国民民主党の森ようすけでございます。
本日は、質疑の機会をいただき、ありがとうございます。福岡大臣を始め厚生労働省の皆様におかれては、厚生労働分野という、年金、医療、介護、労働、福祉など、多岐にわたる厚生労働行政の推進に日々取り組んでいただき、感謝を申し上げます。
それでは、本日は通告に従いまして質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
まず、年収の壁についてお伺いをさせていただければと思います。
私たち国民民主党は、御承知のとおり、いわゆる百三万円の壁、こちらの引上げに向けて今取り組んでいるところでございます。この百三万円の壁は基礎控除と給与所得控除を合わせた金額でございますが、これは、一九九五年、三十年前から変わっていない金額でございます。この基礎控除は、生活に必要最低限の所得に対しては課税しないという、憲法の生存権を保障する制度でございます。
この三十年間で日本の最低賃金は一・七三倍に上昇しまして、これと同じペースで基礎控除の金額が上がれば、百三万円が百七十八万円になるわけでございます。今の日本において必要最低限の生活を送るためには、この百七十八万円の手取りが必要ではないか、こうしたふうに考えまして、国民民主党では、百三万円の壁を百七十八万円に引き上げるべきだ、こういった提言をさせていただいているところでございます。
そして、この百三万の壁は、労働供給の観点でも大きな制約になっていると思います。パート、アルバイトの方でしたり学生の方が年収百三万円を超えないように就労調整をしているわけです。年末が近づきますと、年末でお金を稼ぎたいのに、百三万円の壁があるから働くことができない、こういった労働供給の点で問題が起きております。
また、これは労働者側の視点だけではなくて、企業側も、十一月、十二月、繁忙期でございます。仕事があふれている年末の繁忙期に、パート、アルバイトの方をシフトに入れることができない。こうした、労働者側そして企業側双方でこの百三万円の壁というのは問題が一定程度ある、大きいというふうに考えているところでございます。
この百三万円の壁は税金に関わる壁でございますけれども、それとは別に、百六万円の壁、百三十万円の壁といった、社会保険に関わる壁ももちろんあるわけです。
皆様御承知のとおりではございますが、簡単に御説明をさせていただきますと、百六万円の壁は、従業員五十一人以上の会社に勤めている方を対象に、週で二十時間以上仕事をして、月八万八千円、この給料を受け取っている方が健康保険、厚生年金保険に加入義務が発生するという壁でございます。そして、百三十万円の壁の方は、従業員五十人以下の会社でも、年間百三十万円以上の収入になると、労働時間に関係なく国民健康保険、国民年金の保険料の支払いが発生する、これが百三十万円の壁でございます。
少しややこしいなと思うのは、百六万円の壁は基本給しか入らない一方で、百三十万円の壁の方は、基本給だけではなくて、通勤手当でしたり、時間外手当、休日手当、賞与でしたり、こういったものも含めて計算することになっておりまして、壁はいろいろあるんですけれども、計算の仕方がすごい複雑だなというふうに個人的に思っているところでございます。
こうした壁が労働供給にどういった影響を与えているのかという点につきましては、こういったレポートがあります。RIETIのレポートなんですけれども、住民税の課税記録のデータを使って、配偶者のいる女性の給与収入の分布を取ってみると、年収百三万円の手前あたりで大きなピークが来ているんですね、やはり。そして、次に百三十万円のところでピークが来ている。やはり、年収の壁として、百三万円の壁、そして百六万の壁、百三十万円の壁、これはやはり労働供給に大きな影響を与えているのではないかということが見て取れると思います。
先日の大臣の所信の中においても、いわゆる年収の壁を意識せずに働くことができる環境づくりを後押しします、こういった御発言があったところかと思います。
そこで、大臣に御質問ですけれども、私たちが議論を進めている百三万円の壁とは別に、こうしたように、社会保険に関わる百六万の壁、そして百三十万円の壁が存在していることが労働供給等に与える影響についてどのようにお考えか、御見解をお伺いさせていただければと思います。