開催日: 2024-12-18
発言No.1
これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官小柳誠二君外五十四名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
「異議なし」と呼ぶ者あり
発言No.4
自民党の黄川田仁志でございます。
城内大臣と坂井大臣には日頃から大変お世話になっておりまして、本日質疑をするのを楽しみにしてまいりました。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、経済安全保障の分野について質問をさせていただきます。
日本は、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて社会全体で取り組んでおります。その二〇五〇年カーボンニュートラルの目標達成に向けては、グリーン、デジタル等の最先端技術と、産業において蓄電池、半導体、モーター等の部品の生産の拡大が見込まれております。そして、それらを生産するための鉱物資源の需要も拡大していくと予想されます。
残念ながら、我が国は資源が乏しい国でございます。それらを生産する上で必要な重要鉱物について、日本は特定の外国に過度に依存をしているというのが現状でございます。特に中国に大きく依存しているガリウムやレアアース、この現状を私は大変心配しております。
ガリウムについては、昨年の中国による輸出管理強化によりまして日本向けの輸出許可が出ず、一年間での日本向けの総輸出量の約八割から九割減少したということを聞いております。
このような事態に備えるために、二〇二二年に、重要物資の安定的な供給確保に関する制度を含みます経済安全保障推進法を定めました。
日本に限らず、中国がレアメタル等の輸出規制の動きを強める中、日本の産業と、それに関するサプライチェーンの確保のために、経済安全保障大臣として城内大臣はどのように臨んでいく覚悟であるか、答弁をよろしくお願いいたします。
発言No.5
黄川田委員におかれましては、自由民主党の資源確保戦略推進議員連盟の事務局長として、資源の安定供給確保に向けた施策に非常に先頭に立って御尽力いただいていることに対しまして、この場をおかりしまして深く感謝申し上げます。
黄川田委員御指摘のとおり、重要鉱物を始め国民生活や経済活動などに甚大な影響のある物資の安定供給の確保は、我が国にとって極めて重要な課題であることは言うまでもございません。
内閣府といたしましては、令和四年五月に成立しました経済安全保障推進法に基づきまして、特定重要物資として、これまで重要鉱物や半導体、蓄電池などの十二の物資を指定いたしまして、各物資の所管省庁がその安定供給確保に取り組む民間事業者を支援しているところであります。具体的には、これまで百十六件の供給確保計画を認定いたしております。
また、重要物資のサプライチェーンに関するリスクにつきましては不断に点検を実施しており、リスクに応じまして安定供給確保の取組方針を見直しているところであります。例えば、昨年、中国により開始されましたガリウム及びゲルマニウム関連品目等の輸出管理措置を踏まえまして、経済産業省と連携し、これらを支援対象として追加したところでございます。
さらに、一般論として申し上げますと、経済安全保障の取組につきましては、同盟国、同志国との連携が重要であり、例えば、昨年五月のG7広島サミットにおきまして、経済的威圧に対する調整プラットフォーム、この立ち上げを表明し、連携強化の取組を進めているところであります。
引き続き、経済産業省を始め、物質の所管省庁としっかり連携して事業者を支援していくことはもちろんのこと、サプライチェーンに関するリスクの点検については、固定化することなく、不断に見直していくということと同時に、同盟国、同志国との強力な連携を通じて、重要物資の安定供給確保に万全を期してまいる所存であります。
以上です。
発言No.6
ありがとうございます。
特定重要物資の安定供給確保に関する制度については、所管の大臣、省庁と連携して取り組んでいくということでありますので、具体な供給の多角化、また鉱山開発等については、所管大臣等にある意味決めたら任せていくということでございます。
ですので、経済産業省にお聞きしたいと思いますが、中国に過度に依存しておりますガリウム等の希少金属の輸出規制については、具体的にどのような対策を行っているか。安全保障に関わることなのでいろいろ話せないこともあるかもしれませんが、なるべく具体性を持ってお話ししていただければと思います。よろしくお願いします。
発言No.7
お答えいたします。
御指摘のとおり、産業に不可欠なレアメタルにつきましては、その多くを国外に依存しておりまして、安定供給確保に向けた取組を進めていくことが大変重要だというふうに認識をしております。
具体的には、供給途絶に備えて十分な備蓄量の確保に取り組むことに加えまして、有志国と連携しレアメタルを供給する上流開発プロジェクトの組成を行うなど、供給源の多角化を進めていく考えでございます。
このうち、供給源の多角化を進めるに当たりましては、政府といたしましては、資源外交を通じた同志国や資源国との関係強化に加えまして、今般の補正予算などで計上している出資金や経済安保助成金による日本企業の権益確保、鉱山開発、製錬事業の支援、資源量調査や技術開発を通じた国産海洋資源の開発など、政策を総動員しながら取り組んでまいりたいと考えてございます。
発言No.8
ありがとうございます。
なかなか、特定の資源について、これをやっている、あれをやっているということを言うと資源の価格等に影響もあるということで、一般論でお話ししていただいたということで理解しますが、中国は、ガリウムの輸出規制、これを日本だけにとどまらず強化をしているということでございます。具体的には、今月三日、輸出管理法に基づいて、これは中国の輸出管理法ですね、ガリウムやゲルマニウム等の希少金属について、アメリカへの輸出を原則禁止するということを発表しております。
WTOが機能不全を起こしておりますので、過去のレアアースショックのときとは同様とは言えないと思いますが、このような同様な課題に直面しているアメリカと日本も連携して、ガリウム等の希少金属の輸出規制に対する国際的な圧力、世論形成、これをやっていくべきだと思っておりますので、城内大臣、また所管の経済産業省、協力して、検討していただければというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
また、ガリウムに続きまして、レアアース、これについては、採掘と精製共に、ガリウム以上に中国に依存しているのが現状であります。特に、重希土類の輸入については、中国の依存度は一〇〇%でございます。
二〇一〇年の中国のレアアース輸出規制に対して、日米両国でWTOに提訴しまして、輸出規制は解除となって今に至っておりますが、レアアースのサプライチェーンの脆弱性、これが続いていることは変わりはございません。
レアアースのサプライチェーンの強靱化については、どのような対策を講じようとしているのか、こちらも、経済産業省、説明をよろしくお願いいたします。
発言No.9
お答えいたします。
レアアースにつきましては、二〇一〇年のレアアースショックも踏まえまして、中国以外の国、例えば豪州における供給源の確保や、代替材料開発や資源量削減などの取組、また、委員からも言及がございましたとおり、欧米と連携したWTO提訴などを行ってまいりました。こうした取組の結果、二〇一五年に中国は輸出制限措置を撤廃をし、中国からのレアアースの輸入割合は、二〇〇九年の八五%から二〇二〇年には五八%まで低下しているところでございます。
加えまして、直近では、豪州のレアアース事業に追加出資を行い、レアアースの中でも現状ほぼ全量を中国に依存している重希土につきまして、来年度には国内需要の三割程度の供給量を中国外から確保する見通しになってございます。
さらに、G7を始め有志国とは、更なる具体的なプロジェクト形成や共同出資の可能性を検討してございまして、こうした連携も通じて、供給源の多角化に取り組んでまいりたいと考えてございます。
発言No.10
ありがとうございます。
レアアースのサプライチェーンの強靱化については、もういろいろ報道で、ネットのニュースでも出ているので、もう少し具体的に言っていただきたいなというふうに思っておりました。
重希土類の分離精製プロジェクトを立ち上げているということでございますけれども、私から申し上げますと、双日とJOGMECが共同で設立しました日豪レアアース株式会社を通じまして、オーストラリアのライナス社のプロジェクトがありまして、こちらでしっかりと鉱山開発をしていくというところであります。また、精製については、これからどういうふうにしていくかということを詰めていくというふうに聞いております。これは大いに進めていただきたいというふうに思っております。
その上で、レアアースについては、外国に頼らずに自国内で開発ができる可能性が大きい鉱物資源だというふうに思っておりまして、私は大変期待をしております。
そして、我が国では、科学的イノベーション創造プログラム、SIPの一つであります海洋安全保障プラットフォームで行われている南鳥島レアアース泥の開発、これが、私は期待していますが、来年はいよいよ、実海域の南鳥島沖のEEZ内で海底六千メートル下にあるレアアース泥を、六千メートルの揚泥管を使って試掘するというふうに聞いております。
そして、日本の周辺の海域でございますが、また残念ながら、中国が、南鳥島EEZに隣接する海域、公海でありますが、海洋開発の動きを見せております。中国の海洋開発の動向に注意しつつ、日本は自国のEEZ内の海洋開発の速度を上げていくべきだ、そのように努力していくべきだというふうに考えておりますが、城内大臣に、このSIP、第三期海洋安全保障プラットフォームへの期待と展望をお答えいただきますようお願いします。
発言No.11
お答えいたします。
黄川田委員におかれましては、自由民主党の海洋総合戦略小委員会における議論を、この分野の第一人者として長年リードされてこられたことを非常にありがたく思っております。
委員御指摘の中国におきます南鳥島沖の公海域におけるマンガン団塊採鉱の事例にも見られますように、海洋資源開発には各国が関心を高めているところであります。
鉱物資源のほぼ全量を海外に依存している我が国にとりまして、重要鉱物の輸入先の多角化と並びまして国際海洋資源の開発を進めることは極めて重要であります。
このため、内閣府では、委員も御指摘のありました戦略的イノベーション創造プログラム、通称SIPにおきまして、南鳥島沖の水深六千メートル海域からのレアアース泥の揚泥という人類未踏の挑戦に取り組んでいるところであります。
また、先ほど委員からもお話ありました、令和七年度、二〇二五年度及び令和九年度、二〇二七年度には、南鳥島沖海域におきまして、六千メートルの揚泥管接続試験と、実際にその揚泥管を用いた揚泥実証試験をそれぞれ予定しており、これらの成果を踏まえまして、令和九年度、二〇二七年度末までにレアアース生産の社会実装プランを取りまとめることといたしております。
なお、今般の令和六年度補正予算におきましても、これらの実施に必要となる無人潜水機関連設備やレアアース泥の製錬に必要な機器の整備など、約二十七億円を計上しているところであります。
我が国の海洋資源開発における有望候補の一つとして、南鳥島沖のレアアース開発には大きく期待しており、内閣府といたしましても、関係省庁ともしっかり連携しつつ、更に精力的に研究開発と技術実証を進めてまいる所存であります。
発言No.12
ありがとうございます。
このSIPの取組は、コロナとウクライナの戦争の影響も受けてスケジュールが大分遅れてきたという経緯があります。それもありまして、私は、しっかりと十分な予算と計画を持って、早期に開発していただきたくお願いを申し上げます。
次は、坂井大臣への質問に移らせていただきますが、この国内レアアース泥の資源開発をサポートするために、海洋政策担当大臣は、海洋開発等重点戦略におきまして、特定離島である南鳥島とその周辺海域の開発の推進を行うことになっております。こちらの方も、重要な予算と具体的な計画を準備して、この国内産のレアアースの開発の支援への協力を強力に進めていただきますようよろしくお願いを申し上げます。
そして、この我が国の資源エネルギーの課題を克服するためには、我々はもっと広大な海を利用していかなければなりません。特に、EEZの浮体式洋上風力発電設備をなくして二〇五〇年カーボンニュートラルの実現は不可能であります。早急に日本のEEZを含む海域利用のための法律や制度の整備をしなければなりません。
そこで、海洋開発等重点戦略の一つに、洋上風力発電のEEZ展開に向けた制度整備の推進を定めております。そして強力に推進しようとしております。
しかしながら、さきの通常国会において、再エネ海域利用法が解散に伴いまして廃案となってしまいました。大変残念なことであります。国会も大臣もこの法律の大切さを理解し、法律成立のために熱意を持って取り組んでいただきたいと思っております。
これは次の通常国会において是が非でも通さなければならない法律である、法案であると私は考えておりますが、坂井大臣の決意を述べていただきたいと思います。
発言No.13
まず、今の直接の御質問のお答えの前に、この南鳥島、特定離島でもございますし、南鳥島とその周辺海域の開発の推進ということを海洋開発等重点戦略において位置づけておりまして、ここは私も大変重要な日本の資源として期待ができると思っておりますので、城内大臣のところで、六千メーターもの深いところから、これが掘れる技術というもの、これを開発してもらうことを期待すると同時に、この展開がしっかりできるように、海洋担当としてもこれはしっかり支援をしてまいりたいということをまずお伝えをしておきたいと思います。
そこで、御質問の再エネ海域利用法の改正案でございますが、御指摘のように、前国会で、衆議院におきまして全会一致で可決ということを聞いております。つまり、全会派が必要だと認識をしている法案だということでございますが、参議院で審議を終えることができずに、今、廃案になっている状況でございます。
他方、政府といたしましては、委員御指摘のように、二〇三〇年までに一千万キロワット、二〇四〇年までに三千万から四千五百万キロワットの洋上風力発電の案件形成を目指しているところでございます。さらに、二〇五〇年はカーボンニュートラルを実現をするということで動いておりますので、このためには、広大なEEZにおいても案件形成が可能とならなければいけない、非常にこの推進が重要であると認識をしているところでございます。
EEZにおいての利用でございますが、まず、区域の指定でありますとか事業者の選定をすること、環境アセスも実施しなければいけませんし、当然風車そのものも建設をしていかなければなりません。こういったものに大体十年前後を要すると想定がされております。
ですから、この二〇五〇年カーボンニュートラルを実現をするためにも、一刻も早くこの動きを進めていかなければならないという認識でございまして、できるだけ早期の法案成立を目指して、関係省庁とともに取り組んでまいりたいと思っております。
発言No.14
ありがとうございます。
今、坂井大臣がお示しいただきました二〇三〇年と二〇四〇年の案件形成、そのためには、この海域利用推進法、これを早期に成立させなければならないという決意もいただきました。成立しても、それが実際に、発電設備が、設置が整うまでに十年も要さなくちゃいけないということでございますので、大臣は早期と言いますが、もう次の国会にしっかりと提出をし成立をさせるということで、私からお願いをしたいと思います。坂井大臣のリーダーシップを期待しております。
そしてまた、来年は、先ほどお話ししました六千メートル下からの、沖ノ鳥島沖の海底からのレアアースの揚泥、そういうものもございますし、北極船「みらい2」、これが来年進水式がいよいよ行われるということでございます。
この北極政策についても海洋開発等重点戦略で位置づけられておりますので、また、来年は海洋国家日本が非常に注目される年だと言ってもいいと思いますので、海洋政策担当大臣としての坂井大臣、そしてSIPの担当の城内先生、是非お二人の力強い後押しをいただいて、海洋国家日本の矜持を示していただきますようお願いを申し上げまして、私の質問を終了とさせていただきます。
どうもありがとうございました。
発言No.16
おはようございます。國場幸之助です。質問の機会をありがとうございます。
それでは、まず、サイバー安全保障についてお尋ねをしたいと思います。
サイバー攻撃は、我が国に対し、質、量、脅威も被害も増大しております。この分野、大変に日本が遅れておりまして、二年前の十二月十六日に閣議決定された国家安全保障戦略の中にも、サイバー空間、国や重要インフラ等の安全を確保するため、サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させると明記されております。最も緊急性があり、また国民の理解も必要とされております。
まず、サイバー安全保障がこの時期に必要であるということの意義、国民への説明をどのように訴えていくのか、このことについての答弁をお願いします。
発言No.17
お答えを申し上げます。
我が国のサイバー能力の向上は、現在の安全保障環境に鑑みますと、ますます急を要する課題と認識をしております。このような認識の下、令和四年十二月十六日に閣議決定された国家安保戦略では、サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させることを目標に掲げ、その柱として能動的サイバー防御を導入することとしたところでございます。
本年十一月二十九日にサイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた有識者会議から提言を頂戴したところでございまして、この提言も踏まえまして、可能な限り早期に法案をお示しできるように、検討を更に加速してまいる所存でございます。
発言No.18
国民の中には、自らのメールを見られてしまうのではないのかとか、そういった不安の声もあると聞きます。しかし、これはあくまでも公共の福祉に関する部分、つまり、国家の存亡を懸けた部分や、また国民生活に深刻な影響を与える重要インフラへの攻撃、またその危険性に関わる部分のみこのサイバー安全保障、能動的サイバー防御が必要であるということをしっかりと国民に周知をすることが大事だと思います。
次に、課題についてお尋ねをしたいと思いますが、やはり、これは現行法との整合性というものが極めて重要であります。憲法二十一条、電気通信事業法、また不正アクセス禁止法など、今答弁にもありましたように、有識者の提言も踏まえて、いろんな課題は整理されていると思いますけれども、その内容についてお尋ねをしたいと思います。
発言No.19
お答えを申し上げます。
憲法第二十一条が保障する通信の秘密を含め、能動的サイバー防御の実現に向けた法案につきましては、現行法令との関係等を含め、様々な角度から検討を要する事項が多岐にわたっているところでございます。
有識者会議では、これらの検討事項について御議論いただき、提言では、例えば、通信の秘密であっても、法律により公共の福祉のために必要かつ合理的な制限を受け、通信の秘密を保障する憲法との関係での許容性を具体的に検討するには、まず先に、重大サイバー攻撃対策という目的を達成する観点から、通信情報の利用のあるべき範囲や方式について検討する必要があるといったことや、協力を行う電気通信事業者は、社会の安全に貢献しているとして、肯定的に評価されるべきであり、直面し得る訴訟等のリスク及び通信ネットワーク運営に対する負担について、回避策を十分に検討していくべきといったことが取りまとめられたところでございます。
発言No.20
官民連携、通信情報の活用、アクセス・無害化措置、そういった課題が整理されていると思いますけれども、この重要インフラに連なるサプライチェーンの中小企業の対策強化、こういった民民連携も非常に重要だと考えております。
そこで、アクセス・無害化の部分で関係するかと思いますが、その主体は、まずは警察、必要なときに自衛隊と共同すると、シームレスの連携というものがうたわれているかと思います。
しかし、サイバー攻撃というものは瞬時に攻撃が激化をし、平時、有事の区別もつかない、国境も瞬時に越えてしまう。常時サイバーパトロールという概念が大事だと思いますけれども、これも不正アクセス禁止法や既存の法律の壁もあると思います。また、自衛隊の対応の際に、通常であれば武力攻撃予測事態など事態認定というものがありますが、こういった猶予はないと思われます。
そういった様々な課題がある中で、警察と自衛隊とのシームレスな連携というものについてどのような課題があるのか、このことについて答弁をお願いします。
発言No.21
お答えを申し上げます。
有識者会議の提言におきましては、アクセス・無害化措置の実施主体について、武力攻撃に至らない状況下における対処となることから、まずは警察が、公共の秩序維持の観点から特に必要がある場合には自衛隊もこれに加わり、共同で実効的に措置を実施できるような制度とすべきとされております。
また、同措置の運用面の留意点として、政府全体としての総合的な判断が求められるとともに、その判断の下で実施主体が措置を講ずることが必要となる場合もあることから、政府においてリーダーシップを発揮するための司令塔の存在が極めて重要となるとの言及があったところでございます。
加えまして、提言では、平時と有事の境がなく、急激なエスカレートが想定されるなどのサイバー攻撃の特性から、武力攻撃に至らない段階から我が国を全方位でシームレスに守るための制度の構築が必要とされておりまして、関係機関の連携強化の観点からは、関係省庁のサイバーセキュリティー部局が物理的に同じ場所で協働できるよう、基盤となるしっかりとしたインフラ、すなわち、建物、スペース、勤務環境、セキュリティー等でございますが、こうしたものの確保を図るべきとの言及もあったところでございます。
今後、こうした提言の内容も踏まえ、検討を更に加速してまいる所存でございます。
発言No.22
しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
続きまして、内閣委員会は沖縄の基地負担軽減も含まれておりますので、このことについて質問をしたいと思います。
今から二十年前、二〇〇四年の八月の十三日に沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落をしました。そのときの防衛庁長官が今の、石破長官でございます。そのとき、規制線が張られて、この事故現場に一週間、日本の警察や消防、自治体の職員等が近づくことができませんでした。ここは日本なのかという問題意識を石破、当時の総裁候補は沖縄での総裁討論会で訴えていて、このことは多くの県民も共感したと思います。
二〇一九年に日米のガイドラインが改定されまして、規制線内への迅速かつ早期の立入り実施が盛り込まれましたが、これは米軍の同意が前提という条件ということは変わっておりません。
そこで、基地負担軽減の本丸である地位協定について伺いたいんですが、ドイツでは三回、韓国では一回、地位協定は改定されております。それにもかかわらず、我が国で一度も改定されていない難しさはそもそもどこにあるのか、我が国の地位協定は他国と比べて不平等性が高いのか、今後、地位協定のあるべき姿をどのように描いていくのか、答弁をお願いします。
発言No.23
お答え申し上げます。
日米地位協定と米国が他国と締結している地位協定の比較でございますが、地位協定そのものの規定ぶりのみならず、各国における米軍駐留の在り方、実際の運用、安全保障環境等の背景等も含めた全体像の中で検討する必要があり、単純に比較することが適当とは考えておりません。
例えばでございますが、御指摘のドイツでございますが、NATOの加盟国でございまして、NATOの設立根拠条約たる北大西洋条約は加盟国の間での相互防衛義務を定めております。
これに対し、我が国の場合、日米安全保障条約の下、米国の対日防衛義務に対応する形で米国への施設・区域の提供義務を負っているところでございます。
異なる義務を負う防衛体制の下での接受国と派遣国との関係や米軍基地の在り方を一般化して一律に比較することは難しいものと考えているところでございます。
そして、日米地位協定でございますが、大きな法的枠組みでございまして、政府としては、これまで、手当てすべき事項の性格に応じて、効果的かつ機敏に対応できる最も適切な取組、これを通じまして一つ一つの具体的な問題に対応してきているところでございます。
例えばでございますが、起訴前の拘禁移転ですが、一九九五年の刑事裁判手続に関する日米合同委員会合意、これによりまして、凶悪犯罪を犯して拘禁された米軍人等の身柄を起訴前に日本側に移転する途が開かれております。実際に起訴前の拘禁移転が何度も行われております。このように起訴前の拘禁移転が何度も行われているのは、米軍が駐留している国の中では日本だけであると承知しております。
その上ででございますが、日米地位協定の改正につきましては、石破総理自身が、一朝一夕では実現するとは思っておらず、まずは喫緊の外交、安全保障上の課題に取り組む必要がある、党の中で検討するよう指示したと繰り返し述べておられます。総理の指示に基づき、十一月二十八日には、自民党で、アジアにおける安全保障のあり方特命委員会の初回会合が開催され、議論が開始されたものと承知しております。
今後、自民党の方におかれて議論を重ねていくものと承知しておりますが、党における議論も踏まえつつ、日米同盟の抑止力、対処力、これを強化するとともに、その強靱性、持続性を高めていくという観点から検討し、対応してまいる所存でございます。
発言No.24
主権国家としてあるべき地位協定の姿というものは、総理自身の熱い思いもありますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。そしてまた、本質というものは、特に米軍基地が集中する沖縄においては、事件、事故をなくすということでございますので、その点もしっかりと認識いただきまして、政府としての緊張感のある取組をお願いしたいと思います。
次に、沖縄振興についてお尋ねをしたいと思います。
ゲートウェー二〇五〇についてお尋ねをしたいと思います。これは究極の沖縄振興の目玉だと思います。普天間基地が返還をされ、浦添のキャンプ・キンザーが返還をされ、那覇の軍港が返還をされる。これは、東京ドーム二百二十個分の広大な面積が返されて、そこにグランドデザインを描くという、非常に夢のある沖縄の将来ビジョンであると考えています。
今回、一・六億円の予算をつけまして、二年間の調査をするということでありますが、沖縄振興は国家戦略でありますので、政府としてどのように取り組んでいくのか、水野政策統括官の答弁をお願いします。
発言No.25
お答え申し上げます。
先生指摘のとおり、ゲートウェー二〇五〇構想につきましては、地元経済団体が中心になりまして、関係自治体とも連携し、沖縄の玄関口である那覇空港の将来の姿と、今後順次返還が予定されている基地跡地の利用等を一体として構想していく取組と承知してございます。
今年度においては、政府として、沖縄振興特定事業推進費により、その議論のたたき台となるグランドデザインの策定費用等の支援を行っているところでございます。
政府といたしましては、今後とも、この取組が民間主導の下、将来の基地返還跡地の利用等につながっていくことを期待しているほか、将来の沖縄の発展を考えていく上でも非常に大きな意義があると考えてございます。今後の議論の高まりについても注視してまいりたい、このように考えてございます。
以上でございます。
発言No.26
あくまでも民間主導ということでありますけれども、政府もいろいろな調査を今まで沖縄に対してやってきたと思いますので、その衆知を結集してグランドデザインを描いていただきたいと思います。
まず、普天間というものは、海抜が高いところで九十四メートル、非常に米軍は沖縄の地形の中でもいい場所を占拠してまいりました。それが返還されるということで、私としては、やはり海抜の高い地域に総合事務局等の行政機関を集中させて、宜野湾から南北に地下鉄、鉄道を敷設をしていく。特に、南西諸島は今シェルターの課題もありますので、公共シェルターとして活用できるような地下鉄の敷設をお願いしたいと思いますし、また、沖縄の歴史性や土着性、自然風土を生かした、その上で、世界経済の潮流を踏まえた上での産業振興やOISTの研究開発をスタートアップ企業化していく知恵も絞っていただきたいと思いますので、水野政策統括官にはそのリーダーシップもよろしくお願いしたいと思います。
ちょっと順番を変えまして、赤澤大臣に御質問をしたいと思います。済みません。お誕生日おめでとうございます。
赤澤大臣には、最低賃金千五百円、全国平均ということで、これは、従来二〇三〇年の半ばということでありましたけれども、それを二〇二〇年代に早めると。この達成には毎年七・三%の引上げが必要であると認識をしております。
今、物価や、そしてまたエネルギーや、高騰する中において、特に全国の中小企業、小規模事業者、私の地元の沖縄もそうなんですけれども、賃上げしたくてもなかなか苦しい、こういうような声もあります。政府が、私は、期限を決めて経済目標を打ち立てるということは意義があると思っておりまして、それぞれの事業者が様々な経営計画やイノベーションを起こすきっかけにもなり得ると思いますが、余りにも目標が過酷ではないのか、そういうような指摘もあります。
そういう全国の中小企業の事業者の不安に、解消できるように、彼らの顔を思い浮かべながら、本日お誕生日を迎えた赤澤大臣からの御答弁をお願いしたいと思います。
発言No.27
私も政治家でありますので、渾身の若づくりでありますが、もう既に六十四歳に今日なったということであります。わざわざ触れていただきまして、誠にありがとうございます。
石破政権では、アベノミクスの成果の下に岸田政権が進めてきた取組を着実に引き継ぎ、更に加速、発展させるということで、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現していくことを目指しております。
御案内のとおり、骨太方針などで、最低賃金については、岸田政権が二〇三〇年代半ばに千五百円という目標を掲げ、それを前倒しをするということまでうたっておられました。我々、発展、加速という意味で、二〇三〇年代半ばに千五百円を、期間を半分程度にして、二〇二〇年代に実現するという高い目標を掲げ、これに向けてたゆまぬ努力を続けることとしたところです。
是非、國場委員にも御理解いただきたいのは、國場委員の御地元でも、最低賃金はまだ千円に達していません。四十七都道府県で、実は、昨年というか今年ですか、千円に達したところというのはまだ十六しかありません。三十一県において千円に達していないんです。
これは本当に委員の皆様にも共有いただきたいんですけれども、千円という最低賃金はワーキングプア水準なんですよ、実は。つまり、年収二百万円がワーキングプアです。五十週、週四十時間働き、二千時間働くとすると、その二千時間で割り戻すと、年収二百万円のワーキングプア水準というのは千円なんですよ。それに達していない方というのは、そのワーキングプアの定義からいって、生活保護を受けずに働くという尊い決断をいただいても、今の最低賃金水準のせいで暮らしていけませんという方たちになります。
これは、もう数字を厚労省に聞いていただけば、九百五十二円の最低賃金近傍で働いておられる沖縄の労働者の方が何人いるかは何万人とすぐ出てきますが、その方たちが今そういう状況に置かれているということは是非御認識いただきたく。
更につけ加えれば、二百万円のワーキングプア水準というのは物価上昇が始まる前ですから、今でいったらもうとても暮らしていけないという水準に三十一県の最低賃金近傍で働いておられる方たちは置かれているということがあるので、経営者の皆様に賃上げ原資を稼いでいただくこともとても大事ですけれども、片やに、やはり鳥取県もそうです、沖縄県、先生の御地元もそうです、私、選挙のたびに手を握られて、暮らしていけるようにしてくださいという方たちがおられるんですよ。その声は、我々、やはり無視できませんね。ということがあるので、これを急いでやっていかなきゃいけない。
ただ、経営者の皆様にも元気を出していただかなきゃいけないので、我々、やろうとしていることは、十一月の二十六日に石破政権初回となる政労使の意見交換を開催し、総理から、私を中心に関係閣僚と協力して最低賃金引上げのための対応策を来春までに取りまとめろと言われました。
その中では、今回の経済対策にも相当盛り込んでおりますけれども、賃上げの原資となる、賃上げ原資を稼いでいただく、企業の稼ぐ力を継続的に高めるため、持続的、構造的賃上げに向けた価格転嫁等の取引適正化の推進ですとか、それから、省力化、デジタル化投資の促進、人への投資の促進及び中堅・中小企業の経営基盤の強化、事業承継の支援とか、そして、成長の支援といった生産性を向上させるための支援策、下請法の改正などについて、更に具体化をしていき、少しでも多くの経営者の方たちが、よし、賃上げ原資を稼いだからしっかり賃上げしていくよという気持ちになっていただけるように、石破政権挙げて全力で取り組んでいきたいというふうに思っております。
発言No.28
赤澤大臣自らの言葉で、本当にありがとうございます。
時間も迫ってきておりますので、ちょっと早口になりますけれども、続きまして、海洋基本計画に位置づけられているシーレーンについてお尋ねをしたいと思います。
私は、国土交通副大臣として、海事局、海上保安庁を担当している際に、横須賀での戦没船員の慰霊祭に参加をする機会がありました。その際に知ったことは、さきの大戦で亡くなった船員の方は約六万人、約七千の船舶が失われており、これは全体の四三%を占めるそうです。当時の海軍の被害が一六%でありましたから、はるかに民間の方が深刻であったということが分かります。
また、海保担当として、ソマリア周辺海域派遣捜査隊の出発式、帰国報告での公務激励をしました。イエメンの今ホーシー派の活動が激化しておりますので、海賊対応任務ということも大変に激化をしておりますけれども、出発の際に感じた期待と不安、また帰国の際の安堵と誇り、様々なことを感じたことであります。
国交省時代もお世話になりました高杉事務局長から答弁をお願いしたいと思います。
発言No.29
お答えいたします。
先生御指摘いただきましたとおり、昨年四月に閣議決定されました第四期の海洋基本計画におけます重要な柱の一つといたしまして、総合的な海洋の安全保障が位置づけられておりまして、政府といたしましても、シーレーン確保の重要性につきましては十分に認識しているところでございます。
こうした中、平時の取組の一つといたしまして、昨年の十二月に総合海洋政策本部におきまして決定いたしました、我が国の海洋状況把握、MDA構想におきましても、国際的なネットワークをしっかり強化するといったようなことがうたわれているところでございます。
私どもといたしましては、先生の御指摘も踏まえながら、同盟国、同志国とも連携しつつ、MDAの更なる強化ということを一層推進してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。