まず、事実関係から少し御説明をさせていただきたいと思います。
令和四年、一年前ですけれども、このときの生産量は六百七十万トンでした。そして、令和五年の作況は一〇一で生産量は六百六十一万トンですから、まず供給量が減ったと。まあ九万トンは減っていますが、大体統計的には毎年十万トンずつ消費が減ると。まあ最近減っていない傾向もありますけれども、インバウンド等があってですね。しかし、そんなにその供給量が減ったという事実はまずない。それから、民間の在庫も五年の六月末現在で百九十七万トンありましたから、民間在庫と供給量、生産量も合わせても米が足りなかったという状況にはまずなかったんですよ。
ところが、先生もよく御存じのように、ちょうど八月の端境期のときに南海トラフ地震の臨時情報が流れました。これは大変な、私、宮崎ですから大変びびりましたけれども、これが出て、消費者の方々は、やはり生活を守らなきゃいけない、これは大変だと、主食である米をやっぱり手元に置いておきたいという気持ちが働いて、購買量がその週から一気に店頭で一・五倍に伸びました。急にですね、一・五倍というとんでもない数ですけれども、そして店頭から米が消えてしまいました。それが報道されて、それを見て、ますます消費者の方々がこれはまた大変だということで買われたということであります。
しかし、スーパーの方々は基本的にスポットで米を買っています。中食とか外食の方々は通年契約で米を買う契約をしていますから、こんなに供給不足には陥りませんでした。しかし、スーパーの方々はスポットですから、卸の方々にもっと米を持ってきてくれと言っても、米は、御存じのように、現場にあるわけじゃなくて玄米で遠くにありますから、これ持ってこなきゃいけない。で、精米するにしても、その精米所を確保しなきゃいけない、そのコストも掛かる。急に運べば、陸運、いわゆるフードマイレージも余計に掛かるということで店頭価格も上がってしまったというのが今回の一つのことでありまして、そして、新米が出た後も非常にやっぱり集荷競争が大変激しくなりまして、店頭価格が高いのであれば、やっぱり問屋の方々も、ああ、やっぱり今買っておけばもうかるかなという気持ちもあったのかもしれません。
そういうことで、今回このような騒動が起きたことは、全く責任がないとは私言いません、農林省にですね。消費者が悪いと言っているんじゃありません、農林水産省は消費者の方々に安定的に食料を供給する責任も負っておりますので。
しかし一方では、生産者の方々から見れば、ずっとこの三年間、生産コストは上がり続けてきました。今の米価であれば営農を続けられると、やっと一息ついたという声もあるんですよ。
ですから、私は、両方のバランスを取らなきゃいけないので、生産者と消費者の方々が納得のいける価格形成がより必要になったなと思っています。ですから、来年の通常国会に合理的な価格形成ができるような法律を出していきたいと思っています。
そして、この機会にちょっと余計なことを申しますが、米はですね、消費者の方々に聞いてほしいんですけれども、大体、買って、精米している米は、おいしく食べられるのは一か月ですから、食品庫に山のようにお米を積んでおいても三か月もすると傷んでしまいますので、是非、米は、生産量も在庫も、今も百五十四万トンぐらい在庫はありますから心配要りませんので、このような事態がまた起こったとしても、慌てて買わないようにしていただけると農林水産省としては大変有り難いなと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。