今、総理はとても重要なことをおっしゃったと思うんです。労働分配率は大企業と中小企業で全く違うわけです。中小企業ですと七割から八割いってしまいます。ですから、とにかく業績が上がらない限りは賃金に回らないわけですね。大企業は五〇%ぐらいです。ですから、大企業の場合は、新しい投資をして、更に業績を増やしながら賃上げをする、こういう流れをつくっていかなきゃいけないと思います。
それから、私たちは今回、賃金と所得を増やすというふうにこだわって言葉をここに書いてあります。所得というのは何だというと、賃金は給料ですね、所得というのは、年金だとかその他の所得、そういったものを私たちはイメージをしているわけです。
ですから、今回のことで給与所得者の賃金を、給与を増やしていくことと併せて、全体の経済が上回っていけば年金も上がるわけですよ。それから、女性や高齢者の皆さんが働きやすい環境をつくることによって、もっとそれぞれの所得を増やしていく、こういう工夫をしなければいけない。そのことが今回の対策の中には織り込まれています。
三号保険の問題も、私は思い切って改革すべきだと思うし、在職老齢も、これから高齢者がますます活躍する、希望する方々はどんな世代であっても、どこにおいても仕事ができる、そういう社会をつくること、これが世の中全体の経済をつくっていくことだと思います。
次に、やはり大事なことは価格転嫁、これをどう実現させるかなんですが、今のところ、現状で賃上げを行った中小企業のうちで六割は防衛的賃上げだ、これは商工会議所の調査で明らかになりました。業績の改善が見られないが、人手の確保のために防衛的に賃上げをしている、これがまだ六割なんです。ですから、業績改善をもっとやらなければいけない。
私は、経済再生、赤澤さんと一緒のやつと併せて新しい資本主義の担当大臣もやらせていただきましたけれども、賃上げと価格転嫁を徹底させる、それには、中小企業の団体の皆さんにお集まりいただいて、下請の実態を、大手からどういう連絡が来ているのか実態を教えてください、そういうヒアリングをやりました。そして、経済財政諮問会議に報告するとともに、これを官邸に、総理と一緒に、大企業の、大手トップの方に集まっていただいて、どうやって本当に裾野まで、全国先端まで価格転嫁を達成させるか、こういうことをやってきたんです。公取と一緒に価格転嫁のためのガイドラインも作りましたし、交渉のためのシートも公取のクレジット入りで作りました。是非これは使ってもらいたいと思いますけれども。
そういう中で、今年の春先では、世の中を挙げて賃上げだ、転嫁と言っているけれども、実際の中小企業には全く下りてきていない、事もあろうに、この期に及んでもまだもっと下げられないのかという声だって出ていたんです。
これは思い切って私たちはやってきました。結果として、夏前ぐらいから随分交渉がやりやすくなってきた、それから、ある業界では、見積りを出すときに価格転嫁も入れてどうぞお出しくださいという通知まで来るようになってきた、そういうことなんです。もう一歩だ、このように思うんです。
そして、価格転嫁は、ですから下請法の運用改善をしたんですけれども、この法律の改正だって必要だと思いますが、具体的に一個ずつ着々とやっていかなきゃいけないと思うんですが、これを担当する武藤経済産業大臣、どういう具体的な取組をしているのか。それから、約束手形のこともあるね。手形経済というのは一体世界でどこでやっているんだ、そういうことなんですけれども、そういったことを含めて、価格転嫁の取組、具体的なことを教えていただきたいと思います。