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2024-12-10
第216回国会(臨時会) 衆議院 予算委員会 第3号 発言No.281全文を見る委員にお答えさせていただきます。
やはり学校給食費に係る保護者負担の軽減はまさに喫緊の課題でございまして、補正予算について、今回の重点支援地方交付金で〇・六兆円でございます。
そうした中で、地域の実情というのがございまして、先ほどおっしゃってくださった、実は、地域によっては、実施、既に給食の無償化をしているところとしていないところがございます。
そういう中にありまして、経済困窮世帯におきましては基本的に無償という形で、児童生徒の約一四%が適用されているところでございまして、これは、各自治体によって御判断されるというふうに私どもは考えておりまして、地域の実情に応じていくということが重要であるということ。
さらには、この無償化を全てということのお話でございますが、全体の三割、先ほど委員がおっしゃってくだすった五百四十七自治体におきまして、小学校段階、中学校段階の全員を対象にしているところもある中にございまして、実は、給食を未実施としているところ、さらには喫食しない児童生徒への恩恵が及ばない、実はこの対象者は六十一万人ございまして、そういうことも考えたときに、低所得世帯の児童生徒に対しては既に無償化されているという問題と、給食費に係る就学援助に関する、いわゆる三位一体改革で、先ほどおっしゃってくださった税源移譲と一般財源化、国と地方の役割分担をどうしていくか、さらには、少子化対策としてこの政策の効果がいかにあるかということも含めて、この在り方を、いわゆる法制面でしっかり、年末を目途に課題を整理してまいります。
2024-12-10
第216回国会(臨時会) 衆議院 予算委員会 第3号 発言No.280全文を見る総理、こういうのをやってほしいんですよね。使われない補正、交付金とかじゃなくて、きちんと政策論でやりましょうよ。それが私は石破総理だと思いますよ。
最後にもう一点、給食費の問題。
これは石破さんの公約ですけれども、いっぱいいいことが書いてあるんですよ。いっぱいいいことがある、細かくて読み切れないくらい書いてあるんだけれども、給食費の無償化もちゃんと書いてあったりしてですね。
文科大臣に伺いたいんですが、昨日、総理が答弁で、年内に課題、これは給食費無償化の実現に向けた調査ですから、その課題の整理を年内に終えると言っておられるわけです。文科省としてはどうなんですかね。これは、今、地方創生臨時交付金だから補正なんですよ。補正でやった場合に、給食費のパネルを御覧いただくと、完全無償化の団体が五百四十七、それから臨時交付金を使っているのが二百三十三あるんですが、これは、補正だといつ取りやめになるか分からないので、文科省としてきちんと当初予算で要求をして、給食費の無償化を実現していくべきだと思いますが、どうでしょうか。
時間がないのでまとめて聞きますが、もう一つは、このときによく公平性の問題というのが出ますが、行政需要があって、これだけ多く、五百以上の、三分の一近い団体の中で無償化が行われているわけです、逆に、無償化がないところは不公平じゃないですか。だから、地方創生というなら、全国あまねくきちんと給食費の無償化をすべき、財政力のある東京とか都市部だけじゃなくて、全国あまねくきちんと措置すべきだと思いますが、大臣として、給食費無償化、しっかり来年度予算できちんと取り組むかどうか、実現に向けて取り組むかどうかを伺いたいと思います。
2024-12-10
第216回国会(臨時会) 衆議院 予算委員会 第3号 発言No.93全文を見るじゃ、最後、ここはコメントにさせていただきますが、総理、我々は、自治体で取組がいろいろ行われている学校給食の無償化なんですが、自治体によってやったりやらなかったり、こういう差があるんですよ。そして、別に財政力が著しく弱いところだけがやっていないわけではない。比較的、中核市ぐらいの、そういうところは、人も多い、お金もかかる、こういうことでやれない。しかし、生まれた場所によって、教育を受ける環境によってそういった差が出ることが、国として責任を持って埋めていかなきゃいけない課題なのではないか、是非やらなきゃいけないことなんだと我々は明確に意思を表示しております。総理も是非ともそのような意思を持って進めていただきたいと思います。
午前中、終わります。
2024-12-10
第216回国会(臨時会) 衆議院 予算委員会 第3号 発言No.91全文を見る訪問介護の事業者の倒産件数、過去最多となっておりますよ、今年。そのような状況を直視していただきたいと思います。
そして、我々は法案を提出する準備をしております。介護士、保育士の処遇改善と書いておりますが、訪問介護の基本報酬を元に戻す、このような法案を準備しておりまして、野党まとまって提出することができればということを目指しております。
じゃ、午前中最後の質問になります。
学校給食無償化、これは昨日の本会議場で酒井なつみ議員からも質問がありました。石破総理も総裁選では随分前向きに考えておられたというふうに仄聞いたしておりますが、これは昨日の答弁の中でもいろいろおっしゃっていましたね。実態調査をやって課題が浮かんだ、喫食しない児童との公平性がどうだとか、財源がどう、少子化対策への政策効果がどう、学校給食法の法制的な問題がどうというふうにおっしゃっていましたが、結局どうしたいんですか、石破総理。やるんですか、やらないんですか、どういうつもりなんですか。そこをお答えください。
2024-12-10
第216回国会(臨時会) 衆議院 予算委員会 第3号 発言No.63全文を見るありがとうございます。
最後におっしゃった見える化も含めて、こちらは表にさせていただいているんですけれども、余りこれは自治体に対してはそんなにオープンにはお示ししていなかったと思いますし、各市民の方に、えっ、何か隣の県では実はたくさんもらえて、うちはもらえていないのなんという、見える化が余り進んでいなかったところでありますが、是非そこを見える化していただいて、改善を期待はしたいと思います。
ただ、やはり完全には改善をしないときは、この妊婦健診だけじゃない、たくさんほかにもこういう事業はあるんですね。大臣や委員の御地元でも、やはり各自治体間の格差で非常に困っているんだという話はたくさんあろうかと思います。石破総理が掲げる地方創生の中で、是非二階建ての発想で、一階建てのいわゆる国家として保障すべき部分、例えば医療や介護や福祉という最低限のところはきちんと国家として担保していく。そして、二階建ての部分の地方、それぞれ創意工夫がなされるところについてはしっかりと対応していく。それをまるっと地方創生交付金などでも後押しをしていくような、そういう施策を是非推進していけるように、地方分権の検証も含めて、是非改めてお願いを申し上げたいと思っております。
続きまして、子供政策の関係をもう一つ、あべ文科大臣に。
子育て世代のやはりナンバーワンの負担は、大学等の奨学金でございます、子育て世代の方、私も今子供は高校生と申し上げましたけれども、やはり大学のことを考えると気が重いですよね。非常にやはりお金がかかってしまう。
そういう中で、昨年からずっと奨学金の拡充を進めていただき、そして、様々奨学金の拡充を進めていただく中で、もちろん、まだ道半ばであろうかと思います。今回、今年の四月から始まったことでは、例えば、第三子、三人目までのお子さんがいる御家庭では、給付型の奨学金の拡充をされたり、また、貸与型の奨学金、授業料やそして入学金の減免の拡大などをしております。
なかなか財源が厳しい折、できることというのは若干限られてしまった部分はあるかとは思いますが、対応されていることはされているんですけれども、一点、私は、非常に、これは教育政策や社会保障と共通してなんですけれども、結構頑張って政策をつくった割には、みんな知らない、複雑で分かりにくい、そういう課題が多くあろうかと思います。
この奨学金の拡充も、かなりいろいろな給付のメニューを今回つくってはいるんですけれども、私も地元で、筑波大学などがあって、学生さんと話すときに、それほどやはりみんな知らない。実際、これは文科省に調査の結果をもらいましたら、奨学金というのは、対象者の方の約三割が認知していません、使っていません。それはなぜかというと、やはりよく知らないとか、申込みのタイミングを逃したとか、将来返済できるか不安などの意見があります。
こちらにつきまして、やはりせっかくつくった支援でありますので、更に周知をしていただけるということを効果的に進めていただきたい。これは、様々やっているけれども、まだ課題があろうかと思います。是非その点で、あべ大臣の御見解を教えていただければと思います。
2024-12-10
第216回国会(臨時会) 衆議院 予算委員会 第3号 発言No.61全文を見るありがとうございます。
まず何よりも、現役世代の保険料の負担軽減を念頭に置きながら、おっしゃっていただいたように、低所得、所得の低い方への配慮も忘れずに、ただ、やはりこの改革自体は私は進めていただきたいと思っております。是非きめ細やかに、年末ですからもう余り日もありません、しっかりとまとめていただいて、大臣のリーダーシップを期待をしておるところでございます。
〔委員長退席、牧島委員長代理着席〕
続きまして、現役世代のまた負担軽減の中で、子供政策についてお尋ねをしたいと思います。
私は、常々、政策は、非常に財源がかかる、非常に調整が困難なことは時間がかかるかもしれませんが、すぐできること、調整を少しすればできることというのは是非是非取り組んでいただきたい、そういう姿勢で常に考えております。
その中で、フリップを御覧いただければと思います、子供政策、特に、石破総理がよくおっしゃる、地方でお母さんが少なくなる少母化というお話があります。私も、高校生の子供がいて、母の一人ですので、よく分かります。私の地元茨城でも非常に出生数が減って、非常に厳しい状況でございます。
そういう中で、では、どうやれば産み育てやすくなるのかということ。こちらはいろいろな論争もありますけれども、やはり国民の方がどう考えているかということは、各種世論調査やアンケートは非常に多くございます、それで明らかにやはり一番大きいのは、子供数を持てない理由は、経済的な理由、もう圧倒的、八〇パーです。その中で、じゃ、どんなことが負担なんですかということに関して言うと、一番は、肌感覚等もおありだと思います、やはり教育費ですね。教育費の負担が非常に大きい、大学等の奨学金、これはこの後にまた御質問いたします。
その次に、妊娠、出産に伴う医療費の補助。妊娠、出産、あっ、そこなのと思われる方は、多く、男性の方もいらっしゃるかと思いますが、これは結構負担なんですね。
実は、今、妊娠、出産をされるときに、平均的に、大体お一人、普通分娩、普通に出産するときに六十万とか、高いところ、東京では百万とか、えっ、そんなにかかるのという感じですけれども、本当にかかるんですね。それはやはり子供さんが少なくなっているから、病院も経営です、私も一応医師なので経営も分かりますが、やはりお客さんが減っているわけですから、ある程度負担を妊婦さんにお願いをしないとなかなか採算が取れないということはあります。ただ、しっかりこれを負担軽減をしていくということは非常に重要な視点であり、それは病院の経営にも配慮しながらですね。
実は、ホップ、ステップ、ジャンプで様々な改革が進んでおります。まず、三原大臣、こども担当大臣でいらっしゃいます。不妊治療の保険適用は、三原大臣が大臣におなりになる前に、大きなリーダーシップの下に成し遂げられたことであります。私もそこに実は非常にインスパイアといいますか刺激を受けまして、不妊治療の次には出産の保険適用をやり遂げたいと思い、出産の保険適用に取り組んで、そして、約二年後に出産は保険適用する方向ということが出ております。自己負担についても配慮をして、なるべく自己負担がかからない形、そして病院の経営にも配慮するということで対応させていただく予定になっております。
ただ、残された課題は、不妊治療、出産、その後、皆さんが通過する妊娠、出産のイベントは何でしょうというと、妊婦健診です。この妊婦健診がなかなかまだ課題でありまして、大体お一人当たり、妊婦健診は一人十二万円ほどいたします。
以前は、こちらは平成二十五年まで国庫補助事業で十二万円分を各自治体に、市区町村に国が国庫補助事業として対応しておりました。それが、平成二十六年度以降は地財措置、一般財源化をされて、三位一体改革の下、地方分権の中でされておりますが、これは地方分権あるあるなんですけれども、一般財源化された途端、地方の裁量ではあるんですけれども、やはり医療や介護やこういう子育ての政策は、あるあるなんですけれども、格差が出てしまいます。
このとおり、妊婦健診は、実際どうなっているかといいますと、元々十二万円出していたんですね。これがそのまま、その財源が地方に移譲されたわけなんですけれども、一番出していただいているのが、能登の被災でも苦しい中ではありますが、石川県、すばらしいです、十四万円。以前の国庫補助の額以上に出してくださっているんですね。
じゃ、逆に一番下はどこでしょうというと、大変恐縮なんですけれども、三原大臣の御地元の神奈川県が一番下で、約七万六千円ですね。これでも、神奈川県の名誉のために申し上げると、私が昔から結構言うものですから、少しずつ上げていただいたりはしているんですけれども、まだ結構大きな格差があるんですね。でも、明らかに都会の方が高いんですね、妊婦健診の費用は。だから、相当神奈川県のお母さん方は持ち出しをしているんです。
かなり私はやはり言われます。妊婦健診も何とかしてよというお声であります。これについて、是非、ずっとこども家庭庁さんは、総務省さんと連携をして、各自治体に一般財源化してもちゃんと出してあげてよという働きかけをしてくださっていると思いますが、まだやはりちょっと牛歩の歩みでございます。是非ここは、元々財源はあったわけですから、やはりこれをきちっと措置していっていただければ、各市町村からですね、それは、理論上は妊婦健診も無償化になる予定でありますので、是非ここはしっかりと三原大臣のリーダーシップを振るっていただきたいということを切にお願いをしたいと思います。
また、どうしても難しい場合、ずっとこの話はあるんですね、ある場合は、私は、やはり国庫補助事業に戻していく、格差が広がってしまうことについては国庫補助に戻していくということも含めて、これは先週の金曜日も予算委員会で、別の事業の話で上月参議院議員からも御質問があったところでありましたけれども、やはり地方分権をしっかり見直していくという視点も、国が最低守るべきナショナルミニマムは何なのかという視点も含めて必要かと思いますが、是非三原大臣の御見解をお聞かせいただければと思います。
〔牧島委員長代理退席、委員長着席〕
2024-12-10
第216回国会(臨時会) 衆議院 予算委員会 第3号 発言No.46全文を見る中谷先生の質問に答えさせていただきます。
問題意識は全く、私自身も共有しております。
今、我々経済産業省でやっているいろいろな施策の中で、省人等々いろいろ、活力を出すということで、人材不足の中で今回の補正にもいろいろ入れさせていただいています。
ただ、本当に、先生がおっしゃられるように、コスト型経済から賃上げと投資が牽引する成長型経済へ、これへの転換を確実なものとしなきゃいけないということだろうと思いますし、物価高に負けない持続的な賃上げと併せて経済全体の生産性を高める、このまさに必要性があるわけで、まさに人への投資というところが鍵となると思っております。
在職者に対して、今までもいろいろと出ていますけれども、キャリア相談からリスキリングですとか転職までを一体的に支援するキャリアアップ支援事業などを実施してきております。また、賃上げや教育訓練費の増加に取り組む企業にインセンティブを与えたり、またさらに、人材を先生おっしゃられるようにコストではなく資本と捉えて、その価値を最大限に引き出すことの重要性を経営者に広く認識してもらうため、人的資本経営とのコンセプトを打ち出し、先進事例の共有を通じながら、企業が実践できるよう後押ししているところであります。
こうした取組を通じて、社会の通念を変えていくということが大事だと思います。企業による人への投資をしっかり進めていきたいと思います。
2024-12-10
第216回国会(臨時会) 参議院 内閣委員会 第1号 発言No.13全文を見るこども政策、少子化対策、若者活躍、男女共同参画及び共生・共助を担当する内閣府特命担当大臣、女性活躍担当大臣、共生社会担当大臣として、一言御挨拶を申し上げます。
こども家庭庁は、子供政策の司令塔として、全ての子供や若者が健やかに成長でき、将来にわたって幸せに生活できる、こどもまんなか社会の実現に力を尽くしてまいります。
少子化は、国の根幹に関わる課題です。こども未来戦略の加速化プランを着実に実施し、少子化のトレンドを反転させることを目指します。また、若い世代の将来設計を支援することで、若い世代が希望どおり結婚し、安心して子供を産み育てることができる社会の実現に向けて取り組んでまいります。
子供施策の推進に当たり、子供、若者や子育て当事者の意見は何よりも大切です。「こども若者★いけんぷらす」の推進や、審議会等の子供、若者委員の登用の促進など、子供、若者視点の現場主義で政策を前に進めてまいります。また、政策の質を更に向上させるため、客観的なデータに基づく政策立案を行い、数値目標を設定し、事業の効果を検証するなどEBPMも強化してまいります。
本年六月に成立した子ども・子育て支援法等の改正法に基づき、児童手当の拡充、来年四月に施行されるこども誰でも通園制度、妊婦のための支援給付等の着実な実施に取り組みます。また、保育士、幼稚園教諭等の処遇改善、放課後児童クラブの受皿整備、産後ケア事業の体制強化、はじめの百か月の育ちビジョン及びこどもの居場所づくりに関する指針に基づく取組や、乳幼児健診等の母子保健対策を進めてまいります。
子供、若者の性被害防止のための総合的対策を推進するとともに、子供性暴力防止法の円滑な施行に向けた準備を進めてまいります。
全ての子供の健やかな成長を支え、様々な困難を抱える子供や家庭を地域社会で包括的に支援します。具体的には、こども家庭センターの設置、機能の拡充など児童虐待への対応の強化、社会的養護の質の向上や社会的養護経験者等の自立支援、ヤングケアラー等に対する支援、一人親家庭の自立に向けた切れ目のない支援、子供の貧困対策に取り組みます。児童発達支援センターを中核とした地域の障害児支援体制を強化するとともに、家族支援やインクルージョンを推進します。
いじめ防止や不登校対策、子供の自殺対策に力を入れます。不安や悩みを抱える子供たちが周囲の大人にちゅうちょなく悩みを打ち明けられるよう取り組みます。
旧優生保護法の問題に関しては、同法に基づき、あるいは同法の存在を背景として、多くの方々が心身に多大な苦痛を受けてこられたことに対し、旧優生保護法を執行してきた立場として、その執行の在り方も含め、政府の責任は極めて重大なものがあり、真摯に反省するとともに、改めて心から謝罪申し上げます。先般、議員立法で成立した法律に基づき、優生手術等を受けた方とその配偶者に対する補償金等の支給を着実に実施してまいります。
女性活躍、男女共同参画は、全ての人が生きがいを感じられる、多様性が尊重される社会の実現、我が国の経済社会の持続的発展において不可欠な要素です。
そのため、第五次男女共同参画基本計画及び本年六月に策定した女性版骨太の方針二〇二四に基づき、女性登用の加速化や女性起業家の支援など、企業等における女性活躍の一層の推進、男女間賃金格差の是正や地域における女性活躍、男女共同参画の推進など、女性の所得向上、経済的自立に向けた取組の一層の推進、男女共同参画の視点に立った防災、復興の推進や、DV対策、性犯罪・性暴力対策の強化など、個人の尊厳と安心、安全が守られる社会の実現、あらゆる分野における政策、方針決定過程への女性の参画拡大など、女性活躍、男女共同参画の取組の一層の加速化を進めてまいります。
さらに、女性活躍、男女共同参画をより一層推進するため、女性版骨太の方針二〇二五や第六次男女共同参画基本計画の策定に取り組んでまいります。
障害者施策については、第五次障害者基本計画に基づく各種施策を推進するとともに、障害者差別解消法の周知啓発等に取り組みます。障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向け、政府全体でこれまでの取組を点検し、教育、啓発等を含めた取組の強化を図ります。
第十一次交通安全基本計画に基づき、高齢者及び子供の安全確保等の視点を重視した総合的な交通安全対策を着実に推進してまいります。
本年九月に策定した高齢社会対策大綱に基づき、年齢にかかわらず希望に応じて活躍できる環境整備等、高齢化の進展に対応し得る社会の構築に取り組みます。
性的指向・ジェンダーアイデンティティ理解増進法に基づき、多様性が尊重され、性的マイノリティーの方もマジョリティーの方も含めた全ての人々が、お互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる社会の実現に向けた取組をしっかりと進めてまいります。
共助の重要性が高まる中、休眠預金等に係る資金の活用やNPO法人の活動の促進、成果連動型民間委託契約方式の普及に関する施策等に取り組みます。
孤独・孤立対策推進法及び孤独・孤立対策重点計画に基づき、担当大臣として、地方公共団体及びNPO等への支援や孤独、孤立状態の予防のための取組の強化等について、関係省庁と連携して取り組んでまいります。
孤独、孤立に悩む人が誰一人として取り残されない社会を目指し、引き続き全力を尽くしてまいります。また、就職氷河期世代を含む中高年層に対する社会参加やリスキリングなど就労、活躍に向けた支援を推進してまいります。
公益法人や公益信託の制度を活用して、民間が主体となって、柔軟かつ機動的に社会的課題を解決し、社会的価値を創造する社会を目指し、公益法人、公益信託制度改革に取り組んでまいります。本年の通常国会で成立した改正公益法人法、公益信託法の円滑な施行に向けて準備を進めてまいります。
和田委員長を始め、理事、委員各位の御理解と御協力をよろしくお願い申し上げます。
2024-12-10
第216回国会(臨時会) 参議院 文教科学委員会 第1号 発言No.7全文を見る文部科学大臣のあべ俊子でございます。
今後とも、堂故委員長を始め、理事の皆様、そして委員の皆様方の御指導、御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
第二百十六回国会におきまして各般の課題を御審議いただくに当たり、御挨拶を申し上げます。
初めに、令和六年能登半島地震やその後の豪雨によりお亡くなりになった方々に哀悼の意を表しますとともに、被災された方々に対し心よりお見舞いを申し上げます。文部科学省としても、被災者に寄り添い、学校施設や文化財の復旧とともに、創造的復興に向けた取組と、いつ生じるか分からない災害に備えた体制づくりを全力で支援してまいります。
人。いつの時代も、未来をつくり、未来を守ってきたのは、ほかならぬ人です。文部科学省が担う教育、科学技術・学術、スポーツ、文化芸術は、まさにその人を育て、人の夢や希望を育む営みであり、様々な課題が山積する中にあって、その役割はこれまで以上に極めて重要です。この国の誰もが未来に向かって夢や希望を持ち、それを実現できる社会を目指し、文部科学行政を着実に前に進めてまいります。
人づくりこそ国づくり。いつの時代も、教育は国家、社会の礎であり、発展の原動力であります。誰一人取り残されない社会を実現するため、あらゆる人がどのような地域においても最適な教育を受けることができるよう、特に公教育の再生を始めとする教育の振興や教育投資の充実に全力を挙げてまいります。
公教育の再生の要は教師です。教師は、子供の学びを支える高度専門職です。その一方、月当たりの時間外在校等時間が小学校で平均四十一時間、中学校で平均五十八時間となっているなど、厳しい環境に置かれており、全ての子供たちへのより良い教育を実現するため、教師を取り巻く環境整備を進めることが喫緊の課題です。教師の養成、採用、研修の一体的改革を着実に進めるとともに、本年八月の中央教育審議会答申を踏まえ、学校における働き方改革の更なる加速化、教師の処遇改善、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援について、文部科学行政の最重要課題として一体的に進めます。
一人一台端末は、個別最適な学びと協働的な学びに不可欠な公教育の必須ツールです。端末の着実な更新、学校の通信ネットワークの改善、都道府県域での校務支援システムの共同調達の推進を含む校務DXの推進、自治体や学校への伴走支援の徹底強化や、高等学校におけるDX化の推進等を通じた産業を担うデジタル人材育成の抜本的強化を図ります。その際、デジタル教科書の導入やCBTシステムの充実により、児童生徒の学びの充実を進めます。
あわせて、文理横断、探求的教育の充実、地方創生に必要な産業人材育成のための専門高校の振興、女子中高生の理系選択者の増加に向けた取組を推進するとともに、AIの活用等により外国語教育や国際交流を強化します。
幼児教育の質の向上も重要です。こども家庭庁とも連携し、幼児期及び幼保小接続期の教育の質的向上を総合的に図ります。
学校は、地域において大きな役割を担っています。災害時も地域のプラットフォームとなる学校施設について、老朽化対策の推進と教育環境の向上を図るとともに、避難所ともなる体育館への空調整備についてペースの倍増を目指して加速するなど、防災機能の強化を図ります。あわせて、仮に災害が生じた場合でも、子供たちの学びを止めることがないよう、被災地学び支援派遣等枠組み、D―ESTの構築を進めます。
また、地域、家庭、学校の連携、協働に向けて、全ての学校での学校運営協議会制度の導入に向けた取組を加速するとともに、社会教育を通じた地域での学びを促進します。休日の部活動の地域連携、地域移行について、令和七年度までを改革推進期間としつつ、地域の実情に応じ計画的に可能な限り早期の実現が図られるよう、文部科学省全体で取り組みます。
高等教育機関は、未来の我が国を担う地域や産業を支える人材の育成、人類の知的資産の継承と創造の基盤として、社会の発展や文化の創造、世界が直面する課題の解決に貢献する使命があります。デジタル技術の急速な進展等による社会変化を踏まえつつ、この使命が果たされるよう、高等教育の質の向上を図ります。
一方、我が国は、急速な少子化と人材不足に直面しています。国公私立問わず、高等教育全体の規模の適正化に向け、再編なども視野に入れつつ、地域における質の高い高等教育へのアクセス確保の在り方等について、中央教育審議会での議論を踏まえつつ、文部科学省として必要な対応を行ってまいります。
デジタル、グリーン等の成長分野を牽引する高度専門人材の育成に向けた学部再編等の改革への支援や社会人の学び直しの充実を図るとともに、質の高い留学生交流の拡大及び基盤となる大学の国際化を一体的に推進します。また、国立大学法人運営費交付金や施設整備費補助金、私学助成など基盤的経費を十分に確保し、各大学の機能に応じた強化に向けてめり張りある支援を行います。先端技術にも対応した高等専門学校の高度化、国際化を図ります。大学病院は地域の医療人材の育成を担う拠点として大きな役割を担っており、厚生労働省の地域医療構想の検討とも連携し、大学病院の改革に対する支援に取り組みます。
国立大学については、法人化から二十年が経過し、時代が大きく転換する中で、必要な機能の強化を図るよう検討を進めてまいります。令和五年五月に公布された私立学校法の一部を改正する法律の施行に向け、学校法人のガバナンス改革を進めるとともに、我が国の公教育を支える私立学校が持続的な発展を遂げられるよう、私立学校の振興に取り組みます。
さらに、産業界に伴走する職業教育の重要性の高まりを踏まえた専修学校における教育の充実を図るため、本年六月に成立した学校教育法の一部を改正する法律の施行に向け、着実に取り組んでまいります。
どのような理由があっても、子供たちが誰一人取り残されることなく、学びの機会を確保することは、私たち一人一人の願いであり、文部科学省の大きな使命です。こども家庭庁を始めとした関係省庁と連携し、全力で取り組んでまいります。
令和五年度、小中高等学校における不登校児童生徒数は約四十二万人となり、いじめ重大事態の発生件数は、前年度比約一・四倍となるなど、増加し続けています。また、小中高生の自殺者数が高止まりしており、これらは極めて厳しい現実です。誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策であるCOCOLOプラン等に基づき、校内外の教育支援センターの機能強化や学びの多様化学校の設置促進、不登校児童生徒の保護者への相談支援体制の強化、スクールカウンセラー等の配置充実のほか、自殺予防教育など、対策を強化してまいります。
特別支援教育の充実のため、インクルーシブな学校運営モデルの構築、発達障害のある子供や特別支援学校等に約一万人在籍する医療的ケアが必要な子供に対する支援の充実などに取り組みます。子供たちが安心して学校で過ごせるよう、養護教諭等の業務支援体制の強化を進めます。
日本語指導が必要な外国人児童生徒、貧困や虐待等の困難を抱える児童生徒、へき地の児童生徒等についても、それぞれの教育的ニーズに応える学びの場を提供してまいります。
児童生徒等に対する性犯罪、性暴力は決して許されません。生命の安全教育や、教育職員性暴力等防止法等を踏まえた厳正な取組を推進します。
夜間中学の全都道府県等での設置を促進するとともに、日本人学校等で学ぶグローバル人材の原石でもある子供たちのために、学校の安全対策と国内同等の学びの環境整備を推進します。
いかなる経済的な状況でも質の高い教育へのアクセスを確保できるよう、幼児教育から高等教育段階まで、教育費負担の軽減に向けた取組を少子化対策の観点からも切れ目なく行います。特に高等教育段階においては、子供三人以上を扶養している多子世帯の学生等について、令和七年度から、所得制限なく、授業料、入学金を国が定めた一定額まで無償とします。また、現下の物価高騰等の状況を踏まえ、各自治体における学校給食費等の保護者負担軽減に向けた取組を促進してまいります。
我が国に居住する外国人が日常生活及び社会生活を国民とともに円滑に営むことができる環境の整備を行うため、日本語教育機関認定制度を着実に実施するとともに、地域における日本語教育の推進を図ります。
科学技術イノベーションは、見たい、知りたい、やってみたいという知的好奇心に立脚する人類の夢と希望の源泉であり、社会課題解決につながる経済成長の原動力です。一方、我が国の研究力は相対的に低下傾向にあり、研究力向上に向けた抜本的な取組の強化が喫緊の課題です。
学術研究、基礎研究の充実は、科研費など競争的研究費だけでなく、基盤的経費による支援等も通じて行います。また、国際卓越研究大学について、東北大学が、若手研究者が独立した環境で挑戦できる機会の拡大などの新たな取組に挑戦することを推進するため、大学ファンドによる支援開始に向けた取組を着実に進めます。加えて、地域中核・特色ある研究大学の抜本的強化等を通じ、我が国全体の研究大学の研究力の向上を図ります。あわせて、大学病院等における医学系研究力の強化に取り組みます。
大学や研究機関における研究成果を確実に社会実装するため、宇宙や医療系も含めたスタートアップの創出、育成の強化、学術論文等のオープンアクセス化の推進、産学官が連携したアントレプレナーシップ教育の充実を通じて、イノベーション・エコシステムを強化します。
科学技術人材の育成は重要です。優れた研究者を育成、確保し、次世代を担う若手科学技術人材の意欲と能力を伸長するための取組を一層強化します。人材の裾野拡大と才能の更なる伸長のための取組として、意欲と能力のある学生が博士課程を目指し、博士人材が社会の多様な場面で活躍できるよう、博士後期課程の学生への経済的支援の強化や産業界等とも連携した大学院教育改革を推進するとともに、キャリアパス整備や処遇改善など、大学や産業界等と協力した取組等を進めてまいります。
世界最先端の研究に対し、大胆に投資してまいります。生成AIの研究開発や次世代AI人材育成を抜本的に強化するとともに、素材、材料などのマテリアル、ライフサイエンス、量子技術、フュージョンエネルギー等の国家戦略を踏まえた重要分野の研究開発や設備支援を戦略的かつ確実に進めます。
宇宙開発は、フロンティアとしてのみならず、新たな産業創出や安全保障の観点からも重要です。有人与圧ローバーの開発等を通じて日本人初の月面着陸を目指すアルテミス計画等の研究開発を推進するとともに、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構の宇宙戦略基金を通じて、民間企業、大学等による宇宙分野の先端技術開発や技術実証、商業化を支援します。
さらに、これらの研究を支える基盤として、放射光施設ナノテラスの機能強化、SPring8の高度化、スーパーコンピューター「富岳」の次世代となる新たなフラッグシップシステムの開発、整備を始め、世界最高水準の大型研究施設の整備、共用を進めるとともに、国際的に魅力ある拠点の整備や、先進国、ASEAN等との国際頭脳循環を進めます。また、科学技術分野における経済安全保障や総合的な国力の強化に資する取組を関係府省と連携しながら進めます。火山調査研究推進本部における調査研究の推進や、南海トラフ海底地震津波観測網の整備、運用など、地震・火山・防災分野の研究開発の充実を図ります。加えて、北極域研究船みらいⅡの着実な建造、南極地域観測事業を含む海洋・極域に関する研究開発を推進します。
二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向け、革新的なGX技術や気候変動に関する研究開発、ITER計画、BA活動等の推進、高温ガス炉に係る研究開発や、高速実験炉「常陽」の運転再開を含めた原子力科学技術に関する幅広い研究開発や人材育成に取り組みます。「もんじゅ」や「ふげん」の安全、着実かつ計画的な廃止措置等の取組も推進します。
スポーツは、国民一人一人の人生を豊かにします。また、それだけでなく、地域や社会を変え、未来をつくり上げる力があります。第三期スポーツ基本計画に基づき施策を着実に推進し、スポーツそのものの価値や社会活性化等への寄与といった価値を更に高め、スポーツ立国の実現を目指します。
来年度日本で開催される世界陸上やデフリンピックを始めとした大規模国際大会に向けた機運醸成を図るとともに、ミラノ・コルティナ二〇二六オリンピック・パラリンピック競技大会等を見据えた国際競技力の向上に取り組みます。また、ドーピング防止活動、スポーツ団体のガバナンス、経営力の強化等を通じたスポーツインテグリティーの確保等を進めます。
あわせて、スポーツを通じた地域や経済の活性化、健康長寿社会、共生社会の実現、国際貢献に取り組むとともに、セカンドキャリア形成支援、学校体育の充実や地域における持続可能で多様な子供たちのスポーツ環境整備、国民のスポーツ実施率向上を図ります。
文化芸術は、人々の創造性を育み、生活を豊かにするとともに、地方創生の実現など無限の可能性を秘めています。第二期文化芸術推進基本計画に基づき、心豊かで活力ある社会を形成するため、文化庁の京都移転を契機とした食文化や文化観光の推進など、文化芸術と経済の好循環を加速し、文化芸術立国の実現に努めます。
文化財、それは国民共通の財産で、地域の誇りでもあります。文化財の匠プロジェクトを推進し、文化財の修理、防火・耐震対策等による強靱化や活用を推進するとともに、日本遺産等の地域の文化資源の磨き上げを進めます。国立劇場は、我が国の文化芸術の顔です。その再整備について、国が責任を持って早急に進めてまいります。次代を担うクリエーター等の育成について基金を活用して複数年度にわたって支援するとともに、メディア芸術ナショナルセンターについて保存等の機能を有する拠点整備を進めます。デジタル技術を活用した文化芸術の振興や日本博二・〇、文化芸術のグローバル展開、DX時代における著作権施策を進めます。文化芸術活動の基盤強化、子供たちの文化芸術体験の機会充実を進めます。
今般、我が国の伝統的酒造りがユネスコ無形文化遺産に登録されました。今後も、日本が誇る文化を世界文化遺産やユネスコ無形文化遺産として位置付けることができるよう、取り組んでまいります。
昨年解散命令の請求を行った旧統一教会への対応に関しては、関係省庁とも連携し、裁判所における審理等の対応に万全を期すとともに、特定不法行為等被害者特例法の円滑な執行や被害者の救済に係る取組に最大限努力してまいります。また、引き続き、不活動宗教法人対策を徹底してまいります。
東日本大震災から十三年半を迎えました。引き続き、就学支援や心のケア、学校再開支援に取り組むとともに、子供たちが自らのふるさとの良さを改めて知り、地域とのつながりを深め、復興、創生を更に支える取組を促進してまいります。また、福島国際研究教育機構が実施する研究開発等への支援とともに、廃炉に関する研究開発や人材育成、原子力損害賠償に着実に取り組みます。
希望は人を成功に導く。見えない、聞こえない、話せない、三重苦であったヘレン・ケラーは、人が希望を持つことの重要性をこの言葉に込めました。文部科学省が担う行政分野は、まさに、様々な人々によって支えられる社会の中で、人々が夢や希望を持ち、未来を切り開くために極めて重要なものです。
地方の皆様も含め、人々が夢や希望を持ち、多様な幸せを実現できるよう、政府一丸となって地方創生二・〇に取り組みます。文部科学大臣として、教育、科学技術・学術、スポーツ、文化芸術の力で、地域の可能性を皆様お一人お一人とともに最大限引き出してまいります。
今後も現場に足を運び、様々な声に耳を傾けながら、未来をつくり、未来を守る人を育むために必要とされる政策を皆様と御一緒に一つ一つ実行してまいります。引き続き、関係各位の御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
2024-12-10
第216回国会(臨時会) 参議院 法務委員会 第1号 発言No.7全文を見る法務大臣に就任いたしました鈴木馨祐でございます。皆様、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
最初に、委員長を始め、理事の皆様方、委員の皆様方には、法務行政の運営について格別の御理解と御尽力を賜り、心より御礼を申し上げます。
法務行政を取り巻く様々な課題がまさに山積している現下の情勢において、法務大臣という重責を担うこととなり、その重責を改めて痛感しているところでございます。
法務省は、基本法制の維持及び整備、法秩序の維持、国民の権利擁護、出入国及び外国人の在留の公正な管理などの任務を通じて、国民の安全、安心を守り、国民生活の基盤を維持整備するという重要な役割を担っています。そして、これらの役割を果たすことで我が国の社会正義を実現し、さらには、一たび社会正義が失われた場合には、困難を抱える方々に手を差し伸べて社会正義が保たれた状態に戻すことが、法務省に課された使命であると考えております。
私は、法務省に課されたこれらの崇高な役割と使命を果たすため、法務行政における具体的課題に文字どおり全身全霊で取り組んでまいります。
それでは、法務行政における具体的課題への取組について述べてまいります。
まず、困難を抱える方々への取組や国民の権利擁護に向けた取組についてです。
いわゆる闇バイトによる強盗、詐欺の被害が相次いでいる中、これらの被害者を含む犯罪被害者等の方々に対しては、被害から回復し、平穏な生活を取り戻せるよう、第四次犯罪被害者等基本計画及び政府の会議体が決定した「犯罪被害者等施策の一層の推進について」に沿って、きめ細やかな支援を実施します。
さきの通常国会で成立した総合法律支援法改正法により導入される犯罪被害者等支援弁護士制度について、早期に円滑かつ充実した運用を開始できるよう準備を着実に進めます。
また、いわゆる被害者等の心情等の聴取・伝達制度について、引き続き犯罪被害者等の方々に寄り添い、適切に運用いたします。犯罪被害者等の方々の思いに応える保護観察処遇等の充実に取り組みます。
性犯罪、性暴力は、被害者の尊厳を著しく傷つけ、その心身に長年にわたり重大な苦痛を与え続けます。性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針等を踏まえ、昨年六月に成立した改正刑法等による厳正な対処及び再犯防止施策の更なる充実強化等を図り、引き続き、性犯罪・性暴力対策を進めます。
児童虐待について、政府で取りまとめた「児童虐待防止対策の更なる推進について」も踏まえ、関係機関と連携し、その根絶に取り組みます。
父母の離婚等に直面する子供たちの利益を確保するため、さきの通常国会で成立した民法等改正法について、関係府省庁等と連携しつつ、円滑な施行に向けた準備を着実に進めます。
いじめや虐待、障害のある方やマイノリティーの方々に対する偏見や差別、インターネット上の人権侵害など、様々な人権問題への対応については、一人一人がお互いを尊重し合える社会を目指して、関係省庁等と連携し、人権相談や調査救済活動を充実強化するとともに、人権啓発活動等の取組を推進いたします。
様々な困難を抱える方々が、あまねく全国において、法による紛争の解決に必要な情報やサービスの提供を受けられるよう、多様化する法的ニーズを的確に把握し、法テラスによる総合法律支援の一層の充実に取り組むとともに、そのために必要な体制の強化に努めます。
令和六年能登半島地震の被災地において、被災自治体のニーズに応じ、災害やその他の公費解体により滅失した建物の職権滅失登記を推進します。
旧統一教会問題について、関係省庁等と緊密に連携しつつ、法テラスにおいて、総合的対応窓口による一元的な相談対応を行うとともに、特定不法行為等被害者特例法に基づく支援を着実に実施し、被害者の迅速かつ円滑な救済に万全を尽くします。
昨年十月、最高裁判所において性同一性障害特例法に関する違憲決定がされたことについて、厳粛に受け止める必要があると認識をしております。立法府の動向等を注視しつつ、関係省庁と連携して、引き続き所要の検討を進めます。夫婦の氏の在り方について、多様な考え方があることを踏まえ、国民の間はもちろん国会でも御議論いただけるよう、情報提供を行ってまいります。
次に、安全、安心な社会の実現について、実現に向けた取組についてです。
刑法犯で検挙された者の約半数が再犯者という状況が続いています。国民が犯罪による被害に遭うことを防止し、安全で安心して暮らせる社会を実現するためには、再犯を防止することが重要です。第二次再犯防止推進計画に基づき、国、地方公共団体、民間協力者がそれぞれの役割を果たしつつ、相互に連携することで、再犯防止に向けた取組を強力に推進いたします。
地方公共団体や保護司、更生保護事業者、協力雇用主等の民間協力者への支援などのほか、更生保護に関する地域援助等の適切な運用を通じて、地域における支援ネットワークの一層の充実強化に努めます。また、保護司の安全確保対策を含め、持続可能な保護司制度の確立に向けた取組を着実に進めます。
令和七年六月に拘禁刑が導入されます。拘禁刑は、個々の受刑者の特性に応じたきめ細やかな処遇の実施により、効果的な改善更生と円滑な社会復帰を図ることを目的としています。その導入に向けて、適用の検討を進めるとともに、刑務所等における適正な処遇の実施に努めます。
戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中、公安調査庁においては、人工知能等の新たな技術も活用しつつ、公共の安全を脅かし得る偽情報の拡散を含む影響工作や経済安全保障、サイバー空間上の脅威、国内外におけるテロ関連動向に関する情報の収集、分析等にも努め、政府の施策に更に積極的に貢献いたします。
北朝鮮に関しては、核・ミサイル関連の動向、日本人拉致問題を含む対外動向や北朝鮮内部の状況等について、関連情報の収集、分析等を進めます。
東シナ海や台湾海峡を始めとする我が国周辺地域の安定が極めて重要であるとの観点から、我が国の領土、領海、領空の警戒警備に関しても関係機関と連携し、適時の情報提供を行うなど、適切に対処いたします。
いわゆるオウム真理教について、団体規制法に基づく観察処分の適正かつ厳格な実施やアレフに対する再発防止処分の実効性の確保等を通じた公共の安全の確保に努めます。
次に、出入国及び外国人の在留の公正な管理を実現するための取組についてです。
外国人との共生社会を実現していくために、外国人の人権に配慮しながら、ルールにのっとって外国人を受け入れ、適切な支援等を行うとともに、ルールに反する者に対しては厳正に対応することを基本として取り組みます。
引き続き、外国人支援コーディネーターの育成、認証制度や外国人在留支援センターにおける支援等の取組を推進いたします。
さきの通常国会で成立した入管法等改正法によって導入される育成就労制度により、技能実習制度で指摘されていた様々な課題を解決し、我が国が外国人材から選ばれる国となるための魅力ある制度を構築いたします。また、育成就労制度の導入と併せて、特定技能制度の適正化を図ることとしており、両制度を通じて、長期にわたり我が国の産業を支える外国人材が確保されるよう努めます。育成就労制度等の円滑な実施に向けて、その準備に万全を尽くす、万全を期すとともに、関係者に対して丁寧な広報、周知に努めます。
一層円滑かつ厳格な出入国審査を実現するため、地方空海港の出入国審査環境を整備するとともに、入管、税関手続に必要な情報を同時に提供することができる共同キオスクの本格運用の開始や、我が国にとって好ましくない外国人の入国を未然に防止するのみならず、審査の円滑化を可能にする電子渡航認証制度、日本版ESTA導入の準備等、デジタル技術等の活用による出入国審査業務の更なる高度化に取り組みます。
一方で、不法滞在者等退去強制すべき者を早期に送還することが重要であり、長期収容、送還忌避の課題解消に努めるとともに、引き続き、ウクライナ避難民等、難民と同様に保護すべき者に対する適切な支援に取り組むなど、国際情勢の変化に応じて適切に対応いたします。
次に、法務行政における国際貢献に向けた取組等についてです。
国際情勢が引き続き緊迫する中、法の支配や基本的人権の尊重といった価値を国際社会に浸透させるべく、司法外交を一層強力に展開いたします。
昨年、我が国が主催した司法外交閣僚フォーラムにおいて設置が合意されたウクライナ汚職対策タスクフォースやASEAN・G7ネクスト・リーダーズ・フォーラムを引き続き開催するほか、これまで長年にわたり続けてきた法制度整備支援を、ASEAN地域のみならず、太平洋島嶼国、中央アジア、ウクライナ等にも戦略的に拡大するとともに、国連アジア極東犯罪防止研修所による国際研修等を通じた各国の刑事司法実務家の能力構築支援を拡充するなどして、法の支配の定着に向けてリーダーシップを発揮してまいります。
京都コングレスの成果の一つである京都保護司宣言を踏まえ、我が国が誇る保護司制度を世界へ発信、普及させる取組を推進いたします。
国際仲裁が国際取引から生じる法的紛争の解決手続として世界的に利用が進んでいることに鑑み、国際的な法の支配の促進に向け、我が国における環境整備を進めるとともに、東南アジア地域等における普及を図ります。国連国際商取引法委員会等の国際機関におけるルール形成を主導します。
また、国際商取引を円滑化し、対日投資を促進する基盤として、関係省庁等と緊密に連携し、AI翻訳を活用するなどして、我が国法令の外国語訳の整備を一層推進いたします。
最後に、時代に即した法務行政に向けた取組についてです。
刑事手続等において情報通信技術を活用することで、手続に関与する国民の負担軽減や手続の円滑化、迅速化を図るとともに、情報通信技術の進展等により生じている新たな犯罪事象に厳正に対処できるようにして国民生活の安全、安心を確保することは、重要かつ喫緊の課題であります。そのため、刑事手続等において取り扱う書類の電子データ化に関する規定の整備などを内容とする刑事訴訟法等改正法案について、国会に早期に提出することができるよう、速やかに検討を進めます。当該技術の活用に不可欠となるシステムの整備についても、関係機関と緊密に連携しながら、スピード感を持って進めます。
令和七年五月から、戸籍の記載事項に氏名の振り仮名を追加することを主な内容とする改正戸籍法が施行されます。戸籍において氏名の振り仮名を公証し、これを官民の手続で利用可能とすることは、各種情報システムにおける検索や管理等の効率化に資するものであり、デジタル社会における重要なインフラを構築するものであることから、施行に向けて必要な準備を着実に進めます。
また、司法試験及び司法試験予備試験について、受験者の利便性の向上、試験関係者の負担軽減等を図るため、令和八年に実施する試験からCBT方式による試験の導入等を目指すなど、試験のデジタル化に向けた取組を進めます。
さらに、司法アクセスの更なる向上を図るため、デジタル技術を活用した裁判外紛争解決手続であるODRを推進するとともに、法テラスにおいて、法律相談等へのデジタル技術の利活用や各種業務のデジタル化に取り組みます。
保護司活動を含めた更生保護行政のデジタル化について、情報セキュリティーに十分配慮しつつ、スピード感を持って進めます。
所有者不明土地への対策は、将来を見据えて政府全体で取り組むべき課題です。本年四月に施行された相続登記の義務化や令和八年四月に施行される住所等変更登記の義務化は、この対策の中核を成すものであり、関係機関と連携し、国民各層への周知、広報などに取り組みます。
また、今後急増することが見込まれる老朽化マンション等においても所有者不明土地と共通の課題があることを踏まえ、区分所有法制の見直しに向けた関連法制を国会に早期に提出、関連法案を国会に早期に提出することができるよう、所要の準備を進めます。
土地に関する重要な情報基盤である登記所備付地図の整備については、全国において法務局の地図作成事業を推進するとともに、令和七年度以降の次期地図整備計画の策定に向けた検討を進めます。
自由で公正な社会を実現するためには、社会を形作る一人一人が自らの考えをしっかり持つこと、そして、お互いの考え方を尊重して生きていく力を身に付けることが重要です。その中身となる諸原理や法の役割を理解し、法的な物の考え方を身に付けられるよう、法教育を積極的に推進いたします。
矯正施設を始めとする法務省施設の耐震化・老朽化対策については、中長期的な視点に立ち、着実に推進いたします。また、災害発生時の避難所としての機能確保にも努めます。
高度複雑化する法的需要に的確に応え、司法制度を支える人材を確保、育成するため、関係機関等と連携し、新たな法曹養成制度や法曹の魅力についての情報発信等の取組を推進いたします。
裁判官の報酬月額及び検察官の俸給月額を改定するための裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案につき、今国会での速やかな成立を目指します。
高村正大副大臣、神田潤一政務官、そして全ての法務省の職員と一丸となって、様々な課題の解決に、課題に着実に取り組んでまいりますので、委員長を始め、理事の皆様方、委員の皆様方におかれましては、一層の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。