財務大臣兼金融担当大臣の加藤勝信でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本委員会の開催に当たり、一言御挨拶を申し上げます。
日本経済は、三十三年ぶりの高水準の賃上げ、名目百兆円超の設備投資、名目六百兆円超のGDPを実現するなど、前向きな動きが見られます。この好循環を後戻りさせることなく、デフレ脱却を確かなものとし、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現していく必要があります。
こうした経済の現状を踏まえ、先般閣議決定いたしました国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策を速やかに実行することで、日本経済、地方経済の成長、物価高の克服、国民の安心、安全の確保に万全を期してまいります。また、その裏づけとなる補正予算を提出し、御審議をお願いいたしております。
令和七年度予算については、経済財政運営と改革の基本方針二〇二四を踏まえ、経済あっての財政との考えの下で、持続可能な成長の実現に向けた経済構造の強化を進め、日本経済を新たなステージへ移行させてまいります。こうした中で、経済、物価動向等に配慮しながら、これまでの歳出改革努力を継続してまいります。これらにより、力強く経済再生を進める中で、財政健全化も実現し、経済再生と財政健全化の両立を図ってまいります。
また、財政投融資計画については、日本経済、地方経済の成長のための取組等を加速させるために、必要な資金需要に的確に対応してまいります。あわせて、市場との緊密な対話に基づき、引き続き安定的な国債の発行に努めてまいります。
税制については、少子高齢化、グローバル化等の経済社会の構造変化に対応したあるべき税制の具体化に向け、包括的な検討を進めるとともに、再分配機能の向上等を図りつつ、公平かつ多様な働き方等に中立的な税制を構築し、経済成長を阻害しない安定的な税収基盤を確保するため、引き続き税体系全般の見直しを進めてまいります。また、税務行政においては、事業者の業務のデジタル化を促進することにより、税務を起点とした社会全体のDXを推進しつつ、納税者利便の向上や適正、公平な課税、徴収の実現を効率的、効果的に推進してまいります。
国外に目を向けますと、世界経済の安定を維持し、持続的な成長を実現するには、国際協調の推進が重要です。ウクライナ支援や対ロ制裁、グローバルサウスへの支援、サプライチェーンの強靱化等の取組を進めるとともに、国際金融機関の改革や途上国の債務問題、国際保健などの議論に貢献してまいります。
税関行政につきましては、入国者数と輸入申告件数が大きく増加する中、不正薬物や金の密輸入の摘発件数が高水準で推移しており、引き続き厳格な水際取締りと円滑な通関の両立に努めてまいります。また、軍事転用のおそれのある製品や技術の不正輸出等を防止すべく、輸出貨物の審査、調査の強化にも取り組んでまいります。
続いて、現下の金融情勢について申し述べます。
物価上昇や人手不足、後継者不足への対応等、地域の事業者が抱える経営課題が多様化する中、金融機関に対し、金融仲介機能を十分に発揮し、付加価値の高い支援を提供するとともに、自らの収益基盤を強化し、持続可能なビジネスモデルの確保に向けて取り組むことを促します。さらに、国内外の金融経済情勢の動向を注視し、金融機関のリスク管理の高度化を促すとともに、法令等の遵守の徹底や顧客本位の業務運営の定着、底上げに取り組み、保険市場の信頼の回復を含め、金融システムの安定や信頼の確保に努めてまいります。
次に、貯蓄から投資への流れを着実なものとし、国民の資産形成を後押しする資産運用立国の政策を推進してまいります。具体的には、NISAの適切な活用促進も含め、金融経済教育推進機構等と連携した金融経済教育の充実に向けた取組を進めるとともに、スチュワードシップ・コードの改定等のコーポレートガバナンス改革の推進、国内外からの新規参入と競争の促進等の資産運用業の改革やアセットオーナーシップの改革に取り組んでまいります。また、こうした取組を含め、我が国市場の魅力を国内外へ積極的に発信してまいります。
さらに、社会的課題の解決と持続的な成長に向けて、サステーナビリティー情報の開示の在り方の検討、インパクト投資の普及、浸透等、サステーナブルファイナンスの更なる推進を図ってまいります。加えて、決済サービスの規制の在り方に係る検討等、デジタル技術を用いた金融サービスの健全な発展に向けた環境整備を行ってまいります。
今後とも、皆様のお力添えを得て、政策運営に最善を尽くしてまいる所存であります。その際、働き方改革を含め、職員が誇りを持って働ける環境づくりにも取り組んでまいります。
井林委員長を始め委員各位におかれましては、御理解と御協力をお願い申し上げます。