが、どこかで議論に区切りをつけ、多数決で結論を得ることが民主主義の原則です。
中山方式が反映された本審査会の会長代理制度には、与野党双方が審査会の運営に責任を持つという思いが込められています。野党第一党として長らく会長代理の椅子に座ってきた旧民主党や立憲民主党の方々は、果たしてその責任を全うしてきたと胸を張れるのでしょうか。政局に絡めないとする中山方式を口にするなら、しっかりと責任を果たしていただきたいと思います。
解散・総選挙もあり、本審査会での実質討議は六月十三日以来のことです。既に半年間の空白ができました。昨年十二月七日には、当時の中谷与党筆頭幹事から、改正原案の起草に向けた機関を創設する旨提案がありましたが、この一年、一ミリも進んでいません。今国会での審査会開催は、本日が最後です。放っておいたら、年明けの通常国会開会後も、予算審議が終わるまで審査会を開かないという立法府の因習から、少なくとも三月初めまで実質休眠状態になることは目に見えています。起草委員会の設置どころではありません。
枝野会長を始め、皆さんに訴えます。衆議院憲法審査会規程によると、閉会中でも手続の必要なく開催ができます。悠長に通常国会の開会を待つのではなく、年末年始の閉会中も審査会を適時開いて、議論を前に進めようではありませんか。
総選挙を経て委員の構成が変わっても、これまでの審査会での議論の積み上げを無にしてはならないことは言うまでもありません。
本審査会での実質討議は、令和四年が一年間で二十回、五年が一年間で十九回、今年が本日を含めて十回、この三年間で計四十九回行われましたが、議論の大半が、非常事態時の国会議員の任期延長、国会機能の維持などを規定する緊急事態条項の創設に費やされたと認識しています。既に論点は出尽くしています。
日本維新の会は、昨年六月、国民民主党、有志の会の皆さんとともに緊急事態条項の条文案を策定しました。この条文案について、西修駒沢大学名誉教授は、四月に上梓した著書「憲法一代記」で、非常に優れた規定方式だと高く評価され、これを土台に自民、公明両党が参画し、細部を詰めるのが最も妥当で最善の策であると指摘されています。方向性は、自民、公明両党と大きなそごがないと認識しています。
私たちは、三会派の条文案を本審査会で議論の俎上にのせるように訴えてきましたが、条文案や資料の提出は認められないとの申合せにより、一年半塩漬けにされたままです。
枝野会長には、是非、このような理不尽なルールは改め、直ちに起草委員会を設け、自民、公明だけでなく、立憲民主党など他会派にも緊急事態条項の条文案の合意形成に参画するよう差配していただきたく存じます。
中山先生は、憲法論議には偉大なる妥協が必要だとも訴えておられました。議論に加わった会派の一部が納得できなくても、機が熟せば、民主的な多数決によって公明正大にゴールへの歩みを進めるべきです。
一方、来年の結党七十年に向け憲法改正実現へ先頭に立たれている石破総理・総裁は、十月の臨時国会の所信表明演説で、国会発議の目標について、総理在任中と明言されましたが、なぜか今国会での所信表明演説と代表質問答弁では目標期限が消えました。釈然としません。
この間、自民党は、本審査会長ポストを立憲民主党に明け渡しました。まさか憲法改正に白旗を上げたわけではないでしょうが、これまで同様、やるやるとポーズを繕うだけなら、党本部に高らかに掲げている憲法改正実現本部の看板をさっさと下ろしてください。そう責められたくないなら、いいかげん、行動で示していただきたい。
本院は、少数与党となり、国会発議のための三分の二の賛成確保が厳しい情勢であることは承知しています。とはいえ、立憲主義、民主主義の根幹には国民主権があります。その国民主権を具現化することこそ、憲法改正の国民投票です。主権喪失の下で作られた憲法が抱える諸課題を乗り越え、憲法を国民の手に取り戻すときです。
枝野審査会長は、十二日付毎日新聞のインタビューで、しっかりと建設的な議論ができるよう努力したいと決意を表明されました。党利党略によって建設的な議論が不当にブロックされる事態を招かぬよう、審査会長としての責務を全うしていただくよう強く求めて、私の発言を終わります。
2024-10-07
第214回国会(臨時会) 衆議院 本会議 第3号 発言No.33会議全体を見る- 馬場伸幸君は、震災から復興を目指す石川県能登地方への哀悼の意を表し、義援金の支援を強調した。
- 総理の解散発表は国会軽視であり、約束した予算委員会の開催も望んでいると指摘。
- 政治と金の問題の解決には、政策活動費の廃止や企業・団体献金の禁止が不可欠であると訴えた。
日本維新の会の馬場伸幸です。
教育無償化を実現する会との統一会派を代表し、質問をいたします。
元日の震災から復興へ懸命に立ち上がろうとしていた石川県能登地方が、先月下旬、線状降水帯による記録的豪雨に見舞われました。お亡くなりになられた方々に哀悼の意を表し、御遺族と被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。また、被災地で救助、復旧等に力を尽くされている全ての皆様に深く敬意を表します。
私たちは、震災直後から続けている被災地へのサポート体制を強化し、更にきめ細かく支援をお届けしてまいります。
さて、総理は、総裁選直前の八月に上梓した「保守政治家 わが政策、わが天命」の中で、大臣就任時に答弁について、検討するという文言は認めず、検討して、いつまでに成案を得ると改めていたとしています。ならば、私が政策課題の実現目標を伺った際には真摯にお答えいただくよう、まずもって強く求め、質問に入ります。
総理になる前の自民党総裁の立場で、次期衆議院選挙を十月二十七日投開票の日程で行うというおきて破りの表明をし、明後日、解散される運びとなっています。国会で正式に選出される前に総理の伝家の宝刀を抜くとは、国会軽視、思い上がりも甚だしいと指弾せざるを得ません。
僅か半月余り前の総裁選の討論会で、総理は、解散の時期について、国民が判断する材料を提供するのは政府の責任であり、新しい総理の責任、本当のやり取りは予算委員会だ、世界情勢がどうなるか分からないのに、すぐ解散するという言い方はしないと明言していました。事実上、総理を選ぶ総裁選での言葉は国民に対する公約にほかなりませんが、舌の根も乾かぬうちに手のひら返しの解散を宣言する変節ぶりには、開いた口が塞がりません。
無論、常在戦場です。私たちは受けて立ちますが、解散前にやると約束した予算委員会さえも開かず、敵前逃亡のそしりは逃れ得ません。
総理に伺います。
元々、憲法七条に基づく解散については、時の政権に有利になるため憲法の趣旨に反すると否定的な見解を示していたのに、なぜ豹変したのですか。党執行部に押し切られて解散を決断したならば、党内野党として筋を通してきた総理も、最高権力を手にした途端に、党利党略で持論を曲げてしまうという本性が露呈したと受け止めなければいけません。これでは先が思いやられます。これに反論できますか。
このような有様で、自民党の裏金問題で地に落ちた国民の政治への信頼を取り戻せるとお考えでしょうか。就任記者会見で自ら、納得と共感内閣だと命名されましたが、国民に納得と共感が得られるとお思いでしょうか。
会期延長してでも予算委員会を開くことが不可欠です。能登半島の豪雨災害に対応するための令和六年度補正予算編成も無視するのでしょうか。
総裁選中、世界情勢が不透明なことも解散しない理由に挙げていましたが、先週、イランがイスラエルにミサイル攻撃し、第五次中東戦争の萌芽が現れました。国際情勢は一層混沌とし、日本がエネルギー危機に見舞われる可能性があります。現在の国際情勢下で、衆議院議員不在の政治空白をつくっていいのでしょうか。
総理の臆面もない公約破りを目の当たりにすれば、さきの総裁選は、自民党挙げての壮大な茶番だったと断じざるを得ません。総理の変節は、本質は変わらない、変えられない自民党政権の実態そのものではないでしょうか。
以上、敵前逃亡することなく、真摯にお答えください。
前国会で私は自民党総裁との間で文書を交わし、いわゆる政策活動費の十年後の公開で合意をしました。しかしながら、それは、結党当初から身を切る改革を掲げ、政治と金についてどの党よりも厳しいルールを自らに課してきた我が党として、改革姿勢が後退したのではないかという疑念を抱かせる結果を招いてしまいました。
前国会において自民党に、政治と金の問題を一掃する完全なる改革、政策活動費の即時廃止を迫らなかったことは、結果的に私たちの誤りでした。提案した政策は法案が成立しなくても実践するという政治姿勢を貫き続けている維新の党是から、今すぐの実践にちゅうちょがあったことも含め、真摯に反省をしています。
そこで、前国会閉会後、いま一度、改革政党の原点に立ち返り、政策活動費の支出は今後一切行わないことをルールとして定め、実践に移しています。さらには、これを法律による共通ルールとするため、今国会に、政策活動費や企業・団体献金の禁止、議員定数の削減等をうたった政治資金規正法及び公職選挙法の改正案を提出しました。
一方で、自民党は、裏金問題について、再発防止と政治不信を払拭するための法改正だけでなく、実態解明と当事者の処分も実施すると明言してきました。しかしながら、これらは今も、うやむやのままです。残された課題を今国会でやり切ることは立法府の使命です。しかし、総理がその議論する機会さえ奪わんとして、解散・総選挙に突き進んでいます。このことには断固たる抗議をいたします。
その上で、政治と金の問題に関して、総理にお伺いをいたします。
まず、派閥のパーティー収入不記載に端を発した裏金問題についてです。
政治倫理審査会については、衆参両院議員計七十二人がいまだに出席を拒んでいます。当然、出席を促すお考えでしょうか。
来る総選挙で、石破総理は昨日、相当程度の非公認が生じると宣言をされました。しかしながら、国民感情からすれば、裏金、脱税に関与した全員を非公認とするべきではないでしょうか。総裁選の公約どおり、総裁自らお一人お一人に聞き取りを行って判断するのですか。
前国会で明らかになったのは、長年の金権体質がしみついた自民党が構造的な機能不全に陥っているという事実です。この組織的問題に対して、幾ら首をすげ替えても対症療法にしかなり得ません。
私たちは既に、率先垂範して、旧文書通信交通滞在費の領収書公開を自主的に行ってきました。政治資金収支報告書の会計責任者は国会議員本人とし、責任の所在も明確にいたしました。さらに、先ほど述べたように、今後は政策活動費も完全に廃止をいたします。
総理は、過去に、政策活動費の廃止も一つの方向性だと述べておられますが、私たちの取組と比べると、いささか踏み込みが甘くないですか。自民党も、政治不信を一掃するために、私たちに倣って、廃止する方針を明確にすべきではないでしょうか。
さらに、私たちは、この問題を追及するに当たり、自ら身を正すことが必要と考え、過去の政策活動費の検証を行うチームを設置することに決めました。私たちの調査では、総理は、自民党幹事長職にあった平成二十四年九月から平成二十六年八月にかけ、計七十二回、総額十七億五千五十万円を政策活動費として受け取っています。私たちと同様に、これらの内訳も全て自主的に調査、説明してはいかがでしょうか。
金権体質を根本的に浄化するには、企業・団体献金の禁止は不可欠です。日本の財政を圧迫している社会保障の抜本改革は、献金を橋渡しにした自民党と企業、団体の癒着によって立ち往生しています。例えば、岸田前総理は日本医師会政治連盟から年間一千四百万円もの献金を受け取っており、これが癒着となれ合いを生み出し、医療制度改革を停滞させる要因になっているとの指摘は絶えません。
我々は、企業、団体へのパーティー券販売も含め、企業や業界団体からは一切お金を受け取りません。既得権の温床となる企業・団体献金は直ちに禁止すべきと考えますが、総理の決意を伺います。
一切のしがらみを排した構造改革を成し遂げるには、政治家自らが身分や特権を手放すことで覚悟を示さねばなりません。
私たちには、大阪府市で議員定数の削減を行い、議員歳費も削減した実績があります。国会では身を切る改革で、月々の歳費の二割、ボーナス三割を自主的にカットし、国内外の被災地や戦災地に寄附をしているほか、形骸化した特別委員会や委員長ポストの廃止に取り組んでいます。
民主党政権下の平成二十四年から果たされていない国民との約束が、国会議員定数の大幅な削減です。自民党は、この問題をいつまで引き延ばすのでしょうか。私たちが四日に提出した、比例代表選出議員の定数を二割削減する公選法改正案を可及的速やかに可決するべきではないでしょうか。議席削減に向けた総理の覚悟をお示しください。
旧文通費については、根本的に政府・与党の姿勢を問いたださなければなりません。
自民党との合意文書では、旧文通費の使途公開と残金返納を義務づける立法措置を行うこととなっています。これは公党同士の約束です。無論、総理はこの合意を生きているとお考えでしょう。
しかし、総理は、総裁選勝利後の先月二十九日のテレビ番組で、何が使途として認められるのか与野党で合意すれば公開すると発言されましたが、まず公開することを実践してから使途を決めるのが筋ではないでしょうか。私たちは、旧文通費の領収書を一枚残らず自主的に公開をしています。与野党の合意がなくても、総理自身、私たち同様に、自主的に領収書を公開するお考えはありますか。
岸田前総理が導入を決めた子ども・子育て支援金は、少子化対策を掲げながらも現役世代の手取りを減らし、また、防衛財源とするための法人税、所得税、たばこ税の増税は、身を切る改革なくして負担を国民に押しつける暴政そのものです。
自民党の茂木前幹事長が総裁選でゼロ増税を打ち出し、いずれも実施せずに財源は確保できると喝破されました。政策決定時に党幹事長であった方の発言には重いものがあります。この意見を受け入れ、社会保険料増額や増税を一旦凍結し、予算の精査や事業の見直しをやり直すべきではないでしょうか。お答えください。
社会保障制度は、国民の安心と幸せに直結する国民の関心事です。しかし、総理は就任会見で見直しに着手するとしただけで、ほとんど関心がないと断じざるを得ません。私たちは既に、高齢者医療制度の窓口負担の適正化、診療報酬の見直しなど、医療維新として具体的な医療制度改革案を提示しているところです。
総理は、年々増大する社会保障費を具体的にどのように抑制していくお考えでしょうか。社会保険料を下げることで現役世代の負担を軽減し、世代間格差を解消することこそ政府が解決すべき課題だと考えますが、総理の見解を求めます。
医療分野のDXは、医療費の適正化や診療報酬と薬価の見直し、電子カルテの標準化など、聖域とされてきた社会保険制度の中核にメスを入れることになります。しかし、その入口であるマイナ保険証に対する国民の忌避感が強く、十二月の健康保険証とマイナンバーカード一体化への円滑な移行が危惧されます。ここでつまずいているようでは、医療DXの実現など絵に描いた餅にすぎません。
不人気の大きな理由は、制度設計上、マイナ保険証を使用するメリットが余りにも少ないからです。問答無用でマイナ保険証を持たせることが目的化し、搭載される医療情報が極めて限定されている現行の制度設計は、医療DXのプラットフォームとして嘆かわしい状況です。
総理に質問をいたします。
マイナ保険証への移行は予定どおり実施されますか。マイナ保険証への移行と並行し、電子カルテ情報を共有できるよう、現行二百床以下の医療機関、診療所の半数が紙のカルテを用いている状況を打開するなど、国民の受診、治療や健康維持に資する制度を構築することが不可欠ではないでしょうか。お答えください。
本年は五年に一度の年金財政検証の年でありましたが、年金制度の経年劣化は火を見るよりも明らかです。人口減少が加速する今、年金は、現役世代の安心感よりも、むしろ負担感を増しているとも思われますが、どうお考えでしょうか。
そもそも、財政検証の考え方自体が昭和のモデルを前提としており、時勢を反映していないと言わざるを得ません。例えば、年金の所得代替率のベースは専業主婦世帯を想定しています。年金の保険料を納めている現役世代の多くが共稼ぎや未婚世帯であり、将来の見通しは個人単位の比較で示すべきであります。
現代社会に通用しない昭和のモデルにメスを入れ、時代に合う年金、医療の仕組みを再構築すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
財政検証では、合計特殊出生率の長期的な値も一・三六に設定されており、昨年の合計特殊出生率が一・二〇だったことを踏まえれば、異常に高い水準になっています。また、全人口に占める外国人の比率が一一%になるとされていることにも疑義があります。外国人比率一一%を実現するなら、日本社会の在り方そのものが大きく姿を変えることは容易に想像できます。このような変化に対し、そもそも、国民的なコンセンサスが取れているとお考えでしょうか。そうでなければ、なぜこのような空想的な比率を採用したのでしょうか。
年金の財政検証は粉飾と言わざるを得ず、将来世代への負担の先送りにつながると考えます。これらの前提を見直すべきではないでしょうか。総理に答弁を求めます。
総理は、地方創生の交付金を当初予算ベースで倍増させる方針を示されました。
総理に伺います。
初代の地方創生担当大臣を二年間務め、地方の問題に力を注がれてきましたが、これまでにどのような成果があったとお考えでしょうか。
首都圏一都三県への転入者と転出者の差は、地方創生がスタートした平成二十六年よりも拡大しています。男性より女性の流入の方が多い傾向も、この十年、変わっていません。東京一極集中の流れを反転させるような効果はなかったと思いますが、これまでの取組のどこに問題があったと認識されていますか。
地方創生推進交付金事業をめぐっては、過去に行政評価レビューで、重要業績評価指標、いわゆるKPIの設定や効果検証の方法などについて、外部有識者から事業全体の抜本的な改善を勧告された経緯があります。やり方によっては、ばらまきの道具になり、総理が師と仰ぐ田中角栄流の利益誘導政治に戻りかねません。今まで地方創生推進交付金がどのように使われ、いかなる効果をもたらしてきたか、まず徹底的に検証するべきではないですか。
地域を活性化するには、大学、雇用、金融機関などが集中する極が必要です。これを日本全国に分散させ、極を中心に経済成長を目指す多極分散の発想が不可欠と考えますが、所見を求めます。
消費税を始めとした国税を地方に抜本的に税源移譲することで、国の関与を減らし、主体的な自治体経営を可能とすることも肝要と考えますが、見解を求めます。
長引く物価高は、国民の日常生活を苦しめ、その影響は深刻度を増しています。今月値上げされた食品は、ペットボトル入りの飲料やハム、ソーセージなど二千九百品目余りにも上り、今年に入って最も多くなったと伝えられています。
政府は、物価高対策として電気やガス料金への補助やガソリン価格を抑えるための補助を実施していますが、ばらまき志向のびほう策にすぎません。総理が改めて意思表示をした低所得者向けの給付金も、高齢者に偏重し、本当に必要な人に届く施策ではありません。私たちは、国民が何よりも求めていることは、消費税や社会保険料の負担軽減と、それに伴う可処分所得の増加だと考えています。
総理に伺います。
事業者支援を中心とするばらまき路線から脱却し、全ての国民に直接還元されるような形での支援に転換すべきではないでしょうか。消費税を八%に引き下げ、軽減税率を廃止するとともに、社会保険料を軽減することが、より実効性のある物価対策になり得ると考えますが、いかがでしょうか。お答えください。
自民党政権は、長らく、業界団体や霞が関との堅牢な鉄のトライアングルを築き、旧態依然とした規制と昭和の古い価値観を温存することで、我が国の成長を阻んできました。電波オークションの導入や農地の企業所有解禁といった岩盤規制の改革を断行しなければ、イノベーションも新しい産業も生まれず、日本経済は停滞から抜け出せません。
失われた三十年の元凶の象徴と言える事例が、ライドシェア解禁に対する政府の対応です。
今年四月、日本版ライドシェアなるものが導入されましたが、実態は、運行管理はタクシー事業者にしか認められず、時間や地域も限定され、名ばかりライドシェアと言わざるを得ません。権益を固守する政官業が、へ理屈と恣意的なデータを駆使し、できない理由を取り繕い、業界外からの新規参入をブロックしているからです。全面解禁による市場規模は一兆円を優に超えるとされているにもかかわらずです。また、来るべき大阪・関西万博の成功に向けても、ライドシェアの更なる解禁が切望をされています。
総理は自著「保守政治家」の中で、あらゆる改革について、既得権益を壊すために不人気な政策であっても断固としてやり抜かなくては日本の将来に禍根を残すことになると訴えていますが、所信表明では規制改革のキの字にも触れずじまいでした。
総理に伺います。
業界団体と役所の既得権益を守ることで、国民の利便性がないがしろにされていいのでしょうか。規制改革に本腰を入れて取り組む覚悟はないのでしょうか。移動の足の不足という社会課題を解決するためにも、大胆な規制改革によって新たな市場の創出や新しい働き方への転換を促すためにも、新規参入が可能なライドシェアの全面解禁を実現してしかるべきではないでしょうか。お答えください。
インフラ整備についても伺います。
石破総理は、リニア新幹線について、開業すれば東海道新幹線に輸送余力が生じると積極的なコメントをされ、高速交通インフラに強い関心があると拝察いたします。
翻って、東京と大阪をつなぐ北陸新幹線の整備事業では、空白となっている敦賀以西のルートについて、国土交通省は、当初想定した建設費が二倍以上の五兆円超まで膨らむと試算し、難工事のリスクから工期も最長約二十八年と当初の十五年から大幅に延びると見込んでいます。
総理に伺います。
現行の計画ルートの工事条件が不測の事態で大きく悪化した場合、より合理的、現実的なルートへの変更も検討する可能性はありますか。対象ルートが収支採算性や投資効果など着工五条件がクリアできないなら、五条件自体を見直すという声も与党から漏れ聞こえてきています。まさかゴールポストを強引に移動させるようなことはないと思いますが、所見を求めます。
国際情勢が流動化する中、核を持つ中国、北朝鮮、ロシアを隣に抱える日本の安全環境は日を追うごとに厳しさを増しています。力による台湾統一の野心を持つ中国の人民解放軍は、八月以降、日本周辺での威圧活動を先鋭化させています。情報収集機が領空侵犯したほか、測量艦が領海侵入し、空母が初めて接続水域を航行しました。日本が米国と安全保障面で連携を強化していることへの反発であることは間違いがありません。
総理に質問します。
日本有事に直結する台湾有事は、総理の総裁任期中の二〇二七年までに起きるとの観測が強まっています。御自身が戦時の宰相になり得る蓋然性が高いわけですが、その覚悟はありますか。その日を視野に、国家国民を守り抜くための万全な防衛体制をどのように、そしていかなるタイムスケジュールで敷いていくお考えでしょうか。
総理は、自著「保守政治家」で、台湾有事、即日本有事になる可能性は相当低いと指摘しています。理由は、中国が台湾を攻撃しても、日本を攻撃すれば同盟国の米国を敵に回すことになるからだそうです。
そのような政府最高指導者の甘い認識は、中国、そして日本国民への誤ったメッセージになりかねないのではないでしょうか。対中抑止力や国民の国防意識をそぐことになるとも懸念しますが、所見を求めます。
海上自衛隊の護衛艦「さざなみ」が先月二十五日、海自艦艇として台湾海峡を初めて通過しました。欧米の軍艦は、台湾海峡はどの国にも属さない国際水域として自由に航行していましたが、日本はこれまで、中国との間で緊張が高まることを避けるため、海自艦艇による航行を控えていました。指示をした岸田前総理の決断は、日本周辺で傍若無人に振る舞う中国を牽制する上で意義があり、対中抑止力に資するものとして評価をいたします。
今後も海自艦艇の台湾海峡航行を継続して行っていくべきだと考えますが、見解を伺います。また、これに限らず、中国、北朝鮮、ロシアの脅威に対して、日本は毅然とした行動や対抗措置を取っていくお考えはあるでしょうか。
総理は、自民党総裁選での政策集で、党是の憲法改正について、国会での議論を促進し、総理在任中の国会発議を実現すると掲げました。岸田前総理は、総裁任期中の憲法改正実現を重ねて公言されていましたが、結局果たせずに終わりました。与野党五会派で合意形成されつつある緊急事態条項創設や、防衛力の抜本的強化と表裏一体にある九条への自衛隊の明記などを軸に、改正案の取りまとめ作業に直ちに入るべきです。
総理にお尋ねいたします。
前総理が憲法改正を実現できなかった最大の要因は、自民党が常々、予算や重要法案の審議優先などをできない理由の口実として野党第一党と談合し、都合よく先送りし続けているからだと考えます。つまり、やる気がないだけで、成否は総理・総裁の決断次第です。このような現状を打開する覚悟はあるでしょうか。
総理が発議をするとした総理在任中とは、現総裁任期の三年以内にということでしょうか。総理在任中というなら、場合によっては発議の目標期限が総裁任期最長三期連続、すなわち九年先までずるずると先延ばしができます。三年以内に発議をするとはっきり言ってください。自民党総裁として答弁を求めます。
日本維新の会は改革政党です。結局は従来型の自民党手法そのものから抜け出ることのできない石破内閣に対して、もう一つの選択肢を示していきます。
先月、私は日本維新の会の外交ミッションとしてインドを訪れましたが、昭和四十年代の日本のように、国中にあふれる活気に驚きました。現地の人々が皆、暮らしがよくなっていく期待でわくわくする笑顔で輝いていたからです。
近く迎える総選挙で、私たちも、国民がわくわくできる社会を実現すべく、日本大改革の道筋を果敢に提案し、全力で戦い抜くことをお誓い申し上げ、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕