ありがとうございます。
そうやって対外的な資源に依存しなくていい国づくりをお願いしたいと思っています。
先ほど総理が先取りして答弁されましたけれども、円安を是正するときに必要なのは、いろいろな要素がありますけれども、その一つは、日米金利差を埋めること、日本側から見れば、金利を上げることであります。
その議論に移っていきたいんですけれども、その前に一点、衝撃的なデータがありますので、それをちょっと示してみたいと思います。
パネルでいうと三番目になりますけれども、これは、対外直接投資残高と民間設備投資の推移を表した図であります。一般的には、円安が進むと輸出企業が好調になって、よく言われるトリクルダウンが起こって、そして、国内で輸出企業がフル稼働していく、国内設備投資も増えそうなイメージがあります。ただ、このグラフは衝撃的です。第二次安倍晋三内閣が成立して以来の二〇一二年から、見てください、対外直接投資が、これまでの間、八・五倍にも増えている、一方、国内設備投資はほとんど横ばいであります。
これは今までの常識を本当に覆すようなデータでありまして、私は、これを示すことによって、今まで、ともすれば、日本というのは貿易立国、特に輸出を中心に国益を実現していくというイメージがあって、そして、輸出産業が栄えるためには円安が国益だというイメージが強く、多くの国民に共有されていたと思いますけれども、もうそういう時代ではなくなったと思っています。
次のパネル、順番的には三番になっていますけれども、これは、円・ドル為替相場対応を例にした、私に言わせると、自民党は業界を中心に考える、優先する政党だと私は思っていますし、私自身は、生活者を主役にした、優先した政治に変えなければならないと思っていますけれども、ここに、円安の場合、円高の場合のメリット、デメリットというのを私なりに整理して書いております。
例えば、分かりやすい例でいいますと、業界主権政治は円安志向と書いた一番下の8)。円安によって、今、日本で何が起こっているのか。中国を中心とした海外の富裕層は、マンションの物件を一度も訪ねることなく、ネットだけで、これは安いと思って、さっと買ってしまう。日本の不動産会社もそれに対応して、そういう富裕層をある程度ターゲットにして売っている。海外の富裕層は、こんな円安ですから、三割引きセール、五割引きセールと、もう目をつぶって買っていますけれども、結果として、日本人が好立地のマンションは高ねの花になってしまっている。
だから、円安というのは、元々は日本を潤すはずであったのが、日本人の生活を苦しめている結果になっている。
一方、今度は、生活者主権の政治は円高志向と書いてありますけれども、多くの会社、業界に当たりますと、二言目には人手不足、人手不足ですね。そのときに、もちろん、老若男女を総動員することも大事ですけれども、有能な外国人にも来てもらわなきゃいけない。ところが、今みたいに円がこれだけ価値が低いと、日本に働きに来るインセンティブが全くないわけですよ。そういう意味で、円高にすることが、人手不足も、ある意味では、外国人に来てもらうという意味でも、非常に役立つことになる。
何よりも、円高になれば、この一番上に書いていますけれども、皆さんが苦しんでいるまさに物価高の多くを占める電気、ガス、こういった料金をぐっと下げることになります。
そういう意味で、かつての我々の、ある意味では、円安が国益という時代ではなくなっている。かえって円高の方が、特に、生活者を潤す、生活者の物価高にあえぐ状態から解放する、生活者の可処分所得を増やす、こういう観点からいけば、円高の方が実は国益に資する時代になっている、日本の構造になっている、私はこのように思っております。
円高というのは、先ほど言いましたように、日米金利差を埋める、それだけではありませんけれども、それは一つの有効手段になります。
私が一点提案したいのは、今、日本には、実は二千百二十一兆円もの家計金融資産があります。そのうち、実は現預金が千百十三兆円もあります。そして、実は国内金融資産の六三・五%を六十代以上の家計が所有しています。もちろん、高齢者の中には、俺はそんなに持っていないよという方もいらっしゃるかもしれませんけれども、平均でいいますと、二〇一九年の統計で二千二百万円の金融資産があります。
仮の話ですよ、仮にこれに三%の金利がついたとします、二千万円に。そうしたら、年間六十万円の、税引き前でありますけれども、金利収入が、金融資産をお持ちの高齢者に生まれることになります。月々五万円です。今、年金を上げろ、一万円でも上げろ、二万円でも上げろといったら大変なことでありますけれども、今言った金利が上がれば、それだけ金融資産をお持ちの高齢者が、事実上年金が上がるのと同じ効果がある。
そして、もう一点大事なことは、今、金融収益には分離課税が二〇%かかります。私は、この分離課税の一部又は全部を、今言ったように、そんなに金融資産を持っていない高齢者への生活支援に充てる。持てる高齢者は金利収入が増える、そして、元々税で持っていかれるその税の一部、全部を、持たざる高齢者の年金を事実上上げるような支援に充てる。こうすると、借金をしてやるのではありませんから、将来世代にも現役世代にも負担をかけることなく高齢者の可処分所得を増やすことにつながる。これが、ひいては個人消費の拡大につながり、日本のGDP、個人消費がエンジンとなってGDPを上げることになると思いますが、この考え方について、石破総理の答弁を求めます。