ありがとうございます。
統括庁もそうですし、私、厚生労働官僚としての最後の仕事は、厚労省の感染症対策部の組織設計を一から描くという仕事をいただいておりました。その後、官僚を辞めて、在野で、自民党の先生方とも一緒に健康危機管理庁の創設の議論にも関わってまいりました。創設に当たってはいろいろな方面から抵抗もあったというふうに伺っておりますけれども、できたからには、こういった司令塔機能というのは非常に大事でございますので、是非とも頑張っていただきたいというふうに思っております。
また、当時、新型コロナの反省点として、感染症危機管理の改革の論点として挙がった中に、国会議員、そしてあと官僚の練度の低さというのがあったというふうに認識をしております。
私、コロナのさなか、WHO本部の健康危機管理官としてコロナ対応を行っておりまして、その際、当時、五年前の一月ですね、日本政府の複数の官僚の皆さんからお電話をいただいたり御連絡をいただいて、御相談を頂戴しました。
例えば、感染症危機管理、訓練もしたことがない、対策本部に入れと言われたけれども、どうすればいいのか右も左も分からない、こういったお声ですとか、対策本部の組織図を描いて指揮命令系統を明らかにしようと試みたけれども、対策本部に参画をしているいわゆる専門家と称する学者、研究者は、危機管理組織としての指揮統制に服した経験がなく、すなわち危機管理、事態対処の経験がなく、統率が取れない、そういったお声ですとか、日本国内に疫学などの個別機能の専門家は少ないながらもいるけれども、感染症危機管理、すなわち国家の危機管理という営み全体を専門とする人間がおらず、部分最適になってしまっている、こういったお話をるるいただきました。
ここから分かるのは、官僚、研究者、学者の知識不足や練度の低さだと思います。これは決して、これは強調して申し上げたいと思いますけれども、彼らが悪いのではないというふうに思っています。当然なんですね。危機管理、事態対処に関する体系的な教育訓練を職員として受けた経験がないからでございます。石破総理は、今回、防災庁の設置に当たって、問題意識として専門的人材の重要性ということを挙げていらっしゃいますけれども、まさにこれは教育訓練の重要性をおっしゃっているんだと私は認識をしております。
同時に、国会議員の練度の低さということについても言及をいたしますが、危機のとき、特に初動は、主役は政府であって国会ではないというふうに私は思っております。
初動の際に、私もかつて、何かあったときに国会議員からレクで呼ばれて、これはどうなっているんだということでいろいろ対応している間に、事態がどんどん、時が過ぎ去ってしまう、こういったことがたくさんございました。これは国民のために、命を救うためにやっているときですので、無駄な時間を浪費してしまうということがあるんじゃないかなと思っておりまして、国民にとっては不幸なことだというふうに思っております。
危機の際に一から勉強するいとまなどないわけでございまして、頭で考えず、体が動いていないといけない。だからこそ、危機管理や事態対処については、国会議員や官僚の知識レベルの水準を平時から合わせておくことが非常に重要であると思いますし、そのために教育訓練をやる必要があるというふうに私は思っております。
防災を含め、内政上の危機管理のオペレーションは、いわゆる旧内務省系官庁である厚労省、国交省、総務省、警察庁に防衛省・自衛隊を加えた、このような官庁で中心的に行っていると思っておりますけれども、いわゆる制服を着ている警察、消防、そして自衛官、これらの皆様は立派な教育訓練を受けていらっしゃいます。一方で、省庁を問わず、背広を着た、皆様方のような文官に対する教育訓練というのは、特に体系立った教育訓練課程というようなものは全くないか、あっても非常に乏しいものではないかというふうに思います。
厚生労働大臣と西野政務官にお伺いいたします。
感染症危機管理を含めて、事態対処、危機管理に関する政務三役及び職員の教育訓練の状況についてお聞かせください。