私は、ただいま可決されました情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、立憲民主・社民・無所属、公明党、日本維新の会及び国民民主党・新緑風会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずるべきである。
一 ガバメントクラウドが海外のクラウドサービス提供事業者に依存することによるデータ主権及び経済安全保障の観点からの懸念を踏まえ、国内のクラウドサービス提供事業者を育成するための方策を早急に講ずること。また、行政機関等に対して、国内のクラウドサービス提供事業者も含めた各社のクラウドサービスの特徴を情報提供するなど、利用機会の拡大に向けた措置を講ずること。
二 ガバメントクラウドに保管されたデータについて、漏えいや不適切な利用が生じることがないよう万全の措置を講ずること。また、外国政府からのデータ開示要請等の可能性があることを踏まえ、データの暗号化等及び主権免除の適用等の措置を講ずるとともに、我が国の主権及び国民の権利利益の侵害を防止できるよう、クラウドサービス提供事業者との間で必要な対応を行い、併せて外国政府との間で必要な対応を行うこと。
三 政府情報システム及び地方公共団体情報システムのガバメントクラウドへの移行に際しては、いわゆるベンダーロックインやクラウドロックインを回避できるよう、データの移行性及び導入プロセスの透明性を十分に担保するために必要な措置を講ずること。
四 ガバメントクラウドの調達に当たり、為替変動による地方公共団体等の予算計上に係る業務負担や財政負担が過多とならないよう必要な措置を講ずること。特に、クラウドサービス提供事業者と実効性ある交渉を行い、円建てによる支払の実現を目指すこと。
五 標準準拠システムへの移行については、移行困難システムを有する地方公共団体が一定数存在する現状を踏まえ、地方公共団体等との十分な調整を行い、各地方公共団体の状況に応じて、令和七年度以降も必要な移行期間を確保できるよう柔軟に対応すること。また、移行期限までの移行が困難な地方公共団体に切れ目のない財政支援を行うため、デジタル基盤改革支援基金の設置期限延長に必要な措置を講ずること。
六 標準化対象事務に関する情報システムの運用経費等について、為替レート、物価高、人件費等の他律的な要因も加味した上で、標準準拠システムへの移行完了後に、平成三十年度比で少なくとも三割削減する目標を達成するため、ガバメントクラウドの利用料を含めた運用経費等の低廉化を図るための継続的な検討を行うなど必要な措置を講ずること。また、国以外の行政機関等に対する情報の提供その他の必要な措置を行うに当たっては、直ちにガバメントクラウドに移行しない場合でも、将来のシステム更新時等に、改めてガバメントクラウドの利用を検討できるよう助言するなど伴走型支援を適切に行うこと。
七 地方公共団体の情報システムの標準化及びガバメントクラウドへの移行に当たって、地方公共団体におけるデジタル人材の確保のために必要な支援を行うとともに、標準準拠システムへの移行準備経費及びシステム移行経費に加えて、移行完了後の運用経費等についても、必要かつ十分な財政措置を講ずること。
八 地方公共団体の情報システムのガバメントクラウドへの移行については、地方自治の本旨に基づいて、地方公共団体の意見を最大限尊重するとともに、地方公共団体の規模、権能及び地域特性並びに運用されている情報システム等の個々の状況を踏まえて柔軟に対応すること。特に、基幹業務システム以外の情報システムの移行については、地方公共団体の自主的な検討に委ねることを原則としつつ、移行を希望する地方公共団体に対し、適切な伴走型支援を行うこと。
九 ガバメントクラウドを利用したEBPMの実現に資するよう、データ要件・連携要件の標準仕様について、将来的に適切な見直しを行うこと。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。