これは御提案なんですけれども、余りにもお願いする方々の善意に頼っていることが問題だと思っているんですね。
金を払ってください。費用をかけていないんですね。ほとんどの中小企業が必ずつき合っているところ、金融機関、税理士、間違いありません。けれども、例えば税理士に対しては、確定申告の費用は払っても、サービスに対する費用までは払わないところがほとんどです。地域金融機関は、補助金なんかもらっちゃったら、ローンを出せなくなっちゃうんですね。お金を払って、業務として多くの企業にそういう選択肢を示すようなことも是非お願いしたいと思います。
次に、最低賃金につきまして、賃金上昇をつかさどる、担当の赤澤大臣に質問させてください。
二〇三〇年までに全国平均千五百円、野心的な目標を掲げていらっしゃいますけれども、必ず実現していただきたいと思います。賃金を決めるのは経営者なんですね、私たちが決められるわけではありません。けれども、政治が関わることができる唯一の賃金が最低賃金です。
私は、最低賃金の目的というのは、もちろん、最も安い時給で働いている方々の所得を向上させる、一義的な目標ですけれども、最低賃金が上がれば、それよりももうちょっと高い給料の方々も、当然、相関係数は下がりますけれども、上がっていきます。給料二十万円の人を二十五万円、二十五万円の人を二十八万円にするために、政策手段として最低賃金を持続可能な形で上げていく、そういう時代に入ってきたというふうに思っています。
私自身、ずっと最低賃金を上げることに取り組んできました。中小企業を回ったときにいつもこの話をすると、初めは、社長から、岡本さん、うちを潰したいのか、これ以上人件費が上がってどうやってやっていくんだとよく言われました。そのたびに私は、社長、逆です、逆、これだけ人手不足の時代に、最低賃金も払えなくなって、新しい社員の人が来るわけないじゃないですか、おたくを守りたいんです、だから、どうやったら賃金を上げていけるか一緒に考えましょうと言って取り組んできました。
実は、マクロ的には、最低賃金千五百円というのは十分実現可能です。昨年の中小企業の経常利益、二十五兆四千億円、前年比一一%上がっています。内部留保も上がっていまして、過去最高、中小企業で二百六兆円あるんですね。
最低賃金で働いていると言われる方は、全国に約四百万人いらっしゃいます。今の平均が千五百円になると、年間で九十万円の賃金上昇ですから、九十万円が四百万人で、三兆六千億円です。経常で二十五兆あるわけですから、物理的には三・六兆円というのは十分可能なんですが、ただ、いろいろな中小企業がいらっしゃいます。全くここに対応できないような現状のところもあるので、最低賃金を上げるには、同時に、その企業が確実に実現できるための、企業が利益を上げるような施策をどのようにしていくかということが大切でありまして、この千五百円というのを絵に描いた餅、頑張ります目標ではなくて、確実に実現をして、そして、その企業の賃金アップがそのまま、経済を好循環とし、その企業の利益に跳ね返ってくるような。
現在は、この決定プロセスの中で、賃金、物価、支払い能力の三要素になっていますけれども、私はビジョンが必要だと思っているんですね。千五百円になった後、例えば、千五百円のときに物すごくインフレが進んでいたら千五百円の持っている重みは低くなります。インフレだったら反対です。千五百円を仮に達成したとしても、次の目標も必要です。
例えば、ヨーロッパは、全ての働く人の平均の賃金の五〇%は最低賃金の水準にしていこうとか、ただ、物すごい稼いでいる人がいるので、平均賃金だとバイアスがかかりますので、中央値、百人いたら五十一番目の人の六〇%の給料がもらえるぐらいの最低賃金にしていこうとか、ビジョンがあって数字を決めているんですね。
どういうふうな最低賃金のビジョンを持つか、そして、千五百円を確実に実現するためにどういうアクションプランを取っていくおつもりなのか、教えてください。