私は、日本共産党を代表して、二〇二四年度補正予算案につき撤回のうえ編成替えを求める動議について、提案理由及び概要を説明します。
今、補正予算に求められているのは、能登半島地震、豪雨災害による被災者支援と地域再建支援であり、物価高騰対策を抜本的に強化することです。一方、政府提出の二〇二四年度補正予算案は、補正予算の編成を予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出に限っている財政法第二十九条等の規定から逸脱する経費を多く計上しており、組替えが必要です。
次に、編成替えの内容について、主な点を説明します。
第一に、能登半島地震、豪雨災害により被災された方々への対応を抜本的に強化します。
現地では、被災者支援と地域再建に対する国の自治体任せのやり方が新たな困難を引き起こし、深刻な人口流出や直接死を上回る関連死を生じさせています。そのため、緊急に、被災された方々の医療費、介護保険料等の一部負担の減免措置を強化し、特別養護老人ホームを始めとする介護施設への広域避難の入所者の処遇を速やかに改善すること、奥能登地域へのアクセス道路や生活道路の早期通行確保、敷地内を含む上下水道の開通を図ること、必要とされる被災者支援を確実に届け切るために、関係地方公共団体の体制を強化すること、被災者生活再建支援法等の支援金額や対象などの支援の在り方を抜本的に強化することが必要です。
第二に、学費値上げをやめることです。
国立大学が今年度の新たな値上げ計画を中止又は回避できるよう、国立大学に約百億円の緊急助成を行います。また、私立大学、公立大学、専門学校も、国立大学と同じ基準で同額の緊急助成を行います。
第三に、ケア労働者等の賃金を全産業並みに引き上げるため、介護保険の国庫負担増を行い、国費による介護、福祉職員の賃上げ助成を進めます。同時に、訪問介護の基本報酬を速やかに元に戻し、既に減額された分を補填する措置を取ります。全ての医療従事者を対象とする全額公費による賃上げを行います。保育士の賃上げも行い、保育園職員配置基準の引上げ、常勤職員の増員を進めます。
第四に、物価高騰による食材値上げへの対応を進めます。
学校給食の無償化を完全実施するため、政府が恒久的な財源措置を取ること、介護、福祉、保育園などの各施設の給食費を支援し、値上げを抑えることが必要です。
第五に、削減する予算です。
二〇二四年度補正予算案には、八千二百六十八億円もの軍事費を計上しています。イージスシステム搭載艦や「もがみ」型護衛艦、哨戒ヘリ、各種弾薬の確保など、次年度以降の歳出化経費の前倒しは、財政法二十九条に真っ向から反し、認められません。
また、沖縄県民の民意を踏みにじる辺野古新基地建設、種子島住民の住環境を悪化させる米軍艦載機の夜間発着訓練のための馬毛島基地建設費、陸自オスプレイ移駐、配備のための佐賀駐屯地の整備など、基地強化予算を削除します。
AI・半導体産業基盤強化フレームに一兆三千億円もの巨額の資金をつぎ込んでいます。半導体企業ラピダス等への支援予算、宇宙戦略基金の拡充など、特定の大企業を支援する予算は認められません。
大阪・関西万博に関する経費、重要土地調査法に基づく土地等利用状況調査の経費を削除します。
以上、編成替えの内容は、お手元配付の文書のとおりであります。
委員各位の御賛同をお願いし、趣旨説明といたします。