立憲民主党のおおたけりえでございます。
今日は初質問させていただきます。先ほど総務委員会で初質問。初質問、二回目でございますが、しっかり頑張ってまいりたいと思います。
本日は、さきの大臣所信表明で、赤澤大臣から、物価上昇を上回る賃金上昇を普及、定着させるため、価格転嫁等の取引適正化に言及されておりましたので、中小企業の賃上げに向けた取組について取り上げさせていただきたいと思っております。
昨今の物価上昇により、私たちの可処分所得がどんどん目減りしていることを日々実感をいたしております。スーパーで食材を購入する際、これまでと同様に購入したつもりであっても月の食費がどんどん増えていたり、外食に行きたくても、ランチは値上げされ、数百円では食べられない状況であったりで、節約に心がけている御家庭が増えているように感じますので、賃金上昇に向けてしっかり取り組んでいかなければならないと認識をいたしております。
ここで、賃上げに必要な要素であります価格転嫁の取組について、現場で起こっている事例を少し御紹介をさせていただきます。
あるA社では、最低賃金レベルの賃上げしかできなかったことが引き金でどんどん社員が辞めてしまっており、経営が立ち行かなくなっている状況です。あるB社では、賃上げができないために、正社員を雇わず、パートタイム雇用などに転換して乗り切ろうとしています。しかし、これでは、技能の減少や人材育成がしにくい状況となり、企業の発展に支障が出てまいります。あるC社では、商品の値上げをしたら、ほかのメーカーの同様の製品よりも高くなってしまったので売れなくなり、結局値下げせざるを得なくなり、賃上げができなくなってしまいました。他の同様製品も値上げしてくれないと、このような状況が起こります。
増収増益を発表している企業では、上手に価格転嫁に取り組んでおられます。オンリーワンの物づくりをしているなど、コストを価格転嫁しても客離れが起きにくい価格決定力のある企業は取り組みやすいですが、取引先との板挟みになっている中小企業、小規模事業者では、生産性の向上を常に求められており、製品への価格転嫁を提案すると次から取引をしてもらえないのではないかという不安から、価格転嫁できていない例が散見されます。また、農業者についても、市場で価格が決定され、同様のことが言えると思います。
企業情報データベースを保有する帝国データバンクは、価格転嫁できず倒産してしまう企業も出てきていることから、人手不足で採用意向があっても、賃上げできずに大企業に条件で負ける場合が多く、中小企業の価格転嫁を支援する制度の強化が必要だと指摘をされております。
このまま中小企業、小規模事業者の価格転嫁を促さずにいますと、賃金格差がどんどん開いていくこととなり、行く行く社会的に更なる大きな問題となっていきます。
現在、国では、適正な取引を推進し、中小企業、小規模事業者の賃上げと稼ぐ力を高めるため、賃上げ税制の拡充、公正取引委員会の監視、取締り強化、下請法による規制、賃上げの原資になる公定価格の引上げなどを行い、価格交渉の推進を後押しするよう取り組んでおられます。
これらの取組の中でも、令和五年十一月二十九日に発表された労務費の適正な転嫁のための価格交渉に関する指針は、発注者として取るべき行動や受注者として求められる行動、双方に求められる行動が示されており、大変有意義な指針であると考えております。この指針の内容について、企業にしっかり理解していただくことが必要だと考えますが、まだまだ知られていないのが現状でございます。
そこで、労務費の適正な価格転嫁のための価格交渉に関する指針、この周知がまだまだ足りないと思いますが、どのように取り組まれるのか、伺います。